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2015年 08月 12日

雑談(15)

「雑談(14)」に関することなので末尾にくっつけたかったのですが、字数制限で新エントリーです。不便だなあ。アマゾンに関するお話しの続きです。

◆8月12日17時現在。

拙記事に対してtwitthalさんからツイッター上で色々コメントをいただいたようです。twitthalさんありがとうございます。深く御礼申し上げます。私はツイッターのアカウントを持っていないので、他人行儀ながら拙ブログ上での応答になりますこと、お許しを請う次第です。

まず最初に、「Blog主のuragさんの疑問「なぜマスコミ報道に対してではなく、特定の団体や特定の会社に対して「反論」を試みたのか。」にお答えします。これらの記事がnet上でのこの誤解に関する大きな震源地だったからですよ」とのことですが、それは「アマゾンの日本での消費税の納税について」というご論考でもお書きになっていることなのでご意見として存じています(ただ、私にはこの二者が突出しているようには思えませんし、この二者以外にもtwitthalさんが「反論」しなければいけない相手は数多くいるように感じています)。

私がtwitthalさんの立場や立ち位置に興味がわく、と書いたのは、その「震源地」がtwitthalさんの利害にどう関係しているのかが見えてこなかったからです。twitthalさんはアマゾンとどういうご関係なのでしょう。出版社が答えを聞きたいのはアマゾンからであって、twitthalさんに答えを求めているわけではない。現状ではアマゾンの代わりにtwitthalさんが答えているかのようなかたちに見えてしまっています。それがtwitthalさんにとって本意でないならば、ご自身がお感じになっている利害や立場についてまず説明があった方が読み手には理解しやすいと思います。

「どうして税法上の取り扱いという専門性の強いことについて不勉強なまま参戦するのだろう?」とのことですが、「参戦」したいのではなくて、出版社は本件について関心を持っているということなのです。そのあたりはtwitthalさんとしても、アマゾンと出版社との間にどんな対立の歴史があったかについて、もしご関心がおありならば複数の出版人にお聞きになってみてはいかがでしょう。意外と根深いですし、長い話になりますよ。なんなら私にもお尋ねいただいて構わないです(ただし弊社は出版協には所属していません)。面倒臭いかもしれませんが。

「まあ私の記事も一定の消費税法の知識が無い方にとっては理解しづらいものであるということだな。役務の提供の内外判定の改正のことも含めて書き直した方がいいのかもしれない」とのこと、御賢察の通り私など本件について理解できているとは言い難くこんがらがっているので(ありのままをブログに書きました)、そうしていただける方が分かりやすいかもしれません。

今のところ、twitthalさんの「反論」はアマゾンの肩を持って特定の出版団体や会社に反撃を加えるためのある意味政治的な効果を狙った記事、であるかのように業界人にとっては見えてしまうリスクがあると思われます。また、業界人の立場から「twitthalさんの方が《出版界の問題圏》に参戦したがっているのだ」と穿った見方をする人もいるかもしれません。もしtwitthalさんの第一目的が税法に対する正しい理解の促進であって、アマゾンを庇ったり版元の知識不足を指弾することだけに特化しているのではないなら、アマゾンだの出版協だのという固有名詞抜きで語っていただく方が、読み手のバイアスがかからなくていいのでは、と感じています。少なくとも一方を《擁護》しているように見られなければならない義理も必要もないのではないかと拝察します。

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◆8月12日18時現在。

さて、「雑談」カテゴリーのエントリーをここしばらく読んでくださった方々の中には「いったい某取次のことはどうなったんだ」と思っておられる方もいらっしゃるでしょう。債権者である版元たちは先週4日の時点で債権額の届け出を終えていますから、今のこの時期は目立った動きがありません。しかし細かい出来事は引き続きあれこれ起こっていまして、キーワードのみ挙げると「SKRに滞留している返品」「ブックサービスのアンケート」「特定版元一覧」などがあります。あとはお察しいただくしかありません。いよいよ個別対応の案件が多くなってきているからです。

今までの流れをもう一度おさらいし、整理し直す必要性も感じていますけれど、一方で今や本業を優先する時期ではあります。ある先輩はこう話していました。「俺たちの仕事は本を作ることなんだから、いちいち立ち止まっていられないよ、取次がひどいって言ったって潰れるってのはそんなもんだよ、これからはもっとひどいことがおこるぜ、俺はそんなことには左右されない」。ごもっともです。ただ、今回の件はいちいち胸に刻んでおく必要があることも確かです。できればこうした問題は繰り返したくないからです。

この先、再生計画の決を採る債権者集会が行われるわけなので、まだ本件は終わってはいないのです。更新ペースは落ちると思いますが、最後まで見届けるつもりです。そしていずれ、遠からず、以前のような(?)平穏でゆっくり、なブログ、本をめでるブログに戻りたいと思います。

