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2017年 03月 05日

メモ(14)

「山陽新聞」2017年3月5日付記事「高梁市教委への寄贈本10年放置 1.6万冊、遺族要請を受け返還」に曰く「高梁市教委に2006年に贈られた「万葉集」や備中松山藩の儒学者山田方谷に関する郷土資料などの書籍約1万6千冊が10年間にわたり放置され、寄贈者の要請を受けて市教委が昨年3月に返還していたことが、山陽新聞社による市への情報公開請求で分かった。寄贈したのは高野山大(和歌山県)名誉教授だった故藤森賢一さん=同市出身=の遺族で「利用されず残念」としている」。

「藤森さんの書籍は当時、〔・・・〕高梁中央図書館の蔵書として登録したが、スペース不足で西に約8キロ離れた旧成羽高体育館に保管。貸出時に取りに行く人員が割けないことなどから蔵書検索の対象から除外していたという。/新図書館開館(2月)に伴う蔵書整理で、夏目漱石や内田百けんの全集、所蔵していない備中松山藩、山田方谷の関連資料などを除き大半の廃棄を決定。〔・・・〕高梁市教委社会教育課は「職員数や書庫の制約で活用できず、遺族、利用者に申し訳ない。今後は寄贈本の取り扱い基準を明確化するなどして、きちんと対応したい」としている」。

新図書館(高梁市図書館)については以下を参照。

「T-SITE Lifestyle」2016年11月9日付記事「「高梁市図書館」が2017年2月オープン。コーヒーを飲みながら読書できる空間に」曰く「岡山県高梁市が、JR備中高梁駅隣接の複合施設内に建設中の「高梁市図書館」を、2017年2月4日(土)に開館する。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下「CCC」)が指定管理者として運営する。/同図書館には、「地域コミュニティ・憩いの空間・地域物産が知れる・高梁の良さを知れる」という市民価値を実現するため、図書館内への観光案内所を移設、CCCがスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社とのライセンス契約に基づき展開するBook & Caféスタイルの店舗を出店する。/市民も観光客もコーヒーを飲みながら図書館の本にふれ合える“Library & Café” のスタイルのもと、くつろぎの時間を利用者に提案する」。

「産経新聞」2017年2月4日付記事「「TSUTAYA図書館」全国4館目 岡山・高梁市に開館 カフェや書店併設、地元は期待」に曰く「カフェや書店も併設。社交場的な雰囲気で、初日から大勢の来館者でにぎわった。/新図書館は4階建ての複合施設(延べ床面積約3900平方メートル)内の2~4階(同2250平方メートル)に開設し、旧図書館より2万冊増の12万冊をそろえた。テラス部分を含めて356席あり、カフェで購入した飲み物とともに読書が楽しめる。/館内は吹き抜け空間で開放感にあふれ、子供専用の紙芝居コーナーや遊具、郷土史コーナーも設置。年間の来館者数は20万人を見込んでいる」。

「山陽新聞」2017年2月4日付記事「高梁市新図書館、待望のオープン 民間指定管理、カフェや書店併設」に曰く「指定管理者は、レンタル大手TSUTAYAの運営会社カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、本店大阪)。2階のカフェ・スターバックス、蔦屋書店、観光案内所も運営する。市は2022年3月末まで、年間約1億6千万円の指定管理料を支払う。/CCCは13年4月以降、佐賀県武雄市、神奈川県海老名市、宮城県多賀城市の計3公共図書館を運営。当初、資料価値の低い中古本購入や、ジャンルの違う本を一緒に並べるといったことが問題となった。高梁市は市教委の選書点検や、月1回程度のCCCとの意見交換の場を通し運営をチェックする方針」。

「山陽新聞」2017年2月16日付記事「高梁市図書館 もう旧館1年分来館 3万人超え、年間目標上回る勢い」に曰く「岡山県内の公共図書館として初めて民間企業が運営を担う高梁市図書館(同市旭町)の来館者数が、開館8日目で2万3399人となり、旧高梁中央図書館の年間来館者数(2015年度2万3182人)を超えた。開館11日目となる14日には3万人も突破し、目標の年間20万人を大きく上回る勢いを見せている。/藤井勇館長(66)は「従来午後5時だった閉館時間が午後9時まで延び、気軽に利用できる児童書フロアや学習室も人気。駅に直結しているため、市外からの来館も多いようだ」と話している」。

