ウラゲツ☆ブログ

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2018年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆最新刊と近刊
◎2017年11月21日取次搬入予定:ジャン・ウリ『コレクティフ』本体3,800円
◎2017年11月1日取次搬入予定:南嶌宏『最後の場所』本体3,500円

◎2017年10月16日発売:甲斐義明編訳『写真の理論』本体2,500円

◎2017年10月6日発売:森山大道『』本体2,500円

◎2017年8月4日発売:ポール・ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』本体3,800円

◎2017年7月4発売:ジャコブ・ロゴザンスキー『我と肉』本体4,800円、シリーズ・古典転生第16回配本。
書評1⇒廣瀬浩司氏「あらたな思考の出発点をうちたてる――現象学的身体論の刷新へと波及する潜在性」(「週刊読書人」2017年9月8日号)

◎2017年6月2日発売:荒木経惟『私情写真論』本体1,500円

◎2017年5月30日発売:ソシュール『伝説・神話研究』本体3,400円、シリーズ・古典転生第15回配本。

◎2017年5月15日発売:金澤忠信『ソシュールの政治的言説』本体3,000円、シリーズ・古典転生第14回配本。
書評1⇒加賀野井秀一氏「〈一般言語学〉から遠く離れて」(「フランス」2017年9月号)

◎2017年5月12日発売:『鉄砲百合の射程距離』内田美紗[句]、森山大道[写真]、大竹昭子[編]、本体2,500円

◎2017年4月17日発売:『表象11:ポスト精神分析的主体の表象』本体2,000円。

◎2017年3月30日発売:上野俊哉『[増補新版]アーバン・トライバル・スタディーズ』本体3,000円。

◎2017年2月16日発売:松江泰治『Hashima』本体3,600円。
書評1⇒無記名氏(『CANON PHOTO CIRCLE』2017年4月号「今月の新刊」欄)
書評2⇒無記名氏(「信濃毎日新聞」2017年3月26日(日)付「読書欄」)

◎2017年2月10日発売:佐野方美『SLASH』本体4,000円。
書評1⇒『アサヒカメラ』2017年4月号「TOPICS/BOOK」欄「写真に封じ込められた一瞬の集積――時代の空気を写しとめた新作写真集を読む」(解説=山内宏泰、聞き手=池谷修一)

◎2017年2月8日発売:星野太『崇高の修辞学』本体3,600円、シリーズ古典転生12。
書評1⇒n11booknews_staff氏「「崇高」に惑わされないための丁寧な考察」(「Book News|ブックニュース」2017年3月4日エントリー)
書評2⇒中島水緒氏(「美術手帖」2017年5月号「BOOK」欄)

◎2016年12月26日発売:マッシモ・カッチャーリ『抑止する力』本体2,700円。
書評1⇒篠原雅武氏「オレンジとバカにされている偉そうなジジイのアポカリプスとともに、アメリカのいたるところは主の到来を待ち望む人たちによって埋め尽くされようとしている」(「図書新聞」2017年3月18日号)
書評2⇒中村勝己氏「「カテコーン」の概念の解釈を主題に――〈世界の再宗教化〉をどう捉えどう向き合うべきか」(「週刊読書人」2017年3月31日号)

◎2016年12月7日発売:荒木経惟×荒木陽子『東京は、秋』本体3,500円
書評1⇒山本アマネ氏(『FUDGE』2017年2月号「PICK UP NEW BOOKS 今月の新刊&注目作」欄)
書評2⇒山本アマネ氏(『men's FUDGE』2017年3月号「BOOKS」欄)
書評3⇒無記名氏(『母の友』2017年5月号「polyphony/Books」欄)

◎2016年11月11日発売:森山大道×鈴木一誌『絶対平面都市』 本体2,750円
紹介記事1⇒「東奥日報」2016年12月16日付など
短評⇒「週刊読書人」2016年12月16日号「2016年の収穫 41人へのアンケート」神藏美子氏
紹介記事2⇒『アイデア』No.360(2017.1)「book」欄
書評1⇒上野昂志氏書評「急かされ。考えさせられる」(『キネマ旬報』2017年2月上旬号「映画・書評」欄)
書評2⇒大竹昭子氏書評(『朝日新聞』2017年1月22日付「読書」欄)
書評3⇒小原真史氏書評「奇妙なダイアローグ 優れた森山大道論であり写真論」(「週刊読書人」2017年2月10日号)
書評4⇒土肥寿郎氏書評「写真の本質 対話重ね迫る」(『北海道新聞』2017年2月12日付「本の森」欄)

◎2016年9月2日発売:森山大道『Osaka』本体3,500円

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎品切重版準備中:『ミクロコスモス第1集』2刷、ユンガー『パリ日記』2刷、ギルロイ『ブラック・アトランティック』4刷。
◎品切重版未定:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象04』『表象05』『表象08』、毛利嘉孝『文化=政治』、上野俊哉『アーバン・トライバル・スタディーズ』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』、ブランショ『書物の不在 第二版鉄色本』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道『新宿』、森山大道写真集『新宿+』、森山大道写真集『大阪+』、森山大道写真集『オン・ザ・ロード』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、熊木裕高写真集『吠えない犬』、瀬戸正人写真集『picnic』、菱田雄介写真集『ある日、』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
日々この業界ではたくさんの出来事が起こっていて、それぞれにコメントしたい気もするし、実際言うべきこともままあるのですが、出来事に振り回されるのは嫌だし、こみいった背景をうまく説明できなかったり、しがらみのせいではっきり言えなかったりするのが現実なので、出来事情報は下記のリンクを随時ご参照下さいませ。

◎業界紙系:倒産や出店などの時事情報がやっぱり早い→ 新文化 ニュースフラッシュ
◎一般紙系:全国紙や地方紙、専門紙誌に掲載されたニュースをまとめてチェック→ Yahoo!ニュース「マスコミ、出版」
◎話題系:昨今の様々な注目トピックを整理整頓→ フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営」 / Yahoo!ニュース「出版不況」「電子書籍」「アマゾン
◎新刊書店系:書店業界のひきこもごもの内情→ 日書連 全国書店新聞
◎古書店系:古本屋さんの奥深い世界を垣間見れます→ 東京古書組合 日本の古本屋メールマガジン
◎雑談&裏話:業界の「非常時」には頼りになる一面もあるかも→ 2ちゃんねる 一般書籍

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# by urag | 2018-12-31 23:59 | ご挨拶 | Trackback(1) | Comments(21)
2017年 10月 18日

11月下旬刊行予定:ジャン・ウリ『コレクティフーーサン・タンヌ病院におけるセミネール』

2017年11月21日取次搬入予定 *人文/医療

コレクティフーーサン・タンヌ病院におけるセミネール
ジャン・ウリ著 多賀茂/上尾真道/川村文重/武田宙也 訳
月曜社 2017年11月 本体3,800円 46判(縦190mm×横130mm×束26mm)ハードカバー装上製424頁 ISBN:978-4-86503-053-2

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

内容:人びとが集団を形作りながら個々の特異性を尊重するための、「ほんのちょっとしたこと」とは何か。それは、私たちに何をもたらすのか。「コレクティフ=人々が集まること、動くこと」をめぐる思索と対話。ラカンらの理論から紡ぎ出される思考を土台とする精神病治療の日常的実践について考察したこのセミネール(1984年9月~1985年6月)の記録は、社会の様々な場面に存在する「疎外」に抵抗するための、何らかのヒントを私たちに与えてくれるだろう。「病院の病気」を治す「制度を使う精神療法」の理論と実践の書。ピエール・ドゥリオン「序文」、ミシェル・バラ「新版のための前置き」。

