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2017年 01月 27日

佐野方美写真展「SLASH」

佐野方美写真展「SLASH」

期日:2017年1月27日(金) ~ 2月5日(日)12:00~19:00 会期中無休
料金:入場無料
場所:AL(アル;東京都渋谷区恵比寿南3-7-17;電話03-5722-9799;代官山駅から徒歩5分;JR恵比寿駅から徒歩8分)

内容:佐野方美(さの・まさみ)の撮り下ろし写真集第一作『SLASH』 (スラッシュ) が月曜社より発売されることを記念して、同タイトルの写真展を開催いたします。写真集176点の中から50点程をセレクトし、デジタルプリントにて展示。作品の販売に加え、G.V.G.V.FLATと河村康輔氏との三者コラボレーションにより実現したTシャツを販売しています。

※同時開催として、2017年1月26日(木)~2月5日(日)に、NADiff Window Gallery(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 1F)にてコラージュ作品展示しております。
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by urag | 2017-01-27 14:00 | Trackback | Comments(0)
2016年 10月 21日

ぴろぴとさん新作映像「ぼくのうち」

敬愛する映像作家のぴろぴとさんによる新作「ぼくのうち(My house walk-through)」が今週公開開始となっています。繰り返しのようで少しずつ変化が現れる進み方というのは、ぴろぴとさんを一躍有名にした「username:666」(2008年)をはじめ、「Another YouTube」(2010年)や「pokopokoshopping」(2014年)などで表現されてきた〈出口のない悪夢への滑落〉と近いもので、ぴろぴとさんに特徴的な作風。過去の映像作品の数々から推測して、今回もロケや造形の手間がかなりかかっているのではと想像しますが、どの部分がCGでどの部分が実写なのか、素人目には判然としません。ヒントとなる素材写真やロケ作業報告(作業開始は5月! 8月の暑い最中に連日12時間に及ぶもの! 蚊取り線香の煙で濛々!)はぴろぴとさんのツイッターで投稿されています。「これはホラービデオではありません」という注記が秀逸。世界各国の視聴者の中にはホラーゲーム「P.T. (Silent Hills: Playable Teaser)」や「サイレン」シリーズ(付け加えるなら「零」シリーズもでしょうか)を思い起こした方もいるようですが、あの閉鎖的な異次元空間に魅入られていた方はきっとこの「ぼくのうち」にその卓抜な発展型や瞠目すべき変奏を見るのではないかと思います。これはぜひ、いま流行のプレイステーションVRなどで再現されてほしい世界です。来月11月には本作に関連する動画を公開されるそうで、メイキングだとしたら非常に興味深いものになると思います。楽しみです。


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by urag | 2016-10-21 14:28 | Trackback | Comments(0)
2016年 09月 08日

live cameras in tokyo


tokyo tower, minato (if you can't watch it, go to tokyo tower live camera)


shibuya pedestrian scramble


shibuya


shibuya


odaiba (if you can't watch it, go to fnn)


kabukicho, shinjuku (if you can't watch it, go to TOCACOCAN)


futakotamagawa, setagaya (if you can't watch it, go to iTSCOM STUDIO & HALL live camera)


machida

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by urag | 2016-09-08 00:40 | Trackback | Comments(0)
2015年 12月 28日

備忘録(15)

◆2015年12月28日13時現在。

太洋社の年末年始業務について。

2015年12月28日(月)午前11:30まで【仕入窓口業務最終日】
2015年12月29日(火)平常営業【仕入窓口業務なし】
2015年12月30日(水)~2016年1月4日(月)【社休日】
2016年01月05日(火)平常営業【仕入窓口業務なし】
2016年01月06日(水)平常営業【仕入窓口業務開始日】

以上。
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by urag | 2015-12-28 13:41 | Trackback | Comments(0)
2015年 11月 12日

集英社文庫ヘリテージシリーズ・ポケットマスターピース創刊

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★竹峰義和さん(共訳:シュティーグラー『写真の映像』)
集英社文庫ヘリテージシリーズの新しい「シリーズ内シリーズ」として先月末に創刊された「ポケットマスターピース」の第1回配本として、第1巻「カフカ」(多和田葉子編)と、第2巻「ゲーテ」(大宮勘一郎編)が同時発売になりました。竹峰さんは「カフカ」の巻で、「流刑地にて」「雑種」「こま」の新訳を担当されています。「カフカ」の巻に収録されているテクストはネット書店「honto」さんの商品個別頁で確認することができます(ただし収録順序がバラバラ)。「変身(かわりみ)」多和田葉子訳、「火夫」「訴訟」いずれも川島隆訳、といった代表作のほか、カフカの本職である労災保険局で作成した公文書や、婚約者などと交わした書簡も収めているのが面白いです。「ポケットマスターピース」は全13巻で、このあとバルザック、トルストイ、ディケンズ、マーク・トウェイン、フローベール、スティーブンソン、ポー、ドストエフスキー、ルイス・キャロル、ブロンテ姉妹、セルバンテスという風に2016年10月まで毎月1冊ずつ刊行されていくようです。


