2013年 06月 09日

注目新刊:ソシュール「一般言語学」著作集(岩波書店)、ほか

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フェルディナン・ド・ソシュール「一般言語学」著作集 第I巻 自筆草稿『言語の科学』
松澤和宏校註・訳
岩波書店 2013年5月 本体6,800円 A5判上製610頁 ISBN978-4-00-028631-2

帯文より:1996年に発見された幻の書物「言語の二重の本質について」をはじめ、言語学者の格闘を生々しく伝える草稿群。厳密な本文校訂、詳細な校註、明快な訳文で、ここに甦る。

★発売済。原書はガリマールから2002年に刊行された『一般言語学著作 Écrits de linguistique générale』で、凡例によれば「同書に収録されているソシュールの自筆草稿(ジュネーヴ図書館所蔵)のオリジナルと照合を行い、その校訂の結果を本文に独自に反映させて訳出し、訳註を付したもの」とのことです。また、巻頭の「校註・訳者序」ではこう書かれています。「ガリマール版の刊行を機縁にして、ソシュールの自筆原稿の研究の機運はにわかに高まった。われわれの校訂作業がひとまず終えた2011年に、ルネ・アマケルによる「新資料」を対象とした新たな校訂版が刊行された。この校訂版はドイツ語版と同様に、判読転写においてガリマール版よりも正確である。しかし草稿の提示の順序に関しては、草稿の各頁をさらに断章に細分化して、執筆順と思しき順序に配列し直すというやり方をとっている点に、大いに議論の余地がある。アマケルも序文で暗に認めているように、果たしてこの順序でソシュールが執筆したといえるのかどうか、疑問が残るからである。本巻では、草稿の配列は、ガリマール版を基本的に踏襲した。この配列は、長年にわたってソシュールの草稿と取り組んできた編者の一人エングラーの解釈に拠るものである」(xviii-xix頁)。アマケルの校訂版というのは、Science du langage. De la double essence du langage et autres documents du ms. BGE Arch. de Saussure 372, Edition critique partielle mais raisonnée et augmentée des Ecrits de linguistique générale, Edited by René AMACKER, Librairie Droz, 2011のことです。

★『一般言語学講義』の元となった全3回にわたる講義の聴講ノートに加え、1996年に発見された新資料を含めた自筆草稿を厳密な本文校訂と校註とともに明快な訳文で収録する、と謳った松澤和宏校注・訳『フェルディナン・ド・ソシュール「一般言語学」著作集』全4巻の第一回配本。2007年秋より刊行と予告されていましたがついに刊行開始となったわけです。全4巻の内訳は以下の通り。

I 自筆草稿『言語の科学』
II 第1回講義(1907年)
III 第2回講義(1908-09年)
IV 第3回講義(1910-11年)

周知の通り、ソシュール(Ferdinand de Saussure, 1857-1913)の一般言語学講義は、シャルル・バイイとアルベール・セシュエがソシュールの自筆原稿や聴講生たちのノートから再構成した1916年版『一般言語学講義 Cours de linguistique générale』としてまず刊行され、その後、1957年にロベール・ゴデルによる『一般言語学講義の原資料』、1967年にトゥリオ・デ・マウロによる『「ソシュール一般言語学講義」校注』、1968年にルドルフ・エングラーによる『一般言語学講義』校訂版が刊行されています。日本語訳にはこれまで、以下の既訳がありました。

