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2014年 01月 17日

まもなく発売:デュピュイ『聖なるものの刻印』以文社より、ほか

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弊社出版物の著訳者の皆様の最近の御活躍をご紹介します。

★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
まもなく以下の共訳書が以文社さんより発売となります。原書は、La Marque du sacré(Carnet Nord, 2008; Flammarion, 2010)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。本書の議論の中核をなす第一章「アポカリプスを間近に考える――わたしの歩み」のなかでデュピュイは次のように語っています。「わたしがイリッチに多くを負っていることはすでに何度も語ってきた。ここでは破局論の問いにとって直接の貢献が大きかったひとつのテーマを挙げるにとどめておこう。それは悪の不可視性ということだ。この10年間、自然、産業、またモラルに関わる主要な破局の問題を考察しながら、わたしはイリッチと同じくユダヤ人でドイツ語を母語とする三人の思想家の考えを援用してきた。ハンナ・アレント、その最初の夫ギュンター・アンダース、そして彼らを引き合わせたハンス・ヨナスだ。イリッチと違って、彼らは専門的な哲学者で、三人ともハイデガーの弟子だった。彼ら、とりわけアンダースのうちに、わたしはイリッチととても強く、驚くほど共振するものを見出した。たぶんそのために、最近わたしはかれの思想に立ち戻っているのだ」(55-56頁)。デュピュイを中心に、イリイチ、アーレント、アンダース、ヨナス、そしてハイデガーという名の連環を見ていると、哲学と科学技術と政治と文明を横断する議論が見えてきます。まもなく丸3年を迎える〈3.11〉を再考するブックフェアを企画する上で、たいへん参考になるのではないかと思います。

聖なるものの刻印――科学的合理性はなぜ盲目か
ジャン=ピエール・デュピュイ著 西谷修/森元庸介/渡名喜庸哲訳
以文社 2014年1月 本体3,200円 四六判上製カバー装352頁 ISBN978-4-7531-0318-8

帯文より:未来のない効率信仰よりも、カタストロフィへの目覚めを! グローバルに拡張される核エネルギー、IT、バイオ・ナノ・テクノロジー、金融工学などが、発展途上国を巻き込んで資源開発・乱獲に拍車をかけ、地球上の汚染を深刻化して、文明がサタンに誘われた豚の群れのように破滅の淵に突進しようとしている。デュピュイの思考の集大成としての賢明な破局論。


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弊社刊行図書に対する書評についてご紹介します。「週刊読書人」2014年1月17日号(3023号)に、弊社10月発売、ミケル・デュフレンヌ/ポール・リクール『カール・ヤスパースと実存哲学』の書評「実存哲学のルネサンスのために――二十世紀の古典が甦る」が掲載されました。評者は東京女子大学教授の森一郎さんです。「ヤスパースの主著は、『哲学』全三巻(1932年刊)である。ドイツ語版で千頁超のこの大作を、著者たちは懇切丁寧に解説してみせる。しかも「前書き」で宣言しているように、「フランス語に書き直す」ことに挑み、「極限まで押し進めたフランス語で語る努力」を惜しまない。「普通の母国語で言うことができないとすれば、事柄が考えられてもいないのだ」――拳拳服膺すべき戒めである。彼らは、引用をくどくどと重ねるようなことはせず、あくまで自前の言葉で、明晰に体系的解説をやってのける(邦訳に工夫が凝らされリズム感があるのも、特筆されてよい)。原典を凌ぐ勢いの流麗なフランス式翻案ぶりに、ヤスパース自身、本書に寄せた「序文」で驚きの声を上げているほどである」。「実存哲学の再生はひとえに、『哲学』に秘められた可能性を再発見することに存する。そのルネサンスのための最適な指南書が、本書なのである。『存在と時間』と並ぶ二十世紀の古典が、リクールという比類なき明晰な知性に媒介されて、ここに甦る」と評していただきました。

なお「週刊読書人」の同号の特集記事は、小林康夫、大橋完太郎、星野太の三氏による鼎談「思想と文化の銀河系――「叢書ウニベルシタス」(法政大学出版局)通算1000冊を機に」と題し、三氏がそれぞれ印象的だった既刊書を紹介されており、たいへん興味深いです。大橋さん、星野さんはこれまで『表象』誌の編集委員としても御活躍されています。

ちなみに「週刊読書人」はYouTubeに公式チャンネルをお持ちで、昨年8月9日号に掲載された、岩波書店社長の岡本厚さんへのインタビュー動画などを公開されています。



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最後に、ユンガー『パリ日記』の出版の際に、訳者の山本尤先生をご紹介いただいた毎日新聞記者、伊藤一博さんが、1月10日発売の季刊文芸誌「三田文学」NO.116(2014年冬季号)に書評を寄稿されたことをご紹介します。哲学者・俳人・僧侶と「三足のわらじ」を履く大峯顯さんの講演録『命ひとつ よく生きるヒント』(小学館101新書、2013年7月)を評したものです。「三田文学」は昨年10月、新編集長に若松英輔さんを迎え再出発されています。今回の最新号では大峯さんご自身の随筆「回想の池田晶子」や、志村ふくみさんの連載「当麻曼荼羅縁起」第1回も掲載されています。また、秋山駿さんの追悼特集や、佐々木中さんの小説「九夏後夜」など、盛りだくさんです。
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by urag | 2014-01-17 18:12 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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