ウラゲツ☆ブログ

urag.exblog.jp
ブログトップ
2015年 08月 06日

雑談(12)

やはり長文で字数制限に引っ掛かったため、新規投稿です。

◆8月6日17時現在。

先日、日書連の船坂良雄会長(大盛堂書店)が「全国書店新聞」8月1日号で「栗田出版販売民事再生について」という声明を発表されたことについてご紹介しました。同号でもうひとつ、「首都圏栗田会総会で意見交換/商品供給で不安の声強く」という記事が掲載されていたことに皆様お気づきのことと拝察します。

この首都圏栗田会総会というのは、7月9日(木)、つまり6日の債権者説明会および書店説明会の3日後に行われたもので、「新文化」7月10日記事「首都圏栗田会、「意見交換会」と「交流会」」で書かれている通り、総会後に急きょ設定された栗田と書店の意見交換会では「地方の書店も参加。山本高秀社長ほか下村賢一、森孝弘、高梨秀一郎の3取締役がこれまでの経緯を説明。中央経済社から報奨企画、三笠書房とフランス書院からは注文勘定のすべてを再生計画がスタートするまで延勘にする支援表明があったと伝えられた」。さらに出版社との交流会では、多数の関係者が登壇し「双葉社の戸塚源久社長が祝辞を述べた後、大阪屋の大竹深夫社長、田村書店の田村定良社長、講談社の森武文専務、祥伝社の石原実取締役、河出書房新社の小野寺優社長、ベレ出版の内田真介社長、新星出版社の富永靖弘社長がエールを贈り、今野書店の今野英治社長や高島書房の高島瑞雄社長が出版社に協力を求めた」と書かれています。

6日の債権者説明会が非難ごうごうの悲惨な会であったことから※、栗田にとっては帳合書店の心配や懸念を和らげるチャンスがどうしても欲しかったところだったと推察できます。そこで意見交換会や版元交流会をセッティングして、大阪屋をはじめ、講談社(音羽)、祥伝社(一ツ橋)だけでなく、双葉社、河出、ベレ、新星にも登壇してもらい、「栗田への支援」の存在を強調したわけでした。栗田に激怒している版元にとっては気分の悪いカウンターを仕掛けられたと言わざるをえませんし、書店さんにとっても、自分たちが主賓であるはずの会が栗田支援の場として利用されていることに違和感を覚えた方もおられると思います。

※以前言及しましたがもう一度書かねばなりません。事実がちゃんと伝わっていないからです。月刊『創』編集長の篠田博之さんによるYahoo!ニュース(個人)の2015年7月8日23時24分更新記事「出版不況を象徴する「栗田出版販売民事再生」と講談社『G2』休刊」では公開当初に「企業が倒産した時の債権者の集会では、よく怒声が飛び交うといった話も聞くのだが、取次の場合は債権者が出版社だからだろう。会場につめかけた人たちはメモをとりながら淡々と説明を聞いていた。栗田出版販売は社長以下、役員も出席し、何度もお詫びし、頭を下げていた」というくだりがありました。今は「栗田出版販売は社長以下、役員も出席し、何度もお詫びし、頭を下げていた」を残し、前文は削除されています。これではっきりしたように思いますが、篠田さんは最大の山場であった質疑応答の前に帰ってしまわれていたのでしょう。なお、篠田さんの7月6日のツイートでは「債権者はほぼ出版社なので、この手の集会にありがちな怒号が飛び交うこともなく淡々と進行」という文章が残ったままで、たくさんリツイートもされています。問題はそのあとです。篠田さんの記事を参照された個人投資家のやまもといちろうさんがニュースサイト「Daily News Online」に寄稿された8月5日付のコラム「ピース又吉『火花』200万部と干される書店界隈の仁義なき戦い」で「ところで先日、出版取次大手の栗田出版販売が民事再生手続きとなりまして、しめやかな債権者集会が開かれていたようです」と書かれています。しめやかな会などではありませんでしたので、今一度証言しておきたいと思います。ここまで繰り返されると、その筋が印象操作をしたいのか?と勘繰りたくなります。そのあとに続く山本さんの文章、「栗田出版自体が放漫経営だったというよりは、出版を取り巻く構造が劣化して、収益基盤が乏しい以上、ベストセラーが出ても流通はなかなか恩恵に預かれないという意味では救いの無い世界であることはよく理解できます」という分析の方はいささか平板でざっくりしすぎているように感じるものの、一理あります。

