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2006年 07月 13日

販売証明シール:全国に先駆け福岡で今月よりスタート

「全国書店新聞」06年7月11日号でも報じられましたが、万引による転売撃退のための「販売証明シール」が福岡県下の書店で今月1日から採用されています。これは主にコミックやアイドル写真集、文庫、新書を対象に、それらが購入された際に裏表紙に貼られる直径15ミリのシールで、名づけて「まんぼうシール」というそうです。全国に先駆けて福岡で始まっています。

福岡県書店商業組合、県青少年万引防止連絡協議会、県青少年補導員連絡協議会、福岡県警、県教育委員会など、県をあげての連携で、「リサイクル店もシールの貼っていない商品は買取りしないことにしており、万引き防止と万引きした商品の転売を防いで、万引きを起こさせない環境作りを狙った」とのこと。

徹底しているのは、県の青少年健全育成条例も改正した点です。「新古書店等で未成年者から親の同意なく新刊本などを買い上げた場合は20万円以下の罰金。悪質な場合は免許取り消しという罰則強化が盛り込まれた」そうです。

コミック、文庫、新書はそのポピュラリティとサイズの小ささから万引されやすいですが、都心の大書店が頭を悩ませているのは、いわゆるプロによる高額本の万引です。私が作品社に勤めていた当時、新宿の某書店で『ヘーゲル美学講義』全3巻がごっそり持っていかれるというイヤな出来事がありました。「悪いんだけれど、万引されちゃうから、もう置きたくないんです」と店員さんに言われて、本当に困りました。

似たような大書店では平凡社の『中世思想原典集成』全巻が抜かれるとか、高額な美術書をせっせと手提げ袋に入れていくといったとんでもない事件が、それこそたびたび起きていると耳にします。

むろん大書店には私服の警備員が複数常駐して店内を巡回ていますし、常習犯の情報は店員サイドでは周知されています。それでも万引は起こる。万引されて損をするのは、書店だけです。取次や版元には、たとえ万引されても、売れたものとして代金が支払われる。不条理ですが、それが現実です。

ですから、シールは原則的に購入者の同意が得られるならば、すべての商品に貼ってもいいのではないかと思います。そこまで徹底しないと万引を文字通り「撃退」するまではいかないのではないか。一版元の感想としては、東京でも早期に実施して欲しいものだと思います。一読者の感想としても、シールはやむをえないと思っています。

シールに反対する業界人もおそらくはいることでしょう。シールのない商品が古書市場に一切流れなくなるとしたら、ちょっとした恐慌状態ではあります。自社の仕入モラルに自信のある古書店主にしてみれば、色々と思うところはあるはずです。読者にしてみても、シールという規制で個々人のモラルにまで立ち入られるのは嫌だが、要らなくなった本を処分するのに不便になるのは困る、という風に考える方もいることでしょう。

また一方で、プロの万引常習犯や転売屋がシールを偽造しないとも限らない。書店側にしてもシールを次々と作らねばならないとしたら、その費用はいったいどれくらいになるのでしょう。

さらに言えば、シールなしの商品をオークション・サイトでさばけないこともないでしょうから、オークションまでも規制しない限り、シール運動をもってしても、万引転売は起き続けるでしょう。それに、たとえオークションを規制し転売目的を抑制しえたとして、万引行為そのものはなくならないものと思います。シール運動は将来的にさらに進化せねばなりませんし、単なる規制と管理が人心を変えるものではないことを今一度知らねばなりません。

いずれにせよ、シール運動が福岡をどう変え、その波が全国にどう伝わっていくのか、非常に注目されるところです。え? 業界人のくせに芥川賞や直木賞が決定した話題には触れないのかって? ええ、興味が湧かないね、全く。
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by urag | 2006-07-13 20:47 | 雑談 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 歩行と記憶 at 2006-07-14 12:52
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