目次:
はじめに(多賀茂)
序文
一九八四年九月十九日
一九八四年十月十七日
一九八四年十一月二十一日
一九八四年十二月十九日
一九八五年一月十六日
一九八五年二月二十日
一九八五年三月二十日
一九八五年四月十七日
一九八五年五月十五日
一九八五年六月十九日
補遺
 序文(ピエール・ドゥリオン)
 新版のための前置き(ミシェル・バラ)
後書き(多賀茂)
索引

原書:『LE COLLECTIF : Le Séminaire de Sainte-Anne, Préambule à la nouvelle édition de Michel BALAT, Préface de Pierre DELION』(Champ Social Éditions, 2005)

ジャン・ウリ(Jean Oury, 1924–2014):フランスの精神科医・思想家。20世紀後半のフランス精神医療に大きな貢献を残した。1953年以来自身が院長を務めるラ・ボルド病院において、患者やスタッフとともに「制度を使う精神療法」の実践に取り組んできた。その後、フェリックス・ガタリというたぐいまれな想像力と活動力を備えた人物も病院のスタッフに加わり、ウリとともに様々な試みに取り組んだ。また、ラカンの最も重要な理解者のひとりでもあった。著書の訳書に『精神医学と制度精神療法』(三脇康生監訳、廣瀬浩司/原和之訳、春秋社、2016年)がある。

訳者:多賀茂(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)/上尾真道(滋賀県立大学など非常勤講師)/川村文重(慶應義塾大学商学部専任講師)/武田宙也(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)

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# by urag | 2017-10-18 17:58 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 18日

『ele-king』WEB版にギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』書評

弊社8月発売既刊書、ポール・ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』の書評が、『ele-king』WEB版の2017年10月4日付「Book Reviews」欄に掲載されました。評者は野田努さんです。「黒い英国における音楽と社会運動史の考察、『ユニオンジャックに黒はない』は、その後『ブラック・アトランティック』で有名になるギルロイのデビュー作で、初版は1987年だが、有名なのは2002年の増補版で、それにしても15年目にしての本邦初翻訳だ。が、これはいま読んでも充分にパワフルで、震える本であり、ここに書かれている過去の闘争が現在と交差する瞬間、その持続する瞬間においてこれからも多くの人が訪ねて来るであろう本だと言える」。また「『ユニオンジャックに黒はない』は、資本主義批判/社会運動の本であるが、面白いほど、音楽についての本である。ソウル、ファンク、ブルービート(スカ)とレゲエ、そしてヒップホップ……こうした音楽が趣味にとどまることを許さずに、黒い英国においてどのように社会と“関わり合っていた”のかを綴り、パンク・ロックを起爆剤に生まれた「ロック・アゲインスト・レイシズム」という運動についてもじつに詳しく描写している。思想書において、この本ほど音楽誌からの引用が多い本もそうないだろう」と評していただきました。野田さん、ありがとうございました。



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# by urag | 2017-10-18 13:05 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 18日

注目新刊:『〈ポスト68年〉と私たち――「現代思想と政治」の現在』平凡社

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★佐藤嘉幸さん(共訳:バトラー『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』
★廣瀬純さん((著書:『絶望論』、共著:コレクティボ・シトゥアシオネス『闘争のアサンブレア』、訳書:ヴィルノ『マルチチュードの文法』、共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
★立木康介さん(共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
まもなく発売となる『〈ポスト68年〉と私たち――「現代思想と政治」の現在』に佐藤さんと廣瀬さんの論考や、廣瀬さんや立木さんが王寺さんや信友建志さんとともにお訳しになったバリバールの論考が収録されています。この論集は、2011年3月から2016年3月まで京都大学人文科学研究所において行われた共同研究「ヨーロッパ現代思想と政治」の2冊目となる成果報告書です。1冊目は『現代思想と政治――資本主義・精神分析・哲学』(市田良彦/王寺賢太編、平凡社、2016年、品切)でした。

〈ポスト68年〉と私たち――「現代思想と政治」の現在
市田良彦/王寺賢太編
平凡社 2017年10月 本体5,200円 A5判上製412頁 ISBN978-4-582-70355-9

帯文より:反乱の〈68年〉、それ以後の現在、〈私たち〉とはだれか? 〈68年〉のあとのフーコーとアルチュセールの思考について、〈68年〉、現代思想、政治、主体について、それらを考え抜いてきたバリバールらとともに、根底的に討究。

目次:
〈ポスト68年〉と私たち(市田良彦)
第Ⅰ部(1)国際シンポジウム「《Pourvu que ça dure ...》:政治・主体・〈現代思想〉[2015年1月12日]
(ポスト)構造主義のヒーロー、政治の政治(市田良彦)
政治と主体性をめぐる20のテーゼ(ブリュノ・ボステイルス)
大革命の後、いくつもの革命の前(エティエンヌ・バリバール)
第Ⅰ部(2)国際ワークショップ「〈われわれ〉がエティエンヌ・バリバールの読解に負うもの――ルソーからブランショまでの個体性と共同性」[2015年1月17日]
孤独のアノマリー――事例オタネスとルソー政治思想(佐藤淳二)
ルソーにおける所有権と共同体(ガブリエル・ラディカ)
「市民-主体」の理念とそのパラドックス――バリバール、ルソー、政治的主体性(佐藤嘉幸)
バリバールとともにブランショの不服従を考える――侵犯と抵抗の方法としての非応答の権利(上田和彦)
第Ⅱ部(1)国際ワークショップ「〈権力-知〉か〈国家装置〉か――〈68年5月〉後のフーコーとアルチュセール」[2016年3月19日]
「権力-知」か「国家装置」か――〈68年5月〉後のフーコーとアルチュセール(市田良彦)
68年5月の翌朝は、抑圧の二日酔い――アルチュセールとフーコーを過ぎゆく批判のステージ(バーナード・E・ハーコート)
真理と帰結――フーコーとアルチュセールにおける政治的判断と歴史的知(ノックス・ピーデン)
〈68年〉後に、政治経済学においてマルクス主義者であること――あるいは「マルクス経済学にとって唯一の心理とは、じつは何であったか(長原豊)
フーコーの精神分析批判――『性の歴史Ⅰ』に即して(小泉義之)
第Ⅱ部(2)書き下ろし補論
真理戦――後期フーコーの戦争から統治への転回をめぐって(箱田徹)
規律権力論の射程――権力、知、イデオロギー(廣瀬純)
《non-lieu》一歩前――1960年~70年代日本のアルチュセール受容(王寺賢太)
勝敗の彼岸――戦後イギリス「新左翼」の位置断片を小さな鏡として(布施哲)
あとがき(王寺賢太)

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# by urag | 2017-10-18 01:06 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 16日

注目新刊:今福龍太『ハーフ・ブリード』河出書房新社、ほか

★今福龍太さん(著書:『ブラジルのホモ・ルーデンス』)
集英社さんの月刊誌「すばる」で2014年12月から2017年6月号まで隔月連載されていたものが単行本化され、先週より発売開始となっています。印象的な造本は佐藤篤司さんによるもの。

ハーフ・ブリード
今福龍太著
河出書房新社 2017年10月 本体3,800円 46判上製368頁 ISBN978-4-309-24830-1

星野智幸氏推薦文:自らが純血ではなくハーフ・ブリードだと気づくことが、これほどの解放をもたらすとは! メキシコ性を極限まで探究したこの驚くべき詩的散文は渡したいtの未来を映す鏡だ。

辻原登氏推薦文:目に見えぬ「Soul-line」が、“風という靴底を持つ男”今福隆太によって、メキシコの地から、精緻かつ果敢に、地球上に引かれた!

