2013年 11月 20日

発売開始:立木康介『露出せよ、と現代文明は言う』河出書房新社より

弊社出版物の著訳者の皆様の最近のご高著やイベント、書評などをご紹介します。

★立木康介さん(共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
季刊誌「文藝」での連載がついに単行本化されました。版元さんの公式情報では明日21日が発売日ですが、今日の時点ですでに店頭に並び始めている書店さんもあるようです。「《露出》の強制、それこそは、21世紀グローバル化時代の〈人間学〉が立ち向かう究極のテーマだ。人間は、すでに新しい歴史ステージにある」(亀山郁夫)。「80年代ニューアカを愛したひとに。90年代に育ったひとに。そして00年代にもの足りなかったひとに——つまりこれは僕たちのための本だ」(市川真人)といった声が本書に寄せられています。

露出せよ、と現代文明は言う――「心の闇」の喪失と精神分析
立木康介(ついき・こうすけ:1968-)著
河出書房新社 2013年11月 本体2,400円 46変形判304頁 ISBN978-4-309-24637-6

帯文より:「心の闇」は社会の敵なのか? ラカン派の俊英が問う衝撃の評論。凶悪犯罪のたびにメディアで語られてきた「心の闇」。しかし現代の犯罪者は、ほんとうに「心の闇」をもっているのだろうか。むしろ彼らの心に「闇」がないことが問題なのではないか。私たちの心から「闇」が失われつつある。それこそが、現代の危機、心の危機をもたらしているとしたら?

目次:
第一章 「心の時代」とはどういう時代か
第二章 他者は近く、そして遠く
第三章 子どもの国のヰタ・セクスアリス
第四章 コンテンツなき身体、思考なき無意識
第五章 フォン・ハーゲンスのアートと「二つの死のあいだ」
第六章 精神分析の詩学――メタファーと心的空間
第七章 症状なき主体は彷徨う
第八章 エビデンスの光のなかで
エピローグ
あとがき

立木さんはエピローグでこう書かれています。「多くの人が気づいているように、私が「エビデンスの光」と読んだ、単一の尺度ですべてを計測しようとする薄っぺらな科学主義――これは今日の世界を蹂躙するネオリベラルな資本主義が知的生産のフィールドを従属かするためにふりかざす道具にほかならない――は、結局のことろ、光を当てることができるものだけに光を当て、カウントすることができるものだけをカウントするしそうだ。そこからはみ出る対象には、同じエビデンスの論理をむりやり当てはめるか、さもなければ、無視を決め込むかの、いずれかしかない。前者の場合には、対象はおうおうにして元の姿をとどめないほど変質してしまうだろうし、後者の場合には、単純に視界から消えてしまうだろう」(272頁)。こうした見かけ上の「科学」万能の時代は、立木さんが「デビリテ débilité の時代」と呼ぶものと表裏一体をなしているように思えます。本書は「デビリテの氾濫と同時代的であると思われる現象」として、「「心の闇」の不在、若者の規範化、セクシュアリティの衰退、表象の没落、精神療法への刺激-反応図式の侵入」等々の現象からロジックを抽出して、それらを徹底させてみる思考実験(296頁)を試みておられます。

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★竹田賢一さん(著書『地表に蠢く音楽ども』)
来週金曜日に東京堂書店神田神保町店6階の「東京堂ホール」にて行われるトークイベントに参加されます。

竹田賢一×吉田隆一×須川善行トークイベント

日時:2013年11月29日(金)19時~(開場18時30分)
場所:神田神保町店6階東京堂ホール
参加方法:参加費800円(要予約 ドリンク付き) 店頭または電話・メール(shoten@tokyodo-web.co.jp)にて、「阿部薫写真集刊行記念イベント参加希望」とお申し出いただき、名前・電話番号・参加人数をお知らせ下さい。イベント当日と前日は、お電話にてお問い合わせ下さい。 電話 03-3291-5181 ※当日17:00より1階総合カウンターにて受付を行います。

内容:近年、関係者の書籍が次々に刊行され、再評価の気運が高まる日本のフリーミュージック・シーン。その関心が本物であることを示すように、今年も間章著作集(全三巻、月曜社、第I巻2013年1月、第II巻2013年11月)、竹田賢一『地表に蠢く音楽ども』(月曜社、2013年7月)、そして『阿部薫写真集 OUT TO LUNCH』(五海ゆうじ写真、K&Bパブリッシャーズ、2013年10月)が立て続けに刊行されました。没後30年以上が経過した今、なぜ再び阿部薫や日本のフリーミュージック・シーン全体にスポットが当てられるのか。同時代を生き、世界的なネットワークの中で活動を続けてきた竹田賢一さん、残された音源に耳をすませ、演奏者の立場から阿部薫の核心に迫る吉田隆一さん、阿部薫写真集・間章著作集の編者である須川善行さん、世代の異なったお三方をお招きして、それぞれの視点からの阿部薫像とシーン再評価の意義を語っていただきます。『阿部薫写真集 OUT TO LUNCH!』刊行記念。


★松本俊夫さん(著書『逸脱の映像』)
今年9月に弊社より出版させていただいたご高著『逸脱の映像――拡張・変容・実験精神』が、月刊誌「美術手帖」2013年12月号の「INFORMATION」コーナーの「BOOK」欄で取り上げられました。評者は近藤亮介さんです。「本書の中核にある「実験精神」は、「自由な映像を自由に見る逸脱の悦楽」へ読者を誘うと同時に、今なお多様化を続ける視覚芸術に重要な課題を突きつける」と評していただきました。


★清水知子さん(著書『文化と暴力』)
今年5月に弊社より出版させていただいたご高著『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』の書評「平明な文体による精緻な分析――サッチャリズム以降のイギリスの文化と政治の変容を描く」が、「週刊読書人」2013年11月15日号に掲載されました。評者は毛利嘉孝さんです。「これまで日本では知られていたがきちんと論じられてこなかった現代英国文化に焦点があてられており、学ぶところが多い。とりわけ、マルコム・マクラーレンとともにセックス・ピストルズを生み出し、その後英国を代表するファッション・デザイナー、ヴィヴィアン・ウェストウッドをサッチャリズムのもう一つの顔として描き出すその視差(パララックス)を孕んだ議論は、本書を貫く独特のスリリングな魅力を醸し出している」と評していただきました。
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by urag | 2013-11-20 17:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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