★水野浩二さん(訳書:ヴァール『具体的なものへ』)
澤田直さんとの共訳書『主体性とは何か?』が白水社さんより先月末に発売となりました。この本はサルトルが1961年12月12日にローマのグラムシ研究所で行なった講演「マルクス主義と主体性」および12日~14日に行われたイタリア知識人との討論(マリオ・アリカータ、ビアンキ・バンディネッリ、ガルヴァノ・デラ・ヴォルペ、レナート・グットゥーゾ、チェーザレ・ルポリーニ、グィド・ピオヴェーネ、ロンバルド・ラーディチェ、ジュゼッペ・セメラーリ、フランチェスコ・ヴァレンティーニ)の記録を中心に、編者のミシェル・カイルとラウル・キルヒハイマーによるまえがき「意識と主体性」と、フレドリック・ジェイムソンによるあとがき「サルトルの現代性」が収められています。原書は、Qu'est-ce que la subjectivité ? (Les Prairies ordinaires, 2013)です。

+++

先月(2015年10月25日)行われたamu Kyoto主催の連続イベント「京都に出版社をつくる(には)」の第1回目(ホホホ座・山下賢二さん+松本伸哉さん/月曜社小林浩)のイベントレポートが公開開始となりました。楽しかったひと時の記憶が蘇る心地がします。
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by urag | 2015-11-12 17:12 | Trackback | Comments(0)
2015年 02月 25日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2015年3月20日(金)開店予定
ブックスモア大館店:書籍雑誌594坪、文具100坪
秋田県大館市清水5-1-17
大阪屋帳合。弊社へのご発注はここ半年の新刊を中心に芸術書少々。奥羽本線「大館駅」より自転車で約5分(徒歩だと約20分)の郊外店です。取次からの出品依頼書や書店の挨拶状では住所が「清水5-17-1」と記載されているのですが、出品依頼書の地図と照合し、さらに、実在する番地の中から推察すれば、「清水5-1-17」の間違いかと思われます。

ブックスモアの経営主体である秋田トヨタ自動車さんの会長と、フランチャイザーのジュンク堂書店さんの社長の連名での挨拶状によれば、「業務提携先であるジュンク堂書店の全面協力を得て〔・・・〕什器レイアウト・選書・ジャンル構成・棚詰・研修に至るまでジュンク堂書店がこれまで培ってきた経験を踏まえ、さらに進化した「立地に相応しい洗練された店」を目指す」とのことです。

500坪超の書店さんですが、弊社商品はほとんど食い込めていません。書籍雑誌の部門構成比では美術芸術3%、人文教育3%、文芸3%で、メインはコミック19%、文庫13%、趣味実用13%、雑誌11%、学参8%(辞書や語学を足すと10%)、児童書8%ということで、弊社以外の専門書版元にとっても厳しい状況かもしれません。ロングセラーではなく、直近の話題書から選書されていることを見ても、ジュンク堂さんの最近の新店舗は「脱専門書」の傾向を強めているような印象があります(あくまでも印象です)。専門書版元にとっては「頼みの綱はジュンク堂」であるだけに、この傾向が強まれば、専門書の販売はいっそうネット書店に依存せざるをえなくなると思います。ロングテールを維持できるリアル書店が少ないのは事実です(書店だけに責任があるのではなく、出版社も取次も関わりあることです)。小部数専門出版の未来が「脱リアル書店」へと傾くのかどうかはいずれ鮮明になってくると思われます。


2015年4月10日(金)開店予定
ジュンク堂書店大泉学園店:255坪
東京都練馬区東大泉1-600 Grand Emio 3F
大阪屋帳合。弊社へのご発注は、上記FC店とほぼ同じ傾向で、ここ一年の新刊が中心の芸術書、人文書、文芸書をそれぞれ数点ずつです。長らく再開発され続けてきた西武池袋線「大泉学園駅」の周辺ですが、Grand Emio(グラン・エミオ)というのは西武鉄道株式会社と株式会社西武プロパティーズの連名による昨年12月24日付のプレスリリースによれば、施設の概要は以下の通りです。

「大泉学園駅北口地区市街地再開発組合が開発を進めている「リズモ大泉学園」の低層部分に新商業施設「Grand Emio(グランエミオ)大泉学園」を2015年4月にオープンいたします。今後、西武鉄道沿線の高いマーケットポテンシャルを有する駅における、より幅広い業種を集積する商業施設については「Grand Emio(グランエミオ)」として展開することで、地域の賑わいを創出するとともに、駅ナカ商業施設「Emio(エミオ)」とともに沿線の商業施設の認知度およびイメージを高め、沿線価値の向上を目指してまいります。〔・・・〕「グランエミオ大泉学園」は、大泉学園駅北口改札からペデストリアンデッキで直結し、地下1階から3階の4フロアで構成されています。「食」×「集い」×「文化」をテーマに、地下1階にはスーパーマーケット、1階にはカフェや生花、ペデストリアンデッキと接続する2階にはベーカリーやファッション、服飾・生活雑貨、3階にはレストランのほか大型書店や音楽教室など、バラエティ豊かな28店舗を導入します」。