坂口恭平氏「『ハーフ・ブリード』に寄せて」:覚えていたのが時間のことだったのか 空間のことだったのか わからなくなると鏡を見る 大木が映りこんでいた 知らない木だった そこに寄り添っている自分がいて それを黙って見ていた 音は何も聞こえずに 水がながれていることはわかった どこも行ったことがないのに記憶だけは次から次へと蘇ってくる 誰の記憶なのか 体は、まあ待てと肩を叩いてきた しばらくお茶を飲んで過ごした 風が吹いた 何かを焼く匂いがした 目の前にいる男が昔の海について話をしている 「お前は船に乗ってた。櫂も持たずに」 男は言った 上を見たら、昼間なのに星が見えた 「お前は森のことを知っていた」 誰のことなのだろうか 「ずっと昔のことだ」 男はそう言うと、煙草の火を消していなくなった 消えるようにしていなくなった 耳が思い出したように音をかき集めはじめた 水の音が少しずつ大きくなってきた いつのまにか音は水しぶきをあげて 洪水となって茂みの奥から溢れ出てきた 飲み込まれ 息もできなくなった 元の自分に戻った 息もせず 目も見えず あるのは記憶だけだった 記憶の中に隠れ家があった ところが、右に言えば、体は底に落ち 這い上がろうとすると忘れてしまった 一瞬のうちにカーテンや廊下が水滴になった 「知らないことなんかひとつもなかっただろう」 男はまだ煙草を吸っていた ずっと昔のことだった 本を読みながら、今そのことをふと思い出した

目次:
Prologue
Ⅰ 赤と黒の十字路
Ⅱ 蛇と黒曜石の物語
Ⅲ 雑種或いはKの交差点
Ⅳ アルトゥーロ、砂漠の吐息
Ⅴ 流れよ川、歌えよギタレーロ
Ⅵ 風と炎のある風景
Ⅶ 反転-人類学の呪術師
Ⅷ マヤの漂泊者
Ⅸ 国境の詩篇〔カントス〕
Ⅹ 砂漠と監獄
Ⅺ 峡谷〔カニャーダ〕へ
Ⅻ 水で書かれた父と母の歌
Epilogue
引用出典一覧
あとがき

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知り合いの版元さんから色々な冊子をいただいたのでご紹介します。

1)「大学出版」2017年秋号「特集=一冊入魂!――編集の愉楽」
大学出版部協会さんが発行するPR誌「大学出版」が最新号で協会員ではない版元の編集者の方々から、自らの仕事をめぐるエッセイを寄せてもらっていて、とても興味深いです。業界人必読かと。PDFを協会のウェブサイトでダウンロードできます。

左右社・小柳学さん「こんどはもっと遅かった『〆切本2』の編集」
亜紀書房・内藤寛さん「いま、小説を作るということ」
共和国・下平尾直さん「ページの奴隷、編集者!」
堀之内出版・小林えみさん「『nyx』は百年後の光となるか」

ちなみに堀之内出版さんは、今月末に開催予定の、本好きのためのブックフェア「BOOK MARKET 2017」や、後段でご紹介するブックフェア「版元やおよろず」に出展されるとのことです。後者には共和国さんも参加されています。

◎ブックフェア「BOOK MARKET 2017

期間:2017年 10月28日(土)、29日(日)
時間:28日:11:00〜19:00 / 29日:11:00〜18:00
場所:アートコンプレックス・センター(〒160-0015 東京都新宿区大京町12-9 TEL03-3341-3253)
主催:アノニマ・スタジオ

内容:BOOK MARKETは、今年で9回目を迎える「本当におもしろい本」だけを集めた本好きのためのブックフェアです。 出展社もさらにパワーアップ。 1年でいちばん本を読みたくなる晩秋の開催です。 「本のお祭り」BOOK MARKET 2017で、読者のみなさまとお会いできることを楽しみにしております!

出展社:フィルムアート社、誠文堂新光社、地球丸、夏葉社、エクスナレッジ、偕成社、京阪神エルマガジン社、作品社、G.B.、自然食通信社、青幻舎、西日本出版社、而立書房、ニジノ絵本屋、パイ インターナショナル、HaoChi Books、ビーナイス、堀之内出版、本の雑誌社、ミシマ社、港の人、雷鳥社、リトルモア、グラフィック社、リットーミュージック、アタシ社、カンゼン、木楽舎、アノニマ・スタジオ、かもめブックス、メリーゴーランド京都、藤原印刷。

2)「版元やおよろず2017 ハンドブック」

23の出版社が参加する、双子のライオン堂で今月開催されているブックフェア「版元やおよろず2017」で100円で販売されている冊子です。出店版元が「代表する書籍」「出版社自己紹介」「なぜ出版社を立ち上げたのか、なぜ出版社で働いているのかなど」「他社のお薦め本」の4つの質問に答えたものをまとめています。様々な出版社の横顔が分かって楽しい一冊です。

◎ブックフェア「版元やおよろず

期間:10月11日(水)~10月20日(金)
時間:15:00~21:00
※10/16、17はお休み。10/15(日)は13:00~18:00。
場所:双子のライオン堂(東京都港区赤坂6-5-21

内容:「まっすぐに本を売る」出版社たちのブックフェア。一人ひとりの読者の顔を思い浮かべながら、直接手渡しをするかのように丁寧に本を作り売る出版社が集まりました。小さな版元さんが魂込めて作られた本たちをドドンと!展開いたします。

出展社:アタシ社、えにし書房、キーステージ21、共和国、ころから、猿江商會、三輪舎、センジュ出版、太郎次郎社エディタス、TANG DENG、トランスビュー、バナナブックス、羽鳥書店、H.A.B.、ビーナイス、ブックエンド、ブリコルール・パブリッシング、ポット出版、堀之内出版、本の種出版、マドレーヌブックス、まむかいブックスギャラリー、ユウブックス。
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# by urag | 2017-10-16 20:36 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 15日

注目新刊:ベンソン『世界《宇宙誌》大図鑑』東洋書林、ほか

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世界《宇宙誌》大図鑑
マイケル・ベンソン著 野下祥子訳
東洋書林 2017年10月 B5判上製320頁 ISBN978-4-88721-824-6

帯文より:コペルニクスは考えた――もし美が真実だというのなら、真実は美しいはずだ。「創造」「地球」「月」などのテーマ別10章のもと、前2000年から現代に至る世界認識の諸相を概観する“宇宙誌/宇宙図”集成。謎めいた古代の遺物から現代美術さながらのデジタル解析図へと飛躍する美麗図版300点が誘う、視覚知のミクロコスモス!

