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2006年 07月 30日

今週の注目新刊(第61回:06年7月30日)

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◎注目の雑誌

SITE ZERO/ZERO SITE No.0 エステティクスの臨界 / メディア・デザイン研究所 / 税込2,000円 / B6変型判448頁 / ISBN4-9903206-0-3
●明日刊行の新雑誌。年2回発行。上記ウェブサイトで直販されています。発行人の飯尾次郎さんによる、0号刊行に寄せるコメントが「[本]のメルマガ」06年7月25日号で読めます。今後の展開が楽しみな雑誌です。
●弊社出版物とも関連する著者情報としては、「アンケート──批評と理論の現在 」欄でアレクサンダー・ガルシア・デュットマン、そしてマッシモ・カッチャーリのインタヴュー「必要なものから自由であること──家なし(a-oikos)の形而上学」、ヴェルナー・ハーマッハーのヘーゲル論『プレーローマ』からの抄訳「ヘーゲルの読解行為──『吐き気』をめぐるトロープ操作」など。

現代思想 二〇〇六年八月号 特集=ホームレス / 青土社 / 1,300円 / ISBN4-7917-1152-1
●個人的に、ここ最近で一番楽しみにしていた特集です。マイク・デイヴィスの『スラムの惑星』(明石書店より近刊)の抄訳も収録。生半可な感想は言えませんが、橘安純さんによる俳句や、小川てつオさんによる力道さん、山形さんへのインタビューなど、ホームレスの現実が胸にぐっと迫る内容。
●[8月5日追記]ジュンク堂書店池袋本店4階人文書売場で、ブックフェア「ホームレス 誰がつくりだすのか」が開催されています。 『現代思想』8月号ホームレス特集号の刊行記念フェアです。「ホームレスの人しか売り手になれない雑誌「ビッグイシュー」のバックナンバーのほか、新宿の書店「模索舎」の協力を得て 「頭痛のたね」(川崎水曜パトロールの会)「この間の報告とこれから」(寿支援者交流会)といったミニコミも販売しています」とのこと。 期間は06年8月4日~9月11日予定。ジュンク堂書店池袋本店の代表電話は03-5956-6111です。開店時間は10:00-22:00です。

KINO Vol.2 思考としての『ガンダム』 / 京都精華大学情報館=編集・発行 / 河出書房新社=発売 / 1,200円 / ISBN4-309-90685-0
●「木野評論」(青幻舎=発売)や「京都精華大学紀要」とは別に、情報館が立ち上げた新しいワンテーマ・マガジン。「広く文化・アート・社会を特集する季刊誌」との位置付け。

◎注目の単行本

オルガスムの歴史 / ロベール・ミュッシャンブレ著 / 山本規雄訳 / 作品社 / 3,360円 / ISBN4-86182-096-0
●3年ぶりの日本語訳。既訳書は2点、『近代人の誕生――フランス民衆社会と習俗の文明化』(著者名表記は「ミュシャンブレッド」、石井洋二郎訳、筑摩書房、1992年)、『悪魔の歴史――12~20世紀』(平野隆文訳、大修館書店、2003年)。

中世ヨーロッパ放浪芸人の文化史――しいたげられし楽師たち / マルギット・バッハフィッシャー著 / 森貴史+北原博+浜中春訳 / 明石書店 / 4,830円 / ISBN4-7503-2372-1
●本邦初訳。著者の専門は音楽学(16-17世紀)。アウクスブルク大学で教鞭を執っている。

ルネサンスの春 〔新装版〕 / アーウィン・パノフスキー(1892-1968)著 / 中森義宗+清水忠訳 / 新思索社 / 3,675円 / ISBN4-7835-1192-6
●初版は1984年。本書のもとになっているのは、1952年夏のウプサラ大学での講義。

カント全集 (6) 純粋理性批判・下/プロレゴーメナ / 有福孝岳+久呉高之訳 / 岩波書店 / 6,720円 / ISBN4-00-092346-3
●全22巻別巻1からなる新全集の最終配本。1999年12月の第一回配本から6年半以上をかけてようやく完結。

