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カテゴリ:本のコンシェルジュ( 841 )


2005年 05月 15日

今週の注目新刊(第4回:05年5月15日[番外編])

他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。

書誌情報の見方と配列は次のようになっています。

書名――副題
著者、訳者など
版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など)
ISBN、発行年月
■は、図書館流通センターさんのデータを引用&活用した内容紹介。
●は、私のコメントです。

今週は点数が多いため、文庫新書編、単行本編、番外編と三部門に分けます。最後は番外編。番外編は、「必ずしも購入したいわけではないが、私が書店員だったら、こんな取り合わせを考える」といった、下世話な選書です。

***

死体検案ハンドブック
的場梁次+近藤稔和+田中圭二+ほか編著
金芳堂 本体6500円 タテ21cm 368p
4-7653-1185-6 / 2005.05.
■現場で役立つ情報、特に写真や資料を豊富に備えた死体検案のノウハウを中心に掲載。初心者からベテランまで、いつでも、どこでも、どのような場面でも必要とされる事項を網羅する。
●純然たる医学書ですが、研究者以外に需要があると予想できます。本書をもしサブカルチャー棚に置く書店員さんがいたら、相当のセンスだと思います。キーワードは法医学。

樹海の歩き方
栗原亨(1966-)著
イースト・プレス 本体1500円 タテ21cm 230p 付:樹海完全マップ(1枚)
4-87257-437-0 / 2005.05.
■誰もが知る自殺の名所、「帰らずの森」とも呼ばれる不可侵の地。「方位磁針が回り続ける」「幻の遊歩道が存在する」等、あらゆる謎を実地調査し、最深部への探索方法までも網羅した完全ガイド。遺体の写真を掲載した袋綴付き。
●いわずと知れた著名な廃墟探検家さんですが、この袋とじは流通的にはアリなのか?

エチオピア黙示録――野町和嘉写真集
野町和嘉写真・文
岩波書店 本体6200円 タテ31cm 191p
4-00-008079-2 / 2005.04.
■きわめて特異なキリスト教文化に支えられたエチオピア高原の厳しい暮らしと、飢餓や戦乱の記憶を写しとる。多難な時代を生き抜いた人びとの、光と闇の記録。
●日本人には想像しにくい、生きることのリアルな困難さ。

マネキン
林雅之著
パロル舎 本体3600円 タテ27cm 1冊(ノンブルなし)
4-89419-035-4 / 2005.05.
■写し出されたマネキンの表情は、「光の空間」では決して見せることのない、より深い美と穏やかさを湛えている。汚れたマネキンは、人に愛され続けた証明である。究極のマネキン美に迫った写真を収載。
●生命なきものに宿るなにものかを見るために。映画『イノセンス』やベルメールの主題につながる?

***

サブカル棚でこそ、生命とはなにかを考えさせる様々な思想書や科学書を展開してほしいですね。たとえば、宇野邦一さんの『〈単なる生〉の哲学』平凡社とか、小泉義之さんの『生殖の哲学』河出書房新社とか、フーコーの『性の歴史』全3巻・新潮社とか、小社のアガンベン著『アウシュヴィッツの残りのもの』とか。ベルタランフィの『一般システム理論』みすず書房とか、ヴァレラの『身体化された心』工作舎とか、ヴァイツゼッカー『生命と主体』人文書院とか。養老孟司さんや布施英利さんの本とか。

以上、今回は1812点の新刊のなかから選びました。(H)
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by urag | 2005-05-15 22:42 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 15日

今週の注目新刊(第4回:05年5月15日[単行本編])

他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。

書誌情報の見方と配列は次のようになっています。

書名――副題
著者、訳者など
版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など)
ISBN、発行年月
■は、図書館流通センターさんのデータを引用&活用した内容紹介。
●は、私のコメントです。

今週は点数が多いため、文庫新書編、単行本編、番外編と三部門に分けます。文庫編につづいて単行本編。

***

フロイト=ラカン
新宮一成(1950-)+立木康介編
講談社(講談社選書メチエ330 知の教科書) 本体1600円 タテ19cm 254p
4-06-258330-5 / 2005.05.
■「無意識」は「他者の語らい」というように、フロイトの独創的な発見は、ラカンによってすべて掬い取られ、深く大きく展開された。人間の「現実」を追究した思想の系としてのフロイト=ラカンが本当にわかる一冊。
●評判がいい新刊ですね。ちなみに今月26日には、岩波書店からラカンのセミネール第5巻『無意識の形成物(上)』(ISBN:4-00-023410-2)が刊行されます。また、次の新装版も発売されました。

フロイトを読む――解釈学試論
ポール・リクール(1913-)著 久米博訳
新曜社 本体7200円 タテ22cm 628, 10p
4-7885-0948-2 / 2005.05.
■1961年秋、著者がイェール大学でテリー記念講座として行なった3回の講義をまとめる。フロイトの全著作を周到精密に読み、自らの解釈学的立場との壮絶な知的対決を通してその哲学的意義を十全に解明。1982年刊の新装版。
●この新装版は以下の新刊にあわせての刊行です。ちなみに、来月には白水社から『解釈の革新』が復刊されます。

記憶・歴史・忘却(下)
ポール・リクール(1913-)著 久米博訳
新曜社 本体4500円 タテ22cm 362p
4-7885-0947-4 / 2005.05.
■「記憶と忘却」の弁証法の中で歴史叙述の可能性をつきつめた壮大な「記憶の政治学」の試み。下巻では歴史の批判哲学、記憶の条件としての「忘却」などを論じ、赦しえないものをいかに赦すかという「困難な赦し」の問題に至る。
●『時間と物語』(全3巻、新曜社)や『意志的なものと非意志的なもの』(全3巻、紀伊國屋書店)と並ぶ、リクールの主著です。全部を買い揃え(税込36,113円也)、なおかつ通読するのはたしかに骨が折れますが、特にこの『記憶・歴史・忘却』全2巻は必読でしょう。関連する主題をめぐるデリダ派の議論とのあいだの差異に注目。

イエスとパウロ――イスラエルの子
アンドレ・シュラキ(1917-)著 長柴忠一訳
新教出版社 本体1200円 タテ19cm 123p
4-400-12135-6 / 2005.04.
■イエスとパウロの二人を、ユダヤ教の立場から一つの神信仰を共有する預言者的実存として、深い共感を込めて描き出す。また同じアブラハム的一神教として、イスラム教を併せた三つの宗教に人類的平和への連帯と共働を促す。著者はアルジェリア生まれのユダヤ思想研究家。パリ大学法学博士。戦後イスラエルに移住し、エルサレム副市長などを歴任。ユダヤ教に関する多数の著書をフランス語で著す。
●シュラキさんの本は主に白水社の文庫クセジュなどで読めます。『イスラエル』『ユダヤ思想』『ユダヤ教の歴史』など。

