2013年 06月 03日

本日取次搬入:リピット水田堯『原子の光(影の光学)』

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本日取次搬入の弊社新刊のご案内です。書店さんの店頭には明日より順次並び始める予定です。著者のリピット水田堯(Akira Mizuta Lippit: 1964-)さんは映画論、映像文化論、比較文学研究、日本文化論などのジャンルにおいて海外で活躍されている研究者です。現在、南カリフォルニア大学教授(映画技術研究科学科長)、城西国際大学メディア学部客員教授、学校法人城西大学「日本/アジア映像研究センター」所長でいらっしゃいます。御母様は高名な女性学研究者、水田宗子さんで、さいきん思潮社さんから詩集『アムステルダムの結婚式』を、そして平凡社さんから評論『大庭みな子 記憶の文学』を上梓されています。御祖父様は、城西大学の創立者で通産大臣や大蔵大臣を歴任された政治家の水田三喜男さんです。堯さんご本人の思想的系譜としては、ジャック・デリダの弟子筋にあたります。

◆『原子の光(影の光学)』概要

※今回の新刊が著者にとって初めての訳書になります。
※著者は現在来日中で、6月いっぱい日本に滞在します。

書店発売予定日:6月4日(6月3日取次搬入済)
ジャンル:人文[現代思想/批評]、芸術[映像文化論/映画批評]

書名:原子の光(影の光学)
副題:なし
シリーズ名:芸術論叢書
配本:第二回配本

著者:リピット水田堯
訳者:門林岳史+明知隼二
発行:月曜社
装幀:宇平剛史
奥付:2013年5月
本体:3,400円
版型:B6変型判(タテ190mm×ヨコ115mm×ツカ24mm)並製392頁
ISBN:978-4-86503-002-0

内容:幻、X線、原爆、透明人間――映画作品や文学、そして哲学における「没視覚的なもの」を考察する、画期的な映像文化論。20世紀の放射性の光において見られうると同時に見られえないものの物質性についての地図を作成し、秘められた影のアーカイヴをめぐる思弁的読解と、内面性の視覚的構造の分析を提示する意欲作。【芸術論叢書、待望の第二弾】

原書:Atomic Light (Shadow Optics), University of Minnesota Press, 2005.

本書で言及される主な人物や作品:谷崎潤一郎『陰翳礼讃』、H・G・ウェルズ『透明人間』、R・エリスン『見えない人間』、リュミエール兄弟『工場の出口』、A・レネ『ヒロシマ・モナムール』、R・コーマン『X線の目を持つ男』、小林正樹『怪談』、勅使河原宏『砂の女』、黒沢清『CURE』、是枝裕和『幻の光』、デリダ『アーカイヴの病』、ドゥルーズ『意味の論理学』、フロイト『モーセと一神教』、メルロ=ポンティ『眼と精神』

目次:
日本語版への序文
謝辞
参考図版(日本映画)
0 諸々の宇宙
1 影のアーカイヴ(秘密の光) 
2 没視覚性の諸様態――精神分析・X線・映画
3 映画の表面デザイン
4 原子的痕跡
5 外記〔エクススクリプション〕/反書記〔アンチグラフィ〕
6 幻の治療〔キュア〕――不明瞭と空虚 
訳者あとがき
索引(人物/作品)

著者略歴:リピット水田堯(Akira Mizuta Lippit)1964年生まれ。南カリフォルニア大学教授、城西国際大学メディア学部客員教授。専門は映画、比較文学、日本文化。著書に『電気的動物――野生のレトリックへ』(2000年、未訳)、『原子の光(影の光学)』(2005年;本書)、『エクス-シネマ――実験的な映画とヴィデオの理論から』(2012年、未訳)がある。

訳者略歴:門林岳史(かどばやし・たけし)1974年生まれ。関西大学文学部映像文化専修准教授。著書に『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?――感性論的メディア論』(NTT出版、2009年)がある。

訳者略歴:明知隼二(あけち・じゅんじ)1981年生まれ。中国新聞社勤務。

◆芸術論叢書

◎既刊(第一回配本):
アンフォルム――無形なものの事典 
イヴ=アラン・ボワ+ロザリンド・E・クラウス=著 加治屋健司+近藤學+高桑和巳=訳
月曜社 2011年1月刊【現在2刷】 本体3,200円 46判変形(133mm×190mm)並製328頁 ISBN978-4-901477-78-9

