2008年 04月 21日

竹内てるよの幻の詩集『美しき時』復刊、オフィスエムより

弊社より詩文集『静かなる夜明け』を刊行させていただいている作家の竹内てるよさん(1904-2001)の幻の詩集『美しき時』が、長野市の出版社オフィスエムさんから発売されました。
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オフィスエムさんのご説明によれば、この詩集はもともと「昭和36(1961)年10月10日、蛍草会出版部(山梨県大月市猿橋町)より発行された」もので、「一人息子である徹也さんの三周忌に、周囲の人たちの善意やプリント印刷の喜多井仁さんのご尽力によって出版されたもの」だそうです。発行所の所在地や奥付に付された百番台のナンバリングから推測して、てるよさんを慕う近隣の人々によって制作されたごく小部数の限定出版物だったろうと思われます。

それが今回、てるよさんのお知り合いだった小倉広子さんを発行者として、実に約半世紀ぶりに新装復刻されました。半世紀前の親本は、国会図書館に所蔵されておらず、古書市場でも見かけることのない、たいへん珍しいものです。収録作は以下の通りです。

序詩/真実/ひとりの時/白梅/冬/坊やよ お前を生かすために/わかれの朝/秋/頬/わたくし/白梅と女/春の静寂/銀鱗/若芽/サルビア/ほたるぐさ/花と微風/秋来る/馬/静かなる朝/誕生の日/生命/あぶれ/粉雪/雪の上の花/女性の幸/むかえ火/ゆきうさぎ/流雲/萩咲く/生きたるは/一つの声/蓮/まんさくの花/黄菊/いのち新し

この内容を見る限りでは、定番詩集『生命の歌』(1941年、第一書房/1946年、南北書園/1949年2月、白林社/1949年12月、甲陽書房/1951年、かんらん社/1983年、渓文社)に収録されている代表作とさほど大きくは変わらないのですが、独自の構成が新鮮で、特に、掉尾を飾る「いのち新し」は、『生命の歌』には収録されたことのないたいへん美しい詩篇です。

私たちは いのちの尊厳を愛し
生きるに難しい今の現象にあわてず
信ずべきを信じ まっすぐに生きてゆく
そのことのいとなみに しっかり立とう
(「いのち新し」より)

新たに加えられた挿画も装丁も美しく、またカラー印刷の瀟洒なしおりが付いています。手元に置いて日々愛読するも良し、親しい友人に贈るも良しの、素晴らしい本になっています。購入は全国書店のほか、オフィスエムさんのウェブサイトからも可能です。ぜひご利用下さい。

美しき時 竹内てるよ詩集
竹内てるよ:著
オフィスエム:発売 小倉広子:発行 08年4月 定価1,575円 46判上製フランス装108頁 ISBN978-4-900918-93-1

「おぼえているでしょうか、あの時が来たのです、いつか私があなたに語った、美しい時が来たのです、人が最も真実でなくてはならない、美しい時が来たのです」。希望の光をつむぐ詩人・竹内てるよ。女性であることの愛と哀しみと慈しみの世界……。47年の歳月を経てよみがえった珠玉の詩集。装幀:石坂淳子、挿画:たけだみよこ。しおり付き(画:たけだみよこ)。
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by urag | 2008-04-21 12:22 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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