夜の記憶――日本人が聴いたホロコースト生還者の証言
沢田愛子(山梨大学大学院医学工学総合研究部教授)著
創元社 本体3200円 タテ20cm 470p
4-422-30039-3 / 2005.05.
■決して忘れてはならない、ホロコースト生還者12人が恐怖と不安を乗り越えて語った真実の言葉。その「証言」をよりよく理解できるよう、詳細な解説を収めるほか、ホロコーストの記憶を継承していくことの意味を考察する。
●ボリューム感といい、読み応えのあるものだろうことが期待できます。

パレスチナから報告します――占領地の住民となって
アミラ・ハス(1956-)著 くぼたのぞみ訳 土井敏邦解説
筑摩書房 本体2400円 タテ20cm 299, 3p
4-480-83713-2 / 2005.05.
■ヨルダン川西岸地区ラマラに住むイスラエル人特派員からのレポート。土地や家屋の強制収用、道路封鎖、ジェニン侵攻…。和平のために今、求められているのは何か? 不条理な暴力の日常に生きる現地の人々の声を伝える。著者はイスラエル生まれのジャーナリスト。 同国日刊紙『ハアレツ』の特派員としてパレスチナに住み、現地から記事を送り続けている。
●ハスさんの記事を読んだことがない方は、グーグルなどで検索して、翻訳記事などを読まれるといいかもしれません。彼女はイスラエル人ですが、パレスチナのアラブ人の苦悩と苦境をつぶさに把握しようとしている良識派だと思います。

エボニクスの英語――アフリカン・アメリカンのスラング表現
泉山真奈美著
研究社 本体1800円 タテ19cm 247p
4-327-45188-6 / 2005.05.
■R&Bやラップ、ヒップ・ホップの曲を長年聞き取って訳してきた著者によるEBONICS攻略法! EBONICS(ebony+phonicsから成る造語/アフリカン・アメリカンのスラング)の英語表現を楽しく解説。
●まあ上記のような、攻略ですとか楽しくですとか商売っ気のある宣伝文句には目を瞑るとしまして。私はこの著者の政治的スタンスを知りませんし。エボニクスの文化的政治的歴史的背景を知るためのアプローチとしては、たとえば荒このみさんの二つの著書『アフリカン・アメリカンの文学――「私には夢がある」考』平凡社や『アフリカン・アメリカン文学論――「ニグロのイディオム」と想像力』東京大学出版会も参照しておきたいですね。シドニー・W・ミンツの『〈聞書〉アフリカン・アメリカン文化の誕生――カリブ海域黒人の生きるための闘い』(藤本和子訳、岩波書店)なども。

初稿チャタレー卿夫人の恋人
D・H・ロレンス(1885-1930)著 増口充訳
彩流社 本体2800円 タテ20cm 452p
4-88202-979-0 / 2005.05.
■現在巷に流布する「ワイセツ論争」を呼んだ第3稿を含め、「チャタレー」には3つの作品があった! 「森番」を共産主義者で階級的憎悪が激しい人物として設定し、3つの中で最もリアルで生き生きとした「初稿」を完訳。
●裁判沙汰と言えば、サドの『ジュスチーヌ』も三種類あるわけで。原作の時系列順に並べると、1787年版:澁澤龍彦訳『美徳の不幸』河出文庫、1791年版:植田祐次訳『ジュスチーヌまたは美徳の不幸』岩波文庫、1797(1799)年版:澁澤龍彦訳『新ジュスティーヌ』河出文庫もしくは佐藤晴夫訳『ジュスチーヌ物語又は美徳の不幸』未知谷。

情熱としての愛――親密さのコード化
ニクラス・ルーマン著 佐藤勉+村中知子訳
木鐸社 本体3500円 タテ22cm 299p
4-8332-2363-5 / 2005.04.
■シンボルによって一般化されたコミュニケーション・メディアとしての「愛」を手がかりに、親密な関係を生きる人間を見つめる。ゼマンティクとメディアの概念を軸に近代社会における「親密な関係」の深化の可能性を追究。

演劇のエクリチュール 1955-1957――ロラン・バルト著作集(2)
ロラン・バルト著 大野多加志訳
みすず書房 本体4200円 タテ21cm 279p
4-622-08112-1 / 2005.05.
■「民衆演劇の希望」「なぜブレヒトか?」をはじめとする重要な演劇批評、さらに論争の発端となるカミュ「ペスト論」など、緊張と期待にみちた時代の批評集。

衣裳のフォークロア
ピョートル・ボガトゥイリョフ(1893-1971)著 桑野隆+朝妻恵里子編訳
せりか書房 本体2300円 タテ19cm 218p
4-7967-0263-6 / 2005.05.
■バルトやエーコに影響を及ぼした、ロシアにおける「記号論的アプローチの先駆者」ボガトゥイリョフの、衣装の記号論の古典として定評のある表題作のほか、広告の記号や伝統と即興の関係を論じた論文5編を収録。81年刊の増補・新訳版。
●初訳は松枝到と中沢新一の両氏による英訳本からの共訳でした。このたびはスロヴァキア語原典を参照しつつロシア語訳版から翻訳したそうです。それにしても造本装丁が素っ気ないことよ。ボガトゥイリョフの日本語訳は、このほか、桑野隆訳『民衆演劇の機能と構造』未来社や、千野栄一+松田州二訳『呪術・儀礼・俗信――ロシア・カルパチア地方のフォークロア』岩波書店があり、両方とも入手可能ですから、ぜひこの機会に購入してみてはいかがでしょうか。お奨めです。

フィレンツェ文化とフランドル文化の交流――ヴァールブルク著作集(3)
アビ・ヴァールブルク著 伊藤博明+岡田温司+加藤哲弘訳
ありな書房 本体5000円 タテ22cm 318p 付:図(1枚)
4-7566-0586-9 / 2005.05.
■フィレンツェ人の美的心性とフランドルの彩り豊かな美術表現との、文化の相互交流が生む精緻な美の世界。世界の隠された徴を露にする、イコノロジーというテクネ-イデアの精華。
●全7巻のうち、これで5点まで刊行されたことになります。いずれも薄い本の割には高価ですが、ネームバリューによるものか、私はさほど違和感は感じていません。既刊書の進藤英樹訳『異教的ルネサンス』ちくま学芸文庫(ISBN:4-480-08814-8)もぜひどうぞ。

