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2006年 03月 27日

今週の注目新刊(第44回:06年3月26日)

いま、哲学とはなにか
小林康夫(1950-)編
未来社 06年3月刊 ¥2,100 46判250頁  ISBN:4624011716
●「UTCP叢書」の第一弾。UTCPというのは「共生のための国際哲学交流センター」のことで、東京大学の「21世紀COE(Center of Excellence)」の拠点のひとつ。何のことやらさっぱり分からない、という方はそれぞれのリンク先をご覧ください。
●今回の論集に寄稿しているのは19人。弊社が懇意にさせてもらっているアレクサンダー・ガルシア・デュットマン教授(ロンドン大学ゴールドスミス校)も「閃きそして情熱」と題した一文を寄せています。目次はこちら
●19人の名前を列記しておくと:坂部恵、萱野稔人、アレクサンダー・ガルシア・デュットマン、染谷昌義、森田團、中島隆博、末木文美士、イアン・トムソン、蟹池陽一、野矢茂樹、ラリー・ヒックマン、門脇俊介、宮崎裕助、北川東子、アンドリュー・フィーンバーグ、斎藤直子、高橋哲哉、ジョエル・トラヴァール、小林康夫、の各氏。なかなか面白そうですね。

芸術人類学
中沢新一(1950-)著
みすず書房 06年3月刊 ¥2,940 46判400頁 ISBN:4622071894
■版元紹介文より:『カイエ・ソバージュ』全五巻や『アースダイバー』で到達した「対称性の知性」をさらに発展させ、レヴィ=ストロースの構造人類学とジョルジュ・バタイユの非知の思想を横断的につないでゆく未曾有の試み。
●みすずさんらしからぬ装丁ですが、インパクト十分。書名もビシっとキマっています。書き下ろしかと思いきや初出一覧がありますからそうではないようで。それはともかくとして、中沢さんは今週土曜日(06年4月1日)に多摩美術大学内に新設される「芸術人類学研究所」の初代所長に就任されます。いわば本書はその「開闢の書」と言っていいでしょう。

言語学とジェンダー論への問い――丁寧さとはなにか
サラ・ミルズ著 熊谷滋子訳
明石書店 06年3月刊 ¥4,158 46判360頁 ISBN:4750322784
■版元紹介文より:「敬語」のみならず、「丁寧さ」「礼儀正しさ」「マナー」の面から分析した、「ポライトネス理論」。人間社会における言語行動と権力関係を、フェミニズムの視点で解き明かす。
■原書:"Gender and Politeness" by Sara Mills, 2003, Cambridge University Press.
●ミルズの本邦初訳本。遠からず、青土社の「現代思想ガイドブック」シリーズからも、酒井隆史さん訳で『ミシェル・フーコー』が刊行されるでしょう。彼女の著書の中でもっとも読まれている本がこのフーコー入門。最新刊は今月Manchester University Pressから刊行された"Gender and Colonial Space"です。

人形愛の精神分析
藤田博史(1955-)著
青土社 06年3月刊 ¥2,310 46判195頁 ISBN:4791762592

まな板
石村眞一(1949-)著
法政大学出版局 063月刊 ¥3,360 46判349+7頁 ISBN:4588213210
■版元紹介文より:各地のフィールド調査の成果と考古・文献・絵画・写真資料を駆使してまな板の素材、形態、構造、使用法を分類し、その推移を編年的に明らかにする。また、アジアとヨーロッパの各地で使用されるまな板を比較検討するとともに、ハレとケの両面にわたり食文化を支えてきた日本のまな板の変化過程を跡づけ、今後の展望を考察する。
●「ものと人間の文化史」シリーズの第132巻。 ところで、同シリーズの『イチョウ』(今野敏雄著、05年11月刊)が「販売停止」になったようだ。2月4日付けの同局の「お詫び」ページを見ると、「弊局刊『イチョウ』は、一部写真を「無断転載」致しました。関係各位にお詫び申し上げます。本書は以後、販売を停止させていただきます。ご購入いただきました皆様には、恐縮ですが、受取人払いでご返送頂き次第ご返金致します」とのこと。

