2006年 03月 05日

今週の注目新刊(第41回:06年3月5日)

思索日記(I)1950-1953
ハンナ・アーレント著 / ウルズラ・ルッツ+インゲボルグ・ノルトマン編 / 青木隆嘉訳 / 法政大学出版局 / ¥6,510
●全2巻。版元の紹介によれば、「『全体主義の起源』を執筆し、ヤスパースやハイデガーとの再会を果たす時期に書き起こされた」もの。師であるヤスパースとの往復書簡(全3巻、みすず書房)、元恋人のハイデガーとの往復書簡(全1巻、みすず書房)、あるいは友人のメアリー・マッカーシーとの往復書簡(全1巻、法政大学出版局)と併せて読み解けば、アーレントの素顔がより鮮明に見えてくるかもしれません。

貧富・公正貿易・NGO――WTOに挑む国際NGOオックスファムの戦略
オックスファム・インターナショナル著 / 渡辺龍也訳 / 新評論 / ¥3,675
●出版記念イベントが来週日曜日12日に清泉女子大学品川キャンパスで。詳しくは新評論の告知ページで。

核の軛――英国はなぜ核燃料再処理から逃れられなかったのか
ウィリアム・ウォーカー著 / 鈴木真奈美訳 / 七つ森書館 / ¥3,150
日本原燃の行く末を再考する上で必読です。

気候パニック
イヴ・ルノワール著 / 神尾賢二訳 / 緑風出版 / ¥3,150
●異常気象や地球温暖化の科学的解明と、「気候ビジネス」隆盛への痛烈な批判。

トランスジェンダー・フェミニズム
田中玲著 / インパクト出版会 / ¥1,680
●著者は「ポリガミーでパンセクシュアルのFTM(女性体→男性体)系トランスジェンダー」。

未来への記憶
梁石日著 / アートン / ¥1,890
■帯文より:骨太のエッセイ集。生きることの意味、戦争の不条理と悲惨、文学の力…。むずかしい時代を生きるために!

ヴァーチャルとは何か?――デジタル時代におけるリアリティ
ピエール・レヴィ(1956-)著 / 米山優監訳 / 昭和堂 / ¥3,045
●チュニス生まれの著者はカナダのオタワ大学で「コレクティヴ・インテリジェンス(本書の訳語では「集合的知性」)を研究しています。今後ますます紹介されていくであろう哲学者の一人です。

生命科学の歴史――イデオロギーと合理性
ジョルジュ・カンギレム著 / 杉山吉弘訳 / 法政大学出版局 / ¥2,940
■版元紹介文より:十八世紀から現代に至る、主として十九世紀の、医学を含む生命科学に焦点を合わせた認識論的な生命科学史。『科学史・科学哲学研究』(法政大学出版局)の続編。

ファン・デル・ヴェルデン 古代文明の数学
ファン・デル・ヴェルデン著 / 加藤文元+鈴木亮太郎訳 / 日本評論社 / ¥3,465
●あるいはバルテル・L・ヴァン・デル・ウァルデン(1903-1996)とも。現代数学の第一人者による古代数学研究。古代文明間相互の交流や伝播を物語る「共通の起源についての仮説」を提唱。 著者自身による類書には『数学の黎明――オリエントからギリシアヘ』(みすず書房)があります。

椅子と身体――ヨーロッパにおける「坐」の様式
山口惠里子著 / ミネルヴァ書房 / ¥7,875
●A5判506頁の大著。これは相当面白そうです。各紙誌書評で取り上げられることでしょう。
■版元紹介文より:自然と社会との間にある身体、その身体と社会を媒介する道具である椅子に光をあて、ヨーロッパにおける「坐」の様式の変容を社会的・文化的視点から鮮やかに描く。
■目次より:
序 椅子とその身体的場
一 椅子の系譜と坐の姿勢の変化
 1 身体的場の原形としての箱チェスト
 2 共同的な場のなかの「私の席(siege)」
 3 ブドワールの長椅子
 4 椅子に坐る女性の肖像
 5 姿勢のオリエンタリズム
二 「座」の消失と場の生成
 6 「座(siege)」を失うランスロット
 7 イメージとしての歪んだ身体的場
 8 ベケットにおける坐の姿勢
三 ギリシアにおける坐と共同体の記憶
 9 北ギリシアの座具「バシ」と共同的身体の場
 10 ギリシアにおける輪踊りの場
終 椅子──身体と社会のあいだで
初出一覧/あとがき/図版・写真出典一覧/人名・作品索引/事項索引

セント=ヘレナ覚書
ラス・カーズ著 / 小宮正弘編訳 / 潮出版社 / ¥2,200
■版元紹介文より:1815年、ワーテルローの戦いに敗れ、大西洋の孤島セント=ヘレナへ流刑となったナポレオン。随行員ラス・カーズが記録し、ナポレオン最晩年の一挙手一投足を活き活きと伝え、当時のヨーロッパに大反響を巻き起こしたとされる「幻の大著」の完全なる抄訳、ついに成る。
●一言だけ言うとすれば、「完全なる抄訳」の意味がわかりません。

ヒンディー語=日本語辞典
古賀勝郎編 / 大修館書店 / ¥18,900

ドイツ語類語辞典
中条宗助編著 / 三修社 / ¥10,290

紙の文化事典
尾鍋史彦総編集 / 朝倉書店 / ¥16,800

手で作る本
山崎曜著 / 文化出版局 / ¥1,575
●自分の手作りの、世界に一冊だけの本。本好きなら誰しも作ってみたいですよね。

フランシス・ベイコン《磔刑》――暴力的な現実にたいする新しい見方
イェルク・ツィンマーマン著 / 五十嵐蕗子+五十嵐賢一訳 / 三元社 / ¥2,310
●副題にある通り、「暴力的な現実にたいする新しい見方」によってベイコンがいかに絵を描いてきたのか、作品を丁寧に分類して論説する本のようです。訳者の五十嵐賢一さんは「書肆半日閑」の代表でもいらっしゃる仏文学者の方で、ソレルスのベーコン論も翻訳刊行されています。
[PR]

by urag | 2006-03-05 16:15 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://urag.exblog.jp/tb/3298237
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 小さい本、大きい本      「フランス文学研究」26号に『... >>