***

以上です。すべてを購入した場合、12点合計で税込41,685円也。(H)
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by urag | 2005-05-15 21:12 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 15日

今週の注目新刊(第4回:05年5月15日[文庫新書編])

他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。

書誌情報の見方と配列は次のようになっています。

書名――副題
著者、訳者など
版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など)
ISBN、発行年月
■は、図書館流通センターさんのデータを引用&活用した内容紹介。
●は、私のコメントです。

今週は点数が多いため、文庫新書編、単行本編、番外編と三部門に分けます。まずは文庫編。いつもより多めに拾っています。

***

マルクス入門
今村仁司著
筑摩書房(ちくま新書533) 本体720円 タテ18cm 238p
4-480-06233-5 / 2005.05.
●ただいま「マルクス・コレクション」刊行中、という時節柄もあるので。

こまった人たち――チャペック小品集
カレル・チャペック(1890-1938)著 飯島周編訳
平凡社(平凡社ライブラリー538) 本体1100円 タテ16cm 276p
4-582-76538-6 / 2005.05.
■ひょんなことから平穏な日常が一変してしまう人間社会の不条理を、ユーモアと鋭い批評眼で綴る傑作集。スペイン市民戦争やナチスドイツの台頭、歴史上の侵略者を皮肉る寓話や警句は、混迷を深める世界に生きる全人類必読!
●カフカ(1883-1924)と同時代、同じ国(チェコ)で活躍した作家として読んでみる。世紀転換期のプラハ。

純粋理性批判(中)
イマヌエル・カント(1724-1804)著 原佑訳
平凡社(平凡社ライブラリー539) 本体1800円 タテ16cm 559p
4-582-76539-4 / 2005.05.
■「カント全集 第5巻」(1966年、理想社)の補訂版。 全3巻。

論理哲学論考
L.ウィトゲンシュタイン著 中平浩司訳
筑摩書房(ちくま学芸文庫) 本体840円 タテ15cm 230p
4-480-08920-9 / 2005.05.
●またまたまたまた新訳ですか。

藤本隆志+坂井秀寿訳『論理哲学論考』法政大学出版局、1968年、本体3000円、ISBN:4-588-00006-3
山元一郎訳『論理哲学論』中公クラシックス、2001年(1971年『世界の名著(58)』)、本体1200円、ISBN:4-12-160010-X
奥雅博訳『論理哲学論考――ウィトゲンシュタイン全集(1)』大修館書店、1975年、本体価4000円、ISBN:4-469-11011-6

という3つの定番があったところへ、今世紀になって、

黒崎宏訳『『論考』『青色本』読解』産業図書、2001年、本体3300円、ISBN:4-7828-0137-8
野矢茂樹訳『論理哲学論考』岩波文庫、2003年、本体700円、ISBN:4-00-336891-6

ときて、もはや打ち止めとばかり思っていました。だって、上記書はみんなまだ手に入るんですよ。競合しまくりじゃないですか。文庫棚では岩波文庫のみとの競合だから、という判断でしょうか。部分訳でしたら、

黒田亘編訳『ウィトゲンシュタイン・セレクション』平凡社ライブラリー、2000年(1978年『世界の思想家(23)』)、本体1300円、ISBN:4-582-76324-3

というのもあるのです。

そんなわけで、懐に余裕のある方はいっそのこと全部買ってみるのもいいかもしれません。全部買っても税込15057円。どうせなら、ズーアカンプ社から刊行されている原書(ISBN:3-518-10012-2)と、ラウトレッジから刊行されている草稿『Prototractatus』(ISBN:0-7100-6788-7)をこれらにあわせて買っても、合計二万円ていどです。異なる翻訳を比較し吟味するというきわめて高尚な読書をご堪能いただけることでしょう。

最澄と空海――日本人の心のふるさと
梅原猛著
小学館(小学館文庫) 本体638円 タテ16cm 365p
4-09-405623-8 / 2005.06.
■「梅原猛著作集(9)三人の祖師」(2002年)の抜粋。

日本の伝統
岡本太郎著
光文社(知恵の森文庫) 本体629円 タテ16cm 292p
4-334-78356-2 / 2005.05.
●光文社1956年刊が初版でしょうか。ハードカバーでは『岡本太郎の本(2)』みすず書房(ISBN:4-622-04257-6)がまだ入手可能ですが。一緒に、以下の文庫本もどうでしょうか。
岡本敏子編著『芸術は爆発だ!――岡本太郎痛快語録』(小学館文庫、ISBN:4-09-403671-7)

菊と刀――日本文化の型
ルース・ベネディクト著 長谷川松治訳
講談社(講談社学術文庫1708) 本体1250円 タテ15cm 423p
4-06-159708-6 / 2005.05.
●消滅してしまった現代教養文庫版「定訳」(社会思想社)の引継ぎ版ですね。

姜尚中にきいてみた! ――東北アジア・ナショナリズム問答
姜尚中著 『アリエス』編集部編
講談社(講談社文庫) 本体514円 タテ15cm 295p
4-06-275044-9 / 2005.05.
●学術文庫ではないというのがポイントです。

治療教育講義
ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)著 高橋巌訳
筑摩書房(ちくま学芸文庫) 本体1200円 タテ15cm 294p
4-480-08908-X / 2005.05.
●いまやシュタイナーもずいぶん文庫で買えるようになりましたね、ちくま学芸文庫のおかげで。『神秘学概論』『神智学』『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』『自由の哲学』『オカルト生理学』に続いて6点目ですか。『魂のこよみ』だけは、ちくま文庫。合計7点。

文庫ではありませんが、今月は以下のような新刊もありました。

精神科学による教育の改新――シュタイナー教育基礎講座(3)
ルドルフ・シュタイナー著 西川隆範訳
アルテ(発行) 星雲社(発売) 本体2000円 タテ20cm 190p
4-434-06054-6 / 2005.05.
■子どもの健全な成長を追究したシュタイナーの講義録を紹介するシリーズ。ヴァルドルフ学校設立の翌年に行われたバーゼル教育講義の邦訳。その教育のカリキュラム、オイリュトミー、方言と書き言葉、遊び等について語る。

シュタイナー医学入門
マイケル・エバンズ+イアン・ロッジャー著 塚田幸三訳
群青社(発行) 星雲社(発売) 本体2800円 タテ20cm 295p
4-434-06063-5 / 2005.05.
■シュタイナーのアントロポゾフィーないし精神医学は、人間を身体と心魂と精神からなるものとみる。生理現象の拡大が医療に大きな影響を及ぼすことを一群の医師が認識した結果誕生した、アントロポゾフィー医学を詳解。