話を元に戻します。「新文化」記事では「田村書店の田村定良社長がエールを贈り、今野書店の今野英治社長や高島書房の高島瑞雄社長が出版社に協力を求めた」ところまでしか書かれておらず、書店さんのリアルな声が拾われずにかなり物足りませんでした。「全国書店新聞」8月1日号「首都圏栗田会総会で意見交換/商品供給で不安の声強く」ではより詳しく会の様子が報じられ、会に参加した140社以外の版元にもようやく、断片的だった情報の概観がわずかにですが垣間見えてきました。

曰く「総会は今野英治幹事(今野書店)の司会で進行。あいさつした奥村弘志会長(南天堂書房)は「街の書店がどうやって生き残っていくか真剣に討議したい」と述べ、「個人的にはいつかこのようなことになるのではないかと心配していた。経営陣には叱咤激励、批判も言ってきた。感じていたのは、売上が下がる中で社員数が多い。そして自社ビルを売却して移転した事務所の賃料が高い。一番は、創業の栗田家から株を買い取り持ち株会社にしたにもかかわらず、経営陣をはじめ社員の意識が薄く、自社をどうしていくかという自覚と気迫が足りないこと」と苦言を呈した。そして、「我々は栗田とともに生きている書店。栗田一本の書店が多い。長い間、家庭的ないい関係を築いてきた。大阪屋と統合する第三極の新しい取次はこれまでと同じではなく、利益率の高い商品を扱う、自主仕入を強化する、棚貸しをするなど、もっと利益を生み出すことを考えなければ」と提案した」。

南天堂の奥村会長の厳しいお言葉です。「経営陣をはじめ社員の意識が薄く、自社をどうしていくかという自覚と気迫が足りない」というのは実際、版元からも聞かれる声です。ある職責の方は危機感を口にされていました「6月26日以降に栗田を訪問して一番驚くのは《社内の空気感が以前とまったく変わっていない》ということだ。いったいこれでいいのだろうか」と。奥村会長は「大阪屋と統合する第三極の新しい取次はこれまでと同じではなく、利益率の高い商品を扱う、自主仕入を強化する、棚貸しをするなど、もっと利益を生み出すことを考えなければ」とお書きになっていますが、ここはもう少し詳しくお話しを伺いたいところです。先日来ご紹介している通り、仕掛販売や報奨、特約、インペナ契約などは利益率が高くてもそれにばかりかかずらっていれば商品多様性の確保は二の次になりがちです。利益のみが問題なのではなく、書店というリアルな場をどう魅力的なものにしていくのか、そういったご構想をこそ知りたいところです。

記事にまた曰く「栗田の山本高秀社長は「皆様に多大な迷惑をかけ深くお詫び申し上げたい」と謝罪し、「民事再生申立て以降、再生スキームについて返品の件で理解をいただけず、出荷停止している出版社も多い。大阪屋、日販を経由して対応している。弁護士、裁判所と協議しながら、新たな提案を準備しているところだ。直近の課題として、商品供給については一日も早く平時の状態に戻したい。全社員一丸となって取り組んでいる」と理解を求めた。また、中央経済社から特別報奨金付きセット企画、三笠書房とフランス書院から再生計画が決定するまで注文勘定を延勘にする応援の提案があったと報告。「再生に向け前に進まなければならない」と語った。

8月1日の船坂会長の声明では「栗田の経営陣はこの事態を重く受け止め、これ以上の混乱を回避するため栗田帳合書店並びに出版社の意見、批判に謙虚に耳を傾けていただきたい。そして、栗田帳合書店が可能な限り通常に近い形で営業できる体制を作っていただきたい」と書かれ、さらに「特に新刊配本についてはいまだ停止している出版社も多く」「少なからぬ出版社が栗田への出荷を停止し、返品を逆送しています」と窮状を訴えておられるので、首都圏栗田会以後、3週間を経過しても状況には依然厳しい部分もあるのだと受け止めた方がよさそうです。

記事にまた曰く「取引先書店向け説明会では、栗田の山本社長、下村賢一専務、森孝弘、高梨秀一郎両取締役と弁護士2名が、書店の質問に答えた。東北や関西の書店も出席した。書店からは新刊配本、客注品など商品供給に対する不安の声が多数あがった。これに対し、栗田側は「出荷停止出版社の一覧表を作成し、毎日更新して書店に送っている」「商品供給はまず大阪屋、そして日販にもお願いしている。それでも駄目なら、出版社から現金で買ってでも手配する」などと説明した」。

