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2007年 11月 11日

今週の注目新刊(第123回:07年11月11日)

今週の一番の注目株は朝日選書の『毒ガス開発の父ハーバー』。ノーベル賞受賞者で祖国ドイツに利用されたユダヤ人科学者。毒ガス兵器の開発に反対した妻に自死で先立たれ、アインシュタインからは「才能を大量殺戮のために使っている」と非難されたということです。なんともはや。一方、文庫業界の話題としては、徳間書店から「5次元文庫」が今月9日創刊。初回6点。5次元と言っても、リサ・ランドールなどの物理学の話ではないです。人類の精神的進化とか、そっち系統。


◎注目の文庫、新書、選書

a0018105_3451357.jpg存在と無--現象学的存在論の試み(I) ジャン=ポール・サルトル:著 松浪信三郎:訳 ちくま学芸文庫 07年11月 1,890円 ISBN978-4-480-09106-2 ※待望の文庫化。全3巻で、第II巻は12月、第III巻は来年1月刊行予定。第III巻末尾には北村晋さんによる解説が付されます。編集協力者に北村さん、佐藤真理人さん、松浪未知世さんのお名前あり。

道元「永平広録・頌古」 大谷哲夫:全訳注 講談社学術文庫 07年11月 1,208円  ISBN978-4-06-159845-4 ※同文庫での大谷さんの解説・訳注本は、05年『道元「永平広録・上堂」選』、06年『道元「小参・法語・普勧坐禅儀」』に続く第三弾。

鰐--ドストエフスキーユーモア小説集 沼野充義:編 講談社文芸文庫 07年11月 1,470円 ISBN978-4-06-198496-7

カサノヴァの帰還 アルトゥール・シュニッツラー:著 金井英一+小林俊明:訳 ちくま文庫 07年11月 945円 ISBN978-4-480-42385-6

幼年期の終わり アーサー・C・クラーク:著 池田真紀子:訳 光文社古典新訳文庫 07年11月 780円 ISBN978-4-334-75144-9 ※「初版から36年後に書き直された新版、初の邦訳」とのこと。

パブリック・ジャーナリスト宣言。 小田光康(1964-):著 朝日新書 07年11月 756円 ISBN978-4-02-273182-1 ※PJについての本が朝日新聞社から出るというのは微妙に皮肉。2年前の小田さんの堂々たる宣言文はこちら

エネアデス(抄) (I・II) プロティノス:著 田中美知太郎+水地宗明+田之頭安彦:訳 中公クラシックス 07年11月 各1,628円 ISBN978-4-12-160099-8/978-4-12-160100-1  ※投げ込みの読者アンケートハガキに「小社の『プロティノス全集』(現在品切中、全4巻別巻1)の重版が刊行されれば購読しますか」という項目あり。

毒ガス開発の父ハーバー--愛国心を裏切られた科学者 宮田親平(1931-):著 朝日選書 07年11月 1,260円 ISBN978-4-02-259934-6 ※リンク先で立ち読みもできます。


◎注目の単行本

哲学の歴史(8)社会の哲学 18‐20世紀 進歩・進化・プラグマティズム 伊藤邦武:責任編集 中央公論新社 07年11月 3,675円 ISBN978-4-12-403525-4 ※目次を列記すると、フランスの社会主義、トクヴィル、コント、19世紀フランス哲学の潮流、デュルケム、ベンサム、ミル/スペンサー、アメリカン・プラグマティズム、ホワイトヘッド。次回配本は12月10日予定、第5巻「デカルト革命」小林道夫:責任編集。なお、今回の責任編集者の伊藤さんは新著『宇宙を哲学する』が、岩波書店のシリーズ「哲学塾」から出たばかり。

アウトドア般若心経 みうらじゅん:著 幻冬舎 07年10月 1,365円 ISBN978-4-344-01397-1 ※成立史の一端はウィキペディアで。中沢新一さんが帯に推薦文を寄せています。「この本は現代には少なくなったほんものの仏教書だなあ、と私は思うけど」。インドアの蛍光灯の下でマジメに読もうとするとその色彩に目がチカチカしてきます。野外でリラックスしてなんとなく眺めるのがいいのかも。

シュタイナー マルコ福音書講義 ルドルフ・シュタイナー:著 西川隆範:訳 アルテ 07年10月 2,100円 ISBN978-4-434-11170-9

フロイト全集(9) 1906‐09年 道籏泰三+西脇宏+福田覚:訳 岩波書店 07年10月 4,620円 ISBN978-4-00-092669-0 ※「W・イェンゼン著『グラディーヴァ』における妄想と夢」「精神分析について」をはじめ、全17編。

綺想迷画大全 中野美代子(1933-):著 飛鳥新社 07年11月 3,800円 ISBN978-4-87031-824-3 ※『歯医者さんの待合室』(クインテッセンス出版)連載に加筆して単行本化とのことです。

イメージの帝国/映画の終り 吉本光宏(1961-):著 以文社 07年11月 2,520円 ISBN978-4-7531-0257-0 ※吉本さんといえば、マサオ・ミヨシさんの『抵抗の場へ』(洛北出版)のインタビュアーでもいらっしゃいました。

世界の故事名言ことわざ--総解説 知りたい言葉の由来をよむ知識を育むことば事典〔改訂第8版〕 自由国民社 07年11月 2,940円 ISBN978-4-426-10441-2

市場化の時代を生き抜く図書館--指定管理者制度による図書館経営とその評価 高山正也+南学:監修 図書館総合研究所:編集 時事通信出版局 07年11月 2,940円 ISBN978-4-7887-0771-9 ※たとえばNPO法人「地域資料デジタル化研究会」が運営している「山中湖情報創造館」というのがあります。指定管理者制度にもとづいた全国初の公共図書館だそうで。
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by urag | 2007-11-11 02:28 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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