***

以上です。(H)
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by urag | 2005-05-15 20:14 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 08日

今週の注目新刊は一週スキップです

私が参照しているTRCの週刊新刊案内(毎週金曜日更新)が、6日には更新しなかったため、次回の「今週の注目新刊」は一週間後、来週の日曜日になる予定です。

ところでTRCのデータを参照している理由ですが、

1)もともと図書館向けの新刊情報のため、おおよそ網羅的である。ただしコミックは除く。
2)一週間分の登録データをまとめてみることができる。
3)登録データを見れる頃にはだいたい書店店頭に並んでいるので、フライングがなくていい。

といったところです。13日更新のデータ量が通常の二倍くらいになるのか、それとも週の初めあたりに遅ればせの更新があるのか、ひょっとしたら後者かもしれませんが。(H)
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by urag | 2005-05-08 17:05 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 07日

フーリエ『愛の新世界』抄訳書誌情報

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ちょうど一ヶ月遅れの投稿になってしまいましたが、4月7日はシャルル・フーリエの生誕日でした(1772年)。今年で生誕233周年を迎えるわけですね。ちなみに没年月日は1837年10月10日。写真はフーリエ畢生の大作『愛の新世界』の原書(1999年、ストック社)です。

『愛の新世界』がはじめて公刊されたのは、死後130年を経た1967年。シモーヌ・ドゥブーによる校訂本でした。ドゥブー女史にかんしては、1978年の著書『フーリエのユートピア』が今村仁司さんの監訳で、平凡社から1993年に刊行されています。現在は惜しくも品切。

1817年から1819年にかけて執筆されたとされる『愛の新世界』ですが、日本語の抄訳には以下のものがあります。

「抄訳の試み――テクスト『愛の新世界』を横断する」浅田彰+市田良彦=訳。

掲載誌:季刊『GS[たのしい知識]』誌(責任編集=浅田彰+伊藤俊治+四方田犬彦)、第一号・特集「反ユートピア」、冬樹社、1984年6月刊。106-141頁。

この抄訳が訳者による適宜のコメントを付して掲載頁の下段として組まれ、同掲載頁の上段には、浅田・市田両氏による論考「『愛の新世界』への旅」が組まれています。本文レイアウトは戸田ツトム氏とGS編集部が担当。当時、浅田氏(1957年生まれ)も市田氏(1959年生まれ)もまだ20代でした。80年代の華として画期をなした知的マガジン『GS』はご存知の通り、今では古書店でしか手に入りません。

もうひとつの抄訳は以下のものです。

「愛の新世界 抄」巌谷國士=訳。

掲載書:『澁澤龍彦文学館(4)ユートピアの箱』、筑摩書房、1990年5月刊。267-333頁。

同書には巌谷氏による「四運動の理論 抄」「アルシブラ」の翻訳が併録されています。残念ながら、こちらの本も品切。言うまでもありませんが、巌谷氏による『四運動の理論』の全訳は、現代思潮新社から上下巻で刊行されています。初版は1970年刊。巌谷氏は1943年生まれですから、刊行時は20代。堂々のロングセラーで、現在も新装版が入手できます。ありがたいことです。

フーリエとの対峙を20代のうちに果たすというこの符号は、2001年5月に作品社から公刊された、ジョナサン・ビーチャーによる『シャルル・フーリエ伝』の訳者である福島知己さんにも言えることなのかもしれません。福島さんは1971年生まれです。この伝記はフーリエ伝の決定版として評判の高い基本図書。現在も入手可能です。

福島さんは 2003年6月に、博士論文 「シャルル・フーリエのユートピア――アイロニーとユーモアの視点から」を一橋大学大学院社会学研究科に提出され、博士号を取得されています。この博士論文には、『愛の新世界』に収録されているフーリエによる戯曲形式の架空物語「聖英雌ファクマの請出=贖罪」の全訳が附録として添付されているそうです。こうした博士論文は、一般読者にとってはどうアクセスしたらいいかよくわからないものですが、関心を持たれる方も多いことと思います。ぜひ読んでみたいですね。

このように、『愛の新世界』は抄訳があるものの全訳はまだありません。いつの日か全訳が果たされることを、強く願いたいと思います。(H)
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by urag | 2005-05-07 22:15 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 06日

川田喜久治さんが言及されていた写真集"100 SUNS"

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写真に写っている本は、川田喜久治さんが『地図』新版に寄せられたエッセイ「「しみ」のイリュージョン」で言及されていた写真集"100 SUNS"です。川田さんは次のように書いておられます。

「二〇〇四年に『100 SUNS』という原水爆実験一〇〇の記録を編んだ写真集がロンドンで出版された。人類を瞬時に消滅させる分裂連鎖反応が発するキノコ雲は、時に美しく、茫然自失の光景だが、絵巻として、とどめなくてはならない。」

「曖昧な眠りを裂くための枕頭の書」と川田さんが表現されたこの写真集のことを知ったのは、たしか一昨年のこと、『地図』新版製作の打ち合わせの際でした。川田さんが示された一冊の写真集の印象は強烈で、その日のうちにオンライン書店へ注文を出しました。

本書に収められた百景の恐ろしさと輝きは、実験の淡々とした記録に「過ぎない」ために、よりいっそうニュートラルなものに見えます。これを怒りをもって見つめる人もいれば、美の顕現として恍惚のうちに眺める人もいるでしょう。この「ニュートラル」はしかし、憤激からも恍惚からも本当に等距離にあるような「中立」を意味するのでしょうか。

写真におけるそうした中立的境位の問題はなかなか議論が難しいように思います。写真は「視線」を持ちます。「視線」は中立的でしょうか。写真の再現性が中立的なのでしょうか。

核実験はある種の政治的軍事的立場から行われるものなのですから、その立場から記録された写真は、少なくとも「公平」や「不偏不党」という意味でのニュートラルな視点から撮られたものではありえません。また、核実験はいわゆる「中立国」という意味でのニュートラルな立場から実行されたものでもないわけです。

アメリカ公文書館とロス・アラモス国立研究所が収蔵するこれらの景色(1945年7月から1962年11月までの記録)は、たしかに、かつてロバート・オッペンハイマーが初の核実験成功を目の当たりにした時、脳裏に浮かんだという『バガヴァッド・ギーター』の一節を、私たちの胸に再び呼び起させる気がします。

「私は世界を滅亡させる強大なるカーラ(時間[運命、死])である。諸世界を回収する(帰滅させる)ために、ここに活動を開始した。」

破壊のために生み出された人工の巨神たちの降臨を映し出した、恐るべき写真集です。購入しておいて損はないと思います。

写真資料をディジタル処理して再現し、本書をデザインしたのは、"Full Moon"などで著名な写真家マイケル・ライト氏です。2003年10月のクレジットで、ニューヨークのクノップフ社から刊行されています。イギリス版は、ジョナサン・ケイプ社より刊行。

Michael Light, "100 SUNS", Alfred A. Knopf, 2003, ISBN1-4000-4113-9.