寄贈本の処分決定について高梁市教育委員会からのコメントは新聞に出ているものの、CCCのコメントはまだ出ていないようです。寄贈本の処分決定に至る過程で、図書館や市教委がどのような協議が行ったのか、だれがどのように、どういった理由で決定したのかを、山陽新聞さんにはさらに詳しく報じていただきたいところです。この一件の教訓として今後「蔵書家が図書館に寄贈するのはまったくの無駄骨だ」とならないことを祈るばかりです(すでにそれがずいぶん昔から「現実」だったとしても)。

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世の移り変わりに合わせて図書館の機能を拡張しようという議論には一種、根深い難問が含まれているように感じます。

図書館を地域の文化拠点とすることに大義はあっても、その場合「文化」をどう定義するか、図書館の「役割」をどう定義し直すかが問題となります。その議論が単なる「箱物行政」に収斂するものではないことは明らかですし、「文化の諸地層」を保存することと「何となく文化的な空気感」を醸成することは混同すべきではありません。上っ面の装いに終始することは堕落であり、反知性主義の特徴のひとつです。その装いを裏打ちするのは「心地よさ」を求める情念であって、知でも真実でもありません。情念を揺さぶるならばフェイクでも構わないわけです。それが「ポスト・トゥルース」の時代の内実です。文明崩落の光景。そうした危機感を本に携わるあらゆる職種の人々が持てないならば、出版界にもはや未来はないでしょう。

情念は素早いですが、知は遅いのです。この「知の遅効性」にこそ、図書館の存在意義を支えるひとつの鍵があるはずです。近年の図書館は即効性を求められているのでしょうか。確かに出版社にも書店にも「短期回収」が必要ですが、それはビジネスだからです。図書館や教育にビジネスを持ち込むと、必然的に長期的な視野や普遍的な価値観なるものは等閑視されます。すべてが相対化されてしまう。それは悲劇です。絶対性へと至りつくことが不可能だとしても、目指さなければならない。不可能性から目をそらした時に私たちは「落ちぶれた現実主義者」になるのでしょう。それは成熟ではなく、果てしない転落への道です。

果たして「知の遅効性」を出版界はいかにして収益事業化しうるでしょうか。世界のすべてが猛スピードで過去へと追いやられてしまうこんにち、文化的遺産はいかにして保管され、維持されうるでしょうか。激流の中で領土を削られていく中州は水没するしかないのでしょうか。それとも彼岸と地続きになりうるのでしょうか。

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by urag | 2017-03-05 12:56 | Trackback | Comments(0)
2017年 01月 27日

佐野方美写真展「SLASH」

佐野方美写真展「SLASH」

期日:2017年1月27日(金) ~ 2月5日(日)12:00~19:00 会期中無休
料金:入場無料
場所:AL(アル;東京都渋谷区恵比寿南3-7-17;電話03-5722-9799;代官山駅から徒歩5分;JR恵比寿駅から徒歩8分)

内容:佐野方美(さの・まさみ)の撮り下ろし写真集第一作『SLASH』 (スラッシュ) が月曜社より発売されることを記念して、同タイトルの写真展を開催いたします。写真集176点の中から50点程をセレクトし、デジタルプリントにて展示。作品の販売に加え、G.V.G.V.FLATと河村康輔氏との三者コラボレーションにより実現したTシャツを販売しています。

※同時開催として、2017年1月26日(木)~2月5日(日)に、NADiff Window Gallery(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 1F)にてコラージュ作品展示しております。
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by urag | 2017-01-27 14:00 | Trackback | Comments(0)
2016年 10月 21日

ぴろぴとさん新作映像「ぼくのうち」

敬愛する映像作家のぴろぴとさんによる新作「ぼくのうち(My house walk-through)」が今週公開開始となっています。繰り返しのようで少しずつ変化が現れる進み方というのは、ぴろぴとさんを一躍有名にした「username:666」(2008年)をはじめ、「Another YouTube」(2010年)や「pokopokoshopping」(2014年)などで表現されてきた〈出口のない悪夢への滑落〉と近いもので、ぴろぴとさんに特徴的な作風。過去の映像作品の数々から推測して、今回もロケや造形の手間がかなりかかっているのではと想像しますが、どの部分がCGでどの部分が実写なのか、素人目には判然としません。ヒントとなる素材写真やロケ作業報告(作業開始は5月! 8月の暑い最中に連日12時間に及ぶもの! 蚊取り線香の煙で濛々!)はぴろぴとさんのツイッターで投稿されています。「これはホラービデオではありません」という注記が秀逸。世界各国の視聴者の中にはホラーゲーム「P.T. (Silent Hills: Playable Teaser)」や「サイレン」シリーズ(付け加えるなら「零」シリーズもでしょうか)を思い起こした方もいるようですが、あの閉鎖的な異次元空間に魅入られていた方はきっとこの「ぼくのうち」にその卓抜な発展型や瞠目すべき変奏を見るのではないかと思います。これはぜひ、いま流行のプレイステーションVRなどで再現されてほしい世界です。来月11月には本作に関連する動画を公開されるそうで、メイキングだとしたら非常に興味深いものになると思います。楽しみです。