オーウェン・ギンガリッチ「序文」より:この“宇宙図集”は、天文学の驚異や発見、理解についての色鮮やかな記録であり、中世の緻密なミニアチュールから現代のコンピュータを駆使したデザインにいたるまでの描法に関する歴史書でもある。手短かに言うと“美を愛でる者にとっての賛歌”なのだ。

目次:
序文(オーウェン・ギンガリッチ)
はじめに
第1章 創造
第2章 地球
第3章 月
第4章 太陽
第5章 宇宙の構造
第6章 惑星と衛星
第7章 星座・獣帯・天の川銀河
第8章 食と太陽面通過
第9章 彗星と隕石
第10章オーロラと大気現象
解(松井孝典)
図版出典
索引

★まもなく発売(本日16日取次搬入済)。『ビヨンド――惑星探査機が見た太陽系』(新潮社、2005年)、『ファー・アウト――銀河系から130億光年のかなたへ』(新潮社、2010年)、『プラネットフォール――惑星着陸』新潮社、2013年)と、日本でもその美しい天体写真集の数々によって知られている映像作家/写真家のベンソン(Michael Benson, 1962-)の近作『Cosmigraphics: Picturing Space through Time』(Abrams, 2014)の日本語版です。今までの既刊写真集が科学技術の賜物であったのに対し、今回は天体と人間をめぐる数千年の歴史をひもとく驚異的な一書となっています。約4000年前の天文盤(ネブラディスク)や、前50年頃のデンデラ神殿の天井レリーフなどにはじまり、ランベール『花々の書(Liber Floridus)』1121年、アピアヌス『皇帝の天文学(Astronomicum Caesareum)』1540年、『アウクスブルクの奇跡の書(Augsburger Wunderzeichenbuch)』1547~1552年、『彗星の書(Kometenbuch)』1587年、セラリウス『大宇宙の調和(Harmonia Macrocosmica)』1660年、など傑作の数々を経て、さらに、17世紀ではフラッドやキルヒャー、19世紀ではトルーヴェロ、フラマリオン、リエ『天界』など、カラーのものはすべてフルカラーで掲載されています。幻視されたものから科学的な描写まで、めくるめく美の世界に陶酔するばかりです。新潮社版の写真集に比べると生産部数が限られていると聞きますので、気になる方はどうかお早目に購入されてみて下さい。

★ちなみに『アウクスブルクの奇跡の書』は『The Book of Miracle』としてTaschenから今夏に廉価版が出ています(英独仏の三か国語併記。最初の100頁が解説、後の170頁強がプレートのリプリントの大判大冊です。2017年10月15日現在、ありがたいことにアマゾン・ジャパンでも在庫しています。BuzzFeed Japanの記事「400年の時を超えて。幻の奇書『奇跡の書』が色鮮やかで、怖い」でもサンプルをご覧になれます)。また、『世界《宇宙誌》大図鑑』で言及され引用されているコペルニクスの『天球回転論』はいよいよ今週後半に完訳版がみすず書房さんより刊行されます。本体16,000円とお高いですが、何とか購読したいものです。

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★このほか最近では以下の新刊に注目しています。

『ベル・フックスの「フェミニズム理論」――周辺から中心へ』ベル・フックス著、野﨑佐和/毛塚翠訳、あけび書房、2017年10月、本体2,400円、A5判並製240頁、ISBN978-4-87154-154-1
道徳を基礎づける――孟子vs. カント、ルソー、ニーチェ』フランソワ・ジュリアン著、中島隆博/志野好伸訳、講談社学術文庫、2017年10月、本体1,150円、360頁、
ISBN978-4-06-292474-0
言語起源論』ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー著、宮谷尚実訳、講談社学術文庫、2017年10月、本体840円、232頁、ISBN978-4-06-292457-3
水滸伝(二)』井波律子訳、講談社学術文庫、2017年10月、本体1,830円、692頁、ISBN978-4-06-292452-8
ロシア革命とは何か――トロツキー革命論集』トロツキー著、森田成也訳、光文社古典新訳文庫、2017年10月、本体1,100円、414頁、ISBN978-4-334-75364-1
初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方』左近司祥子著、だいわ文庫、2017年10月、本体780円、296頁、ISBN978-4-479-30673-3

★『ベル・フックスの「フェミニズム理論」』は、『Feminist Theory: From Margin to Center』(1984, South End Press; 2nd edition, 2000, South End Press; 3rd edition, Routledge, 2015)の新訳です。既訳には、清水久美訳『ブラック・フェミニストの主張――周縁から中心へ』(勁草書房、1997年、絶版)があります。全12章構成なのは今回の新訳の底本である新版(第三版)でも変わりませんし、章題も変わっていません。目次詳細は版元さんのウェブサイトでご確認いただけます。「序文(新版)」と訳されているのは原著では「新版への序文:光を見る――ヴィジョンのあるフェミニズム」で、この序文は原著第二版より付されている序文と変わりありません。この序文でフックスは次のように述べています。

★「フェミニストたちはしばしば、一般大衆を基盤にしたフェミニズム運動をつくりあげる必要性について話し合ったが、そうした運動を立ちあげるためのしっかりした基盤などどこにもなかった。ウーマンリブ運動は、狭い土台の上に形づくられてきたというだけではなく、何よりもまず特権階級(そのほとんどが白人)の女性に関係する問題にしか注意を呼び起こさなかった。/わたしたちは、一般大衆を基盤にした運動のための考えや戦略を示してくれる理論を必要としていた。そうした理論が、ジェンダー、人種、そして階級の理解に根ざしたフェミニズム的な視点からわたしたちの文化を検証してくれるに違いなかったからである。そうした必要性に答えて、わたしは本書『フェミニズム理論 周辺から中心へ』を執筆したのである」(12頁)。

★帯文には「男性女性ともに読んでほしい一冊です」とあります。野﨑さんは巻頭の訳者まえがきこうお書きになっています。「何だか生きづらさを感じている人、自分のパートナーや家族との関係がうまくいかないという人、女性であっても男性であっても構いません、そういう人にこそ本書を手に取ってほしいのです。/些細な問題だと思っていたことが実は深刻なフェミニズムの問題だったということもあるからです」(2頁)。ベル・フックス(bell hooks, 1952-)の著書は90年代からこんにちに至るまで6点ほど訳されてきましたが、初訳がほからなぬ本書の旧訳本でした。7冊目となる今回の新訳がフックス再読の契機となることを期待したいです。

★講談社学術文庫の今月新刊からはいくつか。ジュリアン『道徳を基礎づける』は2002年に講談社現代新書として刊行されたものの文庫化。原書は『Fonder la morale』(Grasset, 1996)です。巻末に付された中島さんによる「講談社学術文庫のための解題」によれば、共訳者の志野さんが「細かい訳文の修正」を行われたとのことです。新書版は古書価が高騰していたので文庫化は妥当だと思います。帯文には東浩紀さんの推薦文が掲載されています。曰く「カントと孟子が互いを照らし合う。西欧近代と東洋思想がぶつかる場所にいる、ぼくたちこそが読むべき新たな哲学」と。なお中島さんによるジュリアンの訳書はもう一冊あります。『勢――効力の歴史:中国文化横断』(知泉書館、2004年)です。書店店頭ではあまり見かけませんが、版元さんのサイトでは「在庫あり」となっています。