この「出荷停止出版社の一覧表を作成し、毎日更新して書店に送っている」というのは、版元有志の会と梓会を対象にして行われた7月29日の「山本社長の話を聞く会」での高梨取締役の話と食い違います。会場から「新提案(二次卸スキーム、特に返品)を拒否している版元の名前を書店に公表しているのか」という質問があり、高梨さんははっきりと「公表しない」と言ったのです。これはおかしい。実際のところ「(今は)公表し(てい)ない」という意味だったのだとしても、首都圏栗田会という限定された場では、栗田から見て「非協力的」な版元を一覧にし、毎日書店に送っていたと明言していたわけです。出荷停止版元と新提案拒絶版元は違う、と言ってみたところでそんなものは屁理窟にしかなりません。このことを今まで知らなかった版元もいることでしょう。

それと、栗田が書店さんに話したという「商品供給はまず大阪屋、そして日販にもお願いしている。それでも駄目なら、出版社から現金で買ってでも手配する」との発言も気になります。まず大阪屋や日販を介した仕入は、仲間卸と同じなので、原則的には栗田は版元に直接返品ができません。ただ、大阪屋や日販が栗田に何を何冊卸したのかは分かりませんから、返品が出ても「これは栗田の返品です」と版元に強弁することもできるでしょう。いわんや返品を整理しているのは出版共同流通(SKR)です。日販も大阪屋も栗田も太洋社も使っています。栗田で返品できなかったために他取次からこっそりと返品されても、版元は一冊ごとにマーキングをしているわけではないので簡単には見破れません。SKRが恐るべきブラックボックスであることは多くの出版社が気付き始め、警戒を強めています。

さらに「出版社から現金で買ってでも手配する」というせりふは資金繰りに苦慮して版元にカネをせびっている栗田が言えるようなことではありません。現金があるなら版元への返品買上強要をただちにやめるべきです。言葉尻の問題ではなく、こういうことを公言してしまう栗田の体質が問題なのです。

記事にまた曰く「交流会では、出版社を代表して双葉社の戸塚源久社長があいさつ。「栗田会会員書店が一生懸命読者に手渡してくれた本、出版社が熱意をもって作った本のお金が入らないのは悔しい。中小出版社はぎりぎりのところで踏ん張っている。栗田会の志ある書店とともに頑張りたい」と述べた」。

戸塚社長が中小版元のことを気に掛けてくださったのは率直に嬉しいですが、この「ぎりぎりのところで踏ん張っている」という状況を知るには、中小の声を実際に聞いてみないととても真実には辿りつかないだろうと思います。大手がいくら登壇してそのことを伝えてもリアリティに欠けるのではないでしょうか。

記事にまた曰く「講談社の森武文専務は「栗田の民事再生は書店を守るため、出版社の被害を最小限に食い止めるため必要な措置」と述べ、出荷停止を止めるよう呼びかけた。河出書房新社の小野寺優社長、大阪屋の大竹深夫社長、大阪屋友の会連合会の田村定良会長らが栗田と書店に応援の言葉を述べ、書店からは高島書房(福島県郡山市)の高島瑞雄社長、今野書店(東京都杉並区)の今野英治社長が出版社に協力を呼びかけた」。

講談社のような高正味好条件の版元の偉い人が状況の異なる他社版元に出荷停止を呼び掛けても説得力がありません。噴飯もの、失笑ものです。続いて登壇された河出さんが気の毒にすらなります。栗田や大阪屋が生まれ変わるためには、優遇版元の呪縛から解放されることが必要です。自分たちでもこのままではさすがにまずいと思っているから、大手自身の正味の見直しを考えたのではないですか(小田光雄さんの「出版状況クロニクル(87)」参照)? 結局それは不発に終わったというのですから、大手版元による栗田や大阪屋への呪縛は解けないままです。このままでゲームを再開しても遠からずまた「詰む」ことが明白だ、とあちこちで噂されていることを、栗田も大阪屋もその株主版元たちも知らないわけではないでしょう。首都圏栗田会では南天堂の奥村会長のように厳しい苦言を呈する版元がバランス的に必要なはずでした。それができなかったのは栗田やその関係者の明らかな失策です。

