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2013年 10月 20日

東洋文庫倶楽部の入会特典と、平凡社さんの最新刊

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東洋文庫(1963年10月創刊)が今秋創刊50周年を迎え、平凡社さんでは読者と著者、出版社をむすぶ交流の場としてファンクラブ「東洋文庫読者倶楽部」を設立されました。入会無料。先日当ブログに書いた通り、私も早速入会しました。すでに会員は300名を超えたそうで、すごいなと思います。つい最近、入会特典の「東洋文庫マイブック」と「東洋文庫通信」、「東洋文庫解説目録 2013年創刊50周年」が届きました。

まず「東洋文庫マイブック」というのは、東洋文庫と同じ緑のクロス装に金文字の箔押しを施した上製本で、もちろん函入、ページには縦の罫線と東洋文庫のマークが入っています。こんな豪華なノート、本当にタダでもらっていいんでしょうか、と思うくらいしっかりした造本です。入会先着300名の特典で、すでに配布終了。これはちょっとしたお宝かも。

会報誌「東洋文庫通信」は、平凡社さんの紹介文をそのままお借りすると、さまざまな専門家が選ぶ「東洋文庫 私の1冊」や、東洋文庫に関連するニュースなど、東洋文庫が身近になる記事を満載した会報誌」で、年2回程度発行とのこと。記念すべき第1号は、B4サイズ2つ折りで合計4頁。東洋文庫の編集長・関正則さんによる挨拶文「複数のアジアのために――東洋文庫創刊50周年にあたって」が3頁にわたって掲載されています。2~3頁には「私のオススメの一冊」として中島岳志さんが『ガーンディー自叙伝』についてお書きになっています。4頁目は「東洋文庫ニュース」と、「近刊案内」。12月の新刊まで予告が出ていて、目をみはるラインナップです。同会報誌の次号は2014年春頃の予定だそうです。魅力的な紙面なので、毎月読みたいくらいです。紙媒体の会報誌とは別に、同倶楽部では、Eメールで新刊・近刊案内や、復刊のお知らせ、イベント情報などを会員に知らせて下さるそうです。

「東洋文庫解説目録 2013年創刊50周年」は、昨年末に発行されたもので、829巻『新訳 ラーマーヤナ4』までの既刊書の目録になっています。巻末には2011年1月現在の東洋文庫の常備店一覧と、書名索引、著訳者校訂者名索引を完備。今回の特典一式に添えられていた挨拶状では、「会員の皆様からのリスエストを募って、長期品切れ書目を復刊する予定」もあるそうで、期待感が高まります。

「マイブック」がもらえる特典はなくなりましたが、もちろん倶楽部への入会はまだまだ受付中で、Eメールのほか、ハガキやFAXでも申請可能です。今後もさらに「様々な会員特典やサービスを鋭意企画準備中」とのことです。そのうちOFF会などがあったら楽しいですね。

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ちなみに平凡社さんの注目最新刊には以下のものがあります。

絵入簡訳源氏物語 一 
小林千草(こばやし・ちぐさ:1946-)・千草子(せん・そうこ:1946-)著
平凡社 2013年10月 本体2,600円 四六判上製408頁 ISBN978-4-582-35721-9

帯文より:江戸の人びとも虜にした絵入源氏物語の世界へようこそ。膨大すぎて最後まで読み通すことが難しい源氏物語を、江戸時代のベストセラー、山本春正『絵入源氏物語』の貴重な挿絵をすべて収録し、簡訳というリズミカルな現代語訳によって誰にでも手軽に楽しめる本に仕上げた著者入魂の全三巻。第一巻は光源氏、その誕生から35歳までの物語。

★まもなく発売。全三巻予定です。第一巻は「桐壺」から第22帖「少女(おとめ)」までを収録。巻頭に「はじめに」を置き、巻末に「第一巻 関連系図」「『源氏物語』関連地図」「あとがき」を配しています。「はじめに」によれば、本書は「江戸時代にベストセラーとなった山本春正の『絵入源氏物語』の挿絵(東海大学付属図書館桃園文庫蔵本に拠る)を全て入れ込みつつ、本文は私の慣れ親しんだ三条西実隆筆青表紙証本(岩波日本古典文学大系『源氏物語』全五巻)をもとに、新たに現代語訳したもの」(1頁)とのこと。「簡訳」というのは辞書にない言葉ですが、次のような意図が紹介されています。「逐語訳で、ともすれば起こりがちな冗長さや集中力の拡散を防ぐために、すでに山本春正が絵画化している要所要所は全訳、従なる描写部分は“簡約に訳す”というリズムで進むことにしました」(2頁)。