★ヘルダー『言語起源論』は文庫オリジナルの新訳。既訳には木村直司訳(大修館書店、1972年2月)や、大阪大学ドイツ近代文学研究会訳(法政大学出版局、1972年3月)があります。ともに72年刊でほぼ同時期に出版されたものです。今回の新訳の底本は訳者解説によれば「最終版の手書き原稿」とのことで、ゲーテも見たであろう手稿と地道に向き合ったり、既訳から学んだりする謙虚な姿勢が解説やあとがきから垣間見えます。一方、『水滸伝(二)』は第23回から第42回を収録。帯文には「『金瓶梅』の原話「〈行者〉武松の物語」あります!」と特記されています。本巻に収められた第23~32回に武松の生きざまが描かれています。いつの日か、井波さん訳の『金瓶梅』を読む日も訪れるでしょうか。

★光文社古典新訳文庫の今月新刊では『ロシア革命とは何か』に注目。1906年から1939年までに公刊された重要論文6本を収録。同文庫でのトロツキー新訳本は、『レーニン』(森田成也訳、2007年)、『永続革命論』(森田成也訳、2008年)、『ニーチェからスターリンへ――トロツキー人物論集【1900?1939】』(森田成也/志田昇訳、2010年)に続く4点目です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。1932年の高名な「コペンハーゲン演説」を、英訳や独訳からの重訳ではなくロシア語から新訳したのが目玉のひとつ。同書は「ロシア革命100周年企画」の第1弾だそうです。同文庫では来月、ジョン・リード『世界を揺るがした10日間』(伊藤真訳)の発売が予定されていますが、こちらが第2弾となるのでしょうか。月刊誌『現代思想』2017年10月号で「ロシア革命100年」の特集が組まれ、『ゲンロン』誌では二号連続で「ロシア現代思想」が特集されます。ロシア思想のコーナーを作る絶好のチャンスかと思われます。幾度となく推していますが、水声社版「叢書・二十世紀ロシア文化史再考」もお薦めします。

★だいわ文庫の新刊では、文庫版オリジナルの書き下ろしである『初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方』に注目。同書は著者の左近司祥子(さこんじ・さちこ:1938-)先生にとって、『哲学するネコ――文学部哲学科教授と25匹のネコの物語』(小学館文庫、1998年)、『本当に生きるための哲学』(岩波現代文庫、2004年)に続く、久しぶりの文庫新刊です。ソクラテス、プラトン、アリストテレスのほか、少しばかりですが、タレスら初期の哲学者たちや、ソフィスト、エピクロス派、ストア派、ネオプラトニズムも言及されています。文庫で読めるギリシア哲学入門は数少なく、現在入手可能な本も少ないなか、とりわけ取っつきやすい内容となっていると感じます。目次詳細は版元サイトにはありませんが、アマゾンや7ネット、紀伊國屋書店などには掲載されているので、ご参照なさってください。

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# by urag | 2017-10-15 22:14 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 12日

メモ(28)

「文化通信」2017年10月9日付1面トップ記事は「取次へのバックオーダー終了で直取引開始は少数」という非常に興味深い内容だったのですが、なぜか同通信ウェブサイトのトップページの総合欄では見出しが載っていません。12日付「アマゾンジャパン、Kindle最上位機種発表」は無料で全文を読める記事になっていますが、出版業界にとってより重要なのはKindleよりも直取引問題ではないかと思われ、未掲載の理由がよく分かりません。8月17日付有料記事「版元ドットコム アマゾン「バックオーダー終了」で調査 直取引が41%余に増加」との関係から言っても、今回の10月9日付記事は重要です。

「取次へのバックオーダー終了で直取引開始は少数」は1面と8面に掲載されており、アマゾンジャパンにおける年間売上上位100社に対して文化通信社が行なったアンケートの結果(36社から回答あり)が集計されています。同記事は「出版社の規模が大きくなると直接取引を行う割合が低くなっているようだ」と分析しており、先般の版元ドットコムさんのアンケート結果も含めて、おおよそ予想通りの内容とはなっています。つまり、売上上位100社の本は当然ながら一般のリアル書店でも売れており、アマゾンだけを特別に優遇する理由はないのですが、小零細版元の場合、リアル書店での扱いが少ないですから、相対的にアマゾンの売上比率が高くなり、否応なく直取引に乗り出さざるをえないわけです。

興味深いのは8面にある、直取引しない理由の数々でした。いずれも首肯できる内容で、アマゾンさんは版元からこう見られているんだということをもっと細やかに分析して対応を考えるべきなのではないかと思う理由ばかりです。こうした記事こそ文化通信さんには無料記事で公開していただきたいなあと切実に感じます。そうすればもっと公的に議論する材料が増えます。いま業界に必要なのは、腹蔵なく「リアルな話」を交わすことであり、できることとできないことをしっかりと腑分けして、できることの可能性を伸ばしつつ、できないことをどう乗り越えるか、ということだと思います。

「日本経済新聞」2017年10月6日付有料記事「大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万社」に書かれてある状況は、出版界でも変わりません。曰く「中小企業の廃業が増えている。後継者難から会社をたたむケースが多く、廃業する会社のおよそ5割が経常黒字という異様な状況だ。2025年に6割以上の経営者が70歳を超えるが、経済産業省の分析では現状で中小127万社で後継者不在の状態にある。優良技術の伝承へ事業承継を急がないと、日本の産業基盤は劣化する。「大廃業時代」を防ぐ手立てはあるか」と(以下、無料登録で全文読めます)。

私の住む街の地元商店街では今年2店舗の新刊書店が廃業しましたが、いずれも原因は高齢による事業継続の困難さでした。あまり明るみになってはいませんが、高齢化の波は出版社にも押し寄せていて、後継者がおらず遠からず廃業せざるをえないだろう版元もそこかしこに存在しています。継続的に出版活動している約2000社のうち、7割が従業員10名以下の小規模会社だとも聞きます。我が身を振り返っても見て言えるのは、つまり、おおよそ半数以上の版元が10~20年以内に激減する危険があると予想してもけっして大げさではない、ということです。こうした緩慢な死滅を逃れるためには、出版界を挙げて議論し対応していくのが理想ではありますが、この業界はその多様性ゆえに、利害が一致するのはせいぜい債権者集会の出席率くらいで、誰もが納得しうる条件下での団結は非常に困難であるように思えます。文化の一端を担う社会的な役割があるにもかかわらず、営利を目的とした私企業の雑多な集団であるために、情報公開して公的に議論することすら難しいのです。

それでも全体として必要なのは、若い世代が出版社や書店を開業したり事業承継しうる余地を常に作り続けることではなかろうかと感じます。取次さんが書店さんを傘下に収めるのにも限界があり、出版社がリストラを続けるのにも限界があります。出版社が廃業する場合、つらいことの一つに、出版物を引き受けてくれる他社がいない限り、全点全冊を破棄しなければならないというものがあります。例えばすでに2020年に解散することを公表しておられ創文社さんの商品はどうなるのでしょうか。ハイデッガー全集(刊行中)や、神学大全(完結)はどうなるのでしょう。同社の2016年9月付の挨拶文「読者の皆様へ」によれば、「新刊書籍は2017年3月まで刊行し、それ以降、2020年までは書籍の販売のみを継続いたします」とあります。すでに新刊刊行停止から半年経過しているのです。このように廃業まで数年かけることを約束しうるのはむしろ誠実な少数派であり、こうはならずいつの間にか倒れる会社が大半であることは周知の通りです。

