「ほっ」と。キャンペーン
2007年 02月 04日

今週の注目新刊(第85回:07年2月4日)

a0018105_20503969.jpg
幼児期と歴史--経験の破壊と歴史の起源
ジョルジョ・アガンベン(1942-):著 上村忠男:訳
岩波書店 07年1月 46判上製262頁 ISBN978-4-00-025457-1
■帯文より:言語と歴史の理論の革命的な転換を目指し、来たるべき思想の課題に鮮明な輪郭を与えてきた思想家の出発を告げる書。現代思想の閉塞を突破する第三の扉。
■目次:序--言語活動の経験/インファンティアと歴史--経験の破壊にかんする論考/おもちゃの国--歴史と遊戯にかんする省察/時間と歴史--瞬間と連続の批判/君主とカエル--アドルノとベンヤミンにおける方法の問題/おとぎ話と歴史--プレセペにかんする考察/ある雑誌のための綱領/訳者解説--アガンベン読解のための第三の扉/訳者あとがき
●1978年に刊行され、2001年には新版が刊行されているアガンベンの初期代表作の待望の翻訳です。インファンティアもしくはインファンスというのは、言語を獲得する前段階の状態を指します。幼児期とも訳されますが、日本語からだと含蓄がつかみづらいかもしれません。リオタールの本に『インファンス読解』(未来社)という本がありましたが、リオタールの本は原書ではアガンベンのあとに刊行されたものです(1991年)。
●弊社より刊行させていただいた『アウシュヴィッツの残りのもの』では言語を失う極限状態についての考察がありました。『幼児期と歴史』もそうですが、言語の獲得や喪失について単純に語っているのではなく、言語以前の、いわばことばが生まれてくる「場」についてアガンベンは一貫して考察を続けているのだと言えるかも知れません。このほかにもアガンベンの著書には『言語と死』というハイデガー論があって、長らく原書では品切になっていますが、将来的に改訂版や新版が刊行されることを期待したいと思います。
●訳書の右側に写っている二冊は、ここ最近イタリアで刊行されたアガンベンの本です。真ん中は今年一月にボラーティ・ボーリンギエリ社から刊行された『ニンフ〔Ninfe〕』。仏訳論文集『イメージと記憶』に先行して翻訳掲載されていた"Nymphae"のオリジナル・テキストです。57頁の小さな本。ざっと見る限りでは、大きな加筆訂正はなさそうです。右端の小さな赤い本はノッテテンポ社から昨年10月に刊行されたリーフレット『装置とはなにか〔Che cos'è un dispositivo?〕』※です。前回の『涜神』(弊社刊)のときのように、こうしたリーフレットがいくつか先行出版されて、後日それらを含む単行本が刊行される、というパターンでしょうか。
※オリジナル原稿からの日本語訳がすでに存在することは皆様ご存知の通りです。高桑和巳訳「装置とは何か?」(『現代思想』06年6月号・特集「アガンベン――剥き出しの生」所収)。

マニュファクチャリング・コンセント--マスメディアの政治経済学 全2巻
ノーム・チョムスキー+エドワード・S・ハーマン:著 中野真紀子:訳
トランスビュー 07年2月 3,990円/3,360円 A5判401頁/298+15頁

ワーキング・プア--アメリカの下層社会
デイヴィッド・K・シプラー:著 森岡孝二+川人博+肥田美佐子:訳
岩波書店 07年1月 2,940円 B6判397+7頁

確かさを求めて--数学の基礎についての哲学論考
M・ジャキント:著 田中一之:監訳
培風館 07年1月 3,990円 A5判338頁

ぼくの血となり肉となった五〇〇冊そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊
立花隆(1940-):著
文芸春秋 07年1月 1,890円 46判541頁

エセー(2)
ミシェル・ド・モンテーニュ:著 宮下志朗:訳
白水社 07年2月 2,205円 46判365頁

空飛ぶかえるの旅行家--ロシア作家の創作昔話
ガルシンほか:作 河葉田たか子:訳 フィリップ・キイー:画
銀の雫:発行 日本エディタースクール出版部:発売 07年1月 1,575円 B5変形83頁
■収録作品:F・M・ガルシン「空飛ぶかえるの旅行家」、D・N・マーミン‐シビリャーク「灰色の首のカモ」 、L・N・トルストイ「作男エメリャーンと空っぽのたいこ」、L・N・トルストイ「公正な裁判官」、 I・S・トゥルゲーネフ「命のしずく」
[PR]

by urag | 2007-02-04 19:42 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(3)
トラックバックURL : http://urag.exblog.jp/tb/5076801
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by 吉田 at 2007-02-10 05:52 x
Homo sacer II-2 も出版されましたね。Il Regno e la Gloria (Vicenza: Neri Pozza, 2007) http://www.neripozza.it/schedelibri/2006/novembre/regno_gloria.html
『言語と死』はまもなく独訳が刊行予定と聞きます。
Commented by urag at 2007-02-11 23:01
吉田さんこんにちは。早耳でいらっしゃいますね。私の周囲でも話題になっています。素晴らしい力作です。
Commented by survivart at 2007-03-30 15:48
翻訳家の中野真紀子さん等が出演するトークイベントを、4月21日に行います。これは先日始まったYouTube連動展覧会「Double Cast」の関連イベントなのですが、よろしければぜひご参加下さい。詳細はサイトでご確認ください。
http://doublecast.survivart.net/event/index.html#t06


<< よく売れています:森山大道『新宿+』      2月26日発売予定:ネグリ『芸... >>