2014年 10月 10日

注目新刊:ビュール『革命の芸術家』こぶし書房、ほか

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◆ニコラス・ロイルさん(著書:『デリダと文学』)
◆中井亜佐子さん(共訳:ロイル『デリダと文学』)
◆吉田裕さん(共訳:ロイル『デリダと文学』)
「図書新聞」2014年10月11日付第3178号に、弊社6月刊『デリダと文学』の書評「「デリダと文学」の出会いを描出――日本語によるオリジナル論集」が掲載されました。評者は守中高明さんです。「著者はこの時代における「デリダと文学」の出会いをその可能性の中心において描き出すことに成功している」と評していただき、さらに厳しい評価も頂戴しましたが、詳しくは紙面をご覧ください。

『デリダと文学』の訳者のお二人は先月刊行されたC・L・R・ジェームズについての伝記の訳書『革命の芸術家』を手掛けられています。また、吉田さんは7月に花伝社さんからチョムスキーのインタヴュー集『複雑化する世界、単純化する欲望――核戦争と破滅に向かう環境世界』を上梓されており、活発なご活躍に目を瞠るばかりです。『革命の芸術家』の訳者あとがきでは、弊社より来春刊行予定の近刊書、C・L・R・ジェームズ『境界を超えて』をご紹介いただきました。

革命の芸術家――C・L・R・ジェームズの肖像
ポール・ビュール著 中井亜佐子+星野真志+吉田裕訳
こぶし書房 2014年9月 本体4,000円 4-6判上製396頁 ISBN978-4-87559-293-8

帯文より:サイードが高く評価した稀有な黒人革命家。クリケットを愛し、労働者階級と植民地の解放をめざして戦争と革命の世紀を疾駆した、思想家の生涯!


◆中山元さん(訳書:ブランショ『書物の不在』)
先日も少し言及しましたが、『資本論』第一巻に続く中山元さんによるマルクスの新訳第二弾『ユダヤ人問題に寄せて/ヘーゲル法哲学批判序説』が刊行されました。表題二篇の論考の翻訳に加え、その二篇の合計よりも長い訳者解説が付されている力作です。岩波文庫版の既訳書『ユダヤ人問題によせて ヘーゲル法哲学批判序説』(城塚登訳、1974年)と比べても厚さは一目瞭然ですし、値段も倍以上です。しかし人文系の文庫本の訳者解説で300頁強というここまで長篇のものはめったにありません。分冊するのではなく1冊にまとめた光文社さんの気合いが伝わってきます。

ユダヤ人問題に寄せて/ヘーゲル法哲学批判序説
マルクス著 中山元訳
光文社古典新訳文庫 2014年9月 本体1,400円 562頁 ISBN978-4-334-75298-9

帯文より:新訳+充実の解説。青年マルクスの思想的跳躍の核心!
帯文(裏)より:「急進的な民主主義者」から「プロレタリアートによる革命を目指す共産主義者」へ。宗教批判からヘーゲルの法哲学批判へと向かい、真の人間解放を考え抜いた青年マルクス。その思想的跳躍の核心を充実の解説とともに読み解く。従来の枠を超えた画期的な「マルクス読解本」の誕生。
カヴァー裏紹介文より:青年マルクスは、宗教批判から現実の政治変革としてヘーゲルの法哲学批判へと向かい、そしてユダヤ人問題、すなわち「貨幣」に支配される社会を変革することなしに、真の人間解放はあり得ないと喝破する。独創性あふれる「初期マルクス」の最重要論文集に、詳細かつ丁寧な解説を付す。

中山さんは『資本論』第1巻の翻訳を全4分冊で日経クラシックスより上梓されましたが、周知の通りマルクスなかんずく『資本論』はここしばらく再読解再評価の機運がますます高まっており、今春にはミヒャエル・ハインリッヒ『『資本論』の新しい読み方――21世紀のマルクス入門』(明石英人+佐々木隆治+斎藤幸平+隅田聡一郎訳、堀之内出版、2014年4月)のような話題書も刊行されています。堀之内出版さんと言えば、来年1月に新しい思想誌『ニュクス』を創刊されることでもさいきん注目されていますね。『ニュクス』創刊号(2015年1月発行予定、本体1,800円、A5判並製256頁予定)は第一特集が「〈エコノミー〉概念の思想史 アリストテレスからピケティへ」、第二特集が「現代ラカン派の理論展開」だそうで、弊社関連の著者も寄稿されるそうなので、刊行され次第拙ブログでもご紹介するつもりです。


◆川田喜久治さん(写真集:『地図』)
港区のフォト・ギャラリー・インターナショナルの今月の展示会で川田さんの作品が展開されています。また、アキオ・ナガサワ・ギャラリー&パブリッシングでは今月、写真集『地図』の完全復刻版限定600部を発売されます。高額本ですが、Paypalでも支払えるので分割払いが可能ではないかと思います。美術出版社の元版は古書価でたいてい数十万円しますから、今回の復刻版には国内外から注文が殺到するかもしれません。弊社がかつて海外用に用意した版もあっという間に品切になったのを思い出します。

P.G.I. October Show 2014

会期:2014年10月6日(月)~11月4日(火)
場所:フォト・ギャラリー・インターナショナル(東京都港区芝浦4-12-32)
内容:現代において写真の有り様は多岐にわたり、写真家は様々なアプローチで作品を制作しています。その中で「形」は、時代や表現の変化の中にあっても変わらず、コンセプトやテーマを為す要素のひとつとしてあり続けています。コンポジションをテーマにした写真はもちろん、スナップにおいても、都市と人の関係を描いたり、瞬間の緊張感を表すのに線と形は重要な役割を果たしています。今回の展示では、川田喜久治のスナップや、石元泰博の桂離宮、アーロン・シスキンの名作「Pleasures and Terrors of Levitation」など、「形」をキーワードに、展覧会を開催いたします。是非ご高覧ください。