スピノザ――「無神論者」は宗教を肯定できるか / 上野修(1951-)著 / シリーズ・哲学のエッセンス:NHK出版 / 1,050円 / ISBN4-14-009333-1
●前著『スピノザの世界――神あるいは自然』 (講談社現代新書、2005年)に続く、スピノザ入門第二弾。

ポーランドのユダヤ人――歴史・文化・ホロコースト / フェリクス・ティフ(1929-)編著 / 阪東宏訳 / みすず書房 / 3,360円 / ISBN4-622-07231-9
●ティフ Tych は、ワルシャワ・ゲットーを脱出したサバイバー。1996年以後、ワルシャワのユダヤ史研究所所長。

宗教を語りなおす――近代的カテゴリーの再考 / 磯前順一+タラル・アサド編 / みすず書房 / 5,040円 / ISBN4-622-07230-0
●酒井直樹「西洋と比較――西洋/非西洋という文明的差異の産出」、スチュアート・ホール「ジャマイカの宗教イデオロギーと社会運動」、ハリー・ハルトゥーニアン「記憶、喪、国民道徳――靖国神社と戦後日本における国家と宗教の再統合」など10編を収録。

聖杯の探求――キリストと神霊世界 / ルドルフ・シュタイナー著 / 西川隆範訳 / イザラ書房 / 2,625円 / ISBN4-7565-0100-1
●版元による内容紹介に曰く、「聖杯学」それは魂の浄化を必要とする人智学(=アントロポゾフィー)の次のステップ、と。

バイオグラフィー・ワーク入門 / グードルン・ブルクハルト(1929-)著 / 水声社 / 3,150円 / ISBN4-89176-600-X
●著者はブラジルの医師で、人智学的セラピスト。

スタジオジブリ絵コンテ全集 (15) ゲド戦記 / アーシュラ・K・ル=グウィン原作 / 宮崎吾朗+山下明彦訳 / 徳間書店 / 2,835円 / ISBN4-19-862190-X
●「ゲド戦記」公開記念の新刊やフェアの情報は、こちら。アートワーク&台本、吾郎監督の詩画集など。プロデューサーの鈴木敏夫氏がフェアに寄せた直筆メッセージも見れます。

黒沢清の映画術 / 黒沢清(1955-)著 / 新潮社 / 1,890円 / ISBN4-10-302851-3
●決定版自伝、と謳われております。

映画『太陽』オフィシャルブック / アレクサンドル・ソクーロフほか著 / リンディホップ・スタジオ編集 / 太田出版 / 2,079円 / ISBN4-7783-1028-4
●映画監督ソクーロフが描く、「終戦前後の昭和天皇の葛藤」。ソクーロフの二つの対談「画『太陽』をめぐって」(沼野充義)、「ヒロヒトが感覚している」(四方田犬彦)のほか、宮台真司「ゲームの継続」、大月隆寛「ソクーロフの〈リアル〉」、椹木野衣「機械仕掛けの『太陽』」、しまおまほ「水面に、ひとつの小さな輝き」、松本健一「「あ、そう」の力」、桶谷「鋏を以て煙を切れるか」秀昭、等々、論評やコメント多数。目次内容はbk1の詳細で。

秘する肉体(からだ)――大野一雄の世界 / 大野慶人監修 / クレオ / 2,100円 / ISBN4-87736-113-8
●大野一雄写真集。近年の関連書では、吉増剛造の献詩と細江英公の献写真を添えた自著『わたしの舞踏の命』(矢立出版、2005年)があります。

ゲーデルと20世紀の論理学 (1) ゲーデルの20世紀 / 田中一之(1955-)編 / 東京大学出版会 / 3,990円 / ISBN4-13-064095-X
●ゲーデル生誕百周年記念出版。シリーズ全四巻の第一回配本。

