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2005年 11月 03日

エーコ『美の歴史』が東洋書林より刊行

a0018105_2373726.jpg皆さん、スゴい本がまもなく発売ですよ。

画像が小さくて、実際の本の大きさが分からないと思いますが、A5判より大きく、菊判よりも大きく、ほぼB5のサイズです。本の厚みも30ミリ強で存在感バッチリ。青色の魅惑的なカバーに惹かれて手に取ってみるとズッシリ重い。開いてみて見てびっくり。古代から現代まで、様々な芸術作品がオールカラーで迫ります。合計500点以上(!)あるという図版がすべて、印刷のクオリティが高いです。全頁がすべすべのアート紙ですし。

新聞広告が出ていましたから楽しみにされていた読者もいらっしゃることでしょう、エーコの『美の歴史』がついに東洋書林さんからほどなく発売されます。広告で見たときには、本体8,000円というのはちょっと高価だなあと思っていましたが、現物を見て十分納得。一万円を超えていても全然おかしくないくらいなのに、8,000円とはすごい。

美の歴史
ウンベルト・エーコ編著 植松靖夫監訳 川野美也子訳
東洋書林 05年11月 本体価格8,000円 A4変形判439頁 ISBN4-88721-704-8

■帯文より:エーコによって導かれる、絢爛たる美の迷宮。
■カバーソデ紹介文より:〈美〉とはなにか? 絶対かつ完璧な〈美〉は存在するのか? 〈真〉や〈善〉、〈聖〉との関係は? ――古代ギリシア・ローマ時代から現代まで、絵画・彫刻・音楽・文学・哲学・数学・天文学・神学、そして現代のポップアートにいたるあらゆる知的遺産を渉猟し、西洋人の〈美〉の観念の変遷を考察。美しい図版とともに、現代の“知の巨人”エーコによって導かれる、めくるめく陶酔の世界!

■原書:"Storia della bellezza" a cura di Umberto Eco, 2004, Bompiani.

昨年英語版が刊行されて、各紙で絶賛されたと聞きます。図版が満載の、キレイなアート書だから? いえ、それだけじゃないでしょう。エーコの知的センスが魅力なのです。本書は言ってみれば、エーコによる西洋美術史講義です。共著者は小説家のジロラモ・デ・ミケレ。目次は以下の通り。エーコが執筆を担当した章は、(エーコ)と特記します。

序論 (エーコ)
比較表:裸体のヴィーナス/裸体のアドニス/着衣のヴィーナス/着衣のアドニス/ヴィーナスの顔と髪型/アドニスの顔と髪型/聖母マリア像の変遷/イエス・キリスト像の変遷/君主像の変遷/女性君主像の変遷/プロポーション
第I章:ギリシアの理想美
第II章:アポロ風の美とディオニュソス風の美
第III章:均衡と調和の美 (エーコ)
第IV章:中世の光と色彩 (エーコ)
第V章:怪物の美 (エーコ)
第VI章:牧場の少女から天使のような貴婦人へ (エーコ)
第VII章:15・16世紀の魔術的な美
第VIII章:貴婦人と英雄
第IX章:優美から不安の美へ
第X章:理性と美
第XI章:崇高 (エーコ)
第XII章:ロマン主義の美
第XIII章:芸術至上主義 (エーコ)
第XIV章:新しい物体
第XV章:機械の美 (エーコ)
第XVI章:抽象的な形から素材の深みへ (エーコ)
第XVII章:メディアの美 (エーコ)
引用参考文献出典一覧
美術家名索引
監訳者あとがき

以上です。比較表というのは、テーマ別に見開きで古代から現代までの美の形象をサムネイル形式で時代順に並べたもので、一目で歴史の流れが概観できます。各章では節ごとに簡潔な論説が展開され、各時代の参考文献がふんだんに引用されています。多数の図版と多数の引用に接するにつけ、あたかも本書は時代ごとの小宇宙が寄り集まって出来た、美の一大天体図のようです。

長ったらしい記述がないので、読んでいて退屈しませんし、ページをめくるたびに現れる図版の美しさは眺めていてまったく飽きさせません。特に見開きの図版にはしばし見入ってしまう迫力に満ちています。立ち読みするには重いですし、レジに直行して、帰宅後にじっくりご覧ください。ちなみにカバーを剥ぎ取ると、真っ白いクロス装の本体で、背にカラの箔押しで書名等が刻まれています。脱いでもキレイな本。

ここ最近、小社本を含めイタリア関連書が目立ちます。ネグリ+ハートの『マルチチュード』(NHK出版)も出版されたばかりですが、イタリアといえばやっぱり美術の国。ローマ時代からの連綿たる美の歴史の厚みには圧倒されます。『マルチチュード』もいいですが、ぜひこの『美の歴史』も店頭で併売されてほしいです。イタリア現代思想の広がりと深みが体感できると思います。

とにかくオススメです。Oさん、この本には自信があるって言ってたの、まさに納得できました。すごい本だよ。(H)
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by urag | 2005-11-03 23:44 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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