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2005年 06月 26日

今週の注目新刊(第10回:05年6月26日)

さて今週からTRCの「週刊新刊情報」は書籍の選択のみに利用することにしました。詳しい書誌情報は、版元各社のウェブサイトや各種オンライン書店をご参照くださいませ。

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ニュー・インペリアリズム
デヴィッド・ハーヴェイ(1935-)著 本橋哲也訳
青木書店 本体2800円 4-250-20517-7
●ハーヴェイはどんどん訳されて欲しいですね、「希望の空間」2000年とか「資本の空間」2001年とか。おそらくどこかの版元さんがすでにお進めになっているのでしょうけれども。

グローバリゼーションの倫理学
ピーター・シンガー著 山内友三郎+樫則章監訳
昭和堂 本体2300円 4-8122-0521-2
●One World(2002年刊)の翻訳。原題をそのまま活かしたほうがよかった気もしますが。「グローバリゼーションの倫理学」というのは原著では副題です。

魂の民主主義――北米先住民・アメリカ建国・日本国憲法
星川淳(1952-)著
築地書館 本体1500円 4-8067-1309-0

一市民の反抗――良心の声に従う自由と権利
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(1817-1862)著 山口晃訳
文遊社 本体1500円 4-89257-045-1
●版元情報によれば、英語原文も併録とのこと。文遊社さんでは8月上旬にボリス・ヴィアンの『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』(浜本正文訳、4-89257-046-X)も刊行予定だそうです。初版はリブロポート(廃業)から95年に刊行されていましたが、現在まではどちらかといえば値段の下がりにくい部類の古書でした。

ニュー・アメリカニズム――米文学思想史の物語学〔増補新版〕
巽孝之(1955-)著
青土社 本体2600円 4-7917-6196-0
●版元の紹介文によれば、「フーコー、デリダ、ド=マンの理論を再検討し、新歴史主義(ニュー・ヒストリシズム)以後の視野から、従来の文学史、文化史を覆した名著。「9・11以後」を踏まえた新論文を増補」。

わたしたちの脳をどうするか――ニューロサイエンスとグローバル資本主義
カトリーヌ・マラブー(1959-)著 桑田光平+増田文一朗訳
春秋社 本体2100円 4-393-32223-1
●まもなく来日(2005年7月)。未来社からは『ヘーゲルの未来』が翻訳出版されます。

世界業界地図――グローバルな産業の動きがわかる〔2005年版〕
富士グローバルネットワーク監修
新紀元社 本体1300円 4-7753-0392-9
●版元の宣伝文によれば、「全世界の産業の動きを図版、チャートによって、容易に把握が可能。世界における日本企業の実力も比較できる、ビジネスマン必携の1冊です。金融、IT・情報通信、機会、素材、エネルギー、メディア、流通等、世界の産業、約40分野が図解で体系的に理解できます!」とのこと。これは便利そうですね。ビジネス書に置かれるんでしょうが、むしろ人文書でネグリ+ハート『〈帝国〉』以文社、クライン『ブランドなんか、いらない』はまの出版などの反グロ本の隣に置かれて欲しい本ですね。

哲学者エディプス――ヨーロッパ的思考の根源
ジャン=ジョセフ・クロード・グー(1943-)著 内藤雅文訳
法政大学出版局 本体3300円 4-588-00820-X
●98年、新曜社刊『言語の金使い―文学と経済学におけるリアリズムの解体』土田知則訳、以来の翻訳になりますでしょうか。新曜社の本では著者名表記は「ジャン=ジョゼフ・グー」。フランス語のつづりでは、Jean‐Joseph Goux です。もっと翻訳されていてもふしぎではない研究者なのですが、なかなか出ません。

サルトルの世紀
ベルナール=アンリ・レヴィ(1948-)著 石崎晴己監訳 沢田直+三宅京子+黒川学訳
藤原書店 本体5500円 4-89434-458-0
●2005年はサルトル生誕百周年ということでフランス本国では盛り上がっているそうです。

世紀の恋人――ボーヴォワールとサルトル
クローディーヌ・セール=モンテーユ(1949-)著 門田真知子+南知子訳
藤原書店 本体2400円 4-89434-459-9

ピレボス
プラトン著 山田道夫訳
京都大学学術出版会 本体3200円 4-87698-160-4
●現在、岩波書店版「プラトン全集」が再刊配本中ですが、京大の「古典叢書」の新訳ももちろんマストバイです。