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by urag | 2016-10-21 14:28 | Trackback | Comments(0)
2016年 09月 08日

live cameras in tokyo


tokyo tower, minato (if you can't watch it, go to tokyo tower live camera)


shibuya pedestrian scramble


shibuya


shibuya


odaiba (if you can't watch it, go to fnn)


kabukicho, shinjuku (if you can't watch it, go to TOCACOCAN)


futakotamagawa, setagaya (if you can't watch it, go to iTSCOM STUDIO & HALL live camera)


machida

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by urag | 2016-09-08 00:40 | Trackback | Comments(0)
2015年 12月 28日

備忘録(15)

◆2015年12月28日13時現在。

太洋社の年末年始業務について。

2015年12月28日(月)午前11:30まで【仕入窓口業務最終日】
2015年12月29日(火)平常営業【仕入窓口業務なし】
2015年12月30日(水)~2016年1月4日(月)【社休日】
2016年01月05日(火)平常営業【仕入窓口業務なし】
2016年01月06日(水)平常営業【仕入窓口業務開始日】

以上。
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by urag | 2015-12-28 13:41 | Trackback | Comments(0)
2015年 11月 12日

集英社文庫ヘリテージシリーズ・ポケットマスターピース創刊

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★竹峰義和さん(共訳:シュティーグラー『写真の映像』)
集英社文庫ヘリテージシリーズの新しい「シリーズ内シリーズ」として先月末に創刊された「ポケットマスターピース」の第1回配本として、第1巻「カフカ」(多和田葉子編)と、第2巻「ゲーテ」(大宮勘一郎編)が同時発売になりました。竹峰さんは「カフカ」の巻で、「流刑地にて」「雑種」「こま」の新訳を担当されています。「カフカ」の巻に収録されているテクストはネット書店「honto」さんの商品個別頁で確認することができます(ただし収録順序がバラバラ)。「変身(かわりみ)」多和田葉子訳、「火夫」「訴訟」いずれも川島隆訳、といった代表作のほか、カフカの本職である労災保険局で作成した公文書や、婚約者などと交わした書簡も収めているのが面白いです。「ポケットマスターピース」は全13巻で、このあとバルザック、トルストイ、ディケンズ、マーク・トウェイン、フローベール、スティーブンソン、ポー、ドストエフスキー、ルイス・キャロル、ブロンテ姉妹、セルバンテスという風に2016年10月まで毎月1冊ずつ刊行されていくようです。


★水野浩二さん(訳書:ヴァール『具体的なものへ』)
澤田直さんとの共訳書『主体性とは何か?』が白水社さんより先月末に発売となりました。この本はサルトルが1961年12月12日にローマのグラムシ研究所で行なった講演「マルクス主義と主体性」および12日~14日に行われたイタリア知識人との討論(マリオ・アリカータ、ビアンキ・バンディネッリ、ガルヴァノ・デラ・ヴォルペ、レナート・グットゥーゾ、チェーザレ・ルポリーニ、グィド・ピオヴェーネ、ロンバルド・ラーディチェ、ジュゼッペ・セメラーリ、フランチェスコ・ヴァレンティーニ)の記録を中心に、編者のミシェル・カイルとラウル・キルヒハイマーによるまえがき「意識と主体性」と、フレドリック・ジェイムソンによるあとがき「サルトルの現代性」が収められています。原書は、Qu'est-ce que la subjectivité ? (Les Prairies ordinaires, 2013)です。

