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2014年 08月 01日

注目新刊:『別冊水声通信 バタイユとその友たち』、ほか

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★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』、訳書:カヴァイエス『論理学と学知の理論について』)
青土社さんの月刊誌「現代思想」2014年8月号「特集=科学者――科学技術のポリティカルエコノミー」に、金森修さんとの対談「科学批判学の未来」(126-144頁)が掲載されています。STAP細胞問題に始まり、STS(科学技術社会論)、そして科学倫理学、科学批判学、メタ科学へと議論が進みます。

近藤さんは対談の最後でこう発言されています。「カヴァイエスは完全にデュドネやアンドレ・ヴェイユ、カルタン、エミー・ネーターらと“一緒に”やっているんですよね。彼らにアイデアを与え、彼らからアイデアをもらって、一緒にやるわけです。これは今の科学哲学とは違うやり方です。そして彼の日記や手紙を読んでみると、正しいか正しくないかではなく、面白いか面白くないかみたいなところで、自分の研究とリンクさせている。このタイプのコラボレーションの可能性が本来エピステモロジーにあるのではないかと思いたい。20世紀前半のヨーロッパの科学哲学の知的文脈、バシュラールたちがいたヨーロッパの科学哲学のあの雰囲気――いろいろな科学者や哲学者もいっぱいやってきて、いろいろ言いながら、お互い変なことをやっているというような――を、学会とは別の仕方で局所的に実現する。科学者と哲学者が、コンパクトなところで、お互いの面白いことを通してお互いに違うことをやると、出てきたもの同士がまたお互いに共鳴するわけです」(144頁)。

近藤さんが上浦基さん(東京電機大学理工学部助教)、澤宏司さん(日本女子大学附属高等学校教諭)、竹之内大輔さん(株式会社イーライフ、シニアコンサルタント)、水越康介(首都大学東京大学院ビジネススクール准教授)らとともに「エウレカ・プロジェクト」を立ち上げ、今年6月に領域横断型のウェブ雑誌「E!」を創刊されたのは上記のご発言の趣旨と合致しているように思います。


★加治屋健司さん(共訳:クラウス+ボワ『アンフォルム』)
水声社さんの7月新刊、鈴木雅雄編『マンガを「見る」という体験――フレーム、キャラクター、モダン・アート』に「マンガと美術――現代美術批評の観点から」(159-182頁)を寄稿されています。

マンガを「見る」という体験――フレーム、キャラクター、モダン・アート
鈴木雅雄編
水声社 2014年7月 本体2,800円 A5判並製272頁 ISBN978-4-8010-0051-3

帯文より:何が〈マンガ〉を可能にしているのか? コマ/フレーム、キャラクターを通して、われわれはどのようにマンガを眺めているのか。マンガ批評、文学研究、美術史を専門とする気鋭の論者たちが、マンガをめぐる時間・運動・言説の問題を自在に語り、新たな理論的枠組から視覚体験としての〈マンガ〉を問いなおす。

目次:
まえがき
第I部 マンガの時間、絵画の時間
 消える男/帰ってくる男――マンガから見た絵画・シュルレアリスム |伊藤剛
 瞬間は存在しない――マンガ的時間への問い |鈴木雅雄
第II部 マンガのコマ、絵画のフレーム
 マンガにおけるフレームの複数性と同時性について――コマと時間をめぐる試論(一)|野田謙介
 分裂するフレーム――シュルレアリスム〈と〉マンガ |齊藤哲也
第III部 マンガをめぐる言説、美術をめぐる言説
 マンガと美術――現代美術批評の観点から |加治屋健司
 マンガ表現と絵画の境界をどう考えるか――フィギュールという接点 |中田健太郎
第IV部 シュルレアリスムの視覚体験とマンガ
 ロプロプが飛び立つ――動いてしまうイメージの歴史のために |鈴木雅雄


★郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』)
★ジャン・ヴァールさん(著書:『具体的なものへ』)
★レーモン・クノーさん(著書:『オディール』『棒・数字・文字』)
水声社さんの7月新刊、『別冊水声通信 バタイユとその友たち』に書評や論考、翻訳が収録されています。「別冊水声通信」の既刊書には『坂部恵――精神史の水脈を汲む』(2011年6月)、『ジュリアン・グラック』(2011年12月)、『セクシュアリティ』(2012年8月)があり、郷原さんは『セクシュアリティ』にもご論文「ヴェロニカ、あるいはファリック・シスターの増殖――ブランショとセクシュアリティ」を寄稿されています。

別冊水声通信 バタイユとその友たち
水声社 2014年7月 本体3,000円 A5判並製424頁 ISBN978-4-8010-0046-9

帯文より:反抗か、共謀か。ソレルス、サルトル、ブルトン、ブランショ、ヴァール・・・同時代の思想家とバタイユとの知られざる関係を明らかにし、新たなバタイユ像に肉迫する! バタイユ「至高者」ほか、本邦初訳のテクストも多数収録。