現在、大泉学園駅周辺にはトーハン帳合の「くまざわ書店大泉学園店」があり、いまはなき駅前の英林堂(2013年8月閉店)や、2010年2月に閉店したNOS VOS by PARCO内にあったリブロを思い出すにつけ、あけすけに言えば書店さんが増えても苦戦するだけのような気がしないでもないです。とはいえ、弊社本を扱って下さる書店さんが、知り合いが多い地域にできるというのは嬉しいことです。私だったら、地元にもしジュンク堂ができるとなれば嬉しくてたまらないです。願わくば「新刊を店頭で見たよ」という声を掛けてもらえるようになるといいなと妄想しています。


2015年4月10日(金)開店予定
BOWLららぽーと富士見店:126坪(うち書籍35坪、ほか雑貨CDなど)
埼玉県富士見市山室1-1313 ららぽーと富士見 1F
大阪屋帳合。弊社へのご発注は人文書、芸術書、文芸書など棚用と平積用あわせて十数点。上記のブックスモアやジュンク堂より俄然多い点数坪数から考えて、この採用率の高さはただただありがたいの一言です。選書は大阪屋の子会社「リーディングスタイル」のKさんですが、書店の経営自体は、紙の大手専門商社である日本紙パルプ商事株式会社が昨秋、複合書店経営事業への参入のために設立された新会社「リーディングポートJP」が行います。Kさんが移籍されたというよりは、「リーディングポートJP」さんが経営する複合書店さんの選書や商品調達を「リーディングスタイル」さんが手伝っているということなのかなと想像しています。

「マルノウチリーディングスタイル」「ソリッドアンドリキッド」「niko and...」「スタンダードブックストア茶屋町」など、セレクトショップ(書籍雑誌+文具雑貨)+カフェのコンパクトな複合型書店での選書を続々と手掛けてきた「リーディングスタイル」さんの活躍の場はますます広がりつつあるようです。「BOWL」の概要については、日本紙パルプ商事株式会社の昨年12月3日付のプレスリリースにこうあります。

「「BOWL」は、同一テーマの本と雑貨を同じ棚に陳列したり、購入前の本をカフェスペースで軽食と共に試読いただくなど、既存の書店のスタイルにとらわれない取り組みで、訪れた方が本をじっくり選べる新しい形態の書店です。また、カフェスペースにつきましては、サイン会、トークショウ等のイベント会場としての貸し出しも予定しております」。

プレスリリースに記載されている「BOWL」のロゴ画像には「READING STYLE PROJECT FUJIMI」という文字が見えます。ちなみに「新文化」2014年9月4日付のニュースフラッシュによれば、「紙の商社が書店経営に参入するのは初めて」とのことでした。また、ららぽーと富士見の概要は、三井不動産の昨年12月3日付のプレスリリースによれば、以下の通りです。

「三井不動産株式会社は、2015年4月10日(金)に埼玉県富士見市の中心地に、敷地面積約152,000m2と東武東上線エリア最大級となるリージョナル型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと富士見」を開業いたします。〔・・・〕来春開業する「ららぽーと富士見」は、満足度の高いワンストップショッピングを実現する293店舗の出店に加え、建物や敷地の中に留まらない、より地域と一体化した『ららぽーと』となります。さらに、当施設はエンターテインメント機能の充実や、コト消費とショッピングを融合させた「体感型店舗」を誘致するなど、今後の『ららぽーと』の目指す姿である、“人が集まる”から“人が交流する”新しい『ららぽーと』へと進化し、多様化するニーズや新たなライフスタイルに幅広く応えていきます。「ららぽーと富士見」コンセプト――当施設の周辺は住宅地化が進みつつも、緑豊かな自然も広がる、人々のさまざまな生活の営みが交差する場所です。そこで当施設は、「人・モノ・文化が交差する新拠点~CROSS PARK~」をコンセプトに、従来の“人が集まる”から、空間、コミュニティ、体験、ショッピングを通して“人が交流する”新たな『ららぽーと』を目指します」。

「コト消費とショッピングを融合させた「体感型店舗」を誘致」という点をもう少し詳しく見てみると、「Shopping is Entertainment」を実現する体感型店舗として数え挙げられているのは、家電店のノジマ、ペットショップのペットプラス、スポーツ用品店のスーパースポーツゼビオです。BOWLは、ベイクルーズ社による“ファッション×カフェ”「j.s. pancake café」とともに、「カフェスペースを充実させて、お一人でも居心地の良い空間を提供します」と紹介されています。

ららぽーと富士見の最寄駅は東武東上線の「鶴瀬駅」ですが、基本的に徒歩圏ではなく(歩くと30分以上かかります)、バスや車での利用がメインになります。県道334号を挟んで向かい側にあります。この立地が集客にどう影響するのか、オープンが楽しみです。


2015年4月16日(木)開店予定
紀伊國屋書店アミュプラザおおいた店:446坪(売場412坪、事務所32坪)
大分県大分市要町1-14 アミュプラザおおいた 4F
トーハン帳合。弊社へのご発注は直近の新刊1点。追加発注を期待したいです。紀伊國屋書店の専務さんのお名前がある挨拶状によれば、同店は「大分市に2店舗目となる新規店舗はJR大分駅の商業施設「アミュプラザおおいた」内への出店となります。現在大分は、100年に一度の規模で大分駅周辺の再開発を進めており、一昨年には市の複合文化交流施設であるホルトホールを駅南口にオープンし、また本年4月24日には駅の北側徒歩15分の場所に大分県立美術館をオープン予定です。そしてJR大分シティにより現在大分駅が回想され、ホテル、温浴施設、商業施設が一体となった新たな駅空間として4月16日に全面開業いたします。〔・・・〕今回の商品選定にあたりましては、〔・・・〕トーハン様による市場調査をもとに、弊社チェーンの鹿児島店のデータを活用し、売れ行き良好、かつ地元のニーズに応えられる商品を厳選いたしました」とのことです。
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by urag | 2015-02-25 17:38 | Trackback | Comments(0)
2014年 12月 07日

