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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2007年 06月 17日

今週の注目新刊(第102回:07年6月17日)

カール・シュミット著作集(I) 1922-1934
長尾龍一:編 慈学社出版:発行 大学図書:発売 07年6月 9,450円 A5判476頁 ISBN978-4-903425-20-7
●全2巻。福村出版の『現代帝国主義論』、『リヴァイアサン』、『政治神学再論』、ダイアモンド社の『危機の政治理論』といった絶版書を再編集したもの。慈学社ではすでにシュミットの『陸と海と』を再刊しており(初版は福村出版)、『大地のノモス』(やはり初版は福村出版で全二巻)も今秋一巻本で再刊する予定だそうです。著作集第II巻刊行もほぼ同時期の予定。素晴らしいですね。全二巻で収録する論文は以下の通り。付録の各種論文、エッセイも充実していますが、詳細はぜひ現物を手にとって見てください。
■第I巻:「政治神学」長尾龍一訳、「現代議会主義の精神史的状況」樋口陽一訳、「ローマカトリック協会と政治的形態」小林公訳、「議会主義と現代の大衆民主主義との対立」樋口陽一訳、「国際連盟とヨーロッパ」長尾龍一訳、「ライン地域の国際法的諸問題」長尾龍一訳、「中立化と脱政治化の時代」長尾龍一訳、「フーゴー・プロイス」上原行雄訳、「政治的なものの概念」菅野喜八郎訳、「現代帝国主義の国際法的諸形態」長尾龍一訳、「ライヒ・国家・連邦」長尾龍一訳、法学的思惟の三種類」加藤新平+田中成明訳。
■第II巻(1936-1970):「「ドイツ法学におけるユダヤ人」学会への結語」長尾龍一訳【新訳】、「ホッブズと全体主義」長尾龍一訳、「全面の敵・総力戦・全体国家」長尾龍一訳、「レヴィアタン――その意義と挫折」長尾龍一訳、「戦争概念と敵概念」長尾龍一訳、「日本の「アジア・モンロー主義」」長尾龍一訳、「ジャン・ボダンと近代国家の成立」長尾龍一訳、「獄中期――故ヴィルヘルム・アールマン教授を追憶して」長尾龍一訳、「価値による専制」森田寛二訳、「政治神学II――「あらゆる政治神学は一掃された」という伝説」長尾龍一+新正幸訳。

幻の公衆
ウォルター・リップマン(1889-1974):著 河崎吉紀(1974-):訳 柏書房 07年6月 2,940円 46判163頁 ISBN:978-4-7601-3169-3
■帯文より:名著『世論』〔岩波文庫〕に続いて刊行されていた警醒〔ママ〕の書、待望の邦訳! 現代日本を覆う政治的無関心へのリアルな処方箋をも提示する、不朽の晴眼。
●原著は1923年に執筆されたものと訳者あとがきには書いてあります。小著ながら重要な本で、デューイが『現代政治の基礎』(みすず書房、1969年)で、本書からの影響を受けていることを告白しているそうです。

リベルテに生きる――パリ市長ドラノエ自叙伝
ベルトラン・ドラノエ(1950-):著 八木雅子:訳 ポット出版 07年6月 2,310円 B6判233頁
●著者はゲイであることをカムアウトしている市長さんです。

ワルシャワ・ゲットー日記――ユダヤ人教師の記録 〔縮訳版〕
ハイム・A・カプラン:著 アブラハム・I・キャッチ:編 松田直成:訳 風行社 2,415円 B6判240+10頁

アドラーの思い出
G・J・マナスター+G・ペインター+D・ドイッチュ+B・J・オーバーホルト:編 柿内邦博+井原文子+野田俊作:訳 創元社 07年6月 2,625円 46判244頁

ギリシア悲劇全集 (1) アイスキュロス I
岩波書店 07年6月 4,620円 A5判384頁 ISBN978-4-00-091603-5
●全13巻・別巻1。第三次刊行の第三回配本。再刊はたいへんめでたいのですが、こういう古典集成こそなんとか文庫化していただけないものでしょうか。

英雄伝 (1)
プルタルコス:著 柳沼重剛:訳 京都大学学術出版会 07年6月 4,095円 46判453頁

フランス詩大系
窪田般弥:責任編集 青土社 07年6月 8,820円 菊判841+5頁

アフリカ文化論 (1) 南アフリカの歴史と哀しき人間の性
玉田吉行:著 門土社 07年4月 760円 A5判63頁
●ノヴァステラ叢書の一冊。門土社と言えば、77年に刊行されていたチヌア・アチェベの『崩れゆく絆』(古川博巳:訳)の改訳が進んでいるという情報が以前からネットで流れていますが、その後どうなっているのか(あるいは門土社ではないのか)、非常に気になるところです。

聖骸布の男――あなたはイエス・キリスト、ですか?
ガエタノ・コンプリ:監修 講談社 07年6月 3,780円 B4変型79頁 ISBN:978-4-06-213957-1
●世界初実物大ポスター付き(上半身・ネガ画像)というのがすごいですね。どうぜなら全身ポスターにしてほしかったですが、それは難しい要求というものなのでしょう。

MONUMENT FOR NOTHING
会田誠:著 グラフィック社 07年6月 5,040円 A4変形判245頁

遠い視線――Scenes of Vietnam
鳥羽美花:著 New York Art 07年6月 5,040円 27×32cm / 63p
●染色絵画の作品集。

OIL 2006
上本ひとし:著 冬青社 07年7月 3,675円 26×27cm / 75p
●道端の油染みの写真集だそうです。ユニーク。

サメの世界――写真図鑑 第2版
仲谷一宏:文 中村庸夫ほか:写真 データハウス 07年7月 1,575円 46判86頁

京都異国遺産
鶴岡真弓:編著 平凡社 07年6月 2,100円 A5判215頁

***

◎注目の文庫、新書

人間の学としての倫理学
和辻哲郎:著 岩波文庫 07年6月 735円 277+8頁 ISBN978-4-00-381104-7
●『倫理学』全4巻に続いての文庫化。解説は子安宣邦さん。
●今月の岩波文庫は重版再開のラインナップが素敵です。『ソポクレス コロノスの オイディプス』高津春繁:訳、G・ルフェーヴル『1789年-フランス革命序論』高橋幸八郎ほか訳、『ティル・オイレンシュピーゲルの 愉快ないたずら』阿部謹也訳、『ホフマン短篇集』池内紀編訳。

アフリカの印象
レーモン・ルーセル:著 岡谷公二訳 07年6月 HL判410頁 ISBN978-4-582-76613-4
●『ロクス・ソルス』に続いてライブラリー化。巻末エッセイは保坂和志さん。

工手学校――旧幕臣たちの技術者教育
茅原健(1934-):著 中公新書ラクレ 07年6月 924円 345頁

by urag | 2007-06-17 23:46 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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