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先月(2015年10月25日)行われたamu Kyoto主催の連続イベント「京都に出版社をつくる(には)」の第1回目(ホホホ座・山下賢二さん+松本伸哉さん/月曜社小林浩)のイベントレポートが公開開始となりました。楽しかったひと時の記憶が蘇る心地がします。
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by urag | 2015-11-12 17:12 | Trackback | Comments(0)
2015年 02月 25日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2015年3月20日(金)開店予定
ブックスモア大館店:書籍雑誌594坪、文具100坪
秋田県大館市清水5-1-17
大阪屋帳合。弊社へのご発注はここ半年の新刊を中心に芸術書少々。奥羽本線「大館駅」より自転車で約5分(徒歩だと約20分)の郊外店です。取次からの出品依頼書や書店の挨拶状では住所が「清水5-17-1」と記載されているのですが、出品依頼書の地図と照合し、さらに、実在する番地の中から推察すれば、「清水5-1-17」の間違いかと思われます。

ブックスモアの経営主体である秋田トヨタ自動車さんの会長と、フランチャイザーのジュンク堂書店さんの社長の連名での挨拶状によれば、「業務提携先であるジュンク堂書店の全面協力を得て〔・・・〕什器レイアウト・選書・ジャンル構成・棚詰・研修に至るまでジュンク堂書店がこれまで培ってきた経験を踏まえ、さらに進化した「立地に相応しい洗練された店」を目指す」とのことです。

500坪超の書店さんですが、弊社商品はほとんど食い込めていません。書籍雑誌の部門構成比では美術芸術3%、人文教育3%、文芸3%で、メインはコミック19%、文庫13%、趣味実用13%、雑誌11%、学参8%(辞書や語学を足すと10%)、児童書8%ということで、弊社以外の専門書版元にとっても厳しい状況かもしれません。ロングセラーではなく、直近の話題書から選書されていることを見ても、ジュンク堂さんの最近の新店舗は「脱専門書」の傾向を強めているような印象があります(あくまでも印象です)。専門書版元にとっては「頼みの綱はジュンク堂」であるだけに、この傾向が強まれば、専門書の販売はいっそうネット書店に依存せざるをえなくなると思います。ロングテールを維持できるリアル書店が少ないのは事実です(書店だけに責任があるのではなく、出版社も取次も関わりあることです)。小部数専門出版の未来が「脱リアル書店」へと傾くのかどうかはいずれ鮮明になってくると思われます。


2015年4月10日(金)開店予定
ジュンク堂書店大泉学園店:255坪
東京都練馬区東大泉1-600 Grand Emio 3F
大阪屋帳合。弊社へのご発注は、上記FC店とほぼ同じ傾向で、ここ一年の新刊が中心の芸術書、人文書、文芸書をそれぞれ数点ずつです。長らく再開発され続けてきた西武池袋線「大泉学園駅」の周辺ですが、Grand Emio(グラン・エミオ)というのは西武鉄道株式会社と株式会社西武プロパティーズの連名による昨年12月24日付のプレスリリースによれば、施設の概要は以下の通りです。

「大泉学園駅北口地区市街地再開発組合が開発を進めている「リズモ大泉学園」の低層部分に新商業施設「Grand Emio(グランエミオ)大泉学園」を2015年4月にオープンいたします。今後、西武鉄道沿線の高いマーケットポテンシャルを有する駅における、より幅広い業種を集積する商業施設については「Grand Emio(グランエミオ)」として展開することで、地域の賑わいを創出するとともに、駅ナカ商業施設「Emio(エミオ)」とともに沿線の商業施設の認知度およびイメージを高め、沿線価値の向上を目指してまいります。〔・・・〕「グランエミオ大泉学園」は、大泉学園駅北口改札からペデストリアンデッキで直結し、地下1階から3階の4フロアで構成されています。「食」×「集い」×「文化」をテーマに、地下1階にはスーパーマーケット、1階にはカフェや生花、ペデストリアンデッキと接続する2階にはベーカリーやファッション、服飾・生活雑貨、3階にはレストランのほか大型書店や音楽教室など、バラエティ豊かな28店舗を導入します」。

現在、大泉学園駅周辺にはトーハン帳合の「くまざわ書店大泉学園店」があり、いまはなき駅前の英林堂(2013年8月閉店)や、2010年2月に閉店したNOS VOS by PARCO内にあったリブロを思い出すにつけ、あけすけに言えば書店さんが増えても苦戦するだけのような気がしないでもないです。とはいえ、弊社本を扱って下さる書店さんが、知り合いが多い地域にできるというのは嬉しいことです。私だったら、地元にもしジュンク堂ができるとなれば嬉しくてたまらないです。願わくば「新刊を店頭で見たよ」という声を掛けてもらえるようになるといいなと妄想しています。


