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2006年 11月 12日

今週の注目新刊(第75回:06年11月12日)前編

a0018105_1184288.jpgフロイト全集(17) 1919-22年 不気味なもの/快原理の彼岸/集団心理学
須藤訓任(1955-)+藤野寛(1956-):訳
岩波書店 06年11月刊 4,620円 A5判429頁 ISBN:4-00-092677-2
●全22巻別巻1のうちの、記念すべき第1回配本。ホフマンの小説「砂男」を論じた高名な論文「不気味なもの」や、生への本能と拮抗する死の欲動(タナトス)を論じた後期代表作「快楽原則の彼岸」の新訳がこの時期に読めるのは本当に嬉しいですね。時代にぴったりな気がします。
●全22編収録:不気味なもの/快原理の彼岸/集団心理学と自我分析/意識の機能に関するE・T・A・ホフマンの見解/戦争神経症者の電気治療についての所見/夢学説への補遺/女性同性愛の一事例の心的成因について/分析技法の前史にむけて/アントン・フォン・フロイント博士追悼/ある四歳児の連想/J・J・パットナム著『精神分析論集』への序言/クラパレード宛書簡抜粋/精神分析とテレパシー/夢とテレパシー/嫉妬、パラノイア、同性愛に見られる若干の神経症的機制について/ヨーゼフ・ポッパー=リュンコイスと夢の理論/J・ヴァーレンドンク著『白昼夢の心理学』へのはしがき/賞授与/懸賞論文募集/無意識についてひとこと/レーモン・ド・ソシュール著『精神分析の方法』へのはしがき/メドゥーサの首
●第2回配本は07年1月「第7巻:1901年 日常生活の精神病理学」、第3回は07年3月「第4巻:1900年 夢解釈I」の予定。

クレペリン回想録
エミール・クレペリン(1856-1926):著 影山任佐(1948-):訳
日本評論社 06年11月刊 5,250円 A5判255+38頁 ISBN:4-535-98196-5
●ドイツ精神医学の重鎮の回想録が公刊されたのは、没後半世紀以上を経てのこと。本書の末尾のほうで、第一次世界大戦期における一介の愛国者としての活動が手短かに淡々と綴られているのが印象的でした。

一般言語学 第二回講義――リードランジェ/パトワによる講義記録
小松英輔:編 相原奈津江+秋津伶:訳
エディット・パルク 06年11月刊 3,675円 A5判318頁 ISBN:4-901188-05-4
●同社より03年に刊行された「第三回講義――コンスタンタンによる講義記録」に続く、講義録の翻訳第2弾です。
●同じく第2回講義を扱ったものに、ゴデル編:『言語学序説』(山内貴美夫:訳、勁草書房、1971年)、リードランジェ筆記録:『ソシュール講義録注解』(前田英樹:訳、法政大学出版局、1991年)があります。

超人類へ!――バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会
ラメズ・ナム:著 西尾香苗:訳
インターシフト:発行 河出書房新社:発売 06年11月刊 2,310円 46判299頁 ISBN:4-309-90698-2
■帯文より:ケータイから脳-脳コミュニケーションへ! “脳、IT、遺伝子”、技術の融合から超人類が生まれつつある。脳から脳へテレパシーのように思いを伝える(米国防省が実験を推進)など、驚異の生体情報社会の到来を、世界中で活用されているウェブソフトInternet Explorerの開発者が告げる!
■原書:"More Than Human: Embracing the Promise of Biological Enhancement" by Ramez Naam, 2005, Doubleday.
●トンデモ本ではない(はずです)し、SFでもありません。それだけに、かえって恐いです。Ghost in the Shellの世界はすぐそこにあるのでしょうか。

