2007年 03月 18日

今週の注目新刊(第90回:07年3月18日)

◎注目の文庫・新書・ライブラリー

カジノ資本主義
スーザン・ストレンジ(1923-1998):著 小林襄治:訳
岩波現代文庫 07年3月 1,260円 文庫判334+22頁 ISBN978-4-00-600172-8
●「西側世界の金融システムは急速に巨大なカジノ以外の何物でもなくなりつつある」という一文で始まる本書は、原著が86年に刊行されたものですが、最初の数頁を読むだけでも、自分たちが生きている世界を皮肉なまでに正確に描いていて、まったく古びていないことが分かります。本当に怖い本です。
●訳者先生が文庫版へのあとがきの末尾に「本書は時論であるが、政治経済学と歴史を学ぶ古典でもある」と書かれていますが、まさに現代の古典です。本書をきっかけに、岩波で刊行された『国家の退場』や『マッド・マネー』なども続けて文庫化してもらいたいですね。

深き淵よりの嘆息--『阿片常用者の告白』続篇
ド・クインシー:作 野島秀勝:訳
岩波文庫 07年3月 630円 文庫判259頁 ISBN:978-4-00-322672-8
■カバー紹介文より:その夢の記述はフロイトに先駆け、脳髄を羊皮紙にたとえた一章はデリダの文体論を先取りしている。
●先月に引き続き、野島訳の第二弾。第一弾『阿片常用者の告白』はかつて岩波文庫では田部重治訳が1937年に刊行され、90年代まで復刊されていたりしました。

フロイト=ユンク往復書簡(上)
W・マクガイアー+W・ザウアーレンダー:編 金森誠也:訳
講談社学術文庫 07年3月 1,008円 文庫判285頁 ISBN978-4-06-159812-6
●1906年4月11日付のフロイト書簡に始まる、7年間全360通の文通の記録。上巻では06~09年の書簡を収録。
●既訳に平田武靖訳『フロイト/ユング往復書簡集』上下巻(ウィリアム・マグァイア:編、誠信書房、1979-1987年)があります。 

倫理学 (3)
和辻哲郎:著
岩波文庫 07年3月 987円 文庫判468頁 ISBN978-4-00-381102-3

国語学原論 (上)
時枝誠記(1900-1967):著 07年3月 735円 文庫判300頁 ISBN978-4-00-381501-4
●先駆的なソシュール批判の書がついに文庫化。全2巻。

テロリスト群像 (上下)
サヴィンコフ:著 川崎浹:訳
岩波現代文庫 07年3月 1,050円/1,155円 ISBN978-4-00-603149-7/ISBN978-4-00-603150-3
●ロープシン名義の『蒼ざめた馬』も昨年11月、岩波現代文庫に収録されています。サヴィンコフは本名。

ブレーメンの音楽師 改版
グリム:著 植田敏郎:訳
新潮文庫 07年2月 500円 文庫判305頁

あらしのよるに (2)
きむらゆういち:著 あべ弘士:絵
講談社文庫 07年3月 500円 文庫判94頁
●第1巻は05年12月に刊行されています。

バール、コーヒー、イタリア人--グローバル化もなんのその
島村菜津(1963-):著
光文社新書 07年3月 756円 新書判234頁
■版元紹介文より:バールは単にお酒を提供するカウンター形式の店でもないし、喫茶店とも少し違う。気軽に入れる立食中心の店で、時にケーキ屋やジェラート屋、タバコ屋、トトカルチョ屋、コンビニにも化ける。そんなバールが、人口五八〇〇万の国に、個人経営の店を中心に一五万五六〇九軒も存在する(二〇〇六年)。イタリアの象徴、そして、スタバ化、マクドナルド化に抗う最後の砦としてのバールの魅力を、書き尽くす!

ゲーム的リアリズムの誕生--動物化するポストモダン(2)
東浩紀(1971-):著
講談社現代新書 07年3月 840円 新書判339頁 ISBN978-4-06-149883-9
●5年半ぶりの姉妹編。東さんは現在、東京工業大学世界文明センター特任教授。今月は対談集『コンテンツの思想』(青土社)も刊行されています。略歴によれば、来月より講談社BOXから評論集3巻本を刊行する予定だそうです。

「生きている」を見つめる医療--ゲノムでよみとく生命誌講座
中村桂子(1936-)+山岸敦(1972-):著
講談社現代新書 07年3月 798円 新書判270頁

もうひとつのルネサンス
岡田温司(1954-):著
平凡社ライブラリー 07年3月 1,680円 文庫変形判438頁

***

◎注目の単行本新刊

生きさせろ!――難民化する若者たち
雨宮処凛:著
太田出版 07年3月 1,365円 B6判284頁
●大注目!