地図(復刻版)【限定600部、サイン&ナンバー入】
川田喜久治写真
AkioNagasawaPublishing 2014年10月 本体50,000円 特製タトウ入150×225mm190P

内容:収録作品95点/大江健三郎「MAP」/川田喜久治「1965年版写真集「地図」再復刻について」。1965年に刊行、今では観ることすら叶わない伝説の写真集「地図」。原爆ドームの壁や天井を埋め尽くす「しみ」を執拗に追いながら、若い攻隊員の肖像や手紙、廃虚と化した要塞等を通じて戦火の記憶を炙り出している。また、戦後の復興を暗示する町工場の鉄くず、占領軍が持ち込んだラッキーストライクの箱、捨てられたコカ・コーラの瓶など、戦後日本の変貌もとらえている。全頁観音開きという杉浦康平による特異なブックデザインも再現、日本の写真集の中で最も実験的な写真集との呼び声高い『地図』待望の完全復刻です。

作者コメント:「「地図」の初版は1965年に刊行された。2005年に一度、今回、2014年版が復刻として二度目になる。当然ながら、おもむきも少しずつ変わる。一度目の復刻は、すくなからず「新版」への意志をもったものだった。半世紀を経て、今回は初版とほぼ同じものに固執した。複製印刷技術の高度なデジタル化のなかで、失われたグラビア版式のトーンに近づけるのは難しい。トーンとは、写真ではメチェから内容を暗示するシグナルであるから、印刷のなかでも微細に追いかけなければゴールは無い。そして、ここにシャム双生児のように「地図」は結合された。さきの時代の象徴的で、最後のものたちが、蘇生しながら、未来へむかうオブジェとなった。遠い場所の記憶ほど、鮮鋭さとコントラストのなかでモノクロームの内容は確かに動いている」(川田喜久治)。

※10月の3大ご予約特典――期間限定特別価格45,000円(税抜)、以降は通常価格50,000円(税抜)とさせていただきます。1965年オリジナル版(美術出版社刊)販売時の予約受付用内容見本の復刻版をお付けいたします。送料無料お品物は「レターパック+」でのお届けとなります。お届け日時のご指定は頂けませんので、予めご了承ください。なお、お品物は10月中旬より順次発送させて頂きます。上記3大特典は「10月31日迄」にご精算頂いた方を対象とさせていただきます。

※ご注文・お問合せはinfo@akionagasawa.comで承っております。お名前/ご住所/お電話番号/ご注文タイトル/冊数/希望お支払方法(銀行振込/Paypal) 以上をご明記の上、上記メールアドレスまでお願いいたします。追って詳細をご連絡させていただきます。

【ご注意ください!復刻版『地図』はAkioNagasawaPublishingさんの出版物であり、月曜社が扱う商品ではありません】


◆間章さん(著書:『間章著作集』全三巻)
◆須川善行(編書:『間章著作集』全三巻)
『間章著作集』全三巻の完結記念として、以下のトークイベントが行われます。

◎椹木野衣×須川善行 「非時[ときじく]と廃墟そして 間章[あいだあきら]

時間:2014年11月8日(土)15:00~17:00 (14:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
料金:1500円+1ドリンクオーダー

内容:きらめく知性と文体でフリージャズやパンクを論じ、1970年代を駆け抜けた音楽批評家、間章。絶版状態が続いていた著作群に膨大な未発表原稿を加えて再編集した「間章著作集」全3巻(月曜社)も、『時代の未明から来たるべきものへ』に始まり、『さらに冬へ旅立つために』刊行をもって完結を迎えました。音楽批評という枠を越えた間章のテクストは、今読み返したときに私たちにどんな問いを投げかけてくれるのでしょうか。70~80年代の音楽文化からのインパクトを隠さない美術批評家、椹木野衣と、「間章著作集」の担当編集者、須川善行が、音楽批評の美学を振り返りながら、「来たるべき」間章について語ります。


◆清水知子さん(著書:『文化と暴力』、共訳:バトラー『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』)
田中功起さんの近著『必然的にばらばらなものが生まれてくる』(武蔵野美術大学出版局、2014年9月)の刊行を記念したトークセッションに出演されます。

『必然的にばらばらなものが生まれてくる』刊行記念トークセッション:田中功起×清水知子

日時:2014年11月25日(火)19:30~
場所:ジュンク堂書店池袋本店4F カフェ
定員:40名
料金:1000 円(1ドリンク付)
予約:1階案内カウンターにて受付、電話予約も承りますTEL.03-5956-6111

内容:第55回ヴェネチア・ビエンナーレ(2013年)日本館代表アーティストとして特別表彰を受賞した田中功起さんと、清水知子さんによるトークセッションです。はじまりは、「清水知子さんと、アートの公共性/社会の中でのアートというテーマで話したい」という田中さんのひとことでした。清水さんはスラヴォイ・ジジェクやアントニオ・ネグリなどの文化理論や、英国現代文化、アニメーション等の現代文化比較研究を専門とし、『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』(月曜社)を昨年上梓されました。〈サッチャー政権以後の「社会のない社会」と呼ばれた時代を、人びとはどのように生き、そこから何を生み出したのか〉。これは『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』の帯文です。田中さんは、根源的な制度への疑いは一貫し、その一貫性を保とうとすれば必然的にばらばらなものが生まれてくる(本書259頁)と言います。田中さんと清水さんのトークセッションは、平熱で沸騰するような刺激的な時間となるでしょう。
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by urag | 2014-10-10 14:27 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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