「ほっ」と。キャンペーン
2005年 10月 02日

今週の注目新刊(第22回:05年10月2日)

今週気になったのは、岩波少年文庫で全2巻で刊行されていたe.o.プラウエン(1903-1944)の『おとうさんとぼく』が、青萠堂より全三巻本になって帰ってきたことです。『大好き!ヒゲ父さん――いたずらっ子に乾杯!』、『ごめんね!ヒゲ父さん――わんぱく小僧、どこ行った?』 、『最高だね!ヒゲ父さん――いつも一緒に歩いていこう』 。

いずれも絵本仕様で、岩波少年文庫版に親しんできた自分には、体裁も題名もやや違和感があるのですが、内容にかわりがあるわけではないので、皆さんに広くおすすめしたいです。面白おかしくも愛情溢れる父子のやり取りに、笑ったり泣いたりできるすばらしい作品です。

プラウエンはドイツの著名な風刺漫画家で、ナチスに逮捕され、牢獄で自殺しました。日本でも折々に作品展が開かれることがあったと記憶していますが、本作の再刊をきっかけに再評価の機運が高まれば最高だと思います。

プラウエンの同時代人である劇作家ベルトルト・ブレヒト(1898-1956)の名作詩集『子供の十字軍』 (長谷川四郎=訳、高頭祥八=絵)も、パロル舎から新装復刊されました。この長谷川訳は、1978年に朔人社から刊行され、1986年にはリブロポートからも刊行されていました。また、同作品は、矢川澄子による訳と山村昌明による銅板画で、1992年にマガジンハウスからも刊行されていました。

***

誰も読まなかったコペルニクス――科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険
オーウェン・ギンガリッチ(1930-)著 柴田裕之(1959-)訳
早川書房 05年9月刊 本体2,300円 46判396頁 ISBN4-15-208673-4
■帯文より:天才科学者をつなぐネットワークは、本の余白の書き込みで成り立っていた。コペルニクスの古典600冊の行方から、科学史上の謎とドラマに迫る会心の書。

象徴と芸術の宗教学
ミルチャ・エリア-デ著 ダイアン・アポストロス・カッパドナ編 奥山倫明訳
作品社 05年09月刊 本体2,800円 46判299頁 ISBN:4861820391
■帯文より:昼の精神と夜の精神を往還し、〈聖なるもの〉を探究し続けた知の巨人の活動の全域を一望する格好の入門書。

シュラクサイの誘惑――現代思想にみる無謀な精神
マーク・リラ著 佐藤貴史(1976-)+高田宏史(1978-)+中金聡(1961-)訳
日本経済評論社 05年09月刊 本体2,800円 46判254頁 ISBN4818818003
■版元紹介文より:哲学者はなぜかくも政治に惹かれるのか。ハイデガーやアーレント、ベンヤミン、フーコー、デリダら、現代思想のスターたちの「失敗」から解き明かす、ユニークな政治哲学入門。

■目次:
第1章 マルティン・ハイデガー、ハンナ・アーレント、カール・ヤスパース
第2章 カール・シュミット
第3章 ヴァルター・ベンヤミン
第4章 アレクサンドル・コジェーヴ
第5章 ミシェル・フーコー
第6章 ジャック・デリダ
終章 シュラクサイの誘惑

●無謀や失敗という表現から推察するに、ポレミカルな本でしょう。引き合いに出される思想家はどれも大物ばかり。政治学から見た現代思想といったところ。

資本主義国家の未来
ボブ・ジェソップ著 中谷義和監訳
御茶の水書房 05年9月刊  本体6,200円 A5判450頁 ISBN4-275-00392-6
■版元紹介文より:利潤志向的で市場媒介型の資本蓄積の足かせによって支配されている世界を変えるための政治実践的な的確な基礎を提示。

生きる意味――「システム」「責任」「生命」への批判
イバン・イリイチ著 デイヴィッド・ケイリー編 高島和哉訳
藤原書店 05年9月刊 本体3,300円 46判461頁 ISBN4-89434-471-8
■帯文より:イリイチ自身が初めて平明に語り下したその思想の集大成。

***

以上です。(H)
[PR]

by urag | 2005-10-02 23:57 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://urag.exblog.jp/tb/2287190
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 岩波書店さんよりアガンベン『残...      書肆心水さんより『ブランショ小... >>