注目新刊と既刊:ホッブズ『リヴァイアサン』光文社古典新訳文庫、ほか

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◎古典の新訳が続々と――空海、アリストテレス、ホッブズ、フーコー

弁顕密二教論』空海著、加藤精一訳、角川ソフィア文庫、2014年11月、ISBN978-4-04-407273-2
アリストテレス全集(2)分析論前書/分析論後書』岩波書店、2014年11月、ISBN978-4-00-092772-7
リヴァイアサン(1)』ホッブズ著、角田安正訳、光文社古典新訳文庫、2014年12月、ISBN978-4-334-75302-3
言説の領界』ミシェル・フーコー著、慎改康之訳、河出文庫、2014年12月、ISBN978-4-309-46404-6

『弁顕密二教論』は発売済。ソフィア文庫「ビギナーズ 日本の思想」シリーズでの加藤精一さんによる空海の現代語訳は、『三教指帰』(加藤純隆共訳、2007年9月)、『秘蔵宝鑰』(加藤純隆共訳、2010年4月)、『般若心経秘鍵』(2011年5月)、『即身成仏義/声字実相義/吽字義』(2013年7月)に続き本書が4冊目。同文庫から入門書『空海入門』(2012年4月)も上梓されています。空海が唐への留学から帰国したのが30代前半。密教の教えを顕教と比較して解説した本書を執筆したのは帰国後ほどなくではないかと推測されています。加藤さんは「空海の真言教理の基礎」と訳者あとがきで評価されておられます。

『アリストテレス全集(2)分析論前書/分析論後書』は発売済。第7回配本。西洋史における初めての論理学書として名高い『分析論前書』(今井知正・河合淳訳)と『分析論後書』(高橋久一郎訳)を収録。巻末には「推論表」あり。旧全集では『分析論前書』は井上忠訳、『分析論後書』は加藤信朗訳で、山本光雄訳『カテゴリー論』『命題論』とともに第1巻(1971年)に併録されていました。今回の新訳に付属する「月報7」では、八木沢敬「アリストテレスとM」、野本和幸「アリストテレス遠望・近景」を掲載。次回配本は今月(2014年12月)18日、第19巻『アテナイ人の国制/著作断片集(1)』です。

『リヴァイアサン(1)』は発売済。全2巻予定。第1巻では第1部「人間について」全16章を収録。言うまでもなくホッブズの主著であり、「万人の万人に対する闘い」という人間のありようを鋭く抉った名言で知られています。同書の既訳には、水田洋訳岩波文庫全4巻(全4部全訳)や、永井道雄・上田邦義訳中公クラシックス版全2巻(第1部と第2部の全訳、第3部と第4部のみ抄訳)などが現在でも入手可能ですが、元を辿ると前者は1940年代末、後者は70年代初頭が最初の出版で、殊に水田訳は幾度となく改訳されて90年代に現行版へ至っている労作です。今回の新訳は、全2巻であることと、第1巻の訳者あとがきの末尾に「できるだけ早く第二部をお届けするべく」とあるので、あるいは第3部と第4部は解説もしくは要約のみになるのかもしれません。訳者あとがきには翻訳のご苦労が率直に綴られていて、新訳への興味は尽きません。

ホッブズについては周知の通り今月は岩波文庫から『ビヒモス』(山田園子訳)がまもなく出ます。同じく今月発売と予告されていた京都大学学術出版会の「近代社会思想コレクション」の『物体論』(本田裕志訳)は最新情報によれば、来年度以降(つまり来春)の発売に延期になったようです。

『言説の領界』は発売済。1970年12月2日のコレージュ・ド・フランス開講講義である「L'ordre du discours」の42年ぶりの新訳と謳われています。これは中村雄二郎さんによる既訳『言語表現の秩序』(河出書房新社、1972年初版;改訂版1981年;新装版1995年)の初版から数えた数字ですが、改訂版から数え直しても33年ぶりです。既訳はさほど入手が難しい本ではありませんが、新装版についてはさほど廉価にはなりにくいようです。1984年のフーコーの死に至るまでのコレージュ・ド・フランス講義は筑摩書房より現在刊行中の『ミシェル・フーコー講義集成』全13巻に明らかですけれども、開講記念講義の日本語訳は本書に依るしかありません。この講義(正確に言えば講義原稿)を読む人は誰しも、フーコーの前任者にして恩師である哲学史家ジャン・イポリット(Jean Hyppolite, 1907-1968)への讃辞に紋切型の挨拶以上の重みを感じるに違いありません。最上段写真に見る通り、イポリットの単著(小冊子を除く)は死後刊行の2分冊の論文集を除いてすべて邦訳されています(論文集も論文単位では邦訳があるものもあります)。先達のご尽力に深く感謝したいです。