◎続刊(第三回配本予定):ジャン=リュック・ナンシー『ミューズたち』

◆刊行記念トークイベント

リピット水田堯×鵜飼哲対談「Uncovered: Atomic Light」

日時:2013年6月7日(金)19:00~20:30
場所:紀伊國屋書店新宿本店 8Fイベントスペース
定員:50名(要予約:電話03-3354-5703および3階カウンターにて)
料金:無料

内容:リピット水田堯『原子の光(影の光学)』(月曜社、2013年6月)刊行記念トークイベント。かつてジャック・デリダのもとで哲学を学んだ二人が、リピットの主著である『原子の光(影の光学)』について縦横に語り合う。リピット水田堯は1964年生。現在、南カリフォルニア大学教授、城西国際大学客員教授。専門は映画論、比較文学、日本文化研究。『原子の光(影の光学)』が初めての訳書となる。鵜飼哲は1955年生。一橋大学教授。専門は仏文学・思想研究。近年の主著に『主権のかなたで』(岩波書店、2008年)などがある。

院生ワークショップ+講演会「原子の光と映画の誕生」

日時:2013年6月15日(土) Part I 13:00〜16:00 Part II 16:00~18:00
場所:一橋大学東キャンパス国際研究館4階 大教室(地図38番の建物)
※ワークショップ、講演会ともに入場無料、事前登録不要

*13:00~16:00 大学院生ワークショップ

片岡佑介 「黒澤明『生きものの記録』における〈核〉への恐怖を蔽うものについて」
佐喜真彩 「清田政信における流民の声の現れ――情動、動物的なものをめぐって」
田尻歩 「メディウム的探究とアーカイヴ―震災以前と以後の畠山直哉の写真」
コメンテーター:リピット水田堯(南カリフォルニア大学教授)
司会:井上間従文(言語社会研究科准教授)
発表者紹介:中井亜佐子(言語社会研究科教授)

*16:00~18:00 講演「原子の光と映画の誕生」

映画の誕生の年とされる1895 年は「X」線発見の年でもある。この偶然性によって放射能が映す身体と映画の奇妙なvisualityが結びつけられた。生命の中心と彼方が同時に現れる。リピット水田堯の講演は最近刊行された『原子の光(影の光学)』(月曜社2013年)にそって映画に映る不可視なvisuality、“avisuality”を取り上げる。

講師:リピット水田堯
講師紹介:鵜飼哲(言語社会研究科教授)

オープンリサーチプログラム・レクチャー「猫と犬のように──映画とカタストロフ」

日時:2013年6月21日(金)18:00–19:30
場所:京都府京都文化博物館 別館ホール (京都市中京区三条高倉)
入場料:無料(申込不要)
講師:リピット水田堯

内容:映画はどのように歴史を描くか。表現を避ける歴史をどのように映像として掴むか。現実と表現は猫と犬のように混ぜてはいけないものではないのか。3本の映画において、三つのカタストロフ——アメリカの南北戦争、ナチズムの誕生、そして広島市への原子爆弾投下——が描かれる。『国民の創生』(1915)、『意志の勝利』(1935)、『ヒロシマ・モナムール』(1959)の重要な場面で猫が映る。この動物は歴史的表現とカタストロフの関係を表す一種のメタファーかも知れない。しかしなぜ猫なのか? この講演は映画、カタストロフと猫の関係を考える。【文・リピット水田堯】

オープンリサーチプログラムとは:アーティスティックディレクターとキュレトリアルチームが、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015に向けて行う調査研究のプロセスを広く一般に公開し共有するためのプログラムです。

◆日本語で読めるリピット水田堯(アキラ・ミズタ・リピット)さんの論文など

◎論文

1)「長崎を写す――ファクトからアーティファクトへ」(25-29頁)、『Nagasaki Journey: The Photographs of Yosuke Yamahata August 10, 1945〔長崎ジャーニィー:山端庸介写真集〕』所収、Pomegranate、1995年5月、ISBN0-87654-360-3

