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2017年 09月 19日 ( 1 )


2017年 09月 19日

メモ(27)

アマゾンが「返品可否の確認」と題した何やらとても抽象的な返品依頼を突如としてメールで送りつけてきました。送信日は、よりによって、今般の「バックオーダー中止以後の概況」についての説明会で提示された直取引をめぐる新条件の、有効期限最終日の日没どきです。非常に嫌なタイミングとしか言いようがありません。

出版社としては次のような反応が当然出てきます。

1)仕入れた取次へ返品すべき。日販か大阪屋栗田か、返品先が不明瞭では了解できない。
2)返品理由が曖昧。長らく不稼働、の「長らく」の基準が示されておらず、アマゾンの需要予測自体がそもそも疑問になってくる。
3)以上のことを問い合わせようにも、メアドと部署名だけで、担当者名も電話やFAXなどの連絡先も何も書いていないのは非常識。
4)回答期限まで3~4営業日しかないのは一方的過ぎる。
5)バックオーダー中止と同じく、このやり方※は版元には「恫喝」に見えがち。

※このやり方・・・アマゾンのメール文中にある「返品不可商品とお返事いただいた銘柄については、弊社では今後返品できない銘柄としてシステムにて認識いたします。その場合、対象銘柄における今後の取り扱い方法や在庫数量について変更する可能性がございます」というくだり【追記:分かりやすく言えば「返品不可なら在庫を持たなくなるかもね」という圧力】。ベンダーセントラルを利用している版元は1点ずつ返品可能かどうかきちんと登録しているわけなので、それをいちいち勝手にアマゾン側が上書きしていくとややこしいことになります。【追記:さる筋の情報によれば、ベンダーセントラルで登録してある返品の可不可は、実際には役に立っていないようです。つまり、版元がアマゾンに登録した属性よりも、現実に適用されるのは取次さんのルール(より正確に言えば「取次=版元」間の取り決め)である、と。考えてみれば当たり前ですね、アマゾンと取引しているのは版元でなく取次なのですから。】

こうしたメールでの返品依頼をこの先アマゾンは、定期的に行なうと宣言しています。このやり方は嫌がらせにしかならないですし、まったくの逆効果だと思います。これは直取引しない版元へのプレッシャーなのでしょうか。それとも取次さんの、アマゾンとの関係がいっそう悪くなっているのでしょうか。

そもそも1)に関して、アマゾンがその細かすぎる発注方法の副作用として、個別の商品についてどこの取次さんから仕入れたのか、分からなくなっているとしたら、恐ろしい話です。この件では取次さんに問い合わせをすでに入れており、一定の解釈(そもそも別会社なので説明は不可能)を聞きました。が、なによりアマゾン側が丁寧に説明すべきなのにこの有様では先が思いやられます。

アマゾンさんのとある上席の方から当ブログをご覧になっていると説明会の席上ではっきりご挨拶いただいたのでこの際申し上げますが、私が説明会後に貴社からいただくはずになっていた配布資料の完全版(数値が出ていない箇所を修正したもの)はいまだに届きません。その資料がないと、貴社の説明会で言われていた「計算」ができず、取引新条件について検証することができないのにもかかわらず、です。それなのに、資料を寄こさない代わりに返品依頼書ですか。貴社が出版社の問い合わせについて猛烈にレスポンスが遅く、満足のいく回答率も低いことはこの業界ではとても有名です(その原因がどこにあるのかははっきりとお伝えしたはずです)。他書店ではできるような「普通の」対応がまったくできておられないのは実に残念です。

今回の件も特に難しい案件ではなく版元は(買切版元でない限り)「普通に」返品入帳できる話なのに、様々な不備のせいで「アマゾンがまた変なこと始めたよ」といううんざりした反応しか引き起こしていないのは、どうにも不合理な話ではないでしょうか。簡単な話をわざわざ難しくしていらっしゃる。

アマゾンがただちにやるべきなのは次のことです。

1)どの銘柄をどの取次から何冊返品するのかきちんと明示すること。
2)返品理由を明快に説明すること。
3)電話で話せる「正式な担当者名と責任者名」を記載すること。
4)メールでの一方的な回答期限の設定はやめること。
5)出版業界の慣例を無視したやり方は反発しか招かないと知ること。