◎レオ・シュピッツァーの単著本邦初訳

言語学と文学史――文体論事始』レオ・シュピッツァー著、塩田勉訳、国際文献印刷社、2012年7月、ISBN978-4-902590-22-7

山本貴光さんの新著『文体の科学』(新潮社、2014年11月)にその存在を教えられ、早速購入しました。シュピッツァーの単独著書の本邦初訳がまさか2年も前に刊行されていたとは。まったく日本の出版界が作りだす森は深く、侮りがたいです。同書は特記されていませんが、Linguistics and Literary History (Princeton University Press, 1948)の訳書です。目次内容は書名のリンク先をご覧ください。訳者あとがきによれば、本書は40数年前に原子朗さんから依頼されたものだそうです。おそらく当時原さんは早稲田大学出版部にお勤めだったことと思われます。塩田先生は早稲田大学で教鞭を執られている間に約半分までお訳しになり、退官後に完成されたとのことで、長い道のりと御苦労があったことと拝察します。

国際文献印刷社(現:国際文献社)さんの本は、同社のウェブサイトから代引きで購入することができるほか、アマゾン内の同社ショップ「学術書籍netショップ」より買うことができます。書店であまり見かけないのは直販を主体とされているからのようで、取次は鍬谷書店扱いと聞いています。売り切る自信のある書店さんはぜひ挑戦されてみて下さい。『言語学と文学史』はかのアウエルバッハが書評を書いています。アウエルバッハやクルツィウスの本が店頭で回転しているお店ならば、シュピッツァーも絶対に(あえて強めに言います)売れるはずです。

塩田先生は、日本でのシュピッツァー(Leo Spitzer, 1887-1960)の認知度の低い理由をいくつかあとがきで指摘されていますが、その一端は彼の守備範囲の広さと多言語使用にあると書かれています。シュピッツァーの全貌を視野に収めるのは容易ではないことは確かです。私自身の貧しい体験談で恐縮ですが、文体論とは異なる特異な分野において彼の業績に気づいた時、ここにもすでにシュピッツァーがいたと心底感動したものでした。今なおその感動は薄れていません。『言語学と文学史』をきっかけに読者が増え、シュピッツァーの冒険が続々と見直されていくようになることを一出版人として待望せずにはいられません。
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by urag | 2014-12-07 22:31 | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 09日

リレー講義「日本の出版文化」@東京外国語大学

今日は、東京外国語大学府中キャンパスへお邪魔し、リレー講義「日本の出版文化」の第13回の授業で発表させていただきました。今年で5回目の参加になりますが、今回はテーマは「独立系出版社の信念と実践」と題し、私自身の就活や転職、独立の話、また、編集・営業・広告の実務について自身の経験から得たことをお話ししました。熱心にご静聴いただきありがとうございました。また、質疑応答の際に質問して下さった方、ご列席いただいた先生方、運営スタッフの皆様、担当教官の岩崎稔先生に深謝申し上げます。受講された皆さんのレスポンスシートは今回も全員分読ませていただきました。また皆さんとどこかで再会できることを楽しみにしています。
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by urag | 2014-07-09 21:50 | Trackback | Comments(0)
2014年 06月 06日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2014年6月14日(土)リニューアルオープン
丸善松本店:図書850坪、文具200坪
長野県松本市深志1-3-11 コングロM B1F~2F
大阪屋帳合。JR篠ノ井線松本駅駅前のコングロMビル地下1階から地上2階合計1050坪で、2011年より営業されてきた店舗がリニューアルオープンします。減床ではなく、コミック売場訳150坪を同ビル3Fに新規オープンするアニメ・ホビー特化店「文教堂JOY」380坪に移すためです。これによりむしろコミック以外の売場のボリュームアップを図るというのが今回の肝です。弊社には芸術書主要商品のご発注をいただきました。増強されるのは、芸術、実用、地図、児童書の4分野のようです。芸術書を増やしていただけるというのがとてもありがたいですね。

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一方閉店情報です。旅の本の専門店「BOOK246」(港区南青山1-2-6 Lattice aoyama1F)が老朽化したビルの建て替えに伴い、契約満了ということで4月15日で閉店されました。また、「喜久屋書店熊本店」(熊本市中央区下通1-3-10 ダイエー熊本下通店6F)が、ダイエーの閉店売却に伴い、5月11日に閉店。ここ数年、入居するビルの事情による閉店が増えているように感じます。全国のあちこちで建物やインフラの老朽化が進み、並行して不況による商業施設の閉鎖撤退も進んでいるこんにち、入居するにもリスクが必ず伴うわけです。しかし土地建物が自前の新規書店というのも恐らくは敷居が高い話なのでしょう。

最後に帳合変更です。書籍、文具雑貨、レンタル/セルCD・DVDを扱う滋賀県拠点の複合店チェーン「サンミュージック」さんが3月1日より、帳合を太洋社からトーハンに変更されました。サンミュージックさんのウェブサイトの会社概要ではまだ主要取引先の中に太洋社の記載が残っていますが、完全に全店舗が切り替えになったようです。太洋社さんはここ数年の「帳合戦争」に巻き込まれ、喜久屋書店がトーハン帳合になり、さらには今般、中堅チェーンもトーハン帳合になったわけです。報道されているように、業界第5位の太洋社さんでは「出版社への支払金額を確定する買掛金システムでトラブル」が4月末に発生しました。その後遺症が5月末もまだ残っている御様子です。以前あった本社移転の話も本決まりにはなっていないようですし、今後の動向に注目が集まっています。

