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2005年 10月 16日

今週の注目新刊(第24回:05年10月16日)

とくに意識していなかったのですが、今週は「場所」や「風景」にかかわりのある本がほとんどになりました。再刊書も多いです。

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ルート181――パレスチナ~イスラエル 旅の断章 (季刊前夜別冊)
ミシェル・クレイフィ+エイアル・シヴァン監督
前夜(発行) 影書房(発売) 05年10月刊 本体1,200円 A5判112頁 ISBN4-87714-340-8
■帯文より:『ルート181』映画ガイドブック決定版。2005年10月監督来日トーク記念。「われわれはともに同じ道をたどり、同じ運命、同じ大地、そして同じ映画を分かち合うのだ」(E・シヴァン)。パレスチナ人クレイフィとユダヤ人シヴァンが共同監督した長編ドキュメンタリー。山形国際ドキュメンタリー映画祭2005インターナショナル・コンペティション選出作品。『ルート181』アルバム、カラー8頁。映画解説、歴史地図、用語解説、年表、ブックガイド付。
●エイアル・シヴァン(1964-)といえば、アイヒマン裁判をめぐるドキュメンタリー映画「スペシャリスト」で有名です。関連書にブローマンとの共著『不服従を讃えて』(産業図書、2000年)があります。

ぺるそな
鬼海弘雄(1945-)=写真
草思社 05年10月刊 本体2,300円 A5判236頁 ISBN4-7942-1450-2
■帯文より:王たち、時へのまなざし。新たな作品49点とエッセイを加え、新構成。第23回土門拳賞、2004年日本写真協会賞年度賞。『PERSONA』(2003年)普及版。
■本書に寄せられた識者のコメント(初版本)より:「鬼海弘雄氏の作品が持つ奥深い美しさは、人間の運命にむけられたどこか物悲しいまなざしから来ている」(アンジェイ・ワイダ)。「鬼海さんは、それと知らずに二十一世紀芸術の幕を切って落としているのである」(種村季弘)。
●初版の大画面のほうが迫力がすごいことはたしかですが、大判の写真集にしてはけっして高額ではないものの一万円近い本でしたから、買い逃した方は多いのではないかと思います。品切になって残念だったものの、ここに普及版が完成。草思社さんに感謝したいです。


サン=ジェルマン=デ=プレ入門
ボリス・ヴィアン(1920-1959)著 浜本正文(1941-)訳
文遊社 05年9月刊 本体3,200円 A5変形判293+8頁 ISBN:4-89257-046-X
■帯文より:胸躍りまくる時代の証言! 戦後のパリの穴倉で、飲んで、踊って、愛し合う……。サルトル、ボーヴォワール、カミュ、メルロ=ポンティ、コクトー、ピカソ、クノー、プレヴェール、ツァラ、ブルトン、アルトー、ジュネ、グレコ、バディム、エリントン、マイルス…そしてヴィアン!総勢500名にも及ぶ有名・無名の登場人物とともに、戦後のパリを彩ったサン=ジェルマン=デ=プレの狂躁の日々が甦る。写真・図版300点収録。
■目次より:
導入部(地理的条件;住民;経済的発展)
第1章 事実と神話(伝説的な事実と伝統的な神話;本当の事実と神話)
第2章 詩華集と名士
第3章 街路
第4章 薬量学と用法(サン=ジェルマン=デ=プレ族の教理問答集)
●1995年にリブロポートから刊行されていた初版本は古書市場で高額本になっていましたから、今回の新版は新しい読者を獲得することでしょう。真っ青な、洒落た装丁で、先ごろ他社から刊行された真っ赤な『ブランショ文学選』とは対照的です。


イザベラ・バード極東の旅(2)
イザベラ・バード著 金坂清則編訳
平凡社 05年10月刊 本体3,000円 全書判448頁 ISBN4-582-80743-7
■帯文より:『日本奥地紀行』の著者のアジアをめぐる記録を初めて集成。知られざるバードの実像と足跡が浮かび上がる。第2巻は旅の実際、キリスト教伝道活動、極東報告などの作品を収録。全2巻完結。
●第1巻が旅の写真集でしたが、第2巻はいわば文書篇。百年以上前の朝鮮や中国、満州をバードが「外国人」の目で冷静に分析しています。人々や国民性の描写は大昔の話ではなく、今もなお生き延びている何かを捉えることに成功しています。


さまよえる湖
スウェン・ヘディン著 関楠生訳
白水社 05年10月刊 本体2,400円 46判317+10頁 ISBN4-560-03045-6
■帯文より:シルクロード紀行文学の古典、待望の復刊。「わが人生を動かしてくれた本。行動する力とペンの力を与えてくれた本」(椎名誠)。
●初版は1964年の『ヘディン中央アジア探検紀行全集(10)』ではなかったかと思います。その後、幾度か再刊・復刊されています。移動する巨大湖ロプノールを目指す探検紀行は今なお
味わい深い名著です。


ガンビア滞在記
庄野潤三(1921-)著
みすず書房 05年10月刊 本体2,500円 46判287頁 ISBN4-622-08062-1
■帯文より:親切な隣人たち、町をかけまわる栗鼠、春夏秋冬にさまざまな彩をみせる山野。アメリカの小さな町で暮らした一年間を描き、生きる静かな喜びに満ちた名作。
●かつて中公文庫(1975年刊。単行本は1959年刊)でも読めましたが、こうして再刊されたことは喜ばしいことです。みすず書房の素敵なシリーズ「大人の本棚」の一冊。文庫から単行本へ再度スイッチされるというのはありそうでないことなので、歓迎したいと思います。1957~58年当時のオハイオ州ガンビアは人口600人。ロックフェラー財団の奨学金を得て、夫妻で渡米したそうです。で、現在の人口はどれくらいになったのか、インターネットで調べようと思いましたが、調査不能。アフリカのガンビア共和国の情報ならたくさんあるんですが。


五輪書――サムライたちへ
宮本武蔵=原著 次呂久英樹+高野 耕一=文 藤森武=写真
ピエ・ブックス 05年10月刊 本体2,000円 文庫版327頁 ISBN4-89444-483-6
●風景写真を添えて『五輪書』を紹介する本で、さすがピエ・ブックスさん、綺麗な本に仕上がっています。日本の様式美を楽しめる新刊としては、本書のほかに、六耀社さんから刊行された海老沢宏(1947-)さんの『ONSEN――温泉の建築空間デザイン』(ISBN4-89737-543-6)もいい感じです。

***

以上です。(H)
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by urag | 2005-10-16 23:52 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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