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2006年 05月 25日

地方への大型出店競争はいつ終焉し、町の小書店はいつ復活するのか

本日配信の「[本]のメルマガ」250号のトピックス記事に「地方への大型出店競争はいつ終焉し、町の小書店はいつ復活するのか」と題した短文を寄せました。以下に転載します。

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ターミナル駅周辺には続々と大型書店が出店する一方で、「町の小さな本屋さん」が続々と閉店し続け、書店密度の地域格差がますます広がりつつある昨今。チェーン店の大型出店はそろそろ打ち止めではと業界内では囁かれつつも、今なお競争は止まない。

ジュンク堂書店は盛岡(岩手)市街に今秋オープンする「MOSS」ビル(旧ダイエー盛岡店)に2フロア730坪で出店。老舗のさわや書店や東山堂の牙城に殴り込みをかける。紀伊國屋書店は前橋(群馬県)市街に来春完成するショッピングモール「けやき前橋ウォーク」内に、ワンフロア1000坪で出店。前橋は老舗の煥乎堂をはじめ、戸田書店前橋本店や文真堂書店ブックマンズアカデミー前橋店などの大型店があり、オーバーストア気味。

大型チェーンの「進出&撤退」が繰り返される書店業界だが、地元客本位とはとうてい言えない。こうした傾向は収益本位の出版社が新刊を大量に刊行し続けていることと無縁ではないだろう。アルメディアの調査によれば、日本の書店数は現在17,582店。そのほとんどが「町の小さな本屋さん」だ。取次大手が小規模書店支援プロジェクトに乗り出しつつある現在、「町の小さな本屋さん」の活性化と個性を望む地元客は少なくないだろう。

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念のため補足しておきますと、私は「町の本屋は死んでいる」と決め付けたいのではありません。小書店でも魅力的なお店は実際にあります。私が言いたいのは、書店の未来は大型出店競争にあるのではなく、町の本屋さんの活性化と個性化にあるのではないかということです。

大型出店は確かにニュースになりますが、町の小さな本屋さんの閉店廃業はニュースにはなりません。そうやって業界的にも流通的にも社会的にも等閑視されてきた小書店の活性化にこそ、書店の未来が垣間見えるのではないかと思えるのです。「復活」というのは小書店が注目されるようになる未来の、その象徴的表現のつもりです。

小書店の活性化とは何か。一概には言えませんが、私は個性化――売り手の主張が見える本屋さんになること――が鍵になるのではないかと一消費者の立場から望んでいます。むろん、個性化というのは言うほど簡単なことではありませんし、取次や版元がそれを許さない部分もあるでしょう。

私が述べているのは理想的で理念的なことかもしれません。しかし理想や理念がまったく「非現実的なもの」だとは思わない。現実の名の元に私たち業界人は往々にして歪んだ後退戦を自ら選んできたのではないでしょうか。

理想を思い描くこと、そのイマジネーションの力でもって私は出版界の片隅に生きて(かろうじて生かされて)きました。理想がすべてだとは言いません。しかし理想を目指すことなくして面白い仕事ができるとは思えない。現実を知っているプロと理想を語る素人、その両極に片足ずつを置いて、はざまで泣いたり笑ったりしながら、私はこれからも本を作り、売っていきたいと考えています。
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by urag | 2006-05-25 21:34 | 雑談 | Trackback | Comments(3)
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Commented by arami at 2006-05-26 10:43 x
はじめまして!わたくしまさに、地方の小書店に生まれ、継ぐ予定の者です!おっしゃるように、現実はかなり厳しい。取次は、「中小書店支援」を盛んにうたっておりますが、それがどのように行われているかは、実際現場にいても実感ないです。しかし、書店側にも甘えはあったと思います。ぬるま湯のような特殊な流通形態の中で中途半端に守られていた中小書店は、知らず知らずのうちに自分の首をしめていたのではないか、と実感してます。うちはたまたまわたしが帰郷して継ぐことになり、なんとか今日までは継続中ですが、周りの書店を見ると、後継者がいなくて、とか、この商売未来がないので、とかいう理由で、老舗の小書店がどんどん閉店してるのは事実です。
Commented by arami at 2006-05-26 10:44 x
(つづきです)わたし自身も、「こんな苦しいのならいっそ!」と何度も思いましたが、やはり本を「売る事、おすすめする事」が好きであり、本を通して地元のお客様との会話が盛り上がったりということを多々経験してるので、なんとか頑張りたい。本とヒトが触れ合う瞬間に遭遇したい。その場所をその人たちの近くに作りたい。(現実にはみんな車で大型店に行っちゃうんですけどねww)それには本当に本当に、自分自身店自身が「こういう店でありたい」と思い続け、それに向かって少しでも近づく努力をし続けるしかないと考えております。
駄文が長くなってしまいましたが、自分なりの結論を言えば、「自分が面白がって作る店が、結局いちばんお客様にも伝わる店になり、結果お客さんにとってもいい店になり、生き残るのではないか?」ということです。現実は厳しいですが、頑張ります。
Commented by urag at 2006-05-26 22:00
arami様、はじめまして。リアルな肉声をお寄せくださりありがとうございます。やはり本を「売る事、おすすめする事」が好きで・・・というお言葉が胸に響きます。お互いにいよいよ厳しい時代を迎えることになりそうですが、これからも励ましあっていけたら嬉しいです。今後ともどうぞよろしくお願いします。


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