2015年4月10日(金)開店予定
BOWLららぽーと富士見店:126坪(うち書籍35坪、ほか雑貨CDなど)
埼玉県富士見市山室1-1313 ららぽーと富士見 1F
大阪屋帳合。弊社へのご発注は人文書、芸術書、文芸書など棚用と平積用あわせて十数点。上記のブックスモアやジュンク堂より俄然多い点数坪数から考えて、この採用率の高さはただただありがたいの一言です。選書は大阪屋の子会社「リーディングスタイル」のKさんですが、書店の経営自体は、紙の大手専門商社である日本紙パルプ商事株式会社が昨秋、複合書店経営事業への参入のために設立された新会社「リーディングポートJP」が行います。Kさんが移籍されたというよりは、「リーディングポートJP」さんが経営する複合書店さんの選書や商品調達を「リーディングスタイル」さんが手伝っているということなのかなと想像しています。

「マルノウチリーディングスタイル」「ソリッドアンドリキッド」「niko and...」「スタンダードブックストア茶屋町」など、セレクトショップ(書籍雑誌+文具雑貨)+カフェのコンパクトな複合型書店での選書を続々と手掛けてきた「リーディングスタイル」さんの活躍の場はますます広がりつつあるようです。「BOWL」の概要については、日本紙パルプ商事株式会社の昨年12月3日付のプレスリリースにこうあります。

「「BOWL」は、同一テーマの本と雑貨を同じ棚に陳列したり、購入前の本をカフェスペースで軽食と共に試読いただくなど、既存の書店のスタイルにとらわれない取り組みで、訪れた方が本をじっくり選べる新しい形態の書店です。また、カフェスペースにつきましては、サイン会、トークショウ等のイベント会場としての貸し出しも予定しております」。

プレスリリースに記載されている「BOWL」のロゴ画像には「READING STYLE PROJECT FUJIMI」という文字が見えます。ちなみに「新文化」2014年9月4日付のニュースフラッシュによれば、「紙の商社が書店経営に参入するのは初めて」とのことでした。また、ららぽーと富士見の概要は、三井不動産の昨年12月3日付のプレスリリースによれば、以下の通りです。

「三井不動産株式会社は、2015年4月10日(金)に埼玉県富士見市の中心地に、敷地面積約152,000m2と東武東上線エリア最大級となるリージョナル型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと富士見」を開業いたします。〔・・・〕来春開業する「ららぽーと富士見」は、満足度の高いワンストップショッピングを実現する293店舗の出店に加え、建物や敷地の中に留まらない、より地域と一体化した『ららぽーと』となります。さらに、当施設はエンターテインメント機能の充実や、コト消費とショッピングを融合させた「体感型店舗」を誘致するなど、今後の『ららぽーと』の目指す姿である、“人が集まる”から“人が交流する”新しい『ららぽーと』へと進化し、多様化するニーズや新たなライフスタイルに幅広く応えていきます。「ららぽーと富士見」コンセプト――当施設の周辺は住宅地化が進みつつも、緑豊かな自然も広がる、人々のさまざまな生活の営みが交差する場所です。そこで当施設は、「人・モノ・文化が交差する新拠点~CROSS PARK~」をコンセプトに、従来の“人が集まる”から、空間、コミュニティ、体験、ショッピングを通して“人が交流する”新たな『ららぽーと』を目指します」。

「コト消費とショッピングを融合させた「体感型店舗」を誘致」という点をもう少し詳しく見てみると、「Shopping is Entertainment」を実現する体感型店舗として数え挙げられているのは、家電店のノジマ、ペットショップのペットプラス、スポーツ用品店のスーパースポーツゼビオです。BOWLは、ベイクルーズ社による“ファッション×カフェ”「j.s. pancake café」とともに、「カフェスペースを充実させて、お一人でも居心地の良い空間を提供します」と紹介されています。

ららぽーと富士見の最寄駅は東武東上線の「鶴瀬駅」ですが、基本的に徒歩圏ではなく(歩くと30分以上かかります)、バスや車での利用がメインになります。県道334号を挟んで向かい側にあります。この立地が集客にどう影響するのか、オープンが楽しみです。


