2006年 02月 19日
紀伊國屋書店BOOKWEBに掲載される書影が二月に入ってからオビなしに変更されたようで、大変不便です。オビは貴重な情報源。他のオンライン書店ではオビなしがスタンダードなので、オビつき画像はかえって希少価値が高かったのに。オビなしにするのならば、せめて紹介文を早急にアップしてくれなければ。データ登録の部署で人員削減があったのかな? いずれにしても読者思いとは言えない悲しい退化です。 *** バカでもわかる思想入門 福田和也著 / 新潮社 / ¥1,365 ■版元紹介文より:大思想家たちもみんな同じ人間だった! プラトン、孫子、世阿弥、マルクス、フロイト、ハイデッガー……世界を代表する十二の思想のサワリをらくらく知ったかぶりできる入門書の決定版。 ●「バカでもわかる」だの「らくらく知ったかぶりできる」だのの宣伝文句が余計なお世話だし時代遅れな感じがして仕方ないのですが、福田さんの書いた入門書ならばきっと良質なものに仕上がっているに違いないと思います。 ●[06年2月27日追記]『イデオロギーズ』のようなものを期待して本屋さんで現物を手に取り、「新潮45」の連載だったことを確認、さらに中味が対話体で読みやすそう(下世話そう)なのを予感しながら購入してさっそく読み始めたところ、なんだかテンションについていけなかった。このトーンに入り込めない(入りたくない)。同じ日に大丸の「クレー展」で「死の天使」を前にして絵と自分がすぅーっと地続きになってしまったような「入り込み方」とまるで対照的。 戦後思想の名著50 岩崎稔+上野千鶴子+成田龍一編 / 平凡社 / ¥3,570 ■版元紹介文より:戦後思想を形作った50冊の「名著」を読みなおしながら、戦後啓蒙の成立、戦後啓蒙の相対化、ポストモダン・ポスト戦後の3つの時代として日本の戦後思想史を描くことを試みる。 ●柳田國男『先祖の話』(1946年)から加藤典洋『敗戦後論』(1997年)まで。平凡社の「名著」シリーズはそれぞれがよく出来ていて、人文系出版人や書店人にとっても全部が必読書です。 ソクラテスの宗教 マーク・L・マックフェラン(1949-)著 / 米澤茂+脇條靖弘訳 / 法政大学出版局 / ¥6,300 自省録 マルクス・アウレリウス著 / 鈴木照雄(1918-)訳 / 講談社学術文庫 / ¥924 ●新訳です。 中国性愛博物館 劉達臨(1932-)著 / 鈴木博訳 / 原書房 / ¥3,990 ■版元紹介文より:中国の性文化研究の第一人者による図解「中国の性の歴史」。古代の性崇拝から日常の性、同性愛、変態性愛、そしてこれらを彩る文学芸術、女性観にいたるまで、貴重な資料と多彩なカラー図版を中心に解読してゆく決定版登場! ●著者は上海大学社会学教授です。中野美代子さんの名著『肉麻図譜――中国春画論序説』(作品社、2001年)と併売してほしい本です。 カフェイン大全――コ-ヒ-・茶・チョコレ-トの歴史から、ダイエット・ドーピング・依存症の現状まで ベネット・アラン・ワインバーグ+ボニー・K・ビーラー著 / 別宮貞徳監訳 / 八坂書房 / ¥5,040 知の考古学 ミシェル・フーコー著 / 中村雄二郎訳 / 河出書房新社 / ¥3,675 ●新装新版です。 現代形而上学論文集 デイヴィド・ルイスほか著 / 柏端達也+青山拓央+谷川卓編訳 / 勁草書房 / ¥3,570 ■版元紹介文より:分析哲学は、どのように形而上学との再接続を果たしたのか。従来のイメージを裏切っていまや分野の最先端となった新しい潮流を示す。80年代以降、分析哲学のルーツである論理実証主義による形而上学批判の影響が薄れ、形而上学的な問題に積極的に分析的手法が適用されるようになってきた。本書では存在論に焦点を絞り、物体、出来事、性質といった話題に関して、現在でも言及されることの多い論争的な重要論文を集成。ブームとなりつつある新しい潮流を紹介する。 ■収録論文:デイヴィド・ルイス「たくさん、だけど、ほとんど一つ」、トレントン・メリックス「耐時的存在者と永存的存在者の両立不可能性」、ピーター・ヴァン・インワーゲン「そもそもなぜ何かがあるのか」、ジェグォン・キム「性質例化としての出来事」、ドナルド・デイヴィドソン「出来事についてのクワインへの返答」、デイヴィド・ルイス「普遍者の理論のための新しい仕事」、エリザベス・W・プライア+ロバート・パーゲッター+フランク・ジャクソン「傾向性についての三つのテーゼ」、ピーター・サイモンズ「個別の衣をまとった個別者たち──実体に関する三つのトロープ説」 ●1970年代までの古典を集めた「双書プロブレーマタ」の後継として、ここ二、三十年の分析哲学の新古典を紹介する翻訳シリーズ、「双書現代哲学」の第二巻です。第一巻はフレッド・ドレツキの『行動を説明する』(水本正晴訳)でした。 第三巻以降には次の書目があがっています。J・キム『物理世界の心』(太田雅子訳)、S・スティッチ『理性の断片化』(薄井尚樹訳)、岡本・金子編(ダメット、ブーロス、ライト、パーソンズ、ルフィーノ、ヘイル、スンドホルム)『フレーゲ哲学の最新像 新フレーゲ主義とその彼方』、D・ルイス『反事実的条件法』(吉満昭宏訳)、C・チャーニアク『最小合理性』(中村・村中訳)、L・ラウダン『科学と価値』(戸田山・小草訳)、N・カートライト『物理法則はどのように嘘をつくか』(杉原桂太訳)、J・エチェメンディ『論理的帰結関係の概念』(遠山茂朗訳)。 ●この双書が大型書店の人文書における英米哲学棚を塗り替えていく一大事業になることは間違いないでしょう。
by urag
| 2006-02-19 10:22
| 本のコンシェルジュ
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
ブログジャンル
検索
リンク
カテゴリ
最新の記事
画像一覧
記事ランキング
以前の記事
2024年 12月 2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 2004年 06月 2004年 05月 最新のコメント
最新のトラックバック
|
ファン申請 |
||