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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2005年 10月 23日

今週の注目新刊(第25回:05年10月23日)

ゲーデル, エッシャー, バッハ――あるいは不思議の環
ダグラス・R.ホフスタッター著 野崎昭弘+はやしはじめ+柳瀬尚紀訳
白揚社 05年10月刊 本体5,800円 A5判763頁 ISBN4-8269-0125-9
■帯文より:世界を揺るがした衝撃の超ベストセラーは「本当は何を書いた本なのか?」多くの読者を悩ませ楽しませてきた問いに、ついに著者自ら答える序文収録。20周年記念版。
●版元はこの際思い切って上製本とペーパーバックの二種類を作って、後者は紙質が悪くてもいいから2000円台後半くらいまで価格を落としてほしかったです。たしかにベストセラーなのだし、版元としても長く、より多く販売していくつもりでしょう。このボリュームの上製本で5800円は立派です。しかしそれでも、20周年なのですから、こう、眼が醒めるような販売戦略がほしい。あくまでも一読者としての感想ですが、専門書版元は硬派な本をコツコツ売る反面、そうした思い切った戦略をたててメリハリをつけてほしいと思います。同著者の『メタマジック・ゲーム』も同時に新装版が発売されています。

ヒッポクラテスとプラトンの学説(1)
ガレノス著 内山勝利+木原志乃訳
京都大学学術出版会 05年10月刊 本体3,200円 46判321頁 ISBN4-87698-161-2
■帯文より:小アジアに生まれた一医師が、解剖実験による正確な知識で俗説を断ち切る。古代ギリシア医術の集大成。本邦初訳。
●「西洋古典叢書」からの一冊。同叢書でのガレノスの既刊書には、98年に『自然の機能について』があります。

人と細菌――17-20世紀
ピエール・ダルモン(1939-)著 寺田光徳+田川光照訳
藤原書店 05年10月刊 本体9,500円 A5判806頁 ISBN4-89434-479-3
■版元紹介文より:近代医学の最も重要な事件、「細菌の発見」。顕微鏡観察から細菌学の確立に至る200年の「前史」、公衆衛生への適用をめぐる150年の「正史」を、人間の心性から都市計画まで視野に収め論じる大巻の総合的歴史書。
●フランスの国立科学研究センター主任研究員で、犯罪人類学の専門家であるダルモンの既訳書には、『性的不能者裁判』 (新評論、1990年)、『医者と殺人者』(新評論、1992年)、『ロデスのうわさ』(新評論、1993年)、『癌の歴史』(新評論、1997年)があります。

透明な卵――補助生殖医療の未来
ジャック・テスタール(1939-)著 小林幹生訳
法政大学出版局 05年10月刊 本体2,300円 46判198頁 ISBN4-588-02225-3
■版元紹介文より:フランス初の体外受精児誕生に成功した補助生殖医療の第一人者が、DNA二重らせん構造の発見にはじまる分子生物学と遺伝子工学のめざましい発展を自らの補助生殖研究と実践活動の歩みを通して振り返り、この革命的技術が人類の未来に何をもたらすか――人間の条件を根底から覆しかねないそのおそるべき危険性を警告する。生殖医療の現場に立つ科学者の立場から生命倫理を問う告発の書。序文=ミシェル・セール。りぶらりあ選書。

「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答
エリザベス・キューブラー・ロス著 鈴木晶訳
中公文庫(中央公論新社) 05年10月刊 本体762円 文庫判279頁 ISBN4-12-204594-0
■帯文より:どうして私が? 臨死患者や医者、看護師から寄せられた349の質問。
●こんにちではキューブラー・ロスさんの主要著書を中公文庫や角川文庫で読めるようになっていて、なんとも嬉しいことです。臨死体験をめぐる様々な考察はともすると難しいかもしれませんから、私としては、彼女の著書の中で一番最初読むのを薦めたいのは、彼女の自伝『人生は廻る輪のように』(角川文庫)です。激動の続く彼女のパワフルな人生に触れ、私は呆然とし、感動しました。

アウシュヴィッツの〈回教徒〉――現代社会とナチズムの反復
柿本昭人(1961-)著
春秋社 05年10月刊 本体3,500円 46判517+17頁 ISBN4-393-33241-5
●未見ですが、小社のアガンベン本に関連するテーマを扱っているようです。著者の柿本さんは、同志社大学政策学部教授でいらっしゃいます。著書に『健康と病のエピステーメー――十九世紀コレラ流行と近代社会システム」(ミネルヴァ書房、1991年)があります。

原始仏典(7)中部経典IV
中村元監修 森祖道+浪花宣明編集 松田慎也+勝本華蓮+長尾佳代子+出本充代訳
春秋社 05年10月刊 本体8,000円 A5判744頁 ISBN4-393-11227-X
■帯文より:多くの人々を癒し導く、慈悲に満ちたブッダの心は、時を超え、連綿と受け継がれていく。最新の研究成果にもとづき、パーリ語原典を流麗かつ平明に訳した、現代語訳の決定版。全七巻完結。創業85周年記念出版。
●全巻完結とのこと、めでたいことです。買わねば。

by urag | 2005-10-23 23:49 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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