1928年01年『言語學原論』小林英夫訳、岡書院;1940年03月、改譯新版、岩波書店;1972年12月、改版改題『一般言語学講義』小林英夫訳、岩波書店
1971年04月『ソシュール 言語学序説』山内貴美夫訳、ロベール・ゴデル序文、勁草書房;1984年03月、新装版、勁草書房
1976年07月『「ソシュール一般言語学講義」校注』トゥリオ・デ・マウロ著、山内貴美夫訳、而立書房
1991年09月『ソシュール講義録注解』前田英樹訳・注、法政大学出版局
2003年02月『一般言語学第三回講義――エミール・コンスタンタンによる講義記録』相原奈津江+秋津伶訳、西川長夫解題、エディットパルク;2009年03月、増補改訂版『一般言語学第三回講義――コンスタンタンによる講義記録+ソシュールの自筆講義メモ』小松英輔編、相原奈津江+秋津伶訳、エディット・パルク
2006年11月『一般言語学第二回講義――リードランジェ/パトワによる講義記録』小松英輔編、相原奈津江+秋津伶訳、エディット・パルク
2007年03月『ソシュール一般言語学講義――コンスタンタンのノート』影浦峡+田中久美子訳、東京大学出版会
2008年03月『一般言語学第一回講義――リードランジェによる講義記録+付・エングラー版批判』小松英輔編、相原奈津江+秋津伶訳、エディット・パルク
2013年01月『一般言語学講義抄』菅田茂昭対訳、トゥリオ・デ・マウロ序、大学書林

特に、今年になってから刊行された日仏対訳である『ソシュール 一般言語学講義抄』(菅田茂昭対訳、大学書林、2013年1月 本体3,000円、A5判並製238頁、ISBN978-4-475-01895-1)は、ありそうでなかった本で、原文と付き合わせで読めるというのは、視覚的に大きな教育効果があります。底本には1972年のパイヨ社版(édition critique préparée par Tullio de Mauro)を使用し、ゴデル版やエングラー版なども参照されています。デ・マウロ教授による序文は本書のために寄せられたもので原文のイタリア語に続いて日本語訳が掲載されています。本書の目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。

このほか、ソシュールの重要な草稿の翻訳を含む書籍に以下のものがあります。

1989年12月『沈黙するソシュール』前田英樹編・訳・著、書肆山田;2010年06月、講談社学術文庫
2011年06月『もう一人のソシュール』小松英輔著、相原奈津江編、エディット・パルク

★なお、岩波書店さんより6月25日発売の「思想」2013年7月号は「特集=ポール・ド・マン――没後三〇年を迎えて」で、土田知則さん、巽孝之さん、宮崎裕助さんの座談会「ポール・ド・マン再考」をはじめ、宮崎さんの論考「弁解機械作動中」、吉国浩哉さんの「小説とは何か」のほか、ド・マンの「ロラン・バルトと構造主義の限界」および第二次世界大戦時代の著作三篇、ハーマッハー「読解不可能性」、ガシェ「「措定」と「翻訳」など、弊社でもお世話になっている著訳者によるテクストが多数読めます。たいへん楽しみです。

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ヒステリー研究〈初版〉
ブロイアー+フロイト著 金関猛訳
中公クラシックス 2013年6月 本体2,400円 新書判並製624頁 ISBN978-4-12-160139-1

帯文より:ヒステリーをめぐる偉大なる二人の科学者の模索、思考錯誤、葛藤、論議の到達点。精神分析事始め。

★発売済。1859年の初版本の完訳。凡例にも巻頭解説にも明記されていませんが、2004年2月刊のちくま学芸文庫版上下巻の実質的な改訂合本新版です。巻頭におかれた70頁を越える長文の訳者解説「はじめにヒステリーがあった。」は、文庫版「解説」に加筆したもので、注も102項目から、109項目に増えています。単純に増えたのではなく、削除された注もあった上での増項です。本文は、訳文訳語を仔細に比較したわけではありませんが、おそらく手直しされているものと思います(文庫版「訳者あとがき」でも、改訂の可能性が示唆されていました)。訳注は138項目から152項目に増えており、従来の注も加筆修正されています。文庫版「訳者あとがき」は削除されています。参考文献と索引は、文庫版とは順番が逆で、索引、参考文献の順になっています。なお、『ヒステリー研究』の既訳には、アルス版『ヒステリー』(安田徳太郎訳、1930年)や、日本教文社版「フロイド選集」第9巻『ヒステリー研究』(懸田克躬+吉田正己訳、1955年;改訂版1969年;懸田克躬訳、再改訂版1977年)、人文書院版「フロイト著作集」第7巻所収『ヒステリー研究』(懸田克躬訳、1974年)などがあり、近年では岩波書店版「フロイト全集」第2巻『ヒステリー研究 1895年』(芝伸太郎訳、2008年)がありますが、ブロイアーの論文すべてを訳出したのは金関訳が最初です。