業界第3位の大阪屋さんも今春「講談社、小学館、集英社、大日本印刷、楽天、KADOKAWAの計6社の出資」を受け、新社長に講談社出身の大竹深夫さんが就任されたほか、小学館や集英社から相談役が選任され、現在「適正な決算の実行と収益改善を踏まえた新生・大阪屋」を目指しておられる最中です。大阪本社は移転が完了済。想像をたくましくすれば、こうした版元からのテコ入れによって、取次業界の再編が起こりうるのでしょうか。帝国データバンクが昨年10月に発表した「出版業界2012年度決算調査」を元にして計算すると、第1位の日販に拮抗しうるのは、第2位のトーハンと第3位の大阪屋の売上をあわせた場合です。ここにさらに、大阪屋と流通面で提携している業界第4位の栗田や、トーハンの元副社長が現在社長を務める業界第8位の中央社が加われば、単純計算では日販を凌ぐ売上になります。むろんこのような統合が起こりうるなどとは考えにくいですけれども、生き残りを考えるならばどんな組み合わせにせよ、上位全社を巻き込んだ再編は必至かもしれません。

鍵となりうるのは帝国データバンクのリポート上では取次に分類されているTRC(第5位)の今後でしょうか。現在はDNP傘下であり、日販や太洋社帳合で商品を調達しています。太洋社は業界第6位。かつてはTRCはトーハンと付き合っていましたが、帳合戦争の発端のひとつであったトーハンの後継人事問題が影響し、日販に帳合変更。ギクシャクしていたトーハンには現在、講談社の野間省伸社長が相談役に復帰。入り組んだ関係が再編へと解きほぐされていくことはあるのでしょうか。
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by urag | 2014-06-06 14:45 | Trackback | Comments(0)
2013年 09月 08日

注目新刊・近刊・既刊:新しい思想誌「HAPAX」夜光社より創刊、ほか

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HAPAX VOL.1
夜光社 2013年9月 本体1,000円 四六判変形(118mm×186mm)160頁横組 ISBN978-4-906944-01-9

帯文より:もう、誰にも動員されたくないあなたのための思想誌、創刊!  世界/地球と蜂起主義アナキズムの交錯点から未来なき未来へ。いまこの世界の破滅そのものを蜂起に反転させる新しい思想/政治/文化はどこにあるか。
帯文(裏より):市民の製造こそが社会的のみならず、政治的、経済的、さらには人類学的な帝国の勝利である。

目次:
イカタ蜂起のための断章と注釈(HAPAX)
終わりなき限りなき闘争の言葉(高祖岩三郎)
アポカリプス&アナーキー・アフター・フクシマ(Apocalypse +/ Anarchy)
底なしの空間に位置づけられて:インターフェイス論に向けて(co.op/t)
それいいね、それなら……  (犯罪学発展協会)
悲惨と負債:剰余人口と剰余資本の論理と歴史について(エンドノーツ)
全てはご破算 コミュニズム万歳!(ティクーン)
暴動論のための12章(鼠研究会)
シャド伯爵夫人の秘密の晩餐(KM舎)
ハロー どこでもない場所からのあいさつ(無記名)
鋤も鍬もない農民(アンナR家族同盟)

★発売済。「ハパックス」と読むそうです(帯の背に書いてあります)。誌名の詳しい由来説明や創刊の辞はありませんが、巻末に「オックスフォード英英辞典」第二版にある「hapax」の説明が英文のまま引用されています。ギリシア語由来の言葉で「ただ一度だけ」や「特殊な」を意味する言葉です。寄稿者や本の内容、体裁から、かつて以文社から刊行されていた思想誌「VOL」を思い出します。ちなみに「VOL」のマネージング・エディターだったMさんは以文社をこの夏に去り、フリーになっています。「HAPAX」では、高祖岩三郎さん以外は皆、変名もしくはチーム名で寄稿されています。彼らの正体が誰なのかはひとまず措くとして、服従せざる者たち、抗う者たち、まつろわぬ者たちの夜会、輝ける闇が繋ぐ書斎と街頭、黎明の胎動……そうした蠢きの気配がここにあることは確かなようです。「われわれは蜂起する卵である。だが、そのすがたは見えない。すぐに孵化し、離散する」(KM舎、128頁)。これからの展開が楽しみな雑誌です。取扱書店は、版元ブログに掲載されています。取次はツバメ出版流通さんです。


人生の意味とは何か
テリー・イーグルトン著 有泉学宙+高橋公雄+清水英之+松村美佐子訳
彩流社 2013年9月 本体1,800円 四六判並製189頁 ISBN978-4-7791-7001-0

カバー裏紹介文より:「人生の意味とは何か?」と問うこと自体、哲学的に妥当なのだろうか? 本書は、オックスフォード大学出版局から出ているシリーズ“A Very Short Introduction”の一冊。アリストテレスからシェイクスピア、ウィトゲンシュタイン、そして、モンティ・パイソンなどを横断しながら、生きる意味を考えるイーグルトンの隠れた名著の本邦初訳!