アマゾン・ジャパンでも購入できます。当ブログのライフログに登録しておきました。(H)
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by urag | 2005-05-06 23:02 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 03日

ブランショ『私についてこなかった男』ついに発売

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書肆心水さんからブランショ中期の中篇小説『私についてこなかった男』がついに刊行されました。心水さんの宣伝どおり、本書が日本における「最後の初訳小説」になります。

うねるように展開していく不思議な「語り」は、何処でもなく何者でもない内的彷徨のような趣きがあります。一端踏み込むとそこは非常に不安定な亜空間と言ったらいいのか、まるで迷宮のようで、雨のように暗号が降り注いできます。無駄な言葉はここにはなく、また、すべての言葉が移ろいゆく影でもあります。終わらない悪夢のようで読み進むのはたいへんですが、徒労であるわけではありません。

ブランショは覚醒状態のまま、無意識の深層まで降りていける能力を持っていたのではないか、と私はしばしば感じたりします。いったいそんなことができるのでしょうか。生のままの無意識など、言葉になりうるのでしょうか。私たちは無意識に突き動かされることはあっても、自分の無意識をクリアに理解できるわけではありません。

無意識が私たちに見させる夢はしばしば自分自身にとっても不可解です。そうした夢に似た、不可解な場所(非-場所)へ、夜の領域へ、ブランショは降りていき、記述します。意味や無意味といった、いわば白昼のもとの諸価値では測ることのできない、異様な「深み」です。深さという物理的な広がりで理解することすらもどかしい「内奥」です。

そんなわけで、覚醒状態においてこの書物を読む、というのは、そもそも一種の途方もない冒険ではあります。覚醒状態では読めないはずのものであるわけですから。少なくとも思考の波長のようなものが合っている時でないと、私はブランショの小説はまったく読めません。読んだ気がしません。ある時はたまたまその場所(非-場所)へチューン・インでき、ある時は非情なまでに疎外されます。

つまり、迷宮に入るにしても、それにふさわしい時があるということです。時を逸しては、迷宮は出現しないということなのかもしれません。そしてそもそもこうした〈読み=接触〉はすべて私の幻想であるのかもしれません。これを仮に〈ソラリス効果〉と呼んでおきましょう。

常人はそこから何の手土産も持ち帰らないまま白昼の領域へ戻るのですが、ブランショは何かを持ち帰るのです。エウリュディケーを連れ帰ろうとするオルフェウス。常人が失敗するところの何かを、ブランショは手にして持ち帰ることができる。しかし冥府帰りのエウリュディケーをいったい誰が理解できるというのでしょうか。エウリュディケーは、蘇生したラザロではない。白昼の光のもとにはけっして出てこれないはずの何かなのです。

訳者の谷口博史さんによる長文解説「全能にして無能の語り手(たち)」もたいへん読み応えがあります。この書物はすでにして一個の奇書です(もちろん最大の賛辞としてそう述べているのです)。白昼の光のもとに理解できるかどうかが問題なわけではない。本書については少なくともそのことだけは言えそうな気がします。

なお、本書は、オンライン書店では、bk1などで扱われています。

谷口さんは本書に先立つこと約7年前に、同じ中期の小説『望みのときに』(未来社)を翻訳されています。あわせて読みたい作品です。(H)
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by urag | 2005-05-03 23:43 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 05月 01日

今週の注目新刊(第3回:05年5月1日)

他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。

書誌情報の見方と配列は次のようになっています。

書名――副題
著者、訳者など
版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など)
ISBN、発行年月
内容紹介は、図書館流通センターさんのデータを引用&活用させていただいています。※は私のコメントです。

***

ベルクソンとバシュラール
マリー・カリウ著 永野拓也訳
法政大学出版局 本体2000円 タテ20cm 148,12p
4-588-00818-8 / 2005.04.
内容:イメージと隠喩、直観と否定、認識論と形而上学などの主題をめぐって、テクストを介したベルクソンとバシュラールの「対話」を目論み、2つの思想の結節点を探る。広く哲学を「読む」ための手引きを与えてくれる。※私の勝手な思い込みでは、バシュラール特有の「垂直の時間論」は、ベルクソンの水平的「持続」と異なる概念的魅力を持っているように思います。この二人の比較対照は非常に興味深いですね。

ワイド版世界の大思想 第三期十四冊
河出書房新社 セット価格72800円(分売不可。一巻あたり5200円) 21cm 509p
4-309-97071-0 / 2005.05
内容:世界思想の最高峰を厳選。永く模範となる正確かつ平明な訳文。既刊全集「世界の大思想」の巻構成を改め、文字を拡大し読みやすく復刻したワイド版。第3期は14冊。3-1:孔子/孟子/老子/荘子、3-2:仏典、3-3:ヘーゲル、3-4:マルクス、3-5:エンゲルス、3-6:ミル、3-7:ウェーバー、3-8:キルケゴール、3-9:ニーチェ、3-10:ベルグソン、3-11:ヤスパース、3-12:マルロー/サルトル、3-13:トインビー、3-14:毛沢東。※オンデマンドと注記されていますから、図書館専用の完全受注生産制なのでしょうが、どうせオンデマンドにするなら、一般販売もしてほしいですね。もちろん分売で。大活字本でなくてもいい読者もいるでしょうから、一冊あたり三千円くらいで買えないものでしょうか。こういう「遺産」は放っておくのが本当にもったいないです。

生れ月の神秘
山田耕筰(1886-1965)著 鏡リュウジ解説
有楽出版社 実業之日本社(発売) 本体1800円 タテ20cm 327p
4-408-59234-X / 2005.05.
内容:実業之日本社から大正14年に刊行されたものの復刊。童謡「赤とんぼ」の作曲者山田耕筰は、日本で最初の星占いの本を出版した! 純粋な占いの珍本として読むもよし、ユーモア溢れる文体を味わうもよし。※この復刊には驚きました。企画した方は、なかなかオツなところを狙ってますね。当時のベストセラーだったそうで、70年代前半に復刊されたこともあるようです。