2015年4月16日(木)開店予定
紀伊國屋書店アミュプラザおおいた店:446坪(売場412坪、事務所32坪)
大分県大分市要町1-14 アミュプラザおおいた 4F
トーハン帳合。弊社へのご発注は直近の新刊1点。追加発注を期待したいです。紀伊國屋書店の専務さんのお名前がある挨拶状によれば、同店は「大分市に2店舗目となる新規店舗はJR大分駅の商業施設「アミュプラザおおいた」内への出店となります。現在大分は、100年に一度の規模で大分駅周辺の再開発を進めており、一昨年には市の複合文化交流施設であるホルトホールを駅南口にオープンし、また本年4月24日には駅の北側徒歩15分の場所に大分県立美術館をオープン予定です。そしてJR大分シティにより現在大分駅が回想され、ホテル、温浴施設、商業施設が一体となった新たな駅空間として4月16日に全面開業いたします。〔・・・〕今回の商品選定にあたりましては、〔・・・〕トーハン様による市場調査をもとに、弊社チェーンの鹿児島店のデータを活用し、売れ行き良好、かつ地元のニーズに応えられる商品を厳選いたしました」とのことです。
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by urag | 2015-02-25 17:38 | Trackback | Comments(0)
2014年 12月 07日

注目新刊と既刊:ホッブズ『リヴァイアサン』光文社古典新訳文庫、ほか

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◎古典の新訳が続々と――空海、アリストテレス、ホッブズ、フーコー

弁顕密二教論』空海著、加藤精一訳、角川ソフィア文庫、2014年11月、ISBN978-4-04-407273-2
アリストテレス全集(2)分析論前書/分析論後書』岩波書店、2014年11月、ISBN978-4-00-092772-7
リヴァイアサン(1)』ホッブズ著、角田安正訳、光文社古典新訳文庫、2014年12月、ISBN978-4-334-75302-3
言説の領界』ミシェル・フーコー著、慎改康之訳、河出文庫、2014年12月、ISBN978-4-309-46404-6

『弁顕密二教論』は発売済。ソフィア文庫「ビギナーズ 日本の思想」シリーズでの加藤精一さんによる空海の現代語訳は、『三教指帰』(加藤純隆共訳、2007年9月)、『秘蔵宝鑰』(加藤純隆共訳、2010年4月)、『般若心経秘鍵』(2011年5月)、『即身成仏義/声字実相義/吽字義』(2013年7月)に続き本書が4冊目。同文庫から入門書『空海入門』(2012年4月)も上梓されています。空海が唐への留学から帰国したのが30代前半。密教の教えを顕教と比較して解説した本書を執筆したのは帰国後ほどなくではないかと推測されています。加藤さんは「空海の真言教理の基礎」と訳者あとがきで評価されておられます。

『アリストテレス全集(2)分析論前書/分析論後書』は発売済。第7回配本。西洋史における初めての論理学書として名高い『分析論前書』(今井知正・河合淳訳)と『分析論後書』(高橋久一郎訳)を収録。巻末には「推論表」あり。旧全集では『分析論前書』は井上忠訳、『分析論後書』は加藤信朗訳で、山本光雄訳『カテゴリー論』『命題論』とともに第1巻(1971年)に併録されていました。今回の新訳に付属する「月報7」では、八木沢敬「アリストテレスとM」、野本和幸「アリストテレス遠望・近景」を掲載。次回配本は今月(2014年12月)18日、第19巻『アテナイ人の国制/著作断片集(1)』です。

『リヴァイアサン(1)』は発売済。全2巻予定。第1巻では第1部「人間について」全16章を収録。言うまでもなくホッブズの主著であり、「万人の万人に対する闘い」という人間のありようを鋭く抉った名言で知られています。同書の既訳には、水田洋訳岩波文庫全4巻(全4部全訳)や、永井道雄・上田邦義訳中公クラシックス版全2巻(第1部と第2部の全訳、第3部と第4部のみ抄訳)などが現在でも入手可能ですが、元を辿ると前者は1940年代末、後者は70年代初頭が最初の出版で、殊に水田訳は幾度となく改訳されて90年代に現行版へ至っている労作です。今回の新訳は、全2巻であることと、第1巻の訳者あとがきの末尾に「できるだけ早く第二部をお届けするべく」とあるので、あるいは第3部と第4部は解説もしくは要約のみになるのかもしれません。訳者あとがきには翻訳のご苦労が率直に綴られていて、新訳への興味は尽きません。

