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2016年 11月 28日

メモ(8)

東京商工リサーチの「TSR速報」2016年11月28日付によれば、岩波ブックセンターを経営する(有)信山社が破産開始決定と。「設立平成12年8月、資本金300万円、故柴田信代表)は11月25日、東京地裁から破産開始決定を受けた。〔・・・〕負債は現在調査中。/東京・神田神保町で(株)岩波書店発行の書籍販売を中心とした「岩波ブックセンター」を経営していた(岩波書店との資本関係は無い)。人文・社会科学系の専門書、新書、文庫をはじめ岩波書店が刊行する書籍の大部分を取り扱っていることで広く知られ、多くの書店が集中する神保町界隈でもランドマーク的な存在として知名度を有していた。/しかし、28年10月に代表の柴田取締役会長が急逝。事業継続が困難となり11月23日より店舗営業を休業し、動向が注目されていた」と。

帝国データバンクの11月28日付「倒産速報」では、負債1億2732万円(債権者約28名)と伝えられ、「2000年(平成12年)8月に設立された専門書店運営業者。神田神保町にて「岩波ブックセンター」を運営していた。岩波書店と直接的な資本関係はないものの、岩波書店発行の歴史、文芸、政治、哲学、宗教、心理などの人文・社会科学系専門書を取り揃え、岩波書店が刊行する新刊本、流通している既刊本はすべて取り扱っていることを最大の強みとしていた。/しかし、出版不況下で慢性的な業績低迷が続き、毎期欠損計上を余儀なくされていた。財務体質は脆弱で、債務超過の状態を脱することが出来なかった」と報じています。

人文書業界にとってはけっして小さくないニュースです。取次は大阪屋栗田で、旧栗田の帳合店でした。大阪屋栗田と言えば、関東の流通拠点であるOKC(埼玉県戸田市氷川町3-4-15)とOKC第二物流センター(戸田市美女木1271-3;元「太洋社戸田流通センター」)を年内で閉鎖し、年明けから埼玉県川口市本蓮1-14-1の日の出運輸倉庫の1Fと3Fに「大阪屋栗田関東流通センター」を開所することになったばかり。2拠点分の物流をどうやって日の出倉庫に統合できるのか部外者には想像がつかないなか、大阪屋栗田が支えていくと宣言しているはずだった街ナカ書店のひとつである岩波ブックセンターが破産というのは、旧栗田帳合の書店さんへの取次の対応が思いやられ、さらに11月18日には株式会社出版物共同流通センターが解散したこともあり(「文化通信」2016年10月13日付記事「共同集品の出版物共同流通センターが解散へ」)、年末という区切りだけにいささか嫌な流れを感じるところではあります。また、岩波ブックセンターは店頭在庫の何割かが岩波書店の本や文庫、新書、ブックレット、雑誌だったのでしょうし、資本関係がないとはいえ、岩波書店との付き合いがどんなものだったのか、推理しようとする向きもあるようです。

【2017年2月追記:なお、大阪屋栗田の西の物流拠点は「関西流通センター」(旧称:川西流通センター)で、現在は兵庫県川西市久代3-6-1に所在する「プロロジスパーク」内1F、南バースs21に入居。川西流通センター時代(2016年2月22日に本格稼働:日書連「全国書店新聞」H28年3月1日号記事「大阪屋、新栗田出版販売を発足/統合会社は「大阪屋栗田」に」参照)には取次側は公式ウェブサイトの「会社概要」欄では「プロロジスパーク」ではなく「楽天フルフィルメントセンター川西」という名称で記載しており、そこの1Fおよび4Fに入居しているとあります。プロロジスが楽天専用物流施設「プロロジスパーク川西」を竣工式したのは2013年11月です。プロロジスの2013年11月22日付プレスリリース「プロロジス、兵庫県川西市で楽天専用物流施設「プロロジスパーク川西」の竣工式を挙行」をご参照ください。発注書を辿ってみると、2017年1月5日付発注書では宛名紙が「川西流通センター」、1月12日付発注書では宛名紙が「関西流通センター」と変わっています。大雑把に言えば、関東流通センターの開設にあわせて西側の拠点も2017年年明けから改称したということでしょう。さらに遡ると、川西流通センターが関西ブックシティを経由せずに自ら搬入口となったのは2016年5月からで、5月の発注書では大阪屋栗田の公式ウェブサイトでの記載「楽天フルフィルメントセンター川西」と異なり、最初から「プロロジスパーク」と記載しています。ちなみに大阪屋栗田の筆頭株主が楽天であることは周知の通りです。】