★かつて文庫版「訳者あとがき」には、「訳者は石澤誠一氏(大阪女子大学)を代表とするフロイト研究会に所属しており、本書はこの研究会が企画するフロイト翻訳シリーズの最初の一冊として刊行される」(下巻、291頁)とあり、編集担当者が二宮隆洋さんだったことが特記されています。おそらく二宮さんが草したであろう文庫版上巻カバー裏の内容紹介文には「フロイトはいまだ歴史には属しておらず、精神分析の知は汲み尽くされていない。一知半解の愚を避けるには、精緻な再読・三読にしくはない。正確平明な新しい日本語版が必要だ。フロイト新訳プロジェクトは本書をもって始まる」と書かれています。実際、ちくま学芸文庫では2年後の2006年5月には同じく金関訳で『あるヒステリー分析の断片――ドーラの症例』が刊行されます(現在品切)。しかしその後プロジェクトは版元を変え、金関訳フロイトは中公クラシックスから『シュレーバー症例論』(2010年9月)、『夢解釈〈初版〉』上下巻(2012年6月)と続きます。ちくま学芸文庫版の上下巻『ヒステリー研究』は品切後、高値の古書価を維持していたので、今回の再刊は実に喜ばしく、また、合本全一冊となったのも実に正しいと思います。


すばらしい新世界
オルダス・ハクスリー著 黒原敏行訳
光文社古典新訳文庫 2013年6月 本体1,048円 文庫判並製460頁 ISBN978-4-334-75272-9

帯文より:冲方丁さん驚愕!“これはもはや架空の物語ではない。西洋の理想郷は自然を切除することで成り立つ。本作で描かれる「生殖のない世界」は現代では不気味なほどリアルで、今だからこそ慄然とする作品だ。”

帯文(裏表紙)より:本作はオーウェル『1984年』、ブラッドベリ『華氏451度』と並び称される近未来小説の傑作だが、今日の現実世界に最も近い作品であることは明白だ。これは作者が、ユートピアの実現可能性をつねに追求し、そこで起こりうる人間性の危機を想定していたからだ。『すばらしい新世界』を読まずしてSFは語れない!

カバー裏紹介文より:西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め・・・驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版!

★発売済。1932年の作品Brave New Worldの新訳。本文に続いて「著者による新版への前書き」(1946年)が収録されています。巻末には植松靖夫さんによる「解説」、「年譜」、そして「訳者あとがき」。「解説」はハクスリーの生涯と作品紹介、「訳者あとがき」では翻訳の苦労話が読め、非常に興味深いです(pneumaticをもし「プニュプニュした」と訳していたらそれはそれで画期的な気もします)。本作品の既訳には高畠文夫訳(角川文庫、1971年)や、松村達雄訳(講談社文庫、1974年)をはじめ複数存在しますが、紙媒体で流通しているのは松村訳だけです(高畠訳にはKindle版があります)。最初のうちはこんな未来はありえない、と思いつつも読み進めるうちに、その危険性は充分にありうる、と思い始め、しまいには、すでに存在しているかも、とも思えてくるのが本書の恐ろしいところです。つまり本書はすでに存在していた諸現実と諸思想に差し向けられた風刺であり寓話でもあるのだろうと思います。

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幸福の文法――幸福論の系譜、わからないものの思想史
合田正人著
河出ブックス 2013年6月 本体1,500円 B6判並製256頁 ISBN978-4-309-62458-7

カバーソデ紹介文より:悲惨にみちたこの現代に幸福論は可能なのか。苦悩の時代にこそ幸福とは何かが問われなければならない。――古代から現代まで人びとが幸福をどう考えてきたのかをダイナミックにたどりながら、アラン、ヒルティ、ラッセルによる世界の三大幸福論をやわらかに読み解き、従来、思想において片隅においやられてきた幸福への思考を復権させて、二十一世紀のための幸福論を多様な視点から探り出す、いままでになかった書。