「存在の現れ」の政治――水俣病という思想
栗原彬(1936-)著
以文社 本体2400円 タテ20cm 227p
4-7531-0240-8 / 2005.04.
内容:公式発見から半世紀を経た水俣病は、今、われわれに何を語りかけているのか? 近代日本が追求した生産力ナショナリズムが破綻に瀕している今日、支配しない他者を宛先とする新しい人間像を「水俣病という思想」に読み解く。※待望の、というべきかと思います。ぜひ読まねばなりません。

体内の神秘――皮膚の下に広がるファンタスティックな生命の鼓動とアートの世界
スーザン・グリーンフィールド著 崎山武志・日本語版監修 玉嵜敦子訳
産調出版 本体7800円 タテ35cm 288p
4-88282-417-5 / 2005.04.
最新の画像技術で体内を冒険し、人体の驚くべき仕組みを発見する。何千倍にも拡大された赤血球が織りなす模様、皮膚という壮大な建築物、体内器官のネットワークを形成する複雑な内臓の実態など、神秘的な世界が姿を現す。著者は英国王立研究所所長。※カラーページがほとんどなのでしょうか、やや高価ではありますが、これはぜひじっくり堪能したい本です。

数理科学美術館――数学とアートの融合
森川浩(1975-)著
工学社 本体1900円 タテ24cm 135p
4-7775-1128-6 / 2005.04.
内容:「数学」「物理」「コンピュータ」「アート」を融合させ、視覚的に美しいと思えるものを集めたバーチャル美術館。マンデルの涙、カチ割りダイヤモンド、音を見る、クラインの壺など、理系の人が感じる「美」を体験しよう。付属資料:CD-ROM(1枚 12cm)。著者は現在、株式会社ソフトウェアクレイドルにて「数値流体力学における可視化ソフトの構築」の仕事に携わっている。※たとえば、マンデルブロの『フラクタル幾何学』日経サイエンス社というのも美しい書物でした。品切で残念ですが。

世界ロボット大図鑑
ロバート・マローン著
新樹社 本体3800円 タテ29cm 192p
4-7875-8537-1 / 2005.05.
内容:フルカラー写真でロボットの進歩を生き生きとつづった、究極のロボット・ギャラリー。古いブリキのオモチャにはじまり、最新技術を駆使したヒューマノイドや宇宙探査機まで、それぞれの時代を象徴する様々なロボットが登場。著者はインダストリアル・デザイナー。※ロマンですよ、ロマン。

眼の冒険――デザインの道具箱
松田行正著
紀伊国屋書店 本体2800円 タテ20cm 326p
4-314-00982-9 / 2005.04.
内容:デザイナーは「デザインの種」をどのように切り出してくるのか? 第一線で活躍するグラフィックデザイナーが、絵画や写真、ポスター、イラストなどを使い、その手法・見方を一挙公開する。図版約400点収録。※ファンなのです。松田さんの主宰する「牛若丸」という出版社も大好きです。

睡蓮と蓮の世界――水の妖精
赤沼敏春(1968-)+宮川浩一著
エムピージェー マリン企画(発売) 本体1886円 タテ21cm 127p
4-89512-532-7 / 2005.04.
内容:スイレンとハスについて、その栽培方法やミニビオトープとしての楽しさ、多彩な品種群の図鑑、さらにマニアックな楽しみまで、幅広く紹介する。※ロータスはなぜかくも輝かしく厳かで美しいのでしょうか。

ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂
渡辺晋輔(1972-)著
小学館 本体1700円  21cm 127p
4-09-606054-2 / 2005.05.
内容:見学時間わずか15分、厳重な管理下にあるイタリア・パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂は、中世最大の画家ジョットの華麗な壁画で装飾されている。その礼拝堂の全壁画を収録するほか、ジョットの生涯と作品についても解説。著者は国立西洋美術館研究員で、専門はイタリア美術史。「ショトル・ミュージアム」シリーズの一冊。※ジョットの絵の崇高さ。

バカなおとなにならない脳
養老孟司著 100%Orange装画+挿画
理論社 本体1200円 タテ20cm 213p
4-652-07811-0 / 2005.04. 
内容:「よりみちパン!セ」シリーズの第11弾。※養老さんがと言うより、100%オレンジさんがイラスト担当というのがミソ。

ガイアの素顔――科学・人類・宇宙をめぐる29章
フリーマン・ダイソン(1923-)著 幾島幸子訳
工作舎 本体2500円 タテ20cm 381p
4-87502-385-5 / 2005.04.
内容:理想の科学教育、地球環境問題への提案、宇宙探査の未来、若きファインマンとの交流…。現代科学の発展を見届けてきた天才物理学者が、科学の役割、人類の行方、そして宇宙への憧れを冷静かつあたたかな視点で語るエッセイ集。※ダイソンさんはまだご存命だったんですね。かつてテレビCMかなにかで、広くお茶の間にも知られたことがありましたっけね。

ケプラー予想――四百年の難問が解けるまで
ジョージ・G・スピーロ(1950-)著 青木薫訳
新潮社 本体2400円 タテ20cm 365,47p
4-10-545401-3 / 2005.04.
400年もの長きにわたって数学史に君臨し続けた、数学界の超難問「ケプラー予想」はいかにして証明されたのか。有名数学者たちの苦闘の歴史と、彼らのユニークな横顔を描く。著者はヘブライ大学で数理経済学と財政学の博士号を取得後に、チューリッヒ大学などの教員を経て、現在、科学ジャーナリストとして、スイス系日刊紙のイスラエル駐在員を務める。※新潮社は2000年にサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』で成功した前歴がありますから、この手のジャンルは続けてやれるのでしょうね。ケプラー予想というのは、ウィキペディアによれば、「球を敷き詰めたときに、面心立方格子が最密になる」というもので、1997年にトーマス・C・ハレスが証明したそうです。ちなみに常温で面心立方格子構造を有するのは、ネオン(Ne)、アルミニウム(Al)、アルゴン(Ar)、カルシウム(Ca)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クリプトン(Kr)、ストロンチウム(Sr)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、キセノン(Xe)、セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)、アクチニウム(Ac)、トリウム(Th) などだそうです。

チャップリン自伝――若き日々
チャップリン著 中野好夫訳
新潮社(新潮文庫) 本体667円 タテ16cm 390p
4-10-218501-1 / 2005.04.
内容:1966年刊の抜粋。 ※臆面もなく言えば、チャップリンは永遠です。

***

今週はアート系と理数系に収穫があるようです。刊行点数1487点のうちから、単行本12冊と、文庫1冊、全集1セットを選びました。図書館販売用である全集を除いて、ぜんぶ購入した場合、税込34,496円也。(H)
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by urag | 2005-05-01 23:45 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 04月 25日