関連記事は以下の通り。「新文化」2016年11月28日付記事「岩波ブックセンター信山社が破産」に曰く「10月に柴田会長が急逝したことで事業継続が困難となり、11月23日から店舗を休業していた。同28日には、関係者らが店内の整理にあたっていた。白井潤子社長の姿もあったが、関係者に遮られ直接声を聞くことはできなかった」と。店内を整理する様子を窓の外から写した写真が何とも言えず物悲しいです。同紙11月22日付記事「柴田信氏の「お別れの会」、400人超が参列」。同紙11月14日付記事「大阪屋栗田、OKCの2拠点を統合」。

ちなみに版元の信山社出版株式会社さんはまったくの別会社で無関係であり、有限会社信山社との資本関係もないと聞いています。

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柴田信さんについては「東京新聞」2016年11月10日付夕刊社会面の記事「岩波ブックセンター会長 故柴田信さん 本愛した「神保町の顔」 21日にお別れの会」で手短かにまとめられています。

「J-CASTニュース」11月28日付記事「「岩波ブックセンター」運営会社が破産 神保町の名所「とても寂しい」」ではツイッターでの反響も拾われています。色々な声はあると思いますが、この記事配信後のツイートで個人的に胸にズキンと来たのは@lalalacozyさんのつぶやき「残念というのは容易いけれど、そう嘆く人の何割が最近岩波ブックセンターに足を運び購入したのだろう。本を買わなくなった我々が潰したのだ」、でした。

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「OKC 戸田」で検索すると比較的上位に掲出される某ブログ記事に戦慄を覚えました。怖い話なのでリンクできません。

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信山社関連記事。「読売新聞」11月28日付記事「岩波ブックセンター経営、信山社が破産手続き」、「毎日新聞」11月28日付「岩波ブックセンター 経営の信山社が倒産」、「時事通信」11月28日配信「神保町の信山社破産=「岩波ブックセンター」経営」などはごく簡単な報道。「朝日新聞」11月29日付記事「岩波中心の書店、運営社破産」は有料記事につき全文は読めませんが、ヤフーニュース版11月28日付記事「岩波ブックセンターの運営会社破産 「専門書の専門店」」と類似する内容かと推察されます。曰く「岩波書店や東京商工リサーチによると、岩波ブックセンターは1981年、岩波ホールに隣接する岩波書店アネックスに入居。当時は岩波の関連会社が運営していたが、2000年に岩波とは資本関係のない信山社が引き継いだ。同店のホームページでは「硬派出版社の新刊本・既刊本にこれだけ出会える書店は、他に例はない」とするなど「専門書の専門店」として知られてきたが、・・・」と。

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岩波ブックセンターのサイトトップにはごく簡単な「ご案内」が掲出されています。曰く「誠に勝手ながら、岩波ブックセンターは平成28年11月25日をもちまして閉店させていただきます。長年のご愛顧、まことに有り難うございました。岩波ブックセンター(有)信山社」。

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名古屋の榮進堂書店さんが自己破産との報。1965年の創業の地「星ヶ丘」から昨年11月に東山公園駅付近に「EiShiNDo BOOK FOREST」として移転されたばかりでした。店舗には愛知工業大学八草店、同大自由が丘店、雑貨を扱うSindy’s Doorアピタ上野店、同アピタ名張店がありました。「新文化」2016年12月8日付記事「榮進堂書店、自己破産申請へ」に曰く「榮進堂書店(資本金1200万円、名古屋・千種区、青木俊暁代表)は12月5日、事業を停止。〔・・・〕帝国データバンクによると、2000年初頭には売上高約20億円をあげていたが、16年6月期には4億6000万円にまで落ち込み、4年連続の赤字決算となっていたという。負債は約7億円」と。記事には明記されていませんが大阪屋栗田帳合と聞いています。

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by urag | 2016-11-28 17:16 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
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