★まもなく発売。章立てを列記すると、序「喜ぼうではないか」、第一章「幸福論の系譜」、第二章「幸福論のトリアーデ」(第一節「幸福と不幸の神曲――ヒルティ」、第二節「人生の味――アラン」、第三節「果てなき探求と憐れみ――ラッセル」、第三章「幸福論の明日」、あとがき「誰であれ人の最果てに」。2011年11月にNHKのテレビ番組「100分de名著」でアランの『幸福論』を講じられて以来、テレビテキスト、同ブックス版、『絵本アランの幸福論』、『心と身体に響く、アランの幸福論』と続いたため、もういずれかをお読みになって、アランを通じて合田さんが言いたいことは分かった、と思っておられる読者もいらっしゃるかもしれません。しかし、本書は少し違います。確かにアランのことも再度論じられていますが、より広く、西洋哲学における幸福論の歴史を繙くのが本書です。歴史と言っても古代から現代へ通史的に時代を刻んでいくというより、幸福をめぐる諸概念や思考をひとつひとつ追いかけ、古代も現代も横断しつつ、合田さんの学殖がたっぷり詰め込まれていて、良い意味で長々と聞いていて飽きない自由な話になっています。「仏教、儒教などの「幸福」観については稿を改めて論じる予定である」(27頁)とのことなので、いずれ古今だけでなく東西をまたぐ「比較幸福論」とでも言うべき広大な領域へと進まれるのだと思います。本書はその序説とも言えるかもしれません。


待ち望む力――ブロッホ、スピノザ、ヴェイユ、アーレント、マルクスが語る希望
的場昭弘著
晶文社 2013年5月 本体1,500円 四六判並製224頁 ISBN978-4-7949-6901-9

帯文より:「希望だけがない国」日本で希望を語るためには、なにが必要なのか? 5人の哲学者の思考の系譜。

★発売済。マルクスの新訳や超訳でよく知られた著者の最新作。版元紹介文に曰く「それぞれ時代の転換期に未来に対する希望を語ることに並々ならぬ情熱を抱いていた哲学者、ブロッホ、スピノザ、ヴェイユ、アーレント、マルクスの5人の思考の足跡から、今の時代における希望のあり方を探る。 来たるべき未来を見通すためのテキスト」とのことです。章立てを列記しますと、第一章「希望をもつということ──ブロッホ『希望の原理』」、第二章「喜びをもつこと──スピノザ『エチカ』」、第三章「重みに堪えること──ヴェイユ『重力と恩寵』」、第四章「愛をもつこと──アーレント『アウグスティヌスの愛の概念』」、第五章「未来を切り開くこと──マルクスの希望の冒険」となっており、巻頭には「はじめに」、巻末には「むすび」が配されています。

★5人の紹介は実際に読んで味わっていただくとして、ここでは本書を紡いだ的場さんの思いに少し触れてみましょう。「希望とは今に満足しないことといえます。今という即物的な世界に満足することで、世俗の欲望だけにとらわれ、未来や人生の意味を見いだせなくなってしまいます。そこでいったんそこから離れる必要があるというわけです。/現実社会を否定するというわけではありません。現実は現実として重みをもっている。しかしその現実というものも永遠のものではない。だから、そこには不完全なものが多くある。それを見いだし、それを越える何かを求める必要があります。〔…〕変わるという確信を持つこと、それが希望だと思われます。絶望しかない世界で、かすかな希望にかけること、これほど困難なことはありませんが、困難をあえて行う勇気を持つできでしょう」(「はじめに」27-28頁)。「希望なき時代に、希望をもつことは確かに困難なことです。誰しも、しっかりとした裏付けのある、実体のある希望を持ちたいと思うのは当然です。雲をつかむような話はしたくない。貧すれば鈍すで、貧しくなってくると思考能力も減退するので、とりあえず物質的な支えがなければならないと思うわけです。しかし、実際鈍すれば貧すということもいえるのです。精神的な委縮が、貧しさをつくりだす。人間の意識と物質的世界との関係は、複雑な相互関係をもっていることは間違いありません」(「むすび」203頁)。「未来は不確かなわけです。だから未来を待ち望む希望が必要なのです。望まないものは実現されないということ、これが本書の課題であるともいえます」(同、214頁)。じわっと温かい共感を覚えます。素敵な本です。老若男女すべての皆さんにお薦めします。