先日のゲンロン・カフェ(10月4日)の質疑応答において「やめたい人とやりたい人の事業承継のマッチングができないものか」とお話しし、質問者の方が興味を示して下さったのは幸いでした。こうした困難さに立ち向かうことが大事であると思われてなりません。

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10月16日追記:上記のような「街ナカ書店」や、小零細自営業版元の廃業危機とは別に、チェーン店はチェーン店でスリム化を推進しています。たとえば、「ASCII.jp」2017年10月16日付、O.D.A.氏記名記事「TSUTAYAが最近やたら閉店している件について――背景にあるのは「BtoB型事業」への業態シフト」では、昨今の大量閉店が次のように分析されています。

「閉店する店舗を見てみると、大都市圏に比較的簡単にアクセスできる住宅の駅近くに立地する店が相当多いことがわかります。ここから導かれるのはこれらの閉店は不採算店の整理ということだけではなく、もう経営側としては今の「ご近所のTSUTAYA」形態の未来に希望を持っていないのではないかという推測。〔・・・〕現在CCCが推進している図書館の運営委託、代官山・湘南や枚方のT-SITEや蔦屋書店、二子玉川の蔦屋家電等の業態は、〔・・・〕いずれもが滞在型の施設です。/会社や学校の帰りについでに寄ってもらっては小銭をちゃりんちゃりん稼ぐのではなく、わざわざそのために来てもらう滞在型の施設で1人頭の消費金額・消費時間を最大化する方向。言い換えれば「ケ」のビジネスから「ハレ」のビジネスへのシフトが今まさに実行されている最中であるということでしょう」。

少し補足しますと、この「ハレ」ビジネスが成功しうるかどうかについてはすでに懐疑的な評価や分析が出版界では散見されます。確かに「「ハレ」のビジネスへのシフトが今まさに実行されている最中」ではあるものの、CCCがシフトに乗りだせた背景には、他社にはないグループの経営的基盤があります。ですから、他社がまねをしても成功するというものではなく、蔦屋型の複合化とは別の、多様な次世代型書店像もまた、追求する必要性があると言えそうです。CCCは「蔦屋書店」は全国のあちこちに作り、紀伊國屋書店やMJを向こうに回して、書店業界の覇権を目指しておられるはずですが、人材確保に苦慮されているようにお見受けします。

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# by urag | 2017-10-12 18:22 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 12日

ブックツリー「哲学読書室」に岡嶋隆佑さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、ハーマン『四方対象』(人文書院、2017年9月)の監訳者・岡嶋隆佑さんによる選書リスト「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流」が追加されました。下記リンク先一覧よりご覧ください。


◎哲学読書室

星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流

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# by urag | 2017-10-12 11:38 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 11日

ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』刊行記念シンポジウム


日時:2017年 11月12日(日曜日)13:30〜17:00(開場13:00)
場所:神戸市・海外移住と文化の交流センター
参加費:無料(要・事前申し込み→こちらから)

登壇者:酒井隆史(大阪府立大学人間社会システム研究科教授)、鈴木慎一郎(関西学院大学社会学部教授)、田中東子(大妻女子大学文学部准教授)、山本敦久(成城大学社会イノベーション学部准教授)、井上弘貴(神戸大学国際文化学研究科准教授)

主催:神戸大学国際文化学研究推進センター2017年度研究プロジェクト「ポストBrexitの文化状況――身体・都市・メディア・資本へのグローバルな影響と意味」(代表者:小笠原博毅)
後援:カルチュラル・ スタディーズ学会

内容:「ユニオンジャックに黒はない」。1970年代イギリスの極右勢力が移民排斥のスローガンとしたこの文言は同時に、「だからなんだってんだ!」というカルチュラル・スタディーズの立ち位置を鮮明に表す合言葉ともなった。原著出版後30年の時を経てついに邦訳なる! ディアスポラの響きに誰よりも寄り添ってきた鈴木慎一郎氏と、近代資本主義を地べたから検証している酒井隆史氏をゲストに迎え、訳者3名と徹底的に討論する。

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# by urag | 2017-10-11 13:05 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 08日

注目新刊:クセナキス『形式化された音楽』筑摩書房、ほか

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アメリカンドリームの終わり――あるいは、富と権力を集中させる10の原理』 ノーム・チョムスキー著、寺島隆吉/寺島美紀子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017年10月、本体1,800円、46判上製304頁、ISBN978-4-7993-2183-6
チョムスキー言語学講義――言語はいかにして進化したか』ノーム・チョムスキー/ロバート・C・バーウィック著、渡会圭子訳、ちくま学芸文庫、2017年10月、本体1,000円、256頁、ISBN978-4-480-09827-6
原典訳 原始仏典』上巻、中村元編、ちくま学芸文庫、2017年10月、本体1,700円/本体1,400円、656頁/496頁、ISBN978-4-480-09808-5/09809-2
定本 葉隠〔全訳注〕(上)』山本常朝/田代陣基著、佐藤正英校訂、吉田真樹監訳注、ちくま学芸文庫、2017年10月、本体1,600円、592頁、ISBN978-4-480-09821-4
記号論』吉田夏彦著、ちくま学芸文庫、2017年10月、本体1,000円、224頁、ISBN978-4-480-09824-5
アンチクリストの誕生』レオ・ペルッツ著、垂野創一郎訳、ちくま文庫、2017年10月、本体900円、288頁、ISBN978-4-480-43466-1
形式化された音楽』ヤニス・クセナキス著、野々村禎彦監訳、冨永星訳、筑摩書房、2017年9月、本体6,500円、A5判上製440頁、ISBN978-4-480-87393-4
対称性――不変性の表現』Ian Stewart著、川辺治之訳、サイエンス・パレット;丸善出版、2017年9月、本体1,000円、新書判並製178頁、ISBN978-4-621-30203-3

★『アメリカンドリームの終わり』は『Requiem for the American Dream: The 10 Principles of Concentration of Wealth & Power』(Seven Stories Press, 2017)の翻訳です。本書のもととなった長編インタヴューは2015年に「アメリカン・ドリームへのレクイエム」として映画化されています。4年にわたる聴き取りをまとめたもので、動画はネットで探せばご覧になれます。豊富な資料と注を付け加えた書籍版は原書に倣って墨と緑色の二色刷で美しい本に仕上がっています。緑と言っても昨今の新党のシンボルカラーに合わせてあるわけではありませんが、ちょうど選挙目前ということもあり、例の党首(だけでなく)に向かって本書を振りかざして差し上げるくらいの皮肉は当然たしなんでも構わないと思います。

★チョムスキーは本書で、アメリカの「建国以来の下劣で恥ずべき行動原理」として10項目を挙げています。曰く「民主主義を減らす」「若者を教化・洗脳する」「経済の仕組みを再設計する」「負担は民衆に負わせる」「連帯と団結への攻撃」「企業取締官を操る」「大統領選挙を操作する」「民衆を家畜化して整列させる」「合意を捏造する」「民衆を孤立させ、周辺化させる」。舌鋒鋭いチョムスキーの分析内容は日本人にとっても対岸の火事として放っておけばいいものでは断じてありません。版元さんの力から言って本書は多くの書店さんの店頭に置かれると思いますが、この本はぜひ、かつての『超訳 ニーチェの言葉』と同様に地道に長く店頭に置いて下さることを祈るばかりです。訳者が言う通り、本書は「明日の日本に対する警告の書」だからです。

