「ほっ」と。キャンペーン
2016年 04月 01日

アガンベン近刊書、業界特集誌、など

弊社出版物でお世話になっている著訳者の方々の最近のご活躍や関連情報をご紹介します。

★ジョルジョ・アガンベンさん(著書:『アウシュヴィッツの残りのもの』『バートルビー』『思考の潜勢力』『涜神』『到来する共同体』)
★高桑和巳さん(訳書:アガンベン『バートルビー』『思考の潜勢力』、共訳:ボワ+クラウス『アンフォルム』)
青土社さんのウェブサイトではまだ告知が上がっていませんが、『現代思想』4月号の巻末にある「今月の新刊 2016,04」によれば、アガンベンさんの「ホモ・サケル」シリーズの第II部第2巻『Stasis: La guerra civile come paradigma politico』(Bollati Boringhieri, 2015)が、高桑和巳さん訳で『スタシス――政治的パラダイムとしての内戦』として近刊予定だそうです。折しも、みすず書房営業部さんの制作した販促用パンフレット「ジョルジョ・アガンベン《ホモ・サケル》プロジェクト読書案内」(A4判4折)が書店さん(くまざわ書店八王子店、同蒲田店)で配布中と聞きます。「ホモ・サケル」シリーズの各書の引用と読みどころをコンパクトに解説したもので、入手ご希望の書店さんや読者の方はみすず書房営業部さんまでお尋ねください。

a0018105_16193760.jpg

+++

激動期のさなかにある出版界のこれからを占う雑誌特集が増えているようです。私も参加させていただいた『ユリイカ』3月臨時増刊号「出版の未来」については先日ご案内した通りですが、先月には次のものも発売されました。

◎「本の雑誌」2016年4月号「特集=出版社を作ろう!」
目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。
「おじさん三人組、与那国島の出版社に行く!」は同誌取材班が与那国島の「カディブックス」(2012年創業)を訪問。
「出版社作りにまつわるお金の話」はアルテスパブリッシングの鈴木茂さんによる具体的な起業費用(何にいくらくらいかかるか)の説明。
「座談会/いかに売るかが大変だ!」木瀬貴吉さん(ころから)、清田麻衣子さん(里山社)、羽鳥和芳さん(羽鳥書店)の三氏による本音トーク。新規出版社開拓を目指されている取次人の方は必読かと。
「夏葉社の七年目」は夏葉社の島田潤一郎さんによるエッセイ。「出版社をつくるのは、そんなに難しくはない。気合があればできる。でも、続けるのはとても難しい。実感している」という書き出しが同業者の共感を呼び覚まします。
「こんな出版社を待っている!」は、某取次の仕入部のヴェテラン田中保秀さんによるもの。「どうしても本を作るのが優先されて、“どうやってその本を売って行くのか”という根本的なことが蔑ろにされているケースも間々見受けられます」とのご指摘は至極当然のことながら困難に感じている版元もいることは事実。ここに取次さんのビジネスチャンスがあるような気もします。
「出版社最初の一冊」は46社の版元の処女出版を紹介するもの。弊社は入っていません。
「この出版社に注目!」は、堀部篤史さん(誠光社)、高橋和也さん(SUNNY BOY BOOKS)、佐藤雄一さん(北書店)が注目されている版元を三社ずる挙げておられます。ま、ここでも弊社はお呼びではございません。
「読者アンケート/こんな出版社を作りたい!」は読者の皆さんの想像力にあふれる出版社像を楽しむことができます。雑賀菜奈さんによるイラスト、5F建て社屋には私も憧れます。
最後の「おじさん三人組、暮しの手帖社に行く!」はまたまたくだんの取材班が都内の版元を取材。西へ東へ、とにかくこの三人の取材経費が気になります。

