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2014年 02月 10日

本日発売:『中央公論』2014年3月号で発表「新書大賞2014」

本日2月10日発売の月刊誌「中央公論」2014年3月号で、「新書大賞2014」が発表されています。今年で7回目。166頁から197頁が割かれています。2013年に刊行された新書をランキング形式で顕彰するものです。記事構成ですが、まずは「新書通71人が厳選した『年間ベスト10』」が掲載されています。

1位はぶっちぎりの得票数で、藻谷浩介+NHK広島取材班『里山資本主義』(角川oneテーマ21)が選ばれました。2位は仁科邦男『犬の伊勢参り』(平凡社新書)、3位は堤未果『(株)貧困大国アメリカ』(岩波新書)です。4位から20位までは月刊誌現物をご覧になってください。私が推薦した本は一冊だけランクインしていました。

大賞の『里山資本主義』の内容紹介と選評に続いて藻谷康介さんのインタヴュー記事が掲載されています。そのあと、2位から20位までの内容紹介と選評で、さらに「惜しくもランク外ながら良書礼讃の熱き1票」のコーナー。ここで私の選評も登場します。まあだいたい毎年、私の投票はランキングとあまり絡んでいません。紀伊國屋書店のパブラインのデータを元にした「2013年新書売り上げベスト20」が次に紹介されますが、今年は良く売れた本と選ばれた本がさほど重なり合っていないのが面白いです。

最後は恒例の、宮崎哲弥さんと永江朗さんの対談で、今年は「安易な「デフレ本」と本物の新書を見分けよ――ますます混迷を極めた2013年の出版界」と厳しいタイトルがついています。お二人それぞれのベスト5も発表されています。今年は例年に比べて全般的に辛口の評価で、なぜかそういう時の方が溜飲が下がる心地がします。

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【2月11日追記】ちなみに同号では、会田弘継さんによるフランシス・フクヤマさんへのロング・インタヴューが載っていて、以下のような興味深いやり取りがありました(28頁)。このインタヴュー記事の最終節「思想遍歴と政治学の現状」の一部です。

――コーネル大学卒業後、イェール大学のポール・ド・マンのもとで学ばれましたね。転換ではありませんが、アラン・ブルームのもとでの研究からド・マンのコースに進んだ理由は?

フクヤマ:単なる流行からです。大学生だった1970年代の初めに、アメリカでフランスのポストモダニズムがブームになり、それが最先端の洗練された学問に映りました。19や20の若者は何も分かっていませんから・・・。

――それにしても、ブルームのもとで学んだ古典哲学とポストモダニズムのあいだには、何かつながりがあったのでは?

フクヤマ:そうですね、どちらのグループの学生も、テクストを読んで真剣にその解釈を試みていたという点ではつながりがあるでしょう。でも実質的には大きくかけ離れています。ポストモダニストたちは基本的にインテリのアナーキストで、真理や意味が見いだせるとは思っていません。彼らがやりたかったのは、テクストを脱構築してその著者たちが自ら何を言っているのか分かっていないことを示すこと。あまり生産的とは言えません。

――なるほど。でも古典哲学とポストモダニズムという二つのグループには共通点もあると考えられます。どちらも近代性について懐疑的ではないですか。

フクヤマ:さあ、どうでしょう。ポストモダニズムは、ある意味、特定の近代性に懐疑的でしたが、それはひどく変わった批評です。しかしまた、ある意味それは正しいとも言えます。政治哲学者レオ・シュトラウス(1899-1973)の近代性に対する解釈は、近代性はいわば自滅の道をたどってきたので、物事の理解を深めるには古典哲学に立ち戻らなければならないというものです。
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by urag | 2014-02-10 18:07 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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