2013年 12月 13日

本日取次搬入:ヘーゲル『論理の学(III)概念論』、全三巻完結

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ヘーゲル 論理の学(3) 概念論
ヘーゲル著 山口祐弘訳
作品社 2012年12月 本体6,200円 A5判上製函入 ISBN 978-4-86182-410-4

帯文より:苦痛は生き物の特権である。思惟を思惟自体に基礎づける純粋学としての存在の形而上学。自由な自我に概念の現存を見、概念の内在的運動=弁証法により認識と実践、真と善を統一する絶対理念に導く近代哲学の最高峰。

★本日12月13日(金)取次搬入。書店店頭での発売は週明け以降順次開始となると思われます。半世紀ぶりのヘーゲル大論理学の新訳、全三巻完結です。第一巻「存在論」が昨年12月発売、第二巻「本質論」が今年5月発売ですから、一年間のうちで全巻が出そろったことになり、新訳刊行のペースとしてはたいへん順調でした。待ちわびていた読者にとっては嬉しいニュースではないでしょうか。『大論理学 Wissenschaft der Logik』は戦後、岩波版ヘーゲル全集での武市健人訳(全三巻四分冊)と、寺沢恒信訳の以文社版全三巻とがありました。ヘーゲルの主著であるものの、岩波版全集は常に在庫がある状態ではない上、一方の寺沢訳も完結まで20年以上要しましたから、書店店頭で両者がともに全巻揃っているのを見たことがある方はさほど多くないかもしれません。また、『精神現象学』とともにもっとも難解な書とされてきましたから、新訳の登場はさらに望みにくいものでした。そんなわけで新訳の完結を目の当たりにするというのはめったにない機会なのです。

★堅実な訳業に美麗な造本、そして低く抑えられた定価。この三つの魅力を兼ね備えることは簡単なことではまったくありません。山口先生と編集担当のTさん、そして作品社社長のWさんに心からの尊敬の念を抱く次第です。帯文にある「苦痛は生き物の特権である」という印象的な一節は「概念論」の第三部「理念」の第一章「生命」の中の、「生命過程」の一節です。人間は矛盾や否定性を自分のうちに抱えて生きています。それは苦痛ではありますが、同時に、自分自身を乗り越えていく力でもあるわけです。社会を取り巻く様々な問題が帯びる脆弱性や不完全性、不安定性によって人間存在の基盤が揺るがされているこんにち、ヘーゲル哲学は強くあれ、賢くあれ、と私たちを励ましてくれている気がします。
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by urag | 2013-12-13 15:46 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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