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2005年 11月 14日

平井玄『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』が太田出版から

なんかexblogの投稿機能やコメント閲覧がおかしいです。水曜日のメンテを前に何かすでにいじってませんか。
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ミッキーマウスのプロレタリア宣言
平井玄(1952-)著
太田出版 05年11月 本体1200円 46判180頁 ISBN4-87233-993-2
■カバー紹介文より:日本階級社会には、支配する人間と、忠実な犬と、路上を徘徊するネズミとがいる――。ネズミたちよ、自分の欲望をやつらに渡すな。世界を底から食い破れ。「支配されざる者」の笑いと、そして自由を。階級社会の正体をあばき、「フリーター問題」の根源に迫る、最もラディカルなテキスト!
■目次:
I 21世紀のネズミども
II 東京ミッキーマウス工場
III 亡霊的プロレタリア
エピローグ ネズミたちの歌

●天地小口が真っ赤に塗られています。三方金ならぬ三方赤。真っ赤な装丁はタカハシデザイン室によるもの。かつて同出版社から刊行された『共産主義者宣言』を思い出しますね。内容は、場末に生きる人々の日常と内面のうごめきを、小説のような、エッセイのような、論文のような、独特でハードコアな筆致で書いたものです。

●たぶん、若い読者には理解しにくいかもしれません。しかし、社会の底辺を生きる人々がいて、地を這うような世界が現実にあって、隣り合わせに自分たちが生きていることは事実なわけです。知らん振りしたってそこにある、という意味で、若い人にも無関係ではないのです。無関係どころではない。ここに描かれた群集の中に自分自身もいるのだから。

●本書を立ち読みしながら、この本に書いてあることが分からない「青い」ヤツラしかいまどきの世間にはいないんだろうな、などと若者をバカにするような人がもしいるとすれば、そういう年寄りは本書だけでなく、『電波男』(三才ブックス)とか、限定版のフィギュア・ポストカードつき『NHKにようこそ! 4』(角川書店)なども買って、フザケンナ!とかナンジャコリャ!等々とブツクサ言いながら眺めるといいのです。

●暴言はさておき、本書は様々な痛みを感じながらも読み通すことを薦めたい本です。たとえわからない部分があってもいい。著者は巻末でこう述べています。「こうして小さな本をまとめるためには、私自身の五〇年間をひっくり返し、切り刻み、生肉のまま放り出すしかなかった。恥らいはあるが、悔いはない。今やこのような声の絞り出し方が必要なのだという確信がある」と。

●まさに生肉なのです。しかもぶっとい骨付き。生肉を味わうことなど、なかなかできるものではない。そして、本書を読み通してもなお、自分の日常とは無関係だと思うならば、その日常を自分なりに言葉にしてみるといいのです。黙ってたってしょうがないぜ、と本書は教えているのです。(H)
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by urag | 2005-11-14 21:54 | 本のコンシェルジュ | Trackback(3) | Comments(2)
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Commented by kasuga at 2005-11-17 00:03 x
トラバ貼らせていただきました。

周りの、20代の友人たちにとても読んでもらいたい本です。
社会の軋轢に、身も心も擦り切れ、もがきながら、喘ぎながら、労働している彼ら、彼女らならば、山谷や当時の新宿の模様に共感できる部分が少しでもあるはずだと思います。

搾り出された低い低い声が聞こえたなら、それに共鳴するようにわたしたちも声を上げていかなければいけない、そういう風に感じさせる強さがこの一冊にはあると思います。
Commented by urag at 2005-11-17 21:34
kasugaさん、こんにちは。TBとコメをありがとうございます。一気読みされたそうですね! 著者の平井さんも、太田出版さんも、kasugaさんのような若い読者に声が届いたことを喜ぶに違いありません。


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