フェアトレード@Life--お買い物でイイことしよう
藤原千尋:著
春秋社 07年3月 1,785円 新書判219+13頁

ナノフューチャー--21世紀の産業革命
J・ストーズ・ホール:著 斉藤隆央:訳
紀伊国屋書店 07年3月 2,520円 46判428頁

2027--ボヤボヤしてたら、すぐやってくる。2027年のお話。
古屋蔵人+小田島等:物語 黒川知希:挿画 古屋蔵人:編集
ブルース・インターアクションズ 07年4月 1,995円 46判253頁
●売り文句は「ライターやデザイナー、ミュージシャンなどが科学的な考証や学術的な統計を無視した20年後の世界を予測」とのこと。無視しているのがいい。

リービヒ『化学の農業および生理学への応用』
J・v・リービヒ(1803-1873):著 吉田武彦:訳・解題
北海道大学出版会 07年2月 11,550円  A5判409頁

死を考える事典
ハワース+リーマン:編 荒木正純:監訳 幸野良夫+武井摩利:訳
東洋書林 07年3月 16800円 A4変型判上製函入688頁 ISBN978-4-88721-714-0
■版元紹介文より:百名を超える専門家が「死」を総括した“読む事典”。医学・政治・宗教・民間伝承・芸術・映画・哲学・社会問題など広範囲の領域から五百項目を精選。避けられない死と、生への執着の末に、人間が死の探求者になった経緯が見てとれる。山折哲雄推薦――死とは何か? その見分けがつかない危機的な時代、本書は死に関する万華鏡を提示しつつ縦横無尽にその謎解きをする。

ル・コルビュジエ事典
ジャック・リュカン:監修 加藤邦男:監訳
中央公論美術出版 07年2月 57,750円 A4変形判646頁
●高すぎて買えない? 気にするな、図書館にリクエストだ!

遠くの都市
ジャン=リュック・ナンシー(1940-)+ジャン=クリストフ・バイイ(1949-):著 小倉正史:訳
青弓社 07年3月 2,100円 46判121頁

来たるべきデリダ--連続講演「追悼デリダ」の記録
コスタス・ドゥージナス:編 アラン・バディウ+スラヴォイ・ジジェク+ジャック・ランシエール+エティエンヌ・バリバール+ジャン=リュック・ナンシー+G・C・スピヴァク+ドゥルシラ・コーネル+J・ヒリス・ミラー:著 藤本一勇:監訳 澤里岳史+茂野玲:訳
明石書店 07年3月 2,940円 46判350頁 ISBN978-4-7503-2492-0
●原著に先行して日本語訳が刊行。すごいですね。

セガレン著作集 (7) 絵画/想像のものたち
ヴィクトル・セガレン:著
水声社 07年3月 8,400円 A5判638頁
■未完の短編小説集「想像のものたち」、幻想文学論「〈神秘的なもの〉に関する試論」などを収録。

物語 嘘の歴史--オデュッセウスからピノッキオまで
マリーア・ベッテッティーニ:著 谷口伊兵衛+G・ピアッザ:訳
而立書房 07年3月 2,625円 A5判141頁

フェアリーテール--老少女綺譚
やなぎみわ:著 セス・ヤーデン:英訳
青幻舎 07年2月 4,410円 A4変形判92頁

世界ノ夜景
丸々もとお(1965-):文 丸田あつし(1968-):写真
ダイヤモンド・ビッグ社 07年3月 2,625円 21×24cm / 143p

白系ロシア人と日本文化
沢田和彦(1953-)著
成文社 07年2月 3,990円 A5判390頁

江戸の出版事情
内田啓一(1960-):著
青幻舎 07年3月 1,890円 B5判119頁

私のとっておきの本棚--クルマとバイクの本屋のつぶやき
藤井孝雄(1946-):著
二玄社 07年3月 1,365円 B6判198頁
●著者は書店「リンドバーグ」社長。
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by urag | 2007-03-18 19:28 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(0)
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