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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2015年 10月 06日

備忘録(6)

◆10月6日14時現在。

2018年のオープンを目指し42億円の建設費をかけて新設される予定だった小牧市のいわゆる「ツタヤ図書館」への賛否を巡る住民投票が4日に行われ(当日有権者数11万6624人、投票率50.38%)、反対3万2352票、賛成は2万4981票、無効1427票という結果が出ました。

「読売新聞」10月5日付記事「「ツタヤ図書館」反対…愛知・小牧市の住民投票」に曰く「市議選が同じ日に行われたこともあり、住民投票の投票率は50.38%」。「住民投票に法的拘束力はないが、小牧市は「結果を尊重する」としている。市の中心部に約42億円の建設費を投じて地上3階、地下1階の建物を造る計画は、見直しを迫られることになった」と。市議選と同日だったことは幸いだったと思います。

「毎日新聞」10月5日付記事「小牧市住民投票:新図書館に反対多数…計画見直しへ」に曰く「市は当初、図書館を既存の商業施設内に建設する計画だったが、昨年、ツタヤによる運営方式に変更。市民団体「小牧の図書館を考える会」(渡辺育代共同代表)は「市民無視の計画」と反発し、住民投票条例の制定を求めて今年8月、5713人の署名を添え、直接請求した。市議会は先月10日、この条例案は否決したが、議員提出の住民投票条例を可決した」と。市議会は何がやりたいのでしょう。

「ハフィントン・ポスト」10月5日付、安藤健二氏記名記事「TSUTAYA図書館に「NO!」 愛知県小牧市の住民投票で反対多数」に曰く「市長提出の条例案は市議会で否決されたが、これとは別に議員提出の条例が可決され成立した。条例は市長や市議会が投票結果を尊重するよう規定している」。「「TSUTAYA図書館」は、CCCが指定管理者となる公立図書館の通称。2013年4月にリニューアルした「武雄市図書館・歴史資料館」を皮切りに、2015年4月からは神奈川県の海老名市立中央図書館も、CCCが指定管理者になった。宮城県の多賀城市立図書館でも、2016年3月のJR多賀城駅前の移転を機にCCCが管理を担うようになる」と。今後も小牧市では市民の監視が強まるでしょうし、他県でも同様でしょう。

「朝日新聞」10月5日付記事「ツタヤ図書館計画、反対多数 愛知・小牧市住民投票」に曰く「CCCの広報担当者は5日朝、朝日新聞の電話取材に対し、「建築費用の問題が問われたと認識している。CCCとしても高いと思っていたので、再検討の機会が得られた意味で今回の結果は良かった」。一方で図書館建設については「撤退する考えはなく、仕切り直しになった場合は建築費を抑えたプランなどを提案したい」と話した」と。高いと思っていた、という言い分は却って小牧市民の反感を買うだけでは。

「ITmedia ビジネスオンライン」10月5日付記事「小牧市“TSUTAYA図書館”賛否問う住民投票、反対多数に」に曰く「新図書館計画は、名鉄小牧駅前に書店やカフェなどを併設した図書館を2018年オープンを目指し整備するもので、建設費は42億円。CCCと図書館流通センター(TRC)の共同事業体を指定管理者候補としている」と。CCCとTRCの組み合わせは今月オープンした海老名市立中央図書館と同じです。

「佐賀新聞」10月6日付記事「小牧市住民投票、ツタヤ図書館反対が56%」に曰く「結果判明後、計画に反対する市民団体の代表渡辺育代さん(65)は記者団に「市民の意見を聞かず民間企業に運営を丸投げしようとした結果だ。今後、全国でツタヤ方式に反対する住民運動が活発になるだろう」と強調」。武雄市図書館の裁判のゆくえも気になります。

2015年10月19日(月) 午後10時~10時48分放送予定のNHKテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」第279回は「常識の外に、未来はある」と題して、CCCの増田宗昭社長が登場。内容紹介文に曰く「出版不況の中、右肩上がりに売り上げを伸ばす書店や、量販店の閉店ラッシュの中にあって、1日3万人の集客をあげる家電店など、ネットの隆盛でジリ貧の小売業界で革命を起こしている起業家がいる。日本最大のレンタルチェーンの創業者・増田宗昭(64)だ。裸一貫から立ち上げたビデオCDレンタル店で一大チェーンを築き上げたにもかかわらず、増田はみずからの仕事をレンタル業ではなく、企画業だという。業界に先駆けて始め、会員数5,500万人を誇るポイントカード事業や、「居心地がいい」「発見がある」などの生身の体験を重視した新業態の店舗を次々と企画してきたからだ」。《企画屋》としてのポジショニングについては、例えば『TSUTAYAの謎――増田宗昭に川島蓉子が聞く』(日経BP社、2015年4月)の第1章「なぜ、TSUTAYAが家電店?」をご参照ください。

NHKの番組紹介の続きに曰く「この夏、増田は前例のないプロジェクトを打ち上げた。大阪の郊外に地上8階建て、5,000坪の百貨店を建設するという計画だ。しかし、増田が店舗を建設する駅前では、これまで相次いで百貨店が閉鎖してきた。目を引くような仕掛けを作らなければ、集客にはつながらない。来春のオープンが近づく中、増田がとった戦略とは。プロジェクトに密着し、失敗のリスクが高いからこそあえて挑むという増田の哲学に迫る」と。現在、良くも悪くも民放で「ツタヤ図書館」が取り上げられる頻度があがっているさなかに、なおかつ同じタイミングでNHKでの特集番組となると、称賛にせよ炎上にせよ、ツタヤ図書館と百貨店計画の宣伝効果は先月の紀伊國屋書店による春樹本買取のニュースより確実に大きくなりそうです。そういう《嵐の星》の運命を増田さんが摑んでいる、ということかもしれず、そのダイナミズムには賛否を超えて瞠目すべきものがあります。

以下は「都市とライフスタイルの未来を描く」」ことを目標とした国際会議Inovation City Forum第1回会議のうち、2013年10月17日のセッションのひとつとして行われた増田宗昭さんによる講演「美と生活をデザインする街」の動画です。必聴。



また、ご参考までに、「2013年度グッドデザイン・ベスト100」のひとつとして武雄市図書館・歴史資料館が選ばれ、武雄市およびカルチュア・コンビニエンス・クラブが受賞した際の、デザイナーズ・プレゼンテーションとして行われた、樋渡啓祐さん(当時・武雄市長)によるスピーチ「図書館が街をデザインする」も御覧ください。



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by urag | 2015-10-06 14:44 | 雑談 | Comments(0)


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