言語の基盤――脳・意味・文法・進化 / レイ・ジャッケンドフ著 / 郡司隆男訳 / 岩波書店 / ISBN4-00-022758-0
●日本語訳第二弾。初訳は『心のパターン――言語の認知科学入門』(水光雅則訳、岩波書店、2004年、ISBN4-00-005386-8)。

万民の法 / ジョン・ロールズ著 / 中山竜一訳 / 岩波書店 / 3,465円 / ISBN4-00-024433-7
●ロールズ生前最後の書。カントの「永久平和」論を起点に「現実主義的ユートピア」実現のための原理を構想。

思想としての〈共和国〉――日本のデモクラシーのために / レジス・ドゥブレ+樋口陽一+三浦信孝+水林章=著 / みすず書房 / 3,360円 / ISBN4-622-07221-1
●ドゥブレ関連のテクストは論文「あなたはデモクラットか、それとも共和主義者か」(水林章訳)と、ドゥブレ×三浦信孝の対談「現代世界に直面するメディオローグ――レジス・ドゥブレとの対話」。

文化とは何か / テリー・イーグルトン=著 / 大橋洋一=訳 / 叢書言語科学の冒険:松柏社 / 3,675円 / ISBN4-7754-0100-9
●"The Idea of Culture"(2000)の待望の翻訳ですね。必読書。

トランスフォーマティブ・カルチャー――新しいグローバルな文化システムの可能性 / 川崎賢一(1953-)著 / 文化政策のフロンティア:勁草書房 / 3,885円 / ISBN4-326-30164-3
●シリーズ第二弾。著者は駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部教授。単独著は『情報社会と現代日本文化』(東京大学出版会、1994年)以来で久しぶり。

ヘンプ読本――麻でエコ生活のススメ / 赤星栄志(1974-)著 / 築地書館 / 2,100円 / ISBN4-8067-1337-6
●著者は日本大学農獣医学部卒で、現在、Hemp Revo, Inc. 代表。NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事。単独著に『ヘンプがわかる55の質問』(2000年、日本麻協会)。

by urag | 2006-07-30 22:13 | 本のコンシェルジュ | Comments(4)
Commented by けん at 2006-08-03 13:38 x
site zero/zero siteを代金引換で購入しました。デュットマンやハマハー、カッチャーリ等々が紹介されるのは喜ばしいことですが、『批評空間』なきあとの昨今の批評雑誌の乱立状態はどうにかならないものなのでしょうか。volやratioやsite zero/zero siteは一つにまとめられるようにも思います。執筆者たちはそれぞれ面識のある人たちなのですから、蛸壺状態で共倒れすることは避けてほしいと思います(資本力のあるところが結局長続きするという事態だけにはなってほしくない)。
Commented by 太郎 at 2006-08-05 13:16 x
わたしはまだ site zero の購入をためらっています。summaryでおおよその内容がわかる(とはいえ好奇心も満たされてしまいます)ものの、やはり書店店頭で手にとって考えてみたいからです。もしくは、その場でダウンロードできるのであれば、迷わず購入ボタンを押してしまったかもしれません。たとえば論文1本あたり300円などで購入できればもっと魅力的ですね。
Commented by urag at 2006-08-10 00:37
けんさん、こんにちは。「volやratioやsite zero/zero siteは一つにまとめられるのでは」と感じている読者は、案外いらっしゃるのかもしれません。どう差別化されているのが読者に伝わっていないのかもしれません。私個人は競争・競合はやむをえないと思っていて、たとえ寄稿者がダブっても、この分野に活気が出てくるなら歓迎したいとも思っています。ただ、けんさんの仰る懸念もわかります。一年後の各誌はどうなっているでしょうか。
Commented by urag at 2006-08-10 00:39
太郎さん、こんにちは。論文一本あたり300円でDLできる、というようなコンテンツ配信型の雑誌は、人文社会系でも今後実際に出てくるんじゃないかと私は思っています。それが時代の趨勢だと思うのです。


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