2006年 01月 21日

ジル・ドゥルーズを知らない世代

センター試験の日は毎年雪が降っているような気がします。昨日、ドゥルーズ関連書について書きながら、もう没後十年を過ぎたのか、とあらためて感慨深くなりました。ドゥルーズが自宅アパルトマンから飛び降り自殺をしたニュースを聞いたのは、私が哲学書房でほんの短い間勉強させてもらっていた時でした。電話で会社に一報が入り、受話器を置いた中野さんからその事実を聞いたのでした。

今日センター試験を受けた人々はもちろん、現在大学生の方々は十年前は小中学生。ドゥルーズの死のニュースなどおそらく記憶にない世代でしょうし、ドゥルーズという哲学者自体を知らなくても不思議ではない。「フランス現代思想」の輝かしい星座もまったく知らないかもしれません。

院生の方々は別として、現在20代の社会人の方々も、ドゥルーズやフランス現代思想を知らないのがごく普通なことかもしれない。私が思想系の本を出版するときに一番読んでもらいたいのはまさに20代の方々なわけですが、そのうちで月曜社の本はごく僅かな人数にしか届いていないのかもしれない。当然そうしたことを考えざるを得ません。

私は別にそうした時代の移り変わりを嘆こうとは思いません。ただ、バックグラウンドの違いを超えて、若い読者の皆さんに何を届けるべきか、何を届けたいのか、いつも悩んでいます。悩んでいるからこそ、色々なアイデアも浮かんでくる。むしろ悩み足りないかもしれないことを、もっと恐れなければならないのかもしれない、と思っています。(H)
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by urag | 2006-01-21 20:28 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(6)
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Commented by アリエナイ at 2006-01-22 03:10 x
そんなことはありません。私はアガンベンはじめヴィルノやユンガーを知りまた、このブログ(以前はbk1のコラムなど)等をいつも参照させてもらっております。
クリスマスに『新宿』を彼女にプレゼントしたり。写真集をプレゼントしようと思ったんですが、色々あってよくわからなかったんで、じゃあ月曜社のにしよう、と。『UK77』と一緒に。東京とUKを。

ドゥルーズ論集のナンシーのものが気になります。
そういえば、ドゥルーズがタバコを吸ってウイスキーを飲みながら大学の授業をしていたという話を聞いたのもここかもしれないですね。
ドゥルーズ恐るべし、と。
Commented by じゅん at 2006-01-22 13:19 x
こんにちは。私も月曜社さんのお仕事を通じて「イタリア‐ドイツ現代思想」(こんな言い方があるのか知りませんが…)の星座を構成するアガンベンやデュットマンの著作に出会い、倫理や芸術についての自分の考えを広げ、深めることができました。現在は就職活動に取り組んでおりますが、合間をぬってデュットマンの『Was Liebe heisst』を読んでおります(このニーチェ論の存在を知ったのもこのブログを通じてです)。
ブランショやアガンベン、デュットマンの著作に触発された思考を今後の生活で何らかのかたちで活かせてゆければ、と思っております。これからも私たちの思考を触発する書物を届けてください。
Commented by urag at 2006-01-22 18:59
アリエナイさん、お久しぶりです。いつも弊社の本をご愛顧いただき、ありがとうございます。『UK77』をプレゼントされたとのこと、たしかにプレゼント向きの本かもしれません。『新宿』と併せると、かなり重量級の贈りものですね。ドゥルーズ論集のナンシー論文はまさに彼ならではのエッセイですよね、「実感」を持ってドゥルーズとデリダを平行させて書けるというのは。いつか一冊の本にまで膨れたらいいですね。
Commented by urag at 2006-01-22 19:03
じゅんさん、こんにちは。いつもありがとうございます。私が興味があるのは、20代の皆さんがどのようにしてドゥルーズや、あるいは弊社の本と出合うことになったのか、という点です。何がきっかけなのだろう、と興味津々なのです。デュットマンの大著『思惟の記憶』を今春刊行できればと思っています。
Commented by じゅん at 2006-01-22 22:51 x
私の場合、大学に入った当時盛んに論じられていた日本の戦争責任や歴史教育の問題について考えてゆくなかで、レヴィナスやフーコーやデリダ、リオタールやラクー=ラバルトら「フランス現代思想」の本を(主に邦訳で)読み始めました。多木浩二さんや西谷修さんや高橋哲哉さんの本のなかで紹介されていた、というのがもっと直接的なきっかけです。アガンベンの『アウシュヴィッツの残りのもの』も、こうした関心から手にした本でした。『思惟の記憶』もこの問題に深く関わっていますね。

こうして書いてみて気づいたのですが、ドゥルーズの名が抜けていますね・・・ お恥ずかしいことに、ドゥルーズの本は『ニーチェと哲学』くらいしかちゃんと読んでおりません(汗)。『千のプラトー』の「戦争機械」についての章とか、自分の関心領域にとって重要なはずなのに…

長々と書いてしまいましたが、「20代におけるフランス現代思想との出会い」の一例として参考にしていただければ幸いです。
Commented by urag at 2006-01-23 21:23
じゅんさん、ご回答ありがとうございます。とても参考になります。今後ともご指導のほどよろしくお願いします。


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