2005年 10月 09日

今週の注目新刊(第23回:05年10月9日)

装飾と犯罪――建築・文化論集
アドルフ・ロース(1870-1933)著 伊藤哲夫訳
中央公論美術出版 05年9月刊 本体3,800円 菊判270頁 ISBN4-8055-0509-5
■帯文より:"装飾と犯罪"という衝撃的言辞をもって近代建築の系譜を現代建築へとつないだ、ウィーン世紀末建築の異才ロースの建築・文化論集。『装飾と罪悪』改題、増補普及版。


聖母
レオポルト・フォン・ザッヘル・マゾッホ著 藤川芳朗訳
中央公論新社 05年10月刊 本体2,200円 46判253頁 ISBN4-12-003674-X
■帯文より:私に跪き、罪を贖うがよい。配信に容赦ない制裁を下す美しい女教祖…。歪んだ愛は狂気と化す。初邦訳。ジル・ドゥルーズが絶賛した、知られざるマゾッホ最高傑作。
●装丁が古きよきマゾッホの訳書一般と違う雰囲気で、新しいと言えば新しい、物足りないといえば物足りない・・・。最初から文庫で出してくれたらもっと嬉しかったです。


★今週の注目選書・新書・文庫

花街――異空間の都市史
加藤政洋(1972-)著
朝日選書(朝日新聞社) 05年10月刊 本体1,400円 46判322頁 ISBN4-02-259885-9
■帯文より:最盛期、全国600ヵ所もあったという「花街」。日本の近代都市形成に果たした、その〈役割〉とは?
●気鋭の地理学者エドワード・ソジャの著書を翻訳されてもいる加藤さんの、注目の単独著第二弾。デビュー作は『大阪のスラムと盛り場――近代都市と場所の系譜学』(創元社、02年4月刊)。今後の活躍が大いに期待される若手の人文地理学者です。


芸術の哲学
ゲオルク・ジンメル(1858-1918)著 川村二郎訳
白水uブックス(白水社) 05年10月刊 本体880円 新書176頁 ISBN4-560-72084-3
■帯文より:知性と感性の融合が生んだ、類まれな芸術エッセイ。
■版元紹介文より:ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアという3つの都市の美的な特質を見事に分析したエッセイをはじめ、こまやかな観察と透徹した認識で美の本質を照射する画期的芸術論。
■目次より:
ベックリンの風景画(一八九五年)
ローマ(一八九八年)
シュテファン・ゲオルゲ(一九〇一年)
額縁(一九〇二年)
レオナルド・ダ・ヴィンチの晩餐図(一九〇五年)
フィレンツェ(一九〇六年)
ヴェネツィア(一九〇七年)
第七の環(一九〇九年)
芸術のための芸術(一九一四年)
カリカチュアについて(一九一七年)
肖像画の問題(一九一八年)
●第一部のみの収録とのことです。斎藤栄治訳の『芸術哲学』(岩波文庫、初版55年、最新復刊95年)というのもありましたが、こちらは品切。岩波版では第二部も収録されていました。
●いっぽう、渡辺二郎訳の『芸術の哲学』(ちくま学芸文庫、98年6月刊)は内容が別物です。以下にちくま版の目次を掲げておきます。品切になったらそう簡単には重版してくれませんから、購入しておくのが賢明です。
技術における虚構と真実
アリストテレスの『詩学』
ミメーシス、カタルシス、ハマルティア
ニーチェの『悲劇の誕生』
ディオニュソス的なものとソクラテス主義
ハイデッガーの芸術論
ガダマーの芸術論
フロイトの詩人論
ユングの詩人論
ショーペンハウアーの世界観
芸術の慰めと苦悩の現実
カントの『判断力批判』
●uブックスでは「名著を新書で」というキャッチコピーのもと、デカルトの『方法叙説』(養老孟司解説)やニーチェのアンソロジー『ニーチェからの贈りもの ストレスに悩むあなたに』などを刊行してきました。いずれも、白水社の著作集や全集を再活用したものですが、こうしてハンディなかたちで利用できるようになるのは歓迎です。


血と薔薇コレクション1――エロティシズムと残酷の綜合研究誌 
澁澤龍彦責任編集
河出文庫(河出書房新社) 05年10月刊 本体1,200円 文庫441頁 ISBN4-309-40763-3
■帯文より:幻の雑誌が今甦る! 1968年という時代の転換点に、衝撃的に登場し、さまざまなエピソードを生んだ幻の雑誌が、多くの澁澤ファンに熱望されて、初の文庫化!
●河出文庫創刊25周年ということで、目を瞠るような企画です。まさか文庫化とは! このほかにも文庫化される書目の噂を耳にしますが、それほんと!という朗報もありました。でも書けません。別に当ブログはスクープを狙うのが目的ではありませんので。O社のKさん、そりゃ、オフレコなことは業界紙や各社のプレスリリースに先駆けて書いたりしませんから、一応は。
●澁澤関連では、アートンから『ねむり姫』(澁澤龍彦=文、野村直子=オブジェ、林宏樹=写真)が刊行されたばかりです。平凡社のホラー・ドラコニアに続く、澁澤再生のための一冊。

***

以上です。(H)
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by urag | 2005-10-09 23:49 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(0)
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