★著者は「源氏物語」をこう紹介して下さいます。「従来、“色好み”の書、恋愛の書のような受け取り方をされることが多かったのですが、実は、人間の生・老・病・死を、当時の信仰形態であった仏教への救いに求めつつ、静かに描こうとしたものなのです」(3頁)。著者は本書を中学生や高校生にも読んでもらいたいと告白され、「いつか、全編を原文で読破されることを」と結んでおられます。これまで現代語訳は何種類も出てきましたが、大長篇なだけに全編読破は確かに容易ではありません。まずは今回の簡訳本全三巻に挑戦してみるのもいいかもしれません。


千本組始末記――アナキストやくざ笹井末三郎の映画渡世
柏木隆法(かしわぎ・りゅうほう:1949-)著
平凡社 2013年10月 本体3,800円 A5判上製536頁 ISBN978-4-582-28258-0

帯文より:これはやくざ映画の解説ではない。やくざとアナキストが奇妙に同居した映画界の草創期の群像である。

版元紹介文より:ギロチン社、大杉栄らとともにアナキズムと深く関わりながら“かたぎやくざ”として生き、日本映画史の揺籃期から全盛期を駆け抜けた侠客・笹井末三郎の生涯を描くノンフィクション。

目次:
序章 「天久」爽春譜
第一章 千本組誕生
第二章 明治から大正へ
第三章 川崎・三菱両造船所大争議
第四章 末三郎出奔
第五章 大杉栄と「血桜団」
第六章 ギロチン社事件
第七章 大堰川の決闘
第八章 日活撮影所時代
第九章 宮嶋資夫出家の波紋
第十章 マキノトーキーの興亡
第十一章 長二郎遭難
第十二章 千本組分解
第十三章 岡本潤追放
第十四章 松本常保との再会
第十五章 「琴姫七変化」前後
終章 故郷へ
再版追記
あとがき
解説 千本組と笹井末三郎 (礫川全次)
人名索引

★発売済。『千本組始末記』刊行会発行、平凡社発売と奥付に記載されています。本書の初版は、海燕書房より1992年2月に刊行。今では古書価が1万5千円以上になっており、人気の度合いが伺えます。今回の再版にあたっては、再版追記、あとがき、解説などが新規原稿です。「再版追記」で著者はこう書いています。「本書で述べたかったのは、教科書に載るような偉人の伝記ではない。近代を“負”の領域で生きた人々の歴史である。索引を見て、あまりにもその項目数が多いことに驚いたが、これでも最小限にしたつもりでいる」(505頁)。10頁に渡り3列でびっしりと人名が並ぶ本ですから、確かに驚くべき群像劇です。礫川さんは解説で次のように記されています。「この本が扱っているのは、これまで、いかなる学者、いかなる作家も論じてこなかった時空間である。その時空間とはすなわち、アナキスト、やくざ、映画界、大正昭和期、京都、日本と満州、これらが交錯する時空間である。この本は、そうした時空間を描いたたぐい稀なるドキュメントである」(511頁)。

★文章は小説のように軽快で、とにかく無類に面白いです。これだけ面白い本が絶版だったのですから、古書価が高いのもうなづけます。20年ぶりの再刊にも関わらず、値段は初版当時より500円も下がっていて、古書価よりもさらに随分安いこの価格でこの大著を味わえるというのは嬉しいことです。この本に深く魅了された方は多いようで、映画化の話すらあったようですが、著者ご自身は言下に不可能だと断じておられます。なぜ不可能なのか。随所で語られる映画界への著者の思いに触れるとその理由も分かる気がします。著者は本書を上梓したあと、近代仏教史を研究されているとのことです。
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by urag | 2013-10-20 18:37 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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