どうしてこんな当たり前のことがアマゾンにはできないのか、理解に苦しみます。説明会で会うスタッフや上席の皆さんのさほど悪くない印象と、こうした圧迫的通告を機械的に繰り返すこととの間のイメージギャップが大きいのも、理解できません。

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「Forbes Japan」ビジネス欄2017年9月20日付、Parmy Olson氏記名記事「トイザらスを破滅させた「アマゾンとの10年契約」」(編集=上田裕資氏)が興味深いです。

「世間がドットコムバブルに沸いた2000年、アマゾンとトイザらスは10年契約を結んだ。これはアマゾン上でトイザらスが唯一の玩具の販売業者となる契約で、トイザらスの公式サイトをクリックするとアマゾン内のトイザらス専用ページに飛ぶ仕掛けになっていた。/この取り組みは当初、アマゾンとトイザらスの両社にメリットをもたらすと見られていた。しかし、アマゾンはその後、トイザらスが十分な商品を確保できていないことを理由に、他の玩具業者らをサイトに招き入れ始めた」。

「十分な商品を確保できていないことを理由に」というのがミソですね。日本でも聞いたことあるような気がします、これに似たセリフ。さらに記事に曰く「書店のBordersも同じ過ちを犯した。Bordersも2001年にアマゾンにオンライン販売を任せる契約を結び、2008年に契約を終了したが、その間にウェブのビジネスをアマゾンに奪われた。アナリストは「彼らは未来を譲り渡してしまった」と述べた」。怖い話です。本当に。

こうした記事を参照しつつ言えば、日本でアマゾンと版元との直取引成約数がいまひとつ伸びていかないらしい最大の理由は、「アマゾンは信頼できる相手なのか分からない」という点にあるのではないか、というのが私の意見です。キンドル・アンリミテッドの件で出版社と揉めたり、某マンガ家さんの作品の配信停止や無料配信で提訴されたり、といった出来事に共通しているのは、「アマゾンはいつも事前通告なしに勝手をやり始める」ということです。これは単なる印象論ではありません。バックオーダー停止問題にしてもそうです。大方の版元に対して、根回しなしで準備もゼロの没交渉ぶりが目立つので、あのさ、こうなるなら最初からちゃんと話し合っておこうよ、とその都度突っ込まれているわけです。

今回の返品問題についてはアマゾンさんからはまだ何も続報はありませんが、取次さんや版元他社さんから様々な情報をいただいて、私自身もようやく少しずつ整理できてきました。「在庫の健全化」というアマゾンさんの一言の裏にどれほどの現実があるか。その全貌はとても掴みづらいのですけれども、アマゾンさん、お互いが信頼し合う上で大事なのは、出版社や取次さんとどれほど「具体的な正しい情報を適切に共有」できるかどうかではないでしょうか。

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【2017年10月3日追記】ようやくメディア事業本部書籍事業企画本部さんから過日の説明会で配布された書類の不備をただしたものがメールで届きました。担当者名なし。チーム制でやっているからなのでしょうけれど、こちらに対しては名指しで来るのに自分は名乗らない。しかも対応が劇的に遅い。もし版元からの対応が遅かったらそれだけでも問題になるのに、アマゾンさんは自分のやることにどこまで甘いんでしょうね。実に腹立たしいですし、情けないです。今さらもらっても取引条件の有効期限はとっくの昔に終わってますから、せめて「不手際があったので有効期限を延長する」などの配慮が欲しいところですが、そんなことは一言も書かれていません。だめだこりゃ。ほんとうにダメだ。このかんも、アマゾンマーケティングサービスからは頻繁に「はじめてよ、はじめようよ」メールが届き、ベンダーシステムからは年末商戦期のプロモーションについて案内が届きます。とにかく版元からお金を吸い上げたくてたまらない、という印象しかないです。ようするに版元との交渉がまったく一元化されていない。てんでんばらばらにやってるだけ。悲しいです。こうした版元の不満をフィードバックしてくださればいいのですけど、繰り返すんですよね、何度も。辛いです。

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by urag | 2017-09-19 12:48 | 雑談 | Trackback | Comments(0)