2005年 09月 11日

「シェリング著作集」が来月から燈影舎より刊行開始

今春から刊行との情報が流れていた、燈影舎版『シェリング著作集』全5巻がいよいよ来月(2005年10月)下旬から刊行開始になります。書店に案内チラシが流れていると聞き及びますので、いよいよ確度が高くなったということでしょう。

燈影舎と言えば、京都学派の古典を復刊していくシリーズ『京都哲学撰書』や、『西田哲学選集』など、地道な出版活動を続けている京都の出版社です。母体は西田天香氏が明治37年に創設した一燈園という思想的・宗教的団体で、昭和4年に財団法人として認可された「懺悔奉仕・光泉林」が運営しています。建築、演劇、農業、学校などの多角的なグループを形成する特異な団体です。その一角が燈影舎ということになります。

「没後150年記念特別企画」と銘打たれた今回の日本初の著作集は、シェリング(1775-1854)の全生涯にわたる膨大な著作から主要作を厳選したものです。「主要著作、論文の初版本を底本とし、読み易く明快に翻訳」とのこと。

編集幹事は、高山守さん(東京大学教授)と松山壽一さん(大阪学院大学教授)。高山さんは日本シェリング協会の会長をおつとめになっておられます。協会はもちろんこの企画をバックアップされているのでしょうが、監修者と協会役員はあまり重複しているようには見えません。協力はバイエルン科学アカデミー・シェリングコミッション。

A5判上製カバー装で、平均500頁強、各巻の定価は税込で8,000円台だそうです。書店店頭で配布され始めた内容見本によれば、全5巻の内容構成は以下の通り。

第1巻:自我と自然の哲学 (高山守・松山尋一=編) 第2回配本:06年1月下旬
 哲学の原理としての自我について
 独断論と批判主義に関する哲学的書簡
 自然哲学に関する諸考案 序説
 世界霊について (抄訳)
 自然哲学体系の第一草案 (抄訳)
 自然哲学体系草案 序説

第2巻:超越論的観念論の体系 (久保陽一・小田部胤久=編)
 超越論敵観念論の体系

第3巻:同一哲学と芸術哲学 (伊坂青司・西村清和=編) 第1回配本:05年10月下旬
 私の哲学体系の叙述
 哲学体系の詳述
 芸術の哲学 一般部門
 学問論 第十四講 ほか
 哲学一般に対する自然哲学の関係について (抄訳)
 哲学との関連からみたダンテについて

第4巻:自由と歴史の哲学 (藤田正勝・山口和子=編)
 哲学と宗教
 人間的自由に関する哲学的探究
 シュトゥットガルト私講義
 諸世界時代 第一草稿

第5巻:神話と啓示の哲学 (大橋良介・諸岡道比古=編)
 神話の哲学への歴史的批判的序論 第十、二十二、二十四講 ほか
 啓示の哲学 第一書 (第一~八講)

画期的な企画で、大いに期待できます。同時代の哲学者では、ヘーゲルには岩波書店の全集があり、フィヒテには晢書房の全集(刊行中)があり、ショーペンハウアーには白水社の全集があります。全5巻とはいえ、こうした著作集を待ち望んでいた読者は少なからずいるはず。待ち遠しいですが、まもなくです。(H)
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by urag | 2005-09-11 23:58 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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