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未来」の06年4月号は、毎年恒例の「読書特集」。業界人にとって特に要注目なのは、ジュンク堂書店池袋店の仕入を仕切る中村文孝さんのインタビュー記事「書店空間の現在・過去・未来」です。業界専門紙以外で氏の発言が読めることはめったにありませんから、貴重です。
さほど長いインタビューではありませんが、勉強になるポイントはぎっしり詰まっています。その中から3点だけ、拾い出してみます。私自身の解釈を含んでいる部分もあるので、ぜひインタビュー本文を読んでみてください。
1)「棚は動かせ、固定化するな。」――棚作りに完成はない。常に矛盾が出てくる。矛盾を解消すればまた別の矛盾が生じる。どちらの矛盾を取るのが「いま」にとって重要なのか、プライオリティを考えること。
2)「新刊と古本の融合がリアル書店を救う道だ。」――ネット書店のシステムが優秀になればなるほどリアル書店は勝てなくなる。便利で早ければいい、という価値とは別の、リアル書店の特性を磨くために。
3)「委託配本制から注文買切制への転換。」――肝心なのは書店が配本を「受ける」立場から「発注する」立場に変わること。版元はそれに応じて卸価格の変更と返品入帖ルールの再検討をすべき。
この3点については注釈し補足すべきことがたくさんあるのですが、私自身は中村さんの意見にまったく同感です。
ただ、「注文買切制」に移行したとき、いったい全国のどれだけの本屋さんが月曜社の本を仕入れてくださるのかについては、あまり明るい展望は持っていません。これはつい先日、とある書店人の方と「再販制撤廃後」の仕入について思考実験をしてみた折に、再確認したことでした。
「再販制撤廃以後」を想定した思考実験がどんなものだったかについて詳しく書きたいのですが、まだ議論が整理しきれていません。いっぺんに書くのは無理なので、折にふれて少しずつメモをブログに出していけたらと思っています。