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2006年 09月 17日

今週の注目新刊(第67回:06年9月17日)

a0018105_141247.jpg地上の迷宮と心の楽園
J・A・コメニウス(1592-1670)著 藤田輝夫(1941-2004)訳 相馬伸一監修
東信堂 06年8月刊 3,780円 A5判上製268頁 ISBN4-88713-703-6
■帯文より:チェコ国民文学の古典、待望の発刊! 三十年戦争下の絶望的状況のなか、現世の虚偽への批判を通して心への回帰に至ったコメニウスの精神の軌跡が描かれる。
●「コメニウス・セレクション」の記念すべき第一回配本です。優れた教育者として著名なコメニウス(コメンスキー)ですが、著書の翻訳出版にはこれまでに以下のものがありました。

『聖の世界と教育』、辻幸三郎訳(『大教授学』第1章~第14章までの抄訳で、Keatinge英訳からの重訳)、目黒書店、1924年
『大教授学』、稲富栄次郎訳(Keatinge英訳からの重訳)、玉川大学出版部、1956年/再販1978年
『大教授学』全2巻、鈴木秀勇訳、明治図書、1962年/合本、1973年/全2巻再版、1979年
『母親学校の指針』、藤田輝夫訳、玉川大学出版部、1986年
『世界図絵』、井ノ口淳三訳、ミネルヴァ書房、1988年/平凡社ライブラリー、1995年

●今回の新刊の訳者である藤田輝夫さんは実はコメニウスの著作の大部分を邦訳なさっており、それらの書目リストはコメニウス研究者の太田光一さんのウェブサイトで見ることができます。
●東信堂さんからこのたび刊行が開始された「コメニウス・セレクション」は、「汎知学」の思想家としてのコメニウスの全貌を開示するものとなることでしょう。画期的な素晴らしいシリーズで、大きな拍手を送らずにいられません。


エスペラント日本語辞典 / 日本エスペラント学会エスペラント日本語辞典編集委員会編 / 日本エスペラント学会 / ¥6,300
●辞書好きにはたまらない、『エスペラント日本語辞典』。これまでに入手しやすかった類書は、宮本正男編『日本語エスペラント辞典 〔第3版〕』 (日本エスペラント学会、1998年)と、三宅史平編『エスペラント小辞典』(大学書林、1976年)でしたが、新しいスタンダードになるのでしょうか。

編集者 / 川上隆志(1960-)著 / 千倉書房 / ¥1,995
●『編集者』の著者、川上隆志さんは、東大卒で岩波書店に入社、単行本や新書のほか、『へるめす』編集長として活躍。現在は専修大学文学部助教授。

「ねずみ男」精神分析の記録 / フロイト著 / 北山修編集・監訳 / 高橋義人訳 / 人文書院 / ¥2,835
催眠術の日本近代 【復刊】 / 一柳広孝(1959-)著 / 青弓社 / ¥2,100
幻影の城館 / マルセル・ブリヨン(1895-1984)著 / 村上光彦訳解説 / 未知谷 / ¥2,940
ピノチェト将軍の信じがたく終わりなき裁判--もうひとつの9・11を凝視する / アリエル・ドルフマン(1942-)著 / 宮下嶺夫訳 / 現代企画室 / ¥2,520
〈メディア〉の哲学--ルーマン社会システム論の射程と限界 / 大黒岳彦(1961-)著 / NTT出版 / ¥5,040
ソフィストとは誰か? / 納富信留(1965-)著 / 人文書院 / ¥2,940
パースの宇宙論 / 伊藤邦武(1949-)著 / 岩波書店 / ¥2,940


◎今週の注目文庫・新書・選書

a0018105_1415663.jpg●ゲーデル初の文庫化は、いわゆる「不完全性定理」を提示したクルト・ゲーデル(1906-1978)の高名な論文「プリンキピア・マテマティカおよび関連した大系の形式的に決定不能な命題について I」の翻訳と、長大な解説からなる一冊。ちくま学芸文庫のMath&Scienceシリーズから刊行が企図されていてもおかしくなかった気がしますが、ひょっとして別訳がありうるのかもしれないと想像してみたり。

●貧富格差の拡大傾向がますます無視できなくなっているこんにち、中流の崩壊や下流社会、格差社会といったキータームをめぐる新刊が増えています。橋本さんの『階級社会』もその一つ。文芸春秋から刊行された山田昌弘さんの単行本新刊『新平等社会--「希望格差」を超えて』などとあわせ、話題になりそうな本です。

ゲーデル 不完全性定理 / 林晋+八杉満利子訳 / 岩波文庫 / ¥735
シャドウ・ワーク / I・イリイチ / 岩波現代文庫 / ¥1,260
万里の長城 / カフカ著 / uBooks:白水社 / ¥1,050
階級社会--現代日本の格差を問う / 橋本健二(1959-)著 / 講談社選書メチエ / ¥1,575


◎今週の気になる版元:小学館スクウェア

●新シリーズ「高野山大学選書」として『高野山と密教文化』『真言密教の新たな展開』『現代に密教を問う』が刊行されましたが、これの発行発売元が小学館の自費出版部門である小学館スクウェアです。大手出版社の自費出版部門というのはこれまでさほど表立った活動を目にしないような印象がありましたが、90年代後半から自費出版専門の新興勢力版元がぐいぐいと成長し、大手も今や大いに宣伝している、という状況なのだと言えるでしょうか。
●大手系自費出版部門:岩波出版サービスセンター学習研究社出版企画センター講談社出版サービスセンター三省堂自費出版センター中央公論事業出版ルネッサンスブックス(幻冬舎)など。
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by urag | 2006-09-17 22:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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