ナンシー、ブランショ、デリダ

4月25日配信のメールマガジン「[本]のメルマガ」211号に寄稿した拙文(連載「ユートピアの探求」)より、月曜社関連情報を公開した前後の記事を抜粋し、さらに、掲載できなかった付加情報を書き足して、以下に添付します。

***

さて新刊の話。このところ、ジャン=リュック・ナンシーの日本語訳がたて続けに刊行された。3月末には松籟社から、加藤恵介訳で『複数にして単数の存在』が発売され(奥付上は4月1日の刊行)、今月(4月)には現代企画室から、大西雅一郎訳で『哲学的クロニクル』が発売された。

前者は『無為の共同体』(以文社、2001年)と並ぶ主著(原著は1996年刊)の待望の翻訳である。人類の共存をめぐる問いはますます切迫してきているが、本書はその問題の根源にまっすぐ向かっていく骨太の書物だ。

後者は昨年(2004年)初頭に刊行された小著の翻訳。2002年9月から2003年7月まで、11回にわたって放送されたラジオ番組に基づいている。そのさなかに起こったイラク戦争が本書に影を落としているのが印象的だ。

こうした日本語訳が立て続けに刊行されるほんの少し前、3月中旬に、フランスではついに、彼の最晩年の総まとめと呼ばれることになるだろう『キリスト教の脱構築』第一巻が刊行された。第一巻は"La Declosion"と題されている。これは非隠蔽性、と訳すべきだろうか。つまりハイデガーのUnverborgenheitである(『存在と時間』第1部第1篇第6章第44節bなど)。

本書では序論もあわせて15篇の論文が含まれているが、そのうちのひとつである14番目の論文「キリスト教の脱構築」は、すでに大西雅一郎氏による日本語訳がある。『神的な様々の場』(松籟社、2001年)に収録。原書にはない論文だが、日本語訳を刊行するにあたって、ナンシー側から併録の申し入れがあったものだ。若干の体裁的変更はあるが、内容的には同一と見える。

「キリスト教の脱構築」という主題はナンシーの年来のものであったろうが、この第一巻では、デリダやブランショの死によって、ナンシーが彼らに負っているものがいっそう際立ったかたちで見えるようになっているという点を特記したい。デリダの死去のほんの少し前に書いたものだという論文"Consolation, desolation"や、ブランショの死後に手向けられた二篇の論文"Le nom de Dieu chez Blanchot"および"Resurrection de Blanchot"を味わってみたい。

デリダはかつて、2000年に『感触、ジャン=リュック・ナンシー』と題した一書を友に捧げ、ブランショは『無為の共同体』に触発されて『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫、1997年。原著は1983年)を書いた。デリダのナンシー論は日本語訳が企画されていると聞くし、『明かしえぬ共同体』の前史とも言うべき諸論文を収めたブランショの『政治論集1958-1993』は、来月末刊行に向けて、いま私自身の手元で最終作業が進んでいる。

『ブランショ政治論集』という題名で月曜社から刊行されるはずのこの本をめぐっては、共訳者の安原伸一朗氏、西山雄二氏、郷原佳以氏が発表者となるミニ・シンポジウムが、5月28日(土)10:00~12:30に、豊島区の立教大学5号館5124教室で開催されることになっている。

さらなるブランショ情報だが、まもなく書肆心水から中期の小説『私についてこなかった男』が谷口博史訳で刊行される。本書をもって、ブランショのおおかたの単行本主要作は翻訳され尽くしたことになる。同書肆では今後もブランショの品切本や未訳論文等がまとめられ、デリダのブランショ論『パラージュ』(原著初版1986年刊、増補改訂新版2003年刊)も出版される予定だと聞く。

どこの店とは言わないが、かつて栄華を誇った某大書店の外国文学棚にブランショの本がほとんど置かれていないのには眩暈がした。品切が多いとは言え、それでもまだ読めるものはある。ちょうど売れてしまって補充する前だったのかもしれないが、他日の記憶をたどるに、やはり置いていなかった気がする。

ブランショを置いていない仏文学棚なんて!と嘆いたりしたら、今の若い人たちからは年寄りじみたことをと失笑されてしまうのだろうか。そんな、まさか。ただし、私が大学を卒業してから十数年。たかが十数年、ではない。この十数年の内にも書店の棚は変わったし、砂浜に書かれた文字のように忘れられつつある作家たちがいるわけだ。

だが、断言しよう、ブランショは必ず回帰する。書くという行為に人間が妄執するかぎり、彼が『文学空間』(現代思潮新社)で述べたことはすべて根深い真実なのだ。オルフェウスは必ず帰還する。[2005年4月24日記す]

***
付記1:ブランショ関連情報についてはウェブサイト"Espace Maurice Blanchot"が有益である。

付記2:ブランショ追悼シンポジウムの記録"Maurice Blanchot Recits critique" (Farrago, 2003)でもデリダやナンシーの、ブランショとのかかわりが読める。本書への寄稿者はほかに、ラクー=ラバルト、ディディ=ユベルマン、ブランショ伝の著者クリストフ・ビダンなど多数いて、日本からも清水徹氏や郷原佳以氏が一文を寄せている。郷原氏によるシンポジウムのレポートが月曜社ウェブサイトで読める。「モーリス・ブランショの死後に行われたパリでのシンポジウムについて 」初出「図書新聞」第2632号-第2637号。

付記3:デリダの生前最後のインタビュー『生きることを学ぶ、終に』が鵜飼哲訳でみすず書房から今月刊行されたことも特記しなければならない。日刊紙『ル・モンド』2004年8月19日付に「私は私自身と戦争状態にある」と題され発表されたインタビューである。インタビュワーはジャン・ビルンバウム。ビルンバウムによる「喪を宿す――子供としてのデリダ」と、訳者の鵜飼氏による「リス=オランジス、2004年8月8日」を併録している。

付記4:また、先月(3月)に刊行された"Rue Descartes"誌の第48号はデリダ特集(Salut a Jacques Derrida)となっている。ジャン=リュック・ナンシーやフィリップ・ラクー=ラバルトをはじめ、ユルゲン・ハーバーマス、ポール・リクール、エレーヌ・シクスー、ルネ・マジョール、マリ=ルイーズ・マレ、エティエンヌ・バリバール、ヴァレリオ・アダミ、ベルナール・シュティグレール、ミシェル・ドゥギー、ジャコブ・ロゴザンスキー、サミュエル・ウェーバー、ジェフリー・ベニントン、ヴェルナー・ハーマッハー、アレクサンダー・ガルシア・デュットマン、ほか、といった豪華な顔ぶれによるテクストを収録。