ホッブズについては周知の通り今月は岩波文庫から『ビヒモス』(山田園子訳)がまもなく出ます。同じく今月発売と予告されていた京都大学学術出版会の「近代社会思想コレクション」の『物体論』(本田裕志訳)は最新情報によれば、来年度以降(つまり来春)の発売に延期になったようです。

『言説の領界』は発売済。1970年12月2日のコレージュ・ド・フランス開講講義である「L'ordre du discours」の42年ぶりの新訳と謳われています。これは中村雄二郎さんによる既訳『言語表現の秩序』(河出書房新社、1972年初版;改訂版1981年;新装版1995年)の初版から数えた数字ですが、改訂版から数え直しても33年ぶりです。既訳はさほど入手が難しい本ではありませんが、新装版についてはさほど廉価にはなりにくいようです。1984年のフーコーの死に至るまでのコレージュ・ド・フランス講義は筑摩書房より現在刊行中の『ミシェル・フーコー講義集成』全13巻に明らかですけれども、開講記念講義の日本語訳は本書に依るしかありません。この講義(正確に言えば講義原稿)を読む人は誰しも、フーコーの前任者にして恩師である哲学史家ジャン・イポリット(Jean Hyppolite, 1907-1968)への讃辞に紋切型の挨拶以上の重みを感じるに違いありません。最上段写真に見る通り、イポリットの単著(小冊子を除く)は死後刊行の2分冊の論文集を除いてすべて邦訳されています(論文集も論文単位では邦訳があるものもあります)。先達のご尽力に深く感謝したいです。


◎レオ・シュピッツァーの単著本邦初訳

言語学と文学史――文体論事始』レオ・シュピッツァー著、塩田勉訳、国際文献印刷社、2012年7月、ISBN978-4-902590-22-7

山本貴光さんの新著『文体の科学』(新潮社、2014年11月)にその存在を教えられ、早速購入しました。シュピッツァーの単独著書の本邦初訳がまさか2年も前に刊行されていたとは。まったく日本の出版界が作りだす森は深く、侮りがたいです。同書は特記されていませんが、Linguistics and Literary History (Princeton University Press, 1948)の訳書です。目次内容は書名のリンク先をご覧ください。訳者あとがきによれば、本書は40数年前に原子朗さんから依頼されたものだそうです。おそらく当時原さんは早稲田大学出版部にお勤めだったことと思われます。塩田先生は早稲田大学で教鞭を執られている間に約半分までお訳しになり、退官後に完成されたとのことで、長い道のりと御苦労があったことと拝察します。

国際文献印刷社(現:国際文献社)さんの本は、同社のウェブサイトから代引きで購入することができるほか、アマゾン内の同社ショップ「学術書籍netショップ」より買うことができます。書店であまり見かけないのは直販を主体とされているからのようで、取次は鍬谷書店扱いと聞いています。売り切る自信のある書店さんはぜひ挑戦されてみて下さい。『言語学と文学史』はかのアウエルバッハが書評を書いています。アウエルバッハやクルツィウスの本が店頭で回転しているお店ならば、シュピッツァーも絶対に(あえて強めに言います)売れるはずです。

塩田先生は、日本でのシュピッツァー(Leo Spitzer, 1887-1960)の認知度の低い理由をいくつかあとがきで指摘されていますが、その一端は彼の守備範囲の広さと多言語使用にあると書かれています。シュピッツァーの全貌を視野に収めるのは容易ではないことは確かです。私自身の貧しい体験談で恐縮ですが、文体論とは異なる特異な分野において彼の業績に気づいた時、ここにもすでにシュピッツァーがいたと心底感動したものでした。今なおその感動は薄れていません。『言語学と文学史』をきっかけに読者が増え、シュピッツァーの冒険が続々と見直されていくようになることを一出版人として待望せずにはいられません。
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by urag | 2014-12-07 22:31 | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 09日