★発売済。原書は、The Meaning of Life(Oxford University Press, 2007)です。目次詳細は書名のリンク先をご参照ください。カバー紹介文にある通り、かの“A Very Short Introduction”の一冊です。このシリーズの一部は岩波書店より「〈1冊でわかる〉シリーズ」として翻訳されていますが、訳されない書目もあって、他社から訳書が出ているような「例外」もあります。本書はその「例外」のひとつです。イーグルトンの著作の訳書は多数あって30冊近くありますけれども、その中でも本書はもっともコンパクトな著作と言えそうです。愛と幸福をめぐる思索への道のりを示す本書は、イーグルトンの自伝的証言集、『ゲートキーパー――イーグルトン半生を語る』(滝沢正彦+滝沢みち子訳、大月書店、2004年)や『批評とは何か――イーグルトン、すべてを語る』(マシュー・ボーモント共著、大橋洋一訳、青土社、2012年)と一緒にひもとくといっそう味わい深いかもしれません。巻末にはこのシリーズではお馴染みの「読書案内」があります。また、訳者あとがきでは、ヒルティ、アラン、ラッセル、ダライ・ラマといった思想家たちの幸福論が言及されています。同書は新しい叢書「フィギュール彩(さい)」の第一弾とのことです。


後期ラカン入門――ラカン的主体について
ブルース・フィンク(Bruce Fink)著 村上靖彦監訳 小倉拓也+塩飽耕規+渋谷亮訳
人文書院 2013年9月 本体4,500円 A5判上製316頁 ISBN978-4-409-34047-9

帯文より:これでラカンが分かる! 英語圏におけるラカン派精神分析の第一人者による、解説書の決定版。〈他者〉、主体、対象a、性的関係、四つのディスクールなど、精神分析家ジャック・ラカン(1901-1981)の後期思想における主要な概念を、一貫した展望のもとに明晰に、そして臨床からの視点を手放さず解説。巻末には「『盗まれた手紙』についてのセミネール」を詳細に読み解いた二つの補論を付す、充実の一書。「ついに、「ラカンへの回帰」を遂行する本がここに登場した」(スラヴォイ・ジジェク)。

★9月10日(火)取次搬入発売の新刊です。原書は、The Lacanian Subject: Between Language and Jouissance(Princeton University Press, 1995)です。目次詳細や序文は書名のリンク先で公開されています。フィンクの著書が翻訳されるのは本書で三冊目。これまでに『ラカン派精神分析入門――理論と技法』(中西之信ほか訳、誠信書房、2008年)と『精神分析技法の基礎――ラカン派臨床の実際』(椿田貴史ほか訳、誠信書房、2012年)が刊行されています。今回の新刊はそれらの重要な参照文献として翻訳が待たれていたもので、ラカンの明快な解説書としても評価が高い本です。近頃、若手研究者によるドゥルーズ解説書が立て続けに出ていることが新聞記事になりましたが、ラカン研究も賑わい出しています。ポール=ロラン・アスン『ラカン』(西尾彰泰訳、文庫クセジュ、2013年3月)を始め、先月には佐々木孝次+荒谷大輔+小長野航太+林行秀『ラカン『アンコール』解説』(せりか書房、2013年8月)が刊行され、今月はフィンクの新刊。なお、フィンクは周知の通り、ラカン『エクリ』の新訳で知られる学者ですが、今回翻訳された本作の原書は、新訳書の刊行前に出版されたものだったので、原注や参考文献ではフィンクによる新訳は「刊行予定」となっています。実際はその後、2006年に全1巻で刊行され、仏米財団翻訳賞を受賞しました。翌年刊行されたペーパーバックは何ともお得で2000円台後半で買えますから、フィンクの入門書を片手に英訳『エクリ』に挑戦するのもいいかもしれません。


北米インディアンの神話文化
フランツ・ボアズ(Franz Boaz, 1858-1942)著 前野佳彦編・監訳
中央公論新社 2013年9月 本体4,400円 A5判上製416頁 ISBN978-4-12-004537-0

帯文より:「記念碑的な高み」(クロード・レヴィ=ストロース)。〈アメリカ人類学の父〉であるのみならず、現代人類学の父として、その礎を築いた大知識人。晩年の主著『人種・言語・文化』より最重要論考を精選し、フィールドワークから、学の理論的射程まで、ボアズ人類学の真髄を伝える待望の邦訳。詳細な訳註とボアズの精神史的系譜を跡づけた解説を付す。

目次:

第I部 人類学の方法
 第1章 地理学の研究
 第2章 民族学の目的
 第3章 人類学における比較参照的方法の限界設定
 第4章 民族学の方法
 第5章 進化か伝播か
 第6章 人類学研究の目的
第II部 北米インディアンの神話と民話
 第7章 民話と神話のジャンル的展開
 第8章 インディアン神話の生成
 第9章 未開の文芸ジャンルにおける様式的側面
 第10章 未開の諸部族における来世観
 第11章 クワキウトル族の社会組織
 第12章 北米インディアンの神話と民話
第III部 言語文化と装飾芸術への展望
 第13章 アメリカ先住民言語の分類
 第14章 北米インディアン諸語の分類
 第15章 北米インディアンの装飾芸術
 第16章 アラスカで造られる針入れの装飾的意匠
原註
訳註
解説 フランツ・ボアズのコスモス理念――地理学から人類学へ(前野佳彦)
参考文献

