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2007年 04月 07日

シュタージを描いた映画「善き人のためのソナタ」

フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督(1973-)の初の長編映画『善き人のためのソナタ』(原題"Das Leben der Andern"、2006、136min)をご覧になりましたか。1984年の東独を舞台に、とある劇作家がシュタージ(国家保安省)に監視されるなかで起こっていく一連の出来事を淡々と描いたフィクションです。とても印象的な映画。月並みな言い方ですが、ラストシーンには泣けました。主演のウルリッヒ・ミューエがなんともハマリ役。ガブリエル・ヤレドが作曲し、プラハ交響楽団が演奏した楽曲も心に残ります。

私が行った上映館では『ブレヒト詩集』(みすず書房)と『監視国家―東ドイツ秘密警察 [シュタージ] に引き裂かれた絆』(アナ・ファンダー著、白水社、2005年)が販売されていました。ブレヒトの美しい詩が映画の中で効果的に引用されています。

シュタージ関連で現在入手できる書籍はかなり少ないようで、上記のオーストラリア人作家によるルポルタージュ『監視国家』と、イギリスの歴史家ティモシー・ガートン・アッシュ(1955-)による回想録『ファイル―秘密警察 [シュタージ] とぼくの同時代史』(みすず書房、2002年)くらいです。後者は1970年代後半に、東西ドイツにまたがってナチスへの抵抗運動の歴史を調査研究していた著者が、シュタージに自身が監視されていたことを統一後のドイツで公表された資料から知ったことによって書かれた、ユニークな本です。

このほかにも、日本人研究者によるもので、桑原草子『シュタージ [旧東独秘密警察] の犯罪』(中央公論新社、1993年)という本がありましたが、現在は絶版。東独以外の国での秘密警察を扱っている本もやはり多くはありません。現在進行形の「暗部」でもあるわけでしょうから、後世の歴史家が明らかにしてくれるのを待つしかないのですね。
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by urag | 2007-04-07 17:58 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
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