+++

◆8月10日14時現在。

別件です。以前から色々な指摘(例えばこれ)があった、表向きは華やかな例の図書館をめぐる問題ですが、いよいよ高名な著者がコメントされるまでになっています。曰く「武雄市図書館が初期蔵書の入れ替えのために2000万円を投じて購入した図書のリストがこれです。… これが図書館の機能拡充のために優先的に「選書」された本です」。「首都圏のどこかの書店の不良在庫をそのまま図書館に「おしつけた」のではないかという疑念が語られていますが、図書館はその疑念に対して誠実に回答して、これらの書物がなぜ武雄市民のために優先的に購入されなければならなかったのか、その合理的な根拠を示す責任があります」。

最近ではこんな「まとめ」があります。これを参照しつつ巷の声を拾うと次のような感じです。

「これですけど、どうしてこんな酷いことになっているかと言うと、新古書店の在庫をそのまま持ってきたからじゃないかと思うんです。【社名は伏せます】担当者も「新古書店から蔵書を仕入れる」と講演で発表していましたし。しかし、図書館の蔵書としてこれではひどいと思うのです。 #公設【書店名は伏せます】問題」。「まさに本を飾りとしか思っていない、【社名は伏せます】の図書館に対する考え方が具現化した選書だと思います。手が届かない書架も、壁一面の書架も、根っこは同じだと思うんです。でも、そういう事業者に「図書館」を運営させてはいけない。図書館として機能しなくなります。 #公設【書店名は伏せます】問題」。「武雄市図書館改修時の蔵書購入については で、「蔵書としては不合理な、新古市場での市場価値を失った本が、系列の新古書店から図書館に納入されたのではないか」との疑いを提示していましたが、もはやこれを確信しつつあります。 #公設【書店名は伏せます】問題」。

「日中にも書きましたが、【社名は伏せます】にとっての図書館というのは、自社の所有する不良在庫を処理できる「単なるゴミ捨て場」です。今回の蔵書入れ替えの件を目の当たりにしてよく理解出来ました。 #takeolibrary #たけお問題」。「「上場してると説明を求められる」という【社名は伏せます】【個人名は伏せます】社長と「情報公開請求は可能な限り遅らせて相手を消耗させてあわよくば知らなかったことにしたい」という武雄市役所のタッグは最強」。

「武雄市図書館・歴史資料館の改修にあたって廃棄された蔵書・視聴覚資料の一覧 DVDについては、ナショナルジオグラフィックのコレクションを丸ごと廃棄していますし…事実、いずれも「【書店名は伏せます】武雄市図書館」ではレンタルをしています。有償で」。

「武雄市図書館がなぜか浦和レッズ関連書籍を大量購入したのは、埼玉で買い取りした本をコンテナごと購入したのだとと思う。埼玉のラーメン屋ガイドも大量にあるので。 #公設【書店名は伏せます】問題」。「武雄市図書館が2013年に買った本『公認会計士第2次試験 2001』 って中古本を何のチェックもせずに買った(買わされた)のがバレバレだよな」。

「郷土資料を廃棄とは、二度と手に入らないものが多いのでは、郷土の歴史があって、今があるのです。今を知ることは、過去の史実がなければ認識できないでしょう。残念な行為だったと思います」。

「ミーハーで一度いってしまったが、武雄の図書館は知の殿堂たることを放棄しているのか?郷土資料を大量廃棄、ハウツーなジャンク本を大量購入なんて地域の文化破壊でしかない」。

「武雄市図書館問題。売れなかった本を約2千万円分図書館の経費で購入させるという夢の錬金術がバレたのか。もし本当なら、【書店名は伏せます】と【社名は伏せます】のイメージダウンによる損失が2千万円以上になることに期待しよう」。

著者の方がはっきりと市民に説明すべきだ、と指摘されている通りの現状で、もしこれが今後も説明されない場合(情報を開示しないという戦略の驚くべき既視感)、最後の方が皮肉を書かれている通り、【社名は伏せます】さんの評判はガタ落ちでしょうね。図書館への監視の目も強くなると思われます。10月1日(木)にリニューアルオープンする海老名市立中央図書館とか、来年3月にオープンする多賀城市の新しい市立図書館とか。

+++
[PR]

by urag | 2015-08-06 18:32 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://urag.exblog.jp/tb/21522951
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 注目新刊:共和国、航思社、洛北...      雑談(11) >>