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◆2015年8月18日11時現在。

twitthalさんから再び丁寧なコメントを頂戴しました。こうしてやりとりの機会を作って下さったことに深く御礼申し上げます。とても嬉しいです。お盆休みの時間を割いてご投稿いただいたばかりか、お盆明けでご多忙なはずの今日にも追記を投稿して下さり、たいへんに恐縮です。少なくとも私にとってはtwitthalさんが意図されていることについての理解が以前よりずっと進んだように感じています。私からの応答(特に「なぜ出版人はかくもアマゾンを信じることができずにいるのか」について)は追ってこのエントリーで補足するつもりですが、まずはtwitthalさんに感謝の言葉を捧げ、心からの挨拶を送ります。

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◆2015年8月19日14時現在。

某巨大ネットショップについてのtwitthalさんとのやりとりの続きです。twitthalさんの応答に改めて御礼申し上げます。

まず、twitthalさんの立場についておさらいします。twitthalさんはまず「【某ネットショップ】に対しては単なる一利用者」であり、「「税法に関する議論は正しい知識に基づいて行われるべきであり、憶測や間違った前提に基づいてそれが行われるのは納税者にとって不幸なことである」という考えから、何が正しいのかということを啓蒙したい」との意図のもと、「この問題に長らく関わって」いらっしゃる、と。そのうえで、「私の note の記事は、昨年の消費税率アップのタイミングで書かれたものであり、私としては、「消費税」という話題に上がっている税目への賛否をそれぞれの立場で考える時に、「【某ネットショップ】は消費税払ってない」「輸出戻し税という不公正」などのノイズを除去したいということを目的としていました」とのことですね。そしてそこには「政治的な意図も何もない」と。

twitthalさんのnote記事を拝読する限りでは必ずしも読み手には判然とはしていなかった部分をより詳しくご説明いただいたことによって、出版業界が抱きうるtwitthalさんの印象というのは変わってくるはずだと私は感じています。

twitthalさんの記事は某出版団体のブログに掲載された文章に対して、執筆した方の会社名と個人名を明記された上での反論でした。某団体と某ネットショップの長い関係性の歴史を多少なりとも見聞きしてきた業界人にしてみれば、二者の間に割って入ることに伴うリスクは承知しているわけなので、よほどのことがない限り火中の栗を拾いにいくことはしません。くだんの疑惑について某ネットショップが公式な弁明を出したことがないだけに、twitthalさんの介入は業界人にとって突出したものに見える可能性がありました。twitthalさんが誰なのか、どんな仕事をしているのか、某ネットショップとはどんな関係なのか、について少なからぬ関心を抱く業界人がいたかもしれません。またその関心はtwitthalさんが本件に関わり続ける限りは今後も持続するものと思われます。

日本の税法や税制に対する理解への自負をお持ちの方にしてみれば、「消費税不払い」などそもそも不可能だ、ということなのですね。出版人や作家、書店人、あるいは一般人の中にも広く、杜撰な解釈が蔓延している《惨状》を見かねてのtwitthalさんのアクションである、と私なりに想像しています。この《惨状》について一点だけ私から補足するとすれば、twitthalさんが憤慨しておられるほど、発言者全員が無知ではないかもしれない、ということです。一見無知に思える疑義は、対象者からの何かしらのレスポンスを期待しての一手法であると理解した方が良い場合があります。税法と税制の理解に立って対象者の納税状況を推測することよりも、対象者自身から聞くことを重視しているわけです。むろん、本当に知識不足であっても、分かったふりをするよりかは、分からないし疑問に思うと表明するほうを選ぶ人もいるでしょう。この場合も当事者からの説明が聞きたい、という思いが根底にはあるものと思われます。(一方、国会で議員が質問する際、彼らは一企業の納税状況を知ることができるとまでは考えていないでしょう。課税や徴収が適切に執行されているかどうかを国に対して問うのが第一目的であると推察します。)

出版人であれ一般人であれ、某ネットショップを代弁することは不可能だ、というのが私の考えです。そこはtwitthalさんも同様のお考えではないかと私は想像しています。twitthalさんが反論記事で、某ネットショップは支払って「いる」、と《断言》するのを避けておられることは賢明なご判断だと思えます。twitthalさんにせよ私にせよ彼らに代わって断言する立場にはないわけです。それでも、とtwitthalさんは仰りたいのではと拝察しますが、税法や税制の理解だけでは本件を構成する要因すべてまでは除去しきれなさそうだ、と私としては感じている次第です。

さてここからは「なぜ出版人(の一部)はかくも某ネットショップを信頼することができないのか」について僅かばかりですが説明しないわけにはいかないでしょう。これは「「法の規定はどうなっているのか?」ということが全て」であるとのお立場からは容認も理解もしがたい要素ではないかと思えるからです。twitthalさんはこう仰っておられます。「【某ネットショップ】の存在に立場を一番脅かされているのは書店なのだろうなと思いますが、日本の出版業界がこの三者のバランスの取れた関係の上に成り立っていたという事情からか、傍からみたら「別に【某ネットショップ】が売ってくれるなら出版社は困らないのではないか」と思える出版社の方が強く反発しています」。当然の疑問であると受け止めていますし、なかなか面白いところを突いていただきました。