リレー講義「日本の出版文化」@東京外国語大学

今日は、東京外国語大学府中キャンパスへお邪魔し、リレー講義「日本の出版文化」の第13回の授業で発表させていただきました。今年で5回目の参加になりますが、今回はテーマは「独立系出版社の信念と実践」と題し、私自身の就活や転職、独立の話、また、編集・営業・広告の実務について自身の経験から得たことをお話ししました。熱心にご静聴いただきありがとうございました。また、質疑応答の際に質問して下さった方、ご列席いただいた先生方、運営スタッフの皆様、担当教官の岩崎稔先生に深謝申し上げます。受講された皆さんのレスポンスシートは今回も全員分読ませていただきました。また皆さんとどこかで再会できることを楽しみにしています。
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by urag | 2014-07-09 21:50 | Trackback | Comments(0)
2014年 06月 06日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2014年6月14日(土)リニューアルオープン
丸善松本店:図書850坪、文具200坪
長野県松本市深志1-3-11 コングロM B1F~2F
大阪屋帳合。JR篠ノ井線松本駅駅前のコングロMビル地下1階から地上2階合計1050坪で、2011年より営業されてきた店舗がリニューアルオープンします。減床ではなく、コミック売場訳150坪を同ビル3Fに新規オープンするアニメ・ホビー特化店「文教堂JOY」380坪に移すためです。これによりむしろコミック以外の売場のボリュームアップを図るというのが今回の肝です。弊社には芸術書主要商品のご発注をいただきました。増強されるのは、芸術、実用、地図、児童書の4分野のようです。芸術書を増やしていただけるというのがとてもありがたいですね。

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一方閉店情報です。旅の本の専門店「BOOK246」(港区南青山1-2-6 Lattice aoyama1F)が老朽化したビルの建て替えに伴い、契約満了ということで4月15日で閉店されました。また、「喜久屋書店熊本店」(熊本市中央区下通1-3-10 ダイエー熊本下通店6F)が、ダイエーの閉店売却に伴い、5月11日に閉店。ここ数年、入居するビルの事情による閉店が増えているように感じます。全国のあちこちで建物やインフラの老朽化が進み、並行して不況による商業施設の閉鎖撤退も進んでいるこんにち、入居するにもリスクが必ず伴うわけです。しかし土地建物が自前の新規書店というのも恐らくは敷居が高い話なのでしょう。

最後に帳合変更です。書籍、文具雑貨、レンタル/セルCD・DVDを扱う滋賀県拠点の複合店チェーン「サンミュージック」さんが3月1日より、帳合を太洋社からトーハンに変更されました。サンミュージックさんのウェブサイトの会社概要ではまだ主要取引先の中に太洋社の記載が残っていますが、完全に全店舗が切り替えになったようです。太洋社さんはここ数年の「帳合戦争」に巻き込まれ、喜久屋書店がトーハン帳合になり、さらには今般、中堅チェーンもトーハン帳合になったわけです。報道されているように、業界第5位の太洋社さんでは「出版社への支払金額を確定する買掛金システムでトラブル」が4月末に発生しました。その後遺症が5月末もまだ残っている御様子です。以前あった本社移転の話も本決まりにはなっていないようですし、今後の動向に注目が集まっています。

業界第3位の大阪屋さんも今春「講談社、小学館、集英社、大日本印刷、楽天、KADOKAWAの計6社の出資」を受け、新社長に講談社出身の大竹深夫さんが就任されたほか、小学館や集英社から相談役が選任され、現在「適正な決算の実行と収益改善を踏まえた新生・大阪屋」を目指しておられる最中です。大阪本社は移転が完了済。想像をたくましくすれば、こうした版元からのテコ入れによって、取次業界の再編が起こりうるのでしょうか。帝国データバンクが昨年10月に発表した「出版業界2012年度決算調査」を元にして計算すると、第1位の日販に拮抗しうるのは、第2位のトーハンと第3位の大阪屋の売上をあわせた場合です。ここにさらに、大阪屋と流通面で提携している業界第4位の栗田や、トーハンの元副社長が現在社長を務める業界第8位の中央社が加われば、単純計算では日販を凌ぐ売上になります。むろんこのような統合が起こりうるなどとは考えにくいですけれども、生き残りを考えるならばどんな組み合わせにせよ、上位全社を巻き込んだ再編は必至かもしれません。

鍵となりうるのは帝国データバンクのリポート上では取次に分類されているTRC(第5位)の今後でしょうか。現在はDNP傘下であり、日販や太洋社帳合で商品を調達しています。太洋社は業界第6位。かつてはTRCはトーハンと付き合っていましたが、帳合戦争の発端のひとつであったトーハンの後継人事問題が影響し、日販に帳合変更。ギクシャクしていたトーハンには現在、講談社の野間省伸社長が相談役に復帰。入り組んだ関係が再編へと解きほぐされていくことはあるのでしょうか。
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by urag | 2014-06-06 14:45 | Trackback | Comments(0)