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2005年 05月 07日

フーリエ『愛の新世界』抄訳書誌情報

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ちょうど一ヶ月遅れの投稿になってしまいましたが、4月7日はシャルル・フーリエの生誕日でした(1772年)。今年で生誕233周年を迎えるわけですね。ちなみに没年月日は1837年10月10日。写真はフーリエ畢生の大作『愛の新世界』の原書(1999年、ストック社)です。

『愛の新世界』がはじめて公刊されたのは、死後130年を経た1967年。シモーヌ・ドゥブーによる校訂本でした。ドゥブー女史にかんしては、1978年の著書『フーリエのユートピア』が今村仁司さんの監訳で、平凡社から1993年に刊行されています。現在は惜しくも品切。

1817年から1819年にかけて執筆されたとされる『愛の新世界』ですが、日本語の抄訳には以下のものがあります。

「抄訳の試み――テクスト『愛の新世界』を横断する」浅田彰+市田良彦=訳。

掲載誌:季刊『GS[たのしい知識]』誌(責任編集=浅田彰+伊藤俊治+四方田犬彦)、第一号・特集「反ユートピア」、冬樹社、1984年6月刊。106-141頁。

この抄訳が訳者による適宜のコメントを付して掲載頁の下段として組まれ、同掲載頁の上段には、浅田・市田両氏による論考「『愛の新世界』への旅」が組まれています。本文レイアウトは戸田ツトム氏とGS編集部が担当。当時、浅田氏(1957年生まれ)も市田氏(1959年生まれ)もまだ20代でした。80年代の華として画期をなした知的マガジン『GS』はご存知の通り、今では古書店でしか手に入りません。

もうひとつの抄訳は以下のものです。

「愛の新世界 抄」巌谷國士=訳。

掲載書:『澁澤龍彦文学館(4)ユートピアの箱』、筑摩書房、1990年5月刊。267-333頁。

同書には巌谷氏による「四運動の理論 抄」「アルシブラ」の翻訳が併録されています。残念ながら、こちらの本も品切。言うまでもありませんが、巌谷氏による『四運動の理論』の全訳は、現代思潮新社から上下巻で刊行されています。初版は1970年刊。巌谷氏は1943年生まれですから、刊行時は20代。堂々のロングセラーで、現在も新装版が入手できます。ありがたいことです。

フーリエとの対峙を20代のうちに果たすというこの符号は、2001年5月に作品社から公刊された、ジョナサン・ビーチャーによる『シャルル・フーリエ伝』の訳者である福島知己さんにも言えることなのかもしれません。福島さんは1971年生まれです。この伝記はフーリエ伝の決定版として評判の高い基本図書。現在も入手可能です。

福島さんは 2003年6月に、博士論文 「シャルル・フーリエのユートピア――アイロニーとユーモアの視点から」を一橋大学大学院社会学研究科に提出され、博士号を取得されています。この博士論文には、『愛の新世界』に収録されているフーリエによる戯曲形式の架空物語「聖英雌ファクマの請出=贖罪」の全訳が附録として添付されているそうです。こうした博士論文は、一般読者にとってはどうアクセスしたらいいかよくわからないものですが、関心を持たれる方も多いことと思います。ぜひ読んでみたいですね。

このように、『愛の新世界』は抄訳があるものの全訳はまだありません。いつの日か全訳が果たされることを、強く願いたいと思います。(H)
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by urag | 2005-05-07 22:15 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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