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2008年 09月 30日

注目新刊:フェリックス・ガタリ『カフカの夢分析』水声社

a0018105_5522271.jpgカフカの夢分析
フェリックス・ガタリ(1930-1992):著 ステファヌ・ナドー(1969-):編註 杉村昌昭:訳
水声社 08年9月 46判上製カバー装162頁 ISBN878-4-89176-694-8

■帯文より:それは予知夢か、あるいは悪夢だったのか? 現代思想最大の異端児ガタリが遺した、カフカ論およびカフカ映画のシナリオ断片をコンパクトに集成。65の夢に導かれた新たなカフカが、いま、ここから〈起動〉する。カフカ/ガタリ機械の誕生。

■目次:
日本語版への序文 (ナドー)
フランス語版への序文 (ナドー)
第一章 カフカの六十五の夢
第二章 カフカ――「過程〔プロセ〕」と「手法〔プロセデ〕」
第三章 カフカバンド
第四章 カフカ映画のためのプロジェクト
編註 (ナドー)
訳者あとがき

■原書:"Soixante-cinq rêves de Franz Kafka", Nouvelles Éditions Lignes, 2007.

★第二章は既訳書『闘走機械』(杉村昌昭監訳、松籟社、96年)にも収録されており、今回改訳したとのことです。

★ナドーの「日本語版への序文」がたいへん印象的です。ドゥルーズ/ガタリの共同作業がドゥルーズ中心に評価される場合が一般的にあるという事態について疑義を呈しています。全文を引用したいほどですが、それは叶いません。序文の最後に、ナドーがなぜこの本を編んだのかが書かれています。特に印象的なので、そこだけ抜書きします。

「ニーチェと同様に、フェリックス・ガタリは、あなたの個人性を失わせる個人性を持った人間のひとりだからである。控えめに言っているのでも、迎合的に言っているのでもない。というのは、これは、あなたがあなたそのものになるという運動を経て、したがって、あなたがあなたの個人性をもっと強力に肯定することによって生じる喪失だからである。ガタリは、あなたがあなたの潜勢力を表現することを可能にする――あなたが同等の潜勢力を持っていさえすれば――人間なのである。このチャンスを、ドゥルーズはつかみ取ったのだ。私自身もまた」(15頁)。

★編者のナドーは、小児精神科医で、ガタリの『アンチ・オイディプス草稿』(05年、未訳)の編纂者でもあります。訳者の杉村さんは最近、ガタリ『三つのエコロジー』の改訳版を平凡社ライブラリーから上梓したばかり。

★本書の関連書にドゥルーズ/ガタリの共著『カフカ――マイナー文学のために』(宇波彰・岩田行一訳、法政大学出版局、78年)があります(写真左)。単なる作品研究でも評論でも哲学でもない、非常に自由なスタイルの思考でカフカを〈読解=起動〉させています。そのスピードと自由度ゆえに、カフカの愛読者はたいていはおいてけぼりを食らうでしょうが、たとえ本書が読めなくても悩むことはないと思います。ドゥルーズ/ガタリを読む際は、まず最初は「考え込むな、感じろ!」という心得でいるのが案外正解のような気がします。
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by urag | 2008-09-30 05:50 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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