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2006年 10月 08日

今週の注目新刊(第70回:06年10月8日)

◎注目の文庫、新書

海に住む少女 / シュペルヴィエル:著 / 光文社古典新訳文庫 / 500円
黒猫/モルグ街の殺人 / ポー:著 / 光文社古典新訳文庫 / 480円
イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ / トルストイ:著 / 光文社新訳文庫 / 660円
帝国主義論 / レーニン:著 / 光文社古典新訳文庫 / 600円

●「文化通信」速報版の11日付けの一行記事によれば、「光文社、古典新訳文庫が好調。古典作品の力を証明」とのことですね。ラインナップがいいのか、それとも光文社の販促が優れているのか、前者を取り上げる評者はあちこちにいますが、私個人は後者に重点を置いた分析が必要なのではないかと思います。[追記:10月14日]

●古典新訳文庫次回の刊行は11月9日(木)発売で、以下の4点5冊が予定されています。シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア (上・下)』小尾芙佐訳、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 (2)』亀山郁夫訳、ゴーゴリ『鼻/外套/査察官』浦雅春訳、ディケンズ『クリスマス・キャロル』池央耿訳。投げ込みチラシによれば、12月以降は毎月2点刊行で、12月がコクトー『恐るべき子供たち』中条省平・中条志穂訳、ワイルド『ドリアン・グレイ』仁木めぐみ訳。1月発売は、シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』安西徹雄訳、ミル『自由論』山岡洋一訳。ミルの新訳文庫というのは岩波文庫への挑戦の姿勢が感じられていいですね。

My読書ノート / 小学館文庫 / 250円 / ISBN:4-09-418709-X
暴力に逆らって書く--大江健三郎往復書簡 / 大江健三郎:著 / 朝日文庫 / 735円 / ISBN:4-02-264372-2

●「My読書ノート」はカバーが何だか小洒落た感じで、中高年男性には受けないようなきがしますが、別にターゲットはそこじゃないのかな。大江さんの本はソンタグ、チョムスキー、サイード、センらとの往復書簡が含まれるため、単行本が人文書でも売れましたよね。今回の文庫化でさらに売れそう。

1968年 / スガ秀実(1949-):著 / ちくま新書 / 903円 / ISBN:4-480-06323-4
聞き書きダライ・ラマの言葉 / 松本栄一(1948-):著 / 生活人新書:NHK出版 / 777円 / ISBN:4-14-088194-1
美しい都市・醜い都市--現代景観論 / 五十嵐太郎(1967-):著 / 中公新書ラクレ / 798円 / ISBN:4-12-150228-0
腐女子化する世界--東池袋のオタク女子たち / 杉浦由美子(1970-):著 / 中公新書ラクレ / 756円 / ISBN:4-12-150229-9

◎注目の単行本

a0018105_13163784.jpg路上派遊書日記 / 南陀楼綾繁:著 / 右文書院 / 2,310円 / ISBN:4-8421-0075-3
ゲーテと読む世界文学 / ゲーテ:著 / 高木昌史:編訳 / 青土社 / 2,520円 / ISBN:4-7917-6297-5
イノック・アーデン / A・テニスン(1809-1892):著 / 原田宗典:訳 / 岩波書店 / 1,680円 / ISBN : 4-00-022158-2

●南陀楼さんの新刊は昨年一年間のブログエントリーをまとめたもの。註を300箇所付けたというのもすごいけれど、本書の奥行きが一番分かるのは何といっても「索引」。この索引に出ている固有名ないし事項についてすべて知っている読者がいたら相当に「業界通」でしょう。ぜひ一度ご覧になってください。

●南陀楼さんのブログの10月12日のエントリーを読んで爆笑。「実家に電話をかけると、母親がなんか怒っている。『路上派遊書日記』を送ったのだが、それを読んで、好き勝手な生活をしていると腹を立て、さっき怒りの手紙を郵便局で投函してきたところだと」。身につまされるお話です。[10月14日追記]

●アーデンの名著は今から約150年前にイギリスで「即日1万4000部を売り尽くした」そうで、当時のイギリスの書店事情や出版事情がどんなものだったのか、非常に興味深いところです。

ハイデッガー全集 (8) 思惟とは何の謂いか / 創文社 / 5,775円 / ISBN:4-423-19645-X
意識の起源史 改訂新装版 / エーリッヒ・ノイマン(1905-1960):著 / 林道義:訳 / 紀伊国屋書店 / 5,985円 / ISBN:4-314-01012-6

●『思惟とは何の謂いか』はかつて同社から同訳者による翻訳で1986年に刊行されていた『ハイデッガー全集 別巻(3)思惟とは何の謂いか』のいわば改訂版のようなもの。86年版はすでに絶版で、再刊の予定は全くないとのこと。より正確に言うと、86年版の底本はマックス・ニーマイヤー社版の単行本で、今回の新訳はヴィットリオ・クロスターマン社版の全集本。訳者あとがきによれば、「このたび改めて全集版の本書を翻訳するにあたっては、精確を期しつつも、単行本のときよりも読みやすい訳文を目指し、ギリシア語やドイツ語の原語の植え込みも極力避けるようにした」とのことです。
●『思惟とは何の謂いか』第二部第6時間目174頁(訳書184頁)より――「思惟の-道は、走り固められた車道のように、どこかからどこかへと延びているのではない。思惟の-道は一般にそれ自体で目のまえにあるというのでもない。歩むことが、つまりここでは思惟しつつ問うことがはじめて、そしてただこのことだけが、道を-歩み開くことである。道を-歩み開くことは、道を生ぜしめることである。思惟の道のこのような性格は、思惟の先-駆性に属しており、その先-駆性は、それ自身或る謎に満ちた寂寥に成り立っている。ただこの寂寥という語が感傷的でない、或る高い意味で受け取られた場合であるが」。
●ノイマンの大著は初版が85年で上下巻でした。今回は訳を改訂し、新規図版を収録したとのことです。

聖書 スタディ版 / 日本聖書協会 / 9,800円 / ISBN:4-8202-1267-2
聖書植物大事典 / ウイリアム・スミス:編纂 / 国書刊行会 / 9,450円

●「大事典」は版元の説明によれば、「1863年に英国で公刊された歴史的大著『聖書事典』から、植物に関する項目およそ100を翻訳・編成し、全項目に細密図版を付した。『聖書動物大事典』の姉妹編」とのこと。

〈テロル〉との戦争--9.11以後の世界 / 西谷修(1950-):著 / 以文社 / 2,520円 / ISBN:4-7531-0249-1
闇を撃つ--Secrecy and the Future of America / ローレンス・レペタ(1951-):著 / 石井邦尚:訳 / 日本評論社 / ISBN:4-535-58486-9

●西谷さんの新刊は、2002年の旧著『「テロとの戦争」とは何か』に「新論文・エッセイを加えた新装決定版」とのことです。

ロゴラウンジ 3 / キャサリン・フィシェル:編 / グラフィック社 / 3,990円 /
次世代の空間デザイン21名の仕事 / 高橋正明:編著 / グラフィック社 / 3,675円
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by urag | 2006-10-08 10:19 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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