★『アメリカンドリームの終わり』ではチョムスキーの政治的発言を読むことができますが、今月はチョムスキーの本職である生成文法論関連の邦訳新刊も発売されています。ちくま学芸文庫から出た、コンピュータ科学者バーウィックとの共著で『Why Only Us: Language and Evolution』(MIT Press, 2015)の訳書で、文庫オリジナルの初訳本です。言語の進化が主題であり、「なぜ今なのか?」「進化する生物言語学」「言語の構成原理とその進化に対する意義」「脳の三角形」の全4章立て。「言語は形と形以外の“モジュール”からの違う表現を結合する媒介語(リンガ・フランカ)である〔・・・〕。“心の内的道具”がそうであるように、さまざまな視覚手がかりを統合し、それらについて推論する――動物が岩の上にいるか下にいるか――ことは、間違いなく選択的に有利と思われる。そのような性質が子孫に受け継がれ、ある小さな集団にいきわたるかもしれない。これが私たちの思い描いた進化のシナリオだ」(215~216頁)と二人は結論づけています。

★今月のちくま学芸文庫およびちくま文庫ではこのほか4点5冊に注目したいと思います。まず『原典訳 原始仏典』上下巻は、筑摩書房版『世界古典文学全集(6)仏典I』(1966年;のちに『原始仏典』1974年として新版を刊行)を文庫化したもので、1974年版を底本としているとのことです。1987年に東京書籍より刊行された中村元さんの解説本『原始仏典(1)釈尊の生涯』『原始仏典(2)人生の指針』を合本文庫化した『原始仏典』(ちくま学芸文庫、2011年)とは別物で、今回の上下巻は書名通り仏典(パーリ語およびサンスクリット語)を現代語訳したものです。上巻には仏伝として「仏伝に関する章句」と「偉大なる死(大パリニッバーナ経)」を収め、原始経典として「経典のことば」「シンガーラへの教え」「本生経(ジャータカ)」「長老の詩(テーラ・ガーター)」を収めています。下巻では原始経典として「長老尼の詩(テーリー・ガーター)」を収め、さらに「アヴァダーナ」「百五十讃」「金剛の針」「ラトナーヴァリー」「ナーガナンダ」を収めています。

★次に『定本 葉隠〔全訳注〕』は全3巻で10月から12月にかけて上中下巻と発売されていきます。ちくま学芸文庫のために新たに書き下ろされたものです。先日言及しましたが、講談社学術文庫でも先月より『新校訂 全訳注 葉隠』全3巻が発売開始となっています。講談社版が佐賀県立図書館所蔵の天保本(杉原本)を底本とし、餅木本や小城本などにより校訂したものであるのに対し、ちくま版は同じく佐賀県立図書館所蔵ながら新出だという小山信就本を底本とし、餅木本や山本本を校合したとのことです。講談社版は原文・現代語訳・語注の順の構成で、ちくま版は原文・語注・現代語訳の順番となっています。読み比べれば分かりますが、現代語訳にはそれぞれの味わいがあり、ここは両書とも買い揃えて理解を深めたいところです。

★続いて吉田夏彦『記号論』は放送大学の教材として執筆され1989年に公刊されたものの文庫化。帯文に曰く「世界は巨大な記号の体系だ。その構造を読み解く最強の技術、論理学への誘い」と。文庫版あとがきによれば、「今度読み返してみて、放送とは独立に読めることを確かめたので、大筋はそのままにし、字句を多少修正して復刊することにした」とのことです。章立ては、「変項」「形式と抽象」「そのほかの論理記号」「計算と証明」「形式化」「記号の濫用」「ものごと」「話」「記号の役割」「環境としての記号」「記号としての環境」「かたち」「楽譜と音楽」「自然と記号」「終に」の全15章。

★ペルッツ『アンチクリストの誕生』は1930年に刊行された中短編集『Herr, erbarme dich meiner』の全訳で文庫版オリジナルの新刊。収録作は全8編で、原書名である「「主よ、われを憐れみたまえ」」のほか、「一九一六年十月十二日火曜日」「アンチクリストの誕生」「月は笑う」「霰弾亭」「ボタンを押すだけで」「夜のない日」「ある兵士との会話」。巻末解説「レオ・ペルッツの綺想世界」は皆川博子さんがお書きになっておられます。

★筑摩書房さんでは先月末、クセナキスの『Formalized Music: Thought and Mathematics in Composition』(Revised edition, Pendragon Press, 1992)の全訳である『形式化された音楽』を発売されています。たいへんに美麗な装丁は工藤強勝さんと勝田亜加里さんによるもの。目次を以下に列記しておきます。

序文
フランス語原版の序文
英語版(ペンドラゴン版)の序文
第1章 拘束のない推計学的音楽全般について
第2章 マルコフ連鎖を用いた推計学的音楽――その理論
第3章 マルコフ連鎖を用いた推計学的音楽――その応用
第4章 音楽における戦略――戦略、線型計画法、そして作曲
第5章 計算機を用いた拘束のない推計学的音楽
第6章 記号論的音楽
第1章から第6章までの結論と拡張
第7章 メタ音楽に向けて
第8章 音楽の哲学に向けて
第9章 微細音響構造に関する新たな提案
第10章 時間と空間と音楽について
第11章 ふるい
第12章 「ふるい」のユーザーズガイド
第13章 ダイナミックな推計学的合成
第14章 さらに徹底した推計学的音楽
補遺Ⅰ 連続確率の二つの法則
補遺Ⅱ
補遺Ⅲ 新しいUPICシステム
参考文献
監訳者解説
訳者あとがき
索引

★監訳者解説に本書の書誌情報が詳しく書かれています。「本書は彼〔クセナキス〕自身による作曲技法の解説書だが、元々は独立な論文をほぼ執筆年代順に並べて一冊にまとめたものであり、刊行年代に応じて複数の版が存在する」。以下に、本書の先行する版についての監訳者による解説を図式的に転記しておきます。

1)仏語版初版『Musiques formelles』(Richard-Masse, 1963)・・・当訳書の底本(英語版増補版)との対応:第1章~第6章(第2章と第3章は分割されていない)、補遺ⅠおよびⅡ、あとがき(底本では「第1章から第6章までの結論と拡張」)。

2)英語版初版『Formalized Music』(Indiana University Press, 1971)・・・当訳書の底本との対応:第1章~第6章および、第7章と第8章の仏語論文の英訳、そして第9章(書き下ろし)。

★留意点として、今回の訳書では、英訳の読みにくさのために、仏語原文があるものは仏語から訳したとのことです。なお『音楽と建築』(高橋悠治訳、全音楽譜出版社、1975年;新編新訳版、河出書房新社、2017年7月)との違いについては次のように書かれています。『形式化された音楽』英語版増補版の「第1章から第6章の要約(に相当する短い論文や講演原稿)及び第7章・第8章原文と若干の建築に関するメモ(現行版〔すなわち英語版増補版〕第1章に含まれるフィリップス・パビリオンのプランの説明など)からなり、英語版初版の仏語による簡易版とみなせる。刊行時点では〔・・・〕内容が重複しないように配慮したのだろう」。

