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2006年 03月 18日

『ハイデガー「哲学への寄与」解読』が平凡社より

ハイデガー『哲学への寄与』解読
鹿島徹+相楽勉+佐藤優子+関口浩+山本英輔+ハンス=ペーター・リーダーバッハ著
平凡社 06年3月刊 本体3,600円 46判302頁 ISBN4-582-70259-7
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■帯文より:ハイデガー自身が秘した「幻の主著」『哲学への寄与』の全貌を明らかにする。「ハイデガーの真の主著は『哲学への寄与』である」(オットー・ペゲラー)とまで評価されたこの1936-38年の草稿は、ハイデガー自身によって長く公表が控えられ、最晩年に準備された全集で「自分の講義がすべて刊行されたのちに出版するように」と指示されたため、彼の死後、生誕100周年にあたる1989年にようやく陽の目を見た。ドイツ語版全集の出版に続き、英語訳も出版され、昨年には日本語訳も出版され、長く秘められたハイデガー哲学の最高到達点が、ここに明らかにされる。

■目次:
序論 『哲学への寄与』というテクスト
 はじめに
 1 『存在と時間』から『哲学への寄与』へ
 2 ナチズムとの関係
 3 『哲学への寄与』における思索の言葉
 4 『哲学への寄与』の結構と本論集の構成
一 ハイデガーの時代診断――「響き」 (鹿島徹)
 1 「響き」とは何か
 2 大きな物語としての「存在の歴史」
 3 存在者への新しいかかわりへ
ニ 哲学史の最後の物語――「はたらき合い」 (ハンス=ペーター・リーダーバッハ)
 1 歴史的反省としての「はたらき合い」
 2 形而上学の歴史化――ハイデガーの存在史の諸問題
 3 「形而上学をその本質において救い出す」――布置状況における翻訳
コラム ハイデガーとウィトゲンシュタイン (細川亮一)
コラム もうひとつの"Beiträge zur Philosophie" (大橋良介)
三 行為としての存在史的思索――「跳躍」 (相楽勉)
 1 「跳躍」の意味するもの
 2 思索の跳躍と言語
 3 行為としての思索・思索としての行為
四 運命の時間-空間――「基づけ」 (山本英輔)
 1 「基づけ」とは何か
 2 歴史の瞬間の場――時間-空間
 3 運命の時間-空間――存在者との新たなかかわりに向けて
コラム 能動と受動の交錯 (高田珠樹)
コラム 存在論の瞬間 (門脇俊介)
五 民族とは何か――「来るべき者たち」 (関口浩)
 1 「来るべき者たち」とは誰か
 2 古代ギリシアへの回想
 3 ナチズムへの加担
六 人間が「神」に向き合う最後の可能性――「最後の神」 (佐藤優子)
 1 「最後の神」とは何か
 2 そもそもなぜ「神」なのか
 3 キリスト教との対決
『哲学への寄与』参考文献一覧
あとがき

●ちょうどこんな本が欲しかったのです! 訳語については必ずしも日本語訳(『ハイデッガー全集(65)哲学への寄与論考――性起から〔性起について〕』2005年6月刊、大橋良介+秋富克哉+ハルトムート・ブフナー訳、創文社)と一致させていないところもありますが、それが読解を邪魔するわけではありません。訳書については昨年少しご紹介しましたが、『哲学への寄与』は20世紀哲学史における大いなる光芒でありエニグマ=謎です。ハイデガーがナチズムと決別した後、雌伏の期間に書かれたこの膨大な覚書は、ハイデガーの思索の最深部を垣間見せるもので、読む者を誘惑しながらも深淵への下降においては読者の接近を厳しく拒むかのような詩的難解さに満ちています。読解は始まったばかりで、十全な探索は半世紀以上を要することでしょう。その格好の手引きとなるのが、今回刊行された『読解』です。本書の六つの論考は『哲学への寄与』の中核を成す六章と対応しています。緊密な研究の合間にコラムが配置されているのも楽しいです。ぜひ皆さんもご覧になってみてください。
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by urag | 2006-03-18 22:54 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(5)
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Tracked from 夜、暗殺者の夜の果てへの.. at 2006-03-20 02:38
タイトル : [収穫候補]もうすぐ出る本
ウラゲツ☆ブログ に平凡社から近刊予定の「ハイデガー『哲学への寄与』読解」の見本がアップされてる。いよいよ出るんですね。 ... more
Commented by じゅん at 2006-03-19 17:02 x
こんにちわ。新刊情報をいつも参考にさせていただいてます。
私も『寄与』の翻訳が出たときに、食費を切り詰めて(笑)早速買ったのですが、情けなや、ほとんど歯が立ちませんでした。『寄与』を読めば30年代の『芸術作品の起源』やニーチェ講義、ヘルダーリン講義などがもう少し理解できるのでは、もしかしたら新たな切り口を見つけることができるのでは、と思っていたのですが… さすがに相手はハイデガー、甘かったですね。
今回出る『寄与』読解書を助けに再チャレンジしてみます。「ハイデガーとナチズム」問題に興味があるので、個人的には関口先生の論考が特に楽しみです。
Commented by urag at 2006-03-20 00:47
じゅんさんこんにちは。食費を切り詰めないと変えませんよねえ。でもきっと心の滋養にはなるはずです。『寄与』論稿への接近のためには、全集第79巻の『ブレーメン講義とフライブルク講義――有るといえるものへの観入/思考の根本命題』などを併読するとより理解が進む気がします。ラクー=ラバルトが『政治という虚構』(藤原書店)において「破廉恥なまでに不十分」と弾劾したハイデガーによる「ガス室」や「絶滅収容所」への言及は、この講義録の日本語訳37頁でテクストの全体を読むことができます。ラクーの訳書が92年刊、ハイデガーの訳書が03年刊、約10年のタイムラグを経て、ようやく私たちはラクーの本を再検討することができるようになったわけです。
Commented by 大絶画 at 2009-12-26 17:01 x
はじめまして大絶画と申します。
復刊ドットコムに『哲学への寄与』をリクエストしました。みなさんの投票次第で文庫化される可能性があります。投票にご協力ください。
なおこのコメントが不適切だと感じられたら削除していただいてかまいません。
Commented by urag at 2009-12-29 15:35
大絶画さんこんにちは。確かに文庫化されたらたいへん素晴らしいですね。ただ、水を差すようで申し訳ないのですが、投票が集まっても文庫化される可能性はたいへん低いと私は思っています。版権がその理由です。創文社が版権を他社に譲るとは考えにくいですし、かといって同社が文庫を創刊する可能性もほとんどなかろうと思います。しかし実現の可能性はともかくとして、読者の思いを公けに問うことは大切なことだ、とも私は強く感じています。大絶画さんもきっとそうした思いでいらっしゃるのだろうと拝察します。
Commented by 大絶画 at 2010-01-04 08:26 x
urag様
仰るとおりで出版社によって版権の扱いや復刊方針が異なり、数票で復刊されたかと思えば、数百票獲得しても復刊されない場合があります。
ただ今回の場合でいえば、文庫化されたらこうなるだろうというイメージで唯一の邦訳である創文社版『哲学への寄与』で登録しました。本音をいえば『哲学への寄与』が文庫化されるのであればどこの出版社でもかまわないと思っています。
なお復刊ドットコムには他にもハイデッガー関連の書籍が登録されています。URLから特集ページへジャンプできるので、暇な時にでも目を通してください。


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