◎「編集会議」2016年春号(「宣伝会議」5月号別冊)
目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。特集は「読者を開拓するメディア戦略 コンテンツ・ビジネス 「新たな職種・役割」」と「出版産業の未来を考える」。後者を紹介しておきます。
「講談社、グローバルでのコンテンツ発信を強化」は編集部記事。
「いま改めて理解する出版業界の構造と市場動向」は伊藤浩史さん(トーハン雑誌部雑誌仕入統括グループマネジャー)による解説。
「出版のイノベーションを考える」は坂本陽児さん(電通MS局PRディレクション室クイエーティブ・ディレクター)、松本弦人さん(BCCKSチーフ・クリエイティブ・オフィサー)、山本由樹さん(「編」代表取締役社長/『DRESS』エグゼクティブプロデューサー)の三氏による座談会。「自社の理念ややるべきことから逆算して矛盾するものでなければ、僕はアウトプットの手段は必ずしも、既存の雑誌やデジタルに限られなくても良いのではと思っています。具体的に言うと、出版社が結果的に教育機関のようなところになっていくのは、一つのあり方です」(73頁)という坂本さんのご意見にはまったく同感です。
「“小さな取次”が起こす、流通構造の改革 本の「売り方を変える」イノベーション」は柳下恭平さん(鷗来堂代表/かもめブックス店主)へのインタヴュー。「ことりつぎ」サービスについて知りたい方はぜひ。
「Webアプリが雑誌に!? “冬の時代”の雑誌市場に参入 「MERY」のメディア戦略」は中川綾太郎さん(ペロリ代表取締役)への取材記事。2013年4月にサービスを開始したキュレーションメディア「MERY」が創刊する新雑誌の件。
「雑誌の危機を救えるか? 注目高まる雑誌定額サービス 新たな収益源としての期待と課題」は湯浅歩さん(ボルブックス代表)による解説記事。湯浅さんはウェブマガジン「コトビー」編集長。 
「無類の本好きクリエイターたちが、本屋の未来を勝手に考える会議」は、本山敬一さん(SIXクリエイティブディレクター)、草彅洋平さん(東京ピストル/ガノリ代表取締役)、牛久保暖さん(電通プランナー)による鼎談。「まずは本屋発で、サブカルコミュニティをくつればいいと思う。本屋でなくても、言ってみれば、キャバクラのような感じでもいい。今日は、このテーマについて話せる女の子というのがいて、話せる場をつくる。そうすれば、テーマに応じた本好きが集まってくる」という本山さんのご発言は、人と本だけでなく人と人のリアルな出会いの場としての書店のポテンシャルを考える上で欠くべからざる欲望を明らかにしておられ、共感を覚えます。ここで言う「女の子」は「男の子」と置き換えたっていいわけですし「オッサン」でもいいわけです。

◎「なnD 4
業界特集というわけではないのですが、興味深い関連記事がちらほら。
「『コーヒーの人』編集後記」は、内沼晋太郎さん(numabooks)が編纂された『コーヒーの人――仕事と人生』(フィルムアート社、2015年12月)への覚書。
「新宿1996/2016」は迫川尚子さん(ベルク)の写真と文による、新宿の路上での雑誌販売をめぐる今昔。
「本が醸されるのを待つ」は、『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment books、2015年12月)の編集者(よ)さんによる制作話。
「なぜ出版社をはじめるのか」は、森山裕之さん(スタンド!ブックス代表)の起業記。
「初台に、fuzkueあり」は、初台駅前のブックカフェ「fuzkue(フヅクエ)」の店主・阿久津隆さんへのインタヴュー。
このほか、編集者による寄稿がまだまだあります。

+++

私事で恐縮ですが、昨秋京都にてホホホ座の山下さんと松本さんと私の三人で鼎談させていただいたトークイベント「第1回 京都に出版社をつくる(には)」の採録再構成録がDOTPLACEにて順次公開開始となりましたので、お知らせいたします。まず前編がこちら。中編と後編は追って公開となります。

+++
[PR]

by urag | 2016-04-01 16:20 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://urag.exblog.jp/tb/22671416
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 注目新刊:スヴェンセン『働くこ...      4月1日ですね >>