目次:
I
 フィリップ・ソレルス インタビュー――偉大なるバタイユ |杉浦順子訳
 至高者 |ジョルジュ・バタイユ(濱野耕一郎訳)
 ジョルジュ・バタイユとの対談――文学における悪と幼児性 |ピエール・デュメイエ(岩野卓司訳)
 『文学と悪』を読んで |ジャン・ヴァール(大島ゆい訳)
 ジャン・ヴァール『フランス哲学便覧』評 |ジョルジュ・バタイユ(合田正人訳)
II
 1952年10月18日付のノート(ノート十一、未発表断章) |ジョルジュ・バタイユ(郷原佳以訳)
 アンリ・パストゥロー『人間の傷』評 |ジョルジュ・バタイユ(鈴木雅雄訳)
 アンドレ・ブルトン『時計のなかのランプ』評――詩と世界の終末の誘惑:マルコム・ド・シャザルと悦楽 |ジョルジュ・バタイユ(鈴木雅雄訳)
 コーズ『開幕からの決裂』評 |ジョルジュ・バタイユ(有馬麻理亜訳)
 メルロ=ポンティへの公開書簡 |ジョルジュ・バタイユ(澤田直訳)
III
 問われる共同体――ナンシーとブランショによるバタイユの共同体から出発して |岩野卓司 
 バタイユとブランショの分かちもったもの――1952年10月18日付のノート」から出発して |郷原佳以
 焼け残るものへの眼差し――1940年代のブランショはバタイユをいかに読んだか |門間広明
 共鳴とすれ違い――「コントル=アタック」前後のブルトン、バタイユそしてライヒ |有馬麻理亜
 ブルトンとバタイユにおける主体の位置 |ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン(齊藤哲也訳)
 バタイユとブルトン――イメージと芸術の誕生をめぐるふたつの思考 |長谷川晶子
 自由と瞬間――バタイユの「分身」サルトル? |永野潤
IV
 ヘーゲルちょ最初の格闘 |レーモン・クノー(加藤美季子訳)
 アレクサンドル・コジェーヴとの対話――哲学者に関心はなく賢人を探し求めています |ジル・ラプージュ(加藤美季子+丸山真幸訳)
 バタイユに宛てた七通の手紙 |アレクサンドル・コジェーヴ(丸山真幸訳)
 錯綜する友情 クノーによるバタイユ追悼文を読む |加藤美季子
 コジェーヴの反革命思想とそのバタイユとの差異 |丸山真幸
V
 バタイユとサルトル――カミュの「歴史に対する反抗」を巡って |伊藤直
 実存の眩暈――バタイユのレヴィナス読解をめぐって |伊原木大祐
 やさしき悲痛――レリス・バタイユ交流史における二人の女性の死から |大原宜久
 バタイユとカミュにおける反抗、至高性、遊び=賭け――概念論的研究 |レーモン・ゲ=クロズィエ(千々岩靖子訳)
 バタイユとユイスマンス |築山和也
 アンドレ・マルローの美術論批判――ゴンブリッチ、バタイユ、ブランショ、メルロ=ポンティ |永井敦子


★ニコラス・ロイルさん(著書:『デリダと文学』)
「図書新聞」2014年7月19日号(3167号)の「2014年上半期読書アンケート」欄で、琉球大学教授の新城郁夫さんが、弊社6月刊のロイル『デリダと文学』(中井亜佐子+吉田裕訳)を取り上げてくださいました。「シクスーをも召喚しつつデリダの「墓=クリプト」概念をもとに来るべき小説の政治的存在論を展開させようとする〔・・・〕」とご紹介いただき、さらに「〔デリダ+シクスー『ヴェール』(郷原佳以訳、みすず書房)とともに〕翻訳者それぞれの解説・対論ともども読み応え十分であった」と評していただきました。

また、立命館大学教授の西成彦さんも『デリダと文学』を、ご自身のfacebook「複数の胸騒ぎ Uneasinesses in plural by Nishi Masahiko」2014年7月26日付の投稿で取り上げてくださいました。「「文学キャノンの更新」という既成の制度的文脈を、「別の更新方法」へとするかえるための新しい方法の模索。つまり、過去の作品が「近未来」を「予言」するかのよう、まさにテキストとして私たちの目の前にあるかのように「提示」するための方法。それが「脱構築」だ。〔・・・〕、コンラッド論(おもに「秘密の同居人」The Secret Sharerと「台風」Typhoonを扱っている)が含まれており、そこで「フクシマ」に対する言及に絡めて上記のデリダの文章(《 来たるべき最悪のものの・・・》)が引かれているのだが、「核」と「他者の一言語使用」(要するに、ヒドラ化する植民地主義)の《脅威》は、だれにとっても決して目を背けてなどいられないものである」。

新城先生、西先生、ありがとうございました。

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by urag | 2014-08-01 15:21 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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