付記5:"Rue Descartes"誌第48号デリダ特集に先立ち、デリダの死去の直前には、"Europe"誌第901号や"L'Herne"誌第83号でデリダ特集が組まれ、また、死去に前後して『ストラスブールから考える』や『来るべき民主主義――ジャック・デリダをめぐって』といった生前の討論会の記録がガリレ社から刊行されている。デリダの交友と影響関係がいかに幅広いものであったかの証左である、ともいえよう。

付記6:デリダの近刊予定等については当ブログのデリダ関連のエントリーが参考になるかもしれない。当ブログの検索機能で、「デリダ」をサーチするとご覧いただけるだろう。

付記7:デリダ関連の情報蒐集にはウェブサイト"Site Jacques Derrida"が参考になる。
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by urag | 2005-04-25 18:50 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 04月 24日

今週の注目新刊(第2回:05年4月24日)

他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。

書誌情報の見方と配列は次のようになっています。

書名――副題
著者、訳者など
版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など)
ISBN、発行年月
一言紹介およびリファレンス事項。棚分類が難しそうな本の場合は推奨例を挙げます。

今回は仕事が忙しく、一言紹介は版元等のデータにその多くを負っています。

***

生きることを学ぶ、終に
ジャック・デリダ(1930-2004) [著]、鵜飼哲 [訳]
みすず書房、本体1200円、タテ19cm、77, 8p.
ISBN4-622-07138-X / 2005.04
逝去前の最後のインタビュー。

哲学的クロニクル
ジャン=リュック・ナンシー(1940-)[著]、大西雅一郎[訳]
現代企画室、本体2200円、タテ20cm、141p.
ISBN4-7738-0501-3 / 2005.04
昨年(2004年)初頭に刊行された小著の翻訳。2002年9月から2003年7月まで、11回にわたって放送されたラジオ番組に基づいている。そのさなかに起こったイラク戦争が本書に影を落としているのが印象的。

サパティスタの夢(インディアス群書 第5巻)  
マルコス副司令官+イボン・ル・ボ [著]、佐々木真一 [訳]
現代企画室、本体3500円、タテ22cm、336p
ISBN4-7738-0101-8 / 2005.04
フランスの社会学者ル・ボが、チアパスの密林の奥深いゲリラ根拠地で行なった、サパティスタ集団の副司令官マルコスとの長時間インタビュー。

ブーレーズ-シェフネール書簡集 1954-1970
ピエール・ブーレーズ(1925-)+アンドレ・シェフネール [著]、笠羽映子 [訳] 
音楽之友社、本体2600円、タテ20cm、271, 15p.
ISBN4-276-20373-2 / 2005.04
若き日のブーレーズと民族音楽の重鎮シェフネールが、1950年代中頃から1970年にかけて2人が交わした書簡とそれらに関連した論考成。ブーレーズ「《パルジファル》への道」の日本語訳も収録。

ホメオパシー医学哲学講義
ジェームズ・タイラー・ケント(1849-1916)[著]、松本丈二+永松昌泰 [訳]
緑風出版、本体3200円、タテ20cm、434p.
ISBN4-8461-0506-7 / 2005.04
ホメオパシー(類似療法)医学中興の祖による、創始者ハーネマンの古典的名著『オルガノン』解説書であり、教本。

関係としての自己
木村敏(1931-) [著]
みすず書房、本体2600円、タテ20cm、308p.
ISBN4-622-07144-4 / 2005.04
ハイデガー、ニーチェ、フロイト、西田幾多郎らとの思想的対話を通し、「自己」とは何かを根源的に問う。

時のしずく
中井久夫(1934-) [著]
みすず書房、本体2600円、タテ20cm、289p.
ISBN4-622-07122-3 / 2005.04
知られざる自伝的エピソードと、自らの家系に連なる異能の人々についての省察、その他。

善人ゲールハルト 王侯・騎士たち・市民たち
ルードルフ・フォン・エムス [著]、平尾浩三 [編訳]
慶応義塾大学出版会、本体4500円、タテ20cm、351p.
ISBN4-7664-1129-3 / 2005.04.
13世紀前半に活躍した騎士詩人であり、ドイツ最初の歴史家とも評されるフォン・エムスの遺した膨大な詩行から、韻文物語「善人ゲールハルト」を、中高ドイツ語の原文より日本語訳。詳細な注釈と論考付。

シェイクスピアの政治学
アラン・ブルーム(1930-1992)[著]、松岡啓子 [訳]
信山社出版、大学図書 [発売]、本体2600円、タテ20cm、218, 8p.
ISBN4-7972-5325-8 / 2005.03.
教養の源泉としての古典に人生の指針を探るという姿勢は、師匠のレオ・シュトラウスより継承したものでしょう。主著『アメリカン・マインドの終焉』(みすず書房)はいま品切れなんですね。


◎気になる新書、文庫

キリスト教は邪教です! ――現代語訳『アンチクリスト』
ニーチェ [著]、適菜収 [訳]
講談社(講談社+α新書)、本体800円、タテ18cm、181p.
ISBN4-06-272312-3 / 2005.04 
こともあろうに表紙が9.11のWTCの写真。なんでだろう。α新書ではこれまでユングの本を二冊ほど刊行してますね、『オカルトの心理学』『錬金術と無意識の心理学』。同じ編集者でしょうか。

スピノザの世界――神あるいは自然
上野修 [著]
講談社(講談社現代新書1783)、本体720円、タテ18cm、193p. 
ISBN4-06-149783-9 / 2005.04.
日本におけるスピノザ研究を牽引する研究者による待望の入門書です。

魂を漁る女
レオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホ [著]、藤川芳朗 [訳]
中央公論新社(中公文庫)、本体1333円、タテ16cm、563p.
ISBN4-12-204520-7 / 2005.04.
『ドラゴミラ』(同学社、1998年)の改題。昨今は文庫化されるのが早いですね。

福沢諭吉『文明論之概略』精読
子安宣邦 [著]
岩波書店(岩波現代文庫・学術142)、本体1100円、タテ15cm、298p. 
ISBN4-00-600142-8 / 2005.04.
かたや文庫書き下ろし。国体論や皇国史観と対決する諭吉像の展開。

漱石文明論集
夏目漱石 [著]、三好行雄 [編]
岩波書店(ワイド版岩波文庫254)、本体1300円、タテ19cm、378p.
4-00-007254-4 / 2005.04.
ワイド版の需要は伸びているんでしょうね。でもワイド版はいわゆる大活字本まで文字は大きくないですよね。1986年刊の再刊。

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以上、単行本9冊と、新書・文庫5冊。ぜんぶ購入した場合、税込31,766円也。(H)
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by urag | 2005-04-24 23:20 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)