★イアン・スチュアート『対称性――不変性の表現』は、Oxford University Pressの「A Very Short Introduction」シリーズより刊行された『Symmetry』(2013年)の全訳。カバーソデ紹介文は以下の通り。「「対称性」は現代科学の重要語の一つです。対称性といえば、虹、雪の結晶、貝殻などの線対称や回転対称な図形を連想し、その規則正しく並んだ模様に私たちは魅了されてきました。この対称性を現代科学で扱われているように抽象化するきっかけとなったのは、対称な図形・模様の分析・研究ではなく、方程式の解の探求といわれています。本書では対称性についての素朴なイメージからはじめ、対称性の抽象的定義、その性質の広がり、魅力をイアン・スチュアートが描きます」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。著者は本書の末尾でこう述べています。「対称性の物語、そこから導かれる数学、そしてその結果得られた理論に基づく利用は、単純だが深遠な概念がいかにして途方もなく強力な理論と大きな科学的発展になりうるかを示している。〔・・・〕対称性を理解するための探求は、いかに自然界の美が美しい科学と美しい数学につながるかという見事な例になっている」(160~161頁)。著者自身による紹介動画を以下に貼り付けておきます。


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★数々の本がかたちづくる宇宙との出会いは、書店にあります。当たり前のことが忘れられてしまいがちなこんにち、何度でも強調しなければなりません。しばらく寄っていなかった外国文学棚に行くと、美しい本たちが待っていました。澁澤龍彦没後30年記念で再刊された3点と、基本的に熊本県下でしか買えなかった本を手に取りました。いずれも既刊書ですが、特記しておきたい書目です。

超男性(愛蔵版)』アルフレッド・ジャリ著、澁澤龍彦訳、白水社、2017年8月、本体3,600円、4-6判上製244頁、ISBN978-4-560-09570-6
大胯びらき(愛蔵版)』ジャン・コクトオ著、澁澤龍彦訳、白水社、2017年8月、本体3,600円、4-6判上製187頁、ISBN978-4-560-09579-9
城の中のイギリス人(愛蔵版)』アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ著、澁澤龍彦訳、白水社、2017年8月、本体3,600円、4-6判上製202頁、ISBN978-4-560-09569-0
抄訳 アフリカの印象』レーモン・ルーセル著、坂口恭平画、國分俊宏訳、いとうせいこう解説、伽鹿舎、2016年8月、本体926円、ライブラリー判並製306頁
ISBN:978-4-908543-04-3

★『超男性』『大胯びらき』『城の中のイギリス人』は原条令子さんによるほれぼれするような美しい装幀に誘われて、軽装版を持っているにもかかわらずまんまと購入。それぞれ中身は、1975年版、1954年版、1982年版の復刻で、書体や組版に当時の雰囲気があります。3点とも手元に揃えるのが正解かと。いっぽう、『抄訳 アフリカの印象』は坂口さんの独特な挿画がとてもいいです。伽鹿舎(かじかしゃ)は熊本市の版元さん。「スタッフ全員が本業を別にもっている非営利の文藝出版社」で週末出版社とも自身を位置づけておられます。編集、造本、販売のそれぞれのこだわりに共感を覚える素敵なチームだと思います。ルーセルの新訳本は同舎のシリーズ「伽鹿舎QUINOAZ(キノアス)」の一冊。文庫より少し大きなライブラリーサイズのシリーズです。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

空間へ』磯崎新著、河出文庫、2017年10月、本体1,400円、584頁、ISBN978-4-309-41573-4
改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』――演出家としてのベケット』堀真理子著、藤原書店、2017年9月、本体3,800円、四六上製288頁、ISBN978-4-86578-138-0
いのち愛づる生命誌(バイオヒストリー)――38億年から学ぶ新しい知の探求』中村桂子著、藤原書店、2017年9月、本体2,600円、四六並製304頁、ISBN978-4-86578-141-0
夜の光に追われて』津島佑子著、津島佑子コレクション;人文書院、2017年9月、本体3,000円、4-6判上製372頁、ISBN978-4-409-15030-6
ジェンダー研究を継承する』佐藤文香/伊藤るり編、人文書院、2017年10月、本体4,800円、A5判上製524頁、ISBN978-4-409-24119-6
貧困と自己責任の近世日本史』木下光生著、人文書院、2017年10月、本体3,800円、4-6判上製330頁、ISBN978-4-409-52067-3
海の民のハワイ――ハワイの水産業を開拓した日本人の社会史』小川真和子著、人文書院、2017年10月、本体4,000円、4-6判上製288頁、ISBN978-4-409-53051-1

★河出文庫さんの新刊『空間へ』は建築家の磯崎新さんの初めての単独著(初版は美術出版社より1971年刊)の文庫化で、磯崎さんの文庫本としては「へるめす」誌での連載をまとめた『建築家捜し』(岩波現代文庫、2005年、品切)以来の新刊です。1960年から68年にかけて各媒体で発表された論考やエッセイを集成したもので、再刊にあたり文庫版あとがきと松井茂さんによる解説が加えられています。初版本の函に印刷されていた瀧口修造さんの推薦文は文庫版あとがきの末尾に全文が転載されています。

★藤原書店さんの9月新刊より2点を挙げます。『改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』』はベケット研究の第一人者が、戯曲『ゴドーを待ちながら』のおびただしい台本改訂と演出ノートの細部に迫る解読本です。「本書のねらいは『ゴドー』の舞台を楽しむために、またその戯曲を味わうための指針となるよう、この作品に秘められた未曾有の仕掛けを明かし、筆者なりに紐解いていくことである」(10頁)。いっぽう、『いのち愛づる生命誌(バイオヒストリー)』は90年代後半から今日に至るまでの間に各媒体で発表されてきた生命誌関連の文章に書き下ろしを加えてまとめたものです。「私が知りたいのは、バクテリアもキノコもミミズもチョウもタンポポも、それぞれがみごとに生きていることであり、みんなでつくる歴史物語です。〔勝者の目線で書かれた〕「史」よりも「誌」にしたいと思ったのはそのためであり、それが思いがけずヒストリーの本来の意味と重なったのでした」(6頁)。2点の目次詳細は書名のリンク先にてご確認いただけます。

★人文書院さんの新刊では発売済2点とまもなく発売の2点を挙げます。まずは発売済み2点。『夜の光に追われて』は「津島佑子コレクション」第Ⅰ期第2回配本。80年代半ばの東京新聞(北海道新聞、中日新聞)での連載小説で、再刊にあたっての底本は講談社文芸文庫版(1989年)とのことです。「生きることの核心」という解説を木村朗子さんがお寄せになっています。『ジェンダー研究を継承する』は現代日本におけるジェンダー研究の先達21名のインタヴューを収めた意義深い大冊。「一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究叢書」の一冊と銘打たれています。続いてまもなく発売の2点。『貧困と自己責任の近世日本史』は奈良県田原村(現在の奈良市東部)に残る「片岡家文書」に記された近世農村の家計のありようから江戸時代の貧困について精密に分析したもの。『海の民のハワイ』は「日本人と海の結びつきに着目した上で、海がもたらす資源に生活の糧を求める人々を海の民と総称し、20世紀におけるハワイの水産業の発展に貢献した日本の海の民の軌跡を、主に社会史的側面から追究」(9頁)したもの。4点の目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。

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# by urag | 2017-10-08 20:05 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)