まずリアル書店(小売りのための実店舗がある本屋)の中に某ネットショップを脅威に感じている方がおられることは事実だろうと思います。ここしばらく続いている書店業界の再編劇は、成長を続けてきた黒船に対抗するという名目を含んだ、国内チェーンの生き残りを賭けた熾烈な戦いであると見ることが可能ですし、実際に某ネットショップに対して書店人がどう思っているかは私が説明するまでもありません。再編劇は今後いっそう加速するものと思われます。ごく分かりやすく言えば、特定の勢力に従来の勢力が駆逐されるがままになるということは避けねばならない、と考えている利害関係者がそれなりにいるわけです。

では「「【某ネットショップ】が売ってくれるなら困らないのではないか」と思える出版社」がなぜ噛みついているのか。某出版団体というサンプルは特異な面があり、一概に出版社の方がより強く反発している、というわけではありません。それでもあくまでも一出版人の立場から端的に説明を試みると、某ネットショップは自分のやりたいようにやるだけで出版社とはしばしば没交渉な部分がこれまでに見受けられました。そうした《企業体質》に様々な疑義を誘発する因果の一端があるのではと感じています。日本の商習慣や商道徳を軽視しているのではないかと疑われざるをえない行動をとることがありましたし、さらに言えば、出版社にとってだけでなく読者にとっても不合理となる案件について先方に指摘してもいっこうに改善しない、という前例も実際にありました。こうしたことは日常的に出版人が経験してきたものです。顧客第一という割には疑問を覚えざるをえない難点が某ネットショップにはあった、と指摘せざるをえません(出版社の不安や不満は様々ですし、交渉のポイントも多様なので、現時点で私ができることは未解決案件を列記することではなく、示唆に留めるほかはありませんけれども)。そうした払拭し切れない様々な疑問が2000年11月の日本進出以来、長年にわたって澱のように溜まっていき、近年では某出版団体に所属する複数の版元のようについに実力行使(出荷停止)に至るケースも出てきている、といったところです。

某ネットショップの徹底した秘密主義や特異な社風、革新的で破壊的な発明の数々、諸外国での節税対策、あるいはそれらに関連したリーク記事や潜入レポートに接するにつけ、「あの会社ならやりかねない」という疑念や諦念が業界内外には根強くあるのだろうと感じています。例えば昨日、こんなニュースありましたね。「Bloomberg」2015年8月18日付、Alex Barinka氏記名記事「【某ネットショップ】CEO:社内幹部の「冷淡さ」否定-米紙報道を批判」。さらに「TechCrunch」2015年8月18日付、Jon Russell氏記名記事「【某ネットショップ】の労働環境を非難するニューヨークタイムズの記事に【CEO】が「全くの誤り」と猛反論」。CEOが反論したところで「信じられるかよ」と思っている人々が業界内外にいるであろうことは押しとどめようがありません。過去にも多数の関連記事を参照することができます。それらは出版界のみが提示している疑義ではない、ということは御承知の通りです。

私にとっては、某出版団体の記事を重要視していないというよりは、twitthalさんの介入の仕方にいっそうの興味がありました。しかし今回のやりとりによって、twitthalさんへのありうべき誤解は緩和されたはずだと信じます。一方で、某ネットショップに対する不信感というものは今後も様々なかたちで噴出し続けるものと思われます。私としては先方がそれを過小評価せずに、様々な疑問に対してたとえ馬鹿馬鹿しいと思うことがあってもフラットかつオープンに応答し、日本の出版業界(の小さくないかもしれない一部)に対して《敵対的》に見えなくもなかったこれまでのいささか不幸な歴史を少しでも塗り替えてくれるよう期待するばかりです。

ともあれ最後に、twitthalさんがかくも貴重なやりとりの機会を作って下さったことにもう一度深謝申し上げます。

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by urag | 2015-08-12 17:37 | 雑談 | Trackback | Comments(2)
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Commented by アスペル山ちゃん at 2015-08-13 07:47 x
アマゾンの消費税問題、国境を越えた税金の問題で複雑ですし奥が深いですね。
国際金融の世界では、ケイマンがタックスヘブンと言われ注目を集めたり、船籍の世界では、リベリアやパナマの船が多い等、より税負担が少ない所に行き着くようです。
統一通貨「ユーロ」の欧州諸国では、この問題はどうかを検証すると解決のヒントがありそうです。
民間の悪知恵が役人の法整備より常に先行する限り、グレイゾーンは永遠です。
元零細書店主
Commented by urag at 2015-08-13 10:14
アスペル山ちゃんさんこんにちは。コメントありがとうございます。米国でも欧州でもアマゾンの「やりくり」は注目を浴びていますね。


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