苗字と名前の歴史
坂田聡(1953-)著
吉川弘文館 06年3月刊 46判199頁 ¥1,785 ISBN:4642056114
●「歴史文化ライブラリー」の第211巻。

裏社会の日本史
フィリップ・ポンス(1942-)著 安永愛訳
筑摩書房 06年3月刊 ¥4,515 A5判416頁 ISBN:4480857826
●著者は『ル・モンド』紙の東京支局長。単行本は92年に筑摩書房から刊行された『江戸から東京へ――町人文化と庶民文化』(神谷幹夫訳)以来。

スペイン三千年の歴史
アントニオ・ドミンゲス・オルティス著 立石博高訳
昭和堂 06年3月刊 ¥6,300 A5判439+9頁 ISBN:4812206049
●先月下旬に大月書店より刊行されたヒュー・トーマスの『黄金の川――スペイン帝国の興隆』 (岡部広治監訳、林大訳、税込15,750円、ISBN:4-272-53040-2)と同様、 読み応えのある大冊に違いありません。

球体写真二元論――私の写真哲学
細江英公(1933-)著
窓社 06年3月刊 ¥3,150 46判239頁 ISBN:4896250761
■版元紹介文より:細江英公自伝三部作完結。未公開写真を含む150余点の作品をコンパクトに一挙に収録した巨匠の仕事の全容を俯瞰する決定版――その写真から、豊穣な作家魂と写真哲学が見えてくる!
●自伝三部作というのは、窓社から刊行されている『ざっくばらんに話そう――私の写真観』 、『なんでもやってみよう――私の写真史』の2点と、今回刊行された新刊をあわせた3点。約一年前には写真集『鎌鼬』が青幻舎から復刻されて話題になりましたね。

世界の珍蘭奇蘭大図鑑――ミステリアスオーキッド
齊藤亀三(1947-)著
誠文堂新光社 06年3月刊 ¥3,990 46倍判160頁 ISBN:4416406029
■版元紹介文より:世界に広がるランの自生地を探検し、撮影された希少なランの写真500点を掲載。虫の顔をもつランや吸血コウモリの顔にみえるランなど珍ランを含めた原種ランを厳選。
●不思議です、綺麗です、傑作です。「世界各地に分布する野生ランの原種の中から285属474種を厳選」とのこと。

ブックデザイン
ワークスコーポレーション 06年3月刊 ¥2,500 B5判296頁 ISBN:4948759864
■版元紹介文より:装丁・造本・デザインに関する専門誌『BOOK DESIGN』を復刻。人気連載「現代装丁史を探る」の未収録だったパートを新たに収録しました。これを読めばブックデザインのことが全てわかります!
●月刊「DTPWORLD」の別冊「BOOK DESIGN」のvol.1とvol.2を合本したもの。発行元のウェブストアで購入すると、先着200名にアジール・デザイン特製のオリジナルポストカードがついてくるようだ。

トリシャ・ブラウン――思考というモーション
岡崎乾二郎(1955-)監修
ときの忘れもの 06年3月刊 ¥2,500 A5版112頁 ISBN:4-9903005-0-5
■版元紹介文より:トリシャ・ブラウン(1936-)のダンスやコレオグラフィーの実験精神、コラボレーションに息づく前衛芸術性、それらを透徹するドローイングの魅力を鮮やかに伝えるカタログ・ブック。
■執筆者:トリシャ・ブラウン、スティーヴ・パクストン、マース・カニングハム、ウィリアム・フォーサイス、ジョナス・メカス、中谷芙ニ子、石井達朗、岡崎乾二郎、黒沢美香、岡田利規。
●発行発売元の「ときの忘れもの」さんは南青山三丁目に所在するギャラリー。最寄駅は地下鉄銀座線の外苑前駅。現在、同ギャラリーではトリシャ・ブラウンのドローイング展を4月8日(土)まで開催中。開廊時間は12:00-19:00、日月祝日はお休み。
●ギャラリーが出版活動もやっているというのはほかにもスカイドアさんなどの例があります。ちなみに朝日出版社さんから先に刊行された岡崎さんと松浦寿夫さんの対談本『絵画の準備を!』は売行快調と聞いています。皆さんはもうお読みになりましたよね。 
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by urag | 2006-03-27 00:41 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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