善の研究――実在と自己
西田幾多郎+香山リカ著
哲学書房 本体2400円 4-88679-211-1
●初版単行本は「能動知性 intellectus actu」叢書第5巻として2000年刊。今回「哲学選書 collection nous」第2巻へスイッチ。ちなみに「哲学選書」第1巻はパノフスキーの「〈象徴形式〉としての遠近法」2003年刊(初版単行本は1993年刊)。

医学と哲学の対話――生-病-死をめぐる21世紀へのコンテクスト
ディートリヒ・フォン・エンゲルハルト+ハインリッヒ・シッパーゲス著 藤森英之訳
創造出版 本体2500円 4-88158-298-4
●フォン・エンゲルハルトさんの著書ではほかに、『啓蒙主義から実証主義に至るまでの自然科学の歴史意識』(岩波哲男ほか訳、理想社、2003年、ISBN:4650105315) が訳されています。シッパーゲスさんには『中世の患者』 (山岸洋訳、人文書院、1993年、ISBN:4409510312)、『中世の医学――治療と養生の文化史』(大橋博司+浜中淑彦訳、人文書院、1998年)という名著もあります。『ビンゲンのヒルデガルト――中世女性神秘家の生涯と思想』(熊田陽一郎+戸口日出夫訳、教文館、2002年、ISBN:4764234025)では「シッペルゲス」と表記されています。 どれもこれも購入しておいて損はない研究書です。

「聖ヒエロニムス」図像研究――一聖者表現のさまざまなかたちと意味
久保尋二著
すぐ書房 本体3500円 4-88068-302-7
●99年に平凡社から刊行された『宮廷人レオナルド・ダ・ヴィンチ』以来の単行本でしょうか。この本も基本書と呼べる成果に違いありません。

噫無情――レ・ミゼラブル 前篇
ヴィクトル・ユゴー原作 黒岩涙香訳
はる書房 本体2500円 4-89984-060-8
●歴史的名作翻訳を旧漢字、総ルビで順次発掘刊行するという「世界名作名訳シリーズ」のスタート。まずは黒岩涙香訳『噫無情(ああむじょう)』前編と後編を刊行。このあとは、上田萬年訳『新譯伊蘇普(新訳イソップ)物語』(上下巻)、黒岩涙香訳『岩窟王(がんくつおう)』(前編・中編・後編)と続く予定とのこと。

河童伝承大事典
和田寛(1935-)編
岩田書院 本体9500円 4-87294-385-6
書肆アクセスに掲載されていた紹介文によれば、「全国北海道から沖縄までの河童伝承を網羅した、763頁、データは5400余りにものぼる壮大なスケール(本のボリュームも合わせて!)の大事典」とのこと。

不知火・人魂・狐火
神田左京著
中公文庫BIBLIO 本体1048円 4-12-204545-2
●初版単行本は筑摩書房から92年に発行。

奇怪動物百科
ジョン・アシュトン著 高橋宣勝訳 早川書房
ハヤカワ文庫 本体740円 4-15-050299-4
●初版単行本は博品社(廃業)から92年に発行。

生物から見た世界
ユクスキュル著 クリサート図 日高敏隆+羽田節子訳
岩波文庫 本体660円 4-00-339431-3
●ロングセラーだった思索社版1973年刊の改訂文庫化ではありますが、「意味の理論」やアドルフ・ポルトマン「新しい生物学の開拓者」、トゥーレ・フォン・ユクルキュル「環境世界の研究」は収録していません。つまり、思索社版第一部の「動物と人間の環境世界への散歩」の改訂のみです。文庫化するにあたって、Umwelt は「環境世界」から「環世界」へと改訳されています。『生命の劇場』(博品社)もどこかが文庫化しないのかなあ。愛読書なので、ウチ(月曜社)で復刊したいくらいです。いい本なんだけどなあ。

はじまりのレーニン
中沢新一著
岩波現代文庫 本体1100円 4-00-600148-7
●初版単行本は岩波書店で94年、増補されて同社の「同時代ライブラリー」から98年、そして05年に文庫化という流れ。

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以上です。目を瞠ったのが『河童伝承大事典』。本当にすごいですね。(H)
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by urag | 2005-06-26 23:41 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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