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2006年 04月 09日

今週の注目新刊(第46回:06年4月9日)

私に触れるな――ノリ・メ・タンゲレ
ジャン=リュック・ナンシー著 荻野厚志=訳
未来社 06年4月刊 ¥2,100 46判136頁 ISBN:4624932552
■帯文より:復活を遂げたイエスとマグダラのマリアの邂逅──しばしば絵画のモチーフとなった聖書の名高い場面。そこでイエスがマリアに告げる「私に触れるな(ノリ・メ・タンゲレ)」という言葉とその絵画表象にひそむ、触覚と視覚、欲望と暴力、愛と真理、身体と感覚、生と死……それらが絡み合う構造を鮮やかに分析する。イメージの問題から切り込み、キリスト教の脱構築を展開する、小著ながら射程の深い一冊。
●「ポイエーシス叢書」の第55巻。今週から始まるナンシー来日講演情報はこちら

イメージの奥底で
ジャン=リュック・ナンシー著 西山達也+大道寺玲央=訳
以文社 06年4月刊 ¥3,360 A5判272頁 ISBN:4753102467
■帯文より:虚偽としてのイメージからイメージとしての真理へ――。「神の死」そして「形而上学の終焉」以降の今日、哲学の名のもとに新たな「意味のエレメント」を切り開き、「世界の創造」へと結び直す。ナンシー「イメージ論」の集大成。訳者による長編解説「イメージ・神の死・実共存」を収録。

真理の帝国――産業的ドグマ空間入門
ピエール・ルジャンドル(1930-)=著 西谷修+橋本一径=訳
人文書院 06年4月刊 ¥4,620 A5判360頁 ISBN:4409030663
■版元紹介文より:「科学主義」はドグマであり、西洋社会は「科学」と「産業」が結びついた一社会バージョンにすぎない。本書は、「産業的ドグマ空間」の精緻で射程の大きな分析をとおしてその呪縛を解く、ルジャンドルのエッセンスであり、代表作のひとつ。
●講義シリーズの第二講で、ルジャンドルの卓抜な帝国論。シリーズ既刊は第8講『ロルティ伍長の犯罪』(人文書院、1998年)。

アントニオ・グラムシ獄中ノート対訳セリエ (1) ノート22 アメリカニズムとフォーディズム
東京グラムシ会『獄中ノート』研究会=訳編
いりす=発行 同時代社=発売 06年3月刊 ¥1,890 A5判159頁 ISBN:4886835716
■発売元紹介文より:グラムシ思想の珠玉『獄中ノート』を、日本初のイタリア語対訳シリーズで刊行。
■今後の刊行予定:
セリエ2 ノート25「歴史の周縁で従属的社会集団の歴史」
セリエ3 ノート24「ジャーナリズム」
      ノート27「民間伝承にかんする所見」
セリエ4 ノート28「ロリア主義」
セリエ5 ノート19「イタリア・リソルジメント」
セリエ6 ノート12「知識人史に関する論考群のためのメモと覚え書
●ネグリやボッビオの翻訳を手がけておられる小原耕一さんのお名前が共訳者のなかにありました。小原さんが所属しておられる東京グラムシ会の研鑽成果の一端は会報「未来都市」で覗い見ることができます。

クローチェ美学から比較記号論まで――論文・小論集
谷口勇(1936-)=著
而立書房 06年3月刊 ¥15,750 A5判730頁 ISBN:4880593303
■帯文より:トルバドゥール・ロマンス語文学から、クローチェ美学を経て記号論に歩を進め、U・エコからさらに比較記号論や比較フォークロアにまで及ぶ。本論集は、豊富な翻訳体験に基づく著者の四十数年間の学的彷徨の集大成である。

故国喪失についての省察 1
エドワード・W・サイード(1935-2003)=著 大橋洋一+近藤弘幸+和田唯+三原芳秋=訳
みすず書房 06年4月刊 ¥4,725 A5判360頁 ISBN:4622072033
■版元紹介文より:サイードの35年にわたる批評実践の集大成とも言うべき評論集。全2巻。メルロ=ポンティ、T・E・ロレンス、コンラッドとニーチェ、ヴィーコ、フーコー、オーウェル、ヘミングウェイ、グレン・グールド、ブラックマーらを扱い、「故国喪失(エグザイル)」と批評実践を結びつける。第2巻は06年夏刊行予定。

映画で入門カルチュラル・スタディーズ
本橋哲也(1955-)著
大修館書店 06年4月刊 ¥2,415 A5判288頁 ISBN:4469213012
■版元紹介文より:映画でカルスタのフィールドワーク! 『千と千尋の神隠し』『ミリオンダラー・ベイビー』から『カンダハール』まで、新旧さまざまな映画のストーリーを読み解きながら、アイデンティティ、消費、ディアスポラ、労働といったカルチュラル・スタディーズの主要な論点を平易に導入する。レポート作成に役立つテーマ例、参考映画・図書リストも充実。
■目次より:
はじめに
序章
I アイデンティティの揺らぎ
 第1章 自己 『千と千尋の神隠し』
 第2章 家族 『ハリー・ポッターと賢者の石』
 第3章 子ども 『亀も空を飛ぶ』
II 性の位相
 第4章 女性 『カンダハール』
 第5章 生殖 『ヴェラ・ドレイク』
 第6章 セクシュアリティ 『さらば、わが愛 覇王別姫』
III メディアと消費
 第7章 演劇 『恋におちたシェイクスピア』
 第8章 スポーツ 『ミリオンダラー・ベイビー』
 第9章 音楽 『耳に残るは君の歌声』
IV 移動と定着
 第10章 ディアスポラ 『エレニの旅』
 第11章 在日 『パッチギ!』
 第12章 労働 『息子のまなざし』
V 暴力の現場
 第13章 ホロコースト 『シンドラーのリスト』
 第14章 テロリズム 『アルジェの戦い』
 第15章 民族分断 『JSA』
VI 抵抗の実践
 第16章 難民 『イン・ディス・ワールド』
 第17章 帝国 『プロスペローの本』
 第18章 先住民 『鳥の歌』
●CS関連で最良の入門書『カルチュラル・スタディーズへの招待』(大修館書店、02年2月刊、ISBN:4469212709)や『ポストコロニアリズム』(岩波新書、05年1月刊、ISBN:400430928X)を手がけてきた気鋭の英米文学研究者による新著。カルチュラル・スタディーズの何たるかを翻訳や解説を通じて本当の意味で「責任感をもって」啓蒙してきた本橋さんの功績には実に大きいものがあります。

家族療法の基礎理論――創始者と主要なアプローチ
リン・ホフマン(1924-)著 亀口憲治訳
朝日出版社 06年3月刊 ¥2,940 A5判506頁 ISBN:4255003572
■版元紹介文より:ひとりの「病人」に、ひとつの「病因」があり、それに対処するために薬物を投与するのではなく――人と人との関係=システムから精神病をとらえる。ウィーナーの「サイバネティックス」、シャノン、ベルタランフィー、そしてグレゴリー・ベイトソンを理論的支柱とし、プリゴジンやマトゥラーナを取り入れた新しい方法論。治療的エピソードを豊富に含む、初学者から専門家まで必携の一書。古典的名著、待望の復刊。
●1986年に同出版社から「思考の響応」シリーズの一冊として刊行された『システムと進化――家族療法の基礎理論』の改題新装版です。当時で4000円を超える本でしたから、今回ずいぶん手ごろな値段になって帰ってきてくれたわけです。古書市場でなかなかお目にかからない書目でしたので、若い研究者にとっては非常にありがたい復刊でしょうね。
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by urag | 2006-04-09 23:48 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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