★発売済。ボアズの訳書は、第47回日本翻訳出版文化賞を受賞した『プリミティヴアート』(大村敬一訳、言叢舎、2011年)に続く2冊目になります。今回の新刊は、巻末解説での紹介文を借りると「最晩年の主著『人種・言語・文化』(Race, Language and Culture, 1940; Reprint, The University of Chicago Press, 1982を底本として使用)の〈文化〉の部を中心として、言語研究、さらに地理学他の研究方法論の章を網羅的に追加し、監訳者前野の判断で新たに編集したものである。量的には原書647頁の三分の一強であり、論文の篇数では全63篇から16篇を選択した。したがって、本書は、原著の「文化研究」と「方法論」を合体させたものだと考えていただいて結構かと思う」(373頁)とのことです。原著の半分に満たないとはいえ、本文だけでもが2段組で300頁以上あり、原註・訳注・解説等が加わって400頁を越える訳書ですから、たいへん読み応えがあります。訳語の慎重な選択といい、現代における位置付けへの配慮といい、蘇るボアズの先駆的業績に瞠目するばかりです。本書はこれまでカントーロヴィチ、アドルノ、イェイツの訳書を刊行されてきた中央公論新社さんのMeditationsシリーズの最新刊であり、故・二宮隆洋さんの置き土産のひとつです。巻末の参考文献にはさりげなく、中公さんから近刊予定である前野さんの訳書が記載されています。ドイツの文献学者エルヴィン・ローデ(Erwin Rohde, 1845-1898)の『プシュケー――ギリシア人の魂祭りと不死信仰(Psyche: Seelencult und Unsterblichkeitsglaube der Griechen)』です。ニーチェの親友の著書が翻訳されるのは初めてになります。


言霊とは何か――古代日本人の信仰を読み解く
佐佐木隆(1950-)著
中公新書 2013年8月 本体820円 新書判並製244頁 ISBN978-4-12-102230-1

帯文より:古代人は何を畏れたのか。『古事記』『日本書紀』などに現れた、不思議な霊威を浮き彫りにする。
カバーソデ紹介文より:古代日本人は、ことばには不思議な霊威が宿ると信じ、それを「言霊」と呼んだ。この素朴な信仰の実像を求めて、『古事記』『日本書紀』『風土記』の神話や伝説、『万葉集』の歌など文献を丹念に渉猟。「言霊」が、どのような状況でいかなる威力を発揮するものだったのか、実例を挙げて具体的に検証していく。近世の国学者による理念的な言霊観が生み出した従来のイメージを覆し、古代日本人の信仰を描き出す。

目次:
まえがき
序章 『万葉集』の「言霊」――言と霊と神と
第一章 呪文の威力――神と人と
第二章 国見・国讃め――支配者の資格
第三章 国産み・死の起源――生と死の導入
第四章 発言のし直し――状況の転換
第五章 タブーと恥――一方的な発言
第六章 偽りの夢合わせ――妻の発言
第七章 夢へのこだわり――実体との対応
終章 古代日本人の言霊――神のことばが持つ霊力
参考文献
あとがき

※各章末のコラム一覧
コラム1:「忌詞」の風習
コラム2:行為を禁止する発言
コラム3:皇太子選びと国見
コラム4:黄泉国の境界にある千引石
コラム5:ことばのとり違え
コラム6:黄泉国神話との類同性
コラム7:古代の諺
コラム8:地名の由来を語る話
コラム9:「言霊」と「木霊」

★発売済。佐佐木さんは著書や校注本を合わせると10冊以上をこれまで上梓されていますが、新書では本書が『日本の神話・伝説を読む――声から文字へ』(岩波新書、2007年)に続く2冊目となります。巻末の「あとがき」にはこうあります。「前著『日本の神話・伝説を読む』を刊行したあと、古代日本人が信じたとされる言霊について一冊まとめなければならないと考えていた。〔・・・〕前著はおもに古代日本人のことばと豊かな連想との関係を追究したものであり、古代日本人が信じたという言霊やことばの威力を主題とする本書とは、目的や意図が異なる」(240頁)。また、「まえがき」では本書をこう紹介されています。古代日本人にとって「言霊」がどんなものだったのかを本書で検証するにあたっては「ことばの威力が現実を大きく左右したり、現実に対して何らかの影響を与えたりしたと読める材料の身を取り上げる。そして、ことばの威力はどのようなかたちで個々の例に反映しているのかを、『古事記』『日本書紀』『風土記』に載っている神話・伝説や『万葉集』に見える歌などを読みながら、一つひとつ確認していく」(iii-iv頁)。千年以上の歴史を持ち、近世において国学で扱われる一方で、国粋主義の神秘的解釈にもさらされることになった「言霊」観。現代のように言葉があまりにも軽すぎる時代に本書をひともくことは、この国の文化的古層にある神と人間との関係を思い起こすとともに、そこに表れる倫理観を真摯に見直すきっかけになると思われます。
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by urag | 2013-09-08 19:07 | Trackback | Comments(0)