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WOMEN(ウィメン)――ぼくが愛した女性たちの話
ロバート・ハリス著
晶文社 2013年6月 本体1,500円 四六判上製256頁 ISBN978-4-7949-6904-0

版元紹介文より:ベストセラー『エグザイルス』、『人生の100のリスト』(ともに講談社+α文庫)に次ぐ、6年振りの書き下ろしエッセイは女性讃歌。男性も女性も必読。ロバートハリスの恋愛遍歴・恋愛論そして家族。著者の豊富な経験から培われた恋愛論と過去の教訓を交えながら、女性にまつわる実体験からなるエピソードを展開する。女性たちに対しての感謝とリスペクトを込めて贈る著者渾身の女性へのオマージュ。

★発売済。シドニーで書店兼画廊「エグザイルス」を経営し、日本に帰国後はJ-WAVEのナビゲーターや作家としてご活躍中の著者の、数々の女性遍歴があっけらかんと、さらりと嫌みなく明かされています。色男の自慢話だろ、との抵抗も空しく、驚くほど爽やかな読後感で、じつにスマートな読書のひととき・・・なのが少し悔しいほどです。53篇のエッセイはそれぞれ人生の甘くて苦いあの妙味に満ちていて、冒頭に掲げられている名言集も胸に沁みます。メイ・ウエスト(Mae West, 1893-1980)曰く「背が低くて太っちょで禿げかかっていても、男に炎さえあれば、女は彼を好きになるわ」。まじか。

★本書の刊行を記念して、今週と来週に以下のイベントがあります。6月12日(水)19:30より代官山蔦屋書店1号館1階総合インフォメーションにてロバート・ハリス×石井光太トークショー「旅路の中の女性たち」が、また、6月22日(土)18:00より紀伊國屋書店新宿南店6階コミュニティガーデンにてハリスさんの「トーク&サイン会」が開催予定です。


新アジア地政学――日本の戦略的地平
イアン・ブレマー+ジョセフ・ナイほか著 福戸雅宏ほか訳
土曜社 2013年6月 本体1,700円 四六変形判(188×112mm)並製160頁 ISBN978-4-9905587-8-9

★発売済。「プロジェクトシンジケート叢書」の第三弾です。第一弾は『混乱の本質』(2012年8月)、第二弾は『世界は考える』(2013年3月)でした。版元紹介文によれば「地政学的リスク分析を専門とする米戦略コンサルティングファーム、ユーラシア・グループが毎年発表する「世界十大リスク」では、2013年最大のリスクのうち、5つが東アジアに集中しています。裏返せば、それだけアジアは躍動し、大きな可能性を示しているともいえます。大川周明の名著『復興亜細亜の諸問題』から90年、日本には、戦略的地平を見つめなおすことが求められています。新しいアジア地政学には、その注目度の高さを映して、各国の戦略思索家が寄稿。激動する、可能性に満ちたアジア――。日本をとりまく現実を直視するための一冊です」とのこと。目次詳細は、書名のリンク先をご覧ください。昨今の存在感の大きさゆえでしょう、本書では中国についての論考が多数収録されており、いずれも興味深いです。どの論文もアジア諸国および諸国間における様々なリスクに懸念を表明しており、早期の平和的解決を促していますが、同時にこの危機の時代が簡単には去らないことも充分に理解しているように思えます。いずれも簡潔で読みやすく、まさに今読むべきものばかりですから、通勤途中に幾度となく目を通して、日々のニュースを読み解くための想像力を鍛えたいものです。
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by urag | 2013-06-09 23:04 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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