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2013年 06月 24日

明日発売:『思想』第7号「ポール・ド・マン――没後30周年を迎えて」

明日発売の岩波書店さんの月刊誌「思想」はポール・ド・マン特集です。読み応えのある特集号で、必読です。弊社出版物の著訳者も参加されています。

★宮崎裕助さん(共訳書:ポール・ド・マン『盲目と洞察』)
★吉国浩哉さん(訳書:ロドルフ・ガシェ『いまだない世界を求めて』)
★ポール・ド・マンさん(著書:『盲目と洞察』)
★ヴェルナー・ハーマッハーさん(著書:『他自律』)
★ロドルフ・ガシェさん(著書:『いまだない世界を求めて』)
★清水一浩さん(共訳書:アレクサンダー・ガルシア・デュットマン『友愛と敵対』)
★木内久美子さん(共訳書:ポール・ド・マン『盲目と洞察』)

思想 2013年第7号 no.1071 ポール・ド・マン――没後30周年を迎えて

目次:
思想の言葉 (ショシャナ・フェルマン/下河辺美知子訳)3-5
〈座談会〉ポール・ド・マン再考 (土田知則・巽孝之・宮崎裕助)6-42
ポール・ド・マン再読 (富山太佳夫)43-56
盗まれた廃墟――アウエルバッハ、ド・マン、パリッシュ (巽孝之)57-74
傷と声――ポール・ド・マンにとって言語とは何だったのか (下河辺美知子)75-94
いつしか見知らぬ風景の中に (水村美苗)95-100
弁解機械作動中――ルソーの「盗まれたリボン」をめぐるポール・ド・マンとジャック・デリダ (宮崎裕助)101-127
スフィンクスの解読――ポール・ド・マンにおける読むことと歴史 (森田團)128-149
熊の教え――ポール・ド・マンのクライスト読解をめぐって (竹峰義和)150-167
小説とは何か――カントの「おそるべき尊敬」、ド・マンの「石のような凝視」 (吉国浩哉)168-188
ロラン・バルトと構造主義の限界 (ポール・ド・マン/土田知則訳)189-204
微笑みのド・マン (今泉容子)205-209
ポール・ド・マンと「物質性」の関する二つの解釈系列 (土田知則)210-224
読解不可能性 (ヴェルナー・ハーマッハー/竹峰義和・宮崎裕助訳)225-246
「措定(Setzung)」と「翻訳(Uebersetzung)」 (ロドルフ・ガシェ/清水一浩訳)247-292
ド・マンは何を隠したのか (柄谷行人)293-297
〈資料〉第二次世界大戦時代の著作 三篇 (ポール・ド・マン/土田知則訳)298-308
ポール・ド・マンへのインタヴュー (ロバート・モイニハン/木内久美子訳)309-334

フェルマンさんによる巻頭言は、1984年に書かれ翌年「イェール・フレンチ・スタディーズ」誌に発表された論考「ポスタル・サヴァイヴァル」からの引用を含んでいます。水村美苗、今泉容子、柄谷行人の各氏による寄稿は、ド・マンについての感動的な回想録。柄谷さんのエッセイには以前公表済のエピソードも含まれていますが、何度読んでも味わい深いです。人志松本風に言えば「すべらない話」。ハーマッハーさんの「読解不可能性」は、ドイツ語版『読むことのアレゴリー』(ズーアカンプ、1988年)の序文。ガシェさんの「「措定(Setzung)」と「翻訳(Uebersetzung)」は『読むことのワイルドカード』(ハーヴァード大学出版、1998年)の第一章です。モイニハンさんのインタビューは1980年に収録され、「イェール・レヴュー」誌の1984年夏号に掲載されたもので、J・ヒリス・ミラーさんによる「前書き」が冒頭に掲げられています。

「ロラン・バルトと構造主義の限界」はド・マンさんの著書『ロマン主義と現代批評』に収録されている論考で、訳者の土田さんの注記によれば、「ここに訳出した文章にはタイプ原稿に残されていたド・マン自身による修正や編者による補足などが加えられている」とのことです。「〈資料〉第二次世界大戦時代の著作 三篇」はこれまで土田さんが「〈資料〉ドイツ占領下時代の新聞記事 四篇」(2006年第12号、現在品切)、「〈資料〉ドイツ占領下時代の新聞記事 五篇」(2012年第7号)と定期的に『思想』で訳出されてきた「若きド・マン」の文筆活動を紹介するもので、これらのテクストを収録した大冊『戦時ジャーナリズム 1939-1943』(ネブラスカ大学出版、1988年)について、「ド・マンの思考を跡づけるときに不可欠な数多くの言明が収録されている〔…〕。今後もまた、この貴重な資料から一篇でも多くの文章が邦訳されることを期待したい」と述べておられます。今回訳された三篇の中には「出版社の仕事」(1942年10月)というテクストもあって、非常に興味深いです。曰く、

「出版社・出版者は、一種の仲介役に見えますが、真摯な創造的使命を担っています。該博な知識は言うに及ばず、天賦の才能を自然に具えていなければなりません。決して型通りの行動に身を委ねることはできないでしょう。一つ一つの新作、企画された一つ一つの叢書には独創的なアイデアが要求されます。出版に携わる者は刷新・考案・創造の人生を送らなければならないのです。出版社・出版者の仕事が極めて困難である――招かれる者〔競争者〕は多いが、選ばれる者〔成功者〕は少ない〔『マタイ福音書』22・14〕――のは、こうした事情によります。ですが、その可能性や素晴らしさをすっかり理解している人にとって、この仕事は抗しがたいほど魅力的でもあるのです」(308頁)。該博な知識や天賦の才能がなく、型通りに仕事をこなす出版人もいる、と自虐的に言明したところでド・マンさんへの反論にはなりません。そういう人々は「いない」とは彼は言ってないのですから。

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弊社より今春、写真集『ベルリン』を上梓された花代さんが、下北沢の本屋さん「B&B」で行われる以下のイベントにゲストで出演されます。

あたらしい才能が僕たちを呼んでいる

出演:題府基之(カメラマン)、フキン(アーティスト)、hanayo 花代(アーティスト)、前田晃伸(アートディレクター)

日時:2013年7月3日(水)20:00~22:00(19:30開場)
主催・会場:本屋B&B(東京都世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
前売:1000yen+500yen/1drink
当日現金支払:1000yen+500yen/1drink

内容:Romantic Geographyをテーマに、都市や建築に焦点を当てるインディペンデント・マガジン、TOO MUCHMagazineの第4号発売を記念し、下北沢B&Bにて新しいイベントを始めます。都市の中には、いつもその都市独特の視点を持ったアーティストが存在しますが、では東京にはどのような眼差しを持った人々が現れて来ているのでしょうか? TOO MUCH MagazineのADを務める前田晃伸と編集長の辻村慶人をホストに、毎回ゲストを迎えながら有名無名問わず今気になる若手アーティストをどんどん紹介していきます。
1回目は、ニューヨークのDashwood Booksより写真集を出版した写真家の題府基之と、高円寺の多目的スペース「ASOKO」を運営しながらアーティスト活動を続けるフキンのお二人を紹介します。ゲストには両者をよく知る写真家の花代を迎えます。(前売り購入者全員に、出演者のアートワークをまとめた特製zineをプレゼント)
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by urag | 2013-06-24 17:31 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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