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シネマ2*時間イメージ
ジル・ドゥルーズ(1925-1995):著 宇野邦一+石原陽一郎+江沢健一郎+大原理志+岡村民夫:訳
法政大学出版局 06年11月刊 4,935円 46判403+88頁 ISBN:4-588-00856-0
■帯文より:映画を思考することによって時間や運動をめぐる哲学の新たな概念を創出する。ドゥルーズの思想が多様に注入され再編成された結晶を示す。
●長年待っただけに出版が奇跡のようにすら感じるのは私だけでしょうか。宇野さん以外の訳者の皆さんは皆60年代生まれで、宇野門下でいらっしゃるようです。書店店頭で配布されていた版元のチラシによれば、『シネマ1*運動イメージ』は来年07年6月刊行予定とのことです。待ち遠しいですね。

ビル・ヴィオラ はつゆめ
ビル・ヴィオラ(1951-):著
淡交社 06年11月刊 2,940円 B5変形判210頁 ISBN:4-473-03348-1
■版元紹介文より:森美術館で今年10月14日より開催される同名展のカタログ。兵庫県立美術館に巡回。本書は、アジア初となる大規模な展覧会の出品作を核としながら、ヴィオラ芸術の全容を回顧できる内容。論文は海外の研究者が執筆、資料編も充実。
●今回の本は「アジア初となる個展「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」の公式カタログ」だそうです。70年代の初期作品から、04年の「ラフト/漂流」までの代表的な全28作品が紹介され、ロングインタヴューが併載されています。英語版も同時発売。
●ヴィオラはニューヨーク生まれのヴィデオ・アーティスト。「80年代に日本に滞在し、禅思想や能などの伝統芸能に親しむなかで、独特の創作世界を構築」したと版元が紹介しています。

とびこえよ、その囲いを――自由の実践としてのフェミニズム教育
ベル・フックス:著 里見実:監訳 朴和美+堀田碧+吉原令子:訳
新水社 06年11月刊 2,940円 A5判254頁 ISBN:4-88385-093-5
●フックスの提唱する「関与の教育学」は、パウロ・フレイレやティク・ナット・ハンから影響を受けて編み出されたものだそうです。フレイレを敬愛してやまない私にとっては、フェミニズムの範疇で捉えていたフックスの更なる一面を発見することになり、とても興味深いです。

時代病としての癌の克服
リタ・ルロア:著 高橋弘子+高橋明男:訳
水声社 06年11月刊 1,890円 46判157頁 ISBN:4-89176-616-6

ハイデガーと和辻哲郎
H・P・リーダーバッハ:著 平田裕之:訳
新書館 06年11月刊 3,990円 A5判299頁 ISBN:4-403-12019-9
●著者は関西学院大学社会学部助教授。

ブルデューとルーマン――理論比較の試み
アルミン・ナセヒ(1960-)+ゲルト・ノルマン(1967-):編 森川剛光:訳
新泉社 06年11月刊 3,675円 A5判277+30頁 ISBN:4-7877-0613-6

構築主義を再構築する
赤川学(1967-):著
勁草書房 06年11月刊 2,940円 46判358+18頁 ISBN:4-326-65319-1

歴史家の自画像――私の学問と読書
阿部謹也(1935-2006):著
日本エディタースクール出版部 06年11月刊 1,680円 46判191頁 ISBN:4-88888-371-8

埴谷雄高〈死霊〉論
藤一也:著
沖積舎 06年10月刊 15,750円 46判703頁 ISBN:4-8060-4722-8

グレート・ギャツビー
スコット・フィッツジェラルド(1896-1940):著 村上春樹(1949-):訳
中央公論新社 06年11月刊 2,730円 A5判319頁 ISBN:4-12-003782-7
●こちらは愛蔵版で、書き下ろし作「『グレート・ギャツビー』に描かれたニューヨーク」を収録した小冊子付。同時発売で、「村上春樹翻訳ライブラリー」からも同訳書が刊行されています。ライブラリー版は新書サイズで定価861円 (ISBN:4-12-403504-7)。
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by urag | 2006-11-12 22:02 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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