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2007年 02月 12日

ボードレールのマスコミ嫌悪

「いかなる新聞も、最初の一行から最後の一行まで、ぞっとするような事どものつづれ織りでしかない。戦争、犯罪、盗み、淫行、拷問、君主たちの犯罪、諸国民の犯罪、個人の犯罪、普遍的な残虐の陶酔だ。/そしてこの胸の悪くなるような食欲増進剤【ルビ:アペリチフ】を、文明人は毎朝の食事に添えるのだ。あらゆるものが、この世では、犯罪の汗を滲ませている、新聞も、壁も、人の顔も。/純潔な手が嫌悪の痙攣をおこさずに新聞に触れ得ることが、私には理解できない」(ボードレール遺稿集「赤裸の心」44節より。阿部良雄訳『ボードレール批評(4)』所収、ちくま学芸文庫、1999年、129頁)。

"Tout journal, de la première ligne à la dernière, n'est qu'un tissu d'horreurs. Guerres, crimes, vols, impudicités, tortures, crimes des princes, crimes des nations, crimes des particuliers, une ivresse d'atrocité universelle. / Et c'est de ce dégoûtant apéritif que l'homme civilisé accompagne son repas de chaque matin. Tout, en ce monde, sue le crime : le journal, la muraille et le visage de l'homme. / Je ne comprends pas qu'une main puisse toucher un journal sans une convulsion de dégoût". Mon coeur mis à nu : journal intime, 1887, par BAUDELAIRE, Charles (1821-1867).

ボードレールの毒舌にはしばしばうんざりするのですが、時には鋭い文明批評もあるわけで。百年以上経っても、新聞紙上を賑わすような事件の数々は相変わらず日々起こっているし、それを取り上げる新聞記者もまた無垢ではありえないという。

阿部良雄訳『ボードレール全詩集』全2巻はちくま文庫で入手出来ます。しかし同氏訳『ボードレール批評』全4巻が学芸文庫から出ていて品切。ちくま文庫に移して品切にならないよう、版元さんには切にお願いしたいところ。学芸文庫にはこのほかにも信じがたいような品切書目がちらほら。復刊ドットコムに任せていないで、せめて岩波書店みたいにウェブ上で「復刊リクエスト受付」のページを作ればいいのに。

各社にお願いしたい。文庫は特に、品切書目一覧をウェブで公開して、どれが復刊されてほしいか、チェックボックスなどで簡単にリクエストできるようになってほしい。

今月21日発売予定の、岩波文庫の一括重版はなかなかいいラインナップですね。楽しみ。
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by urag | 2007-02-12 12:09 | 雑談 | Trackback | Comments(2)
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Commented by yn at 2007-02-12 13:49 x
岩波文庫ですが、さまざまな重版を継続し続けるのは大変喜ばしいこと(というか当然のこと)です。近年の文庫・新書ラッシュに影響されてのことでしょうか、岩波文庫の重版点数は増加傾向にあります。しかし、所詮は重版なわけで、かなり古色蒼然とした旧字体の翻訳をそのまま重版する場合も少なくありません。他方で、岩波文庫の新刊では、レヴィナス『全体性と無限』などに象徴されるように、他社で既訳があるものを新訳するという野心的な試みが最近は目立ちます。しかしながら、他社の既訳を新訳文庫化する以前に、自社文庫の新訳にも力を注いでほしいとつねづね思いますね。岩波文庫も価格1000円を軽々と突破したんだから、読者のためにそれぐらいはしてもいいのではないでしょうか。
Commented by urag at 2007-02-13 13:56
ynさんこんにちは。自社文庫の新訳にもっと力を注いでは、とのご意見、まったくごもっともです。むろんこれまでも新訳が実在していますし、新訳準備中の企画もあることでしょう。訳者に恵まれるかどうかという問題があって、これまで出ていた書目をカバーするのはたぶん無理でしょうね。いっぽうで、古典にかんしては、旧訳を絶版にするのももったいない話です。特にギリシア語の翻訳。たとえばオデュッセイアやイリアスは新しい松平訳だけでなく、呉訳を残してもいいのになと思います。イリアスは幸いなことに平凡社ライブラリーで手に入りますが。


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