2)「赤/白(黒)/青のTV――メディアにおける人種とジェンダーの撹乱」(369-384頁)三宅川泰子[訳]、『アメリカ研究とジェンダー』所収、渡辺和子[編]、世界思想社、1997年8月、ISBN4-7907-0660-5

3)「Violenceから「Biolence」へ――暴力、メディア、ヴィム・ヴェンダース:ヴィム・ヴェンダース《エンド・オブ・バイオレンス》」(90-91頁)、『InterCommunication No.25:テレプレゼンス――時間と空間を超えるテクノロジー』所収、NTT出版、1998年5月、ISSN09183841

4)「世界の中で――日本映画という外部」(40-49頁)篠儀直子[訳]、『インターコミュニケーション No.42:グローバリゼーションとメディア・カルチャー』所収、NTT出版、2002年10月、ISSN09183841

5)「外密性――クロノグラィーとハイパーリアリズム映画」(137-160頁)篠木涼+北野圭介[訳]、『ecce(エチェ) 映像と批評〈1〉特集:映像とアヴァンギャルディズム』所収、岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2009年7月、ISBN978-4-916087-97-3

6)「映画の三次元――複製、ミメーシス、消滅」(151-169頁)松谷容作[訳] 、『ecce(エチェ) 映像と批評〈2〉特集:目と映像』岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2010年3月、ISBN978-4-86405-008-1

7)「Therefore、デリダを視た動物」(36-52頁)大崎晴美[訳]、『JunCture(ジャンクチャー) 超域的日本文化研究〈02〉特集:情動/主体/文化』所収、名古屋大学日本近現代文化研究センター[編]、笠間書院、2011年2月、ISBN978-4-305-00292-1

8)「スペクトラル・ライフ――幽霊的生についての考察」(79-98頁)大橋完太郎[訳]、『思想 2011年4月号 no.1044:来るべき映画的思考のために』所収、岩波書店、2011年4月、ISSN0386-2755

9)「メランコリック・エコー――イ・ブルの体内化(インコーポレーションズ)」(89-94, 95-100頁)畠山宗明[訳]、『イ・ブル――私からあなたへ、私たちだけに』所収、森美術館[編]、平凡社、2012年2月、ISBN978-4-582-20667-8

10)「イメージナショナリズム――翻訳におけるイマジナリーな言語」(57-89頁)松谷容作[訳] 、『ecce(エチェ) 映像と批評〈3〉映像と言語の世界』岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2012年5月、ISBN978-4-86405-035-7

◎インタヴュー、共同討議、座談会

1)インタヴュー「その眼が赤を射止めるとき――トリン・T・ミンハに聞く(1)」(130-137頁)とちぎあきら訳、『InterCommunication No.28:We are the ROBOTS』所収、NTT出版、1999年5月、ISSN09183841

2)インタヴュー「その眼が赤を射止めるとき――トリン・T・ミンハに聞く(2)」(146-153頁)とちぎあきら訳、『InterCommunication No.29:ダンスフロンティア――身体のテクノロジー』所収、NTT出版、1999年5月、ISSN09183841

3)共同討議「閉塞する人文科学を超えて――いま、芸術を問う」(34-68頁)岡崎乾二郎+中沢新一+リピット水田堯+ファブリアーノ・ファッブリ、田中純[司会]、『表象〈01〉特集:人文知の現在と未来――越境するヒューマニティーズ』所収、表象文化論学会[発行]、月曜社[発売]、2007年4月、ISBN978-4-901477-61-1

4)共同討議「ポストヒューマニズムの余白に――リダンダンシー、ハビトゥス、偶発性」(53-79頁)北野圭介+坂元伝+佐藤良明+リピット水田堯+山内志朗、『表象〈02〉特集:ポストヒューマン』所収、表象文化論学会[発行]、月曜社[発売]、2008年4月、ISBN978-4-901477-62-8

5) 共同討議「膨張する映像、その可能性」(7-42頁)井土紀州+七里圭+岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯、『ecce(エチェ) 映像と批評〈1〉特集:映像とアヴァンギャルディズム』所収、岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2009年7月、ISBN978-4-916087-97-3

6)座談会「映画をめぐる新しい思考のために」(6-38頁)宇野邦一×リピット水田堯×北野圭介、『思想 2011年4月号 no.1044:来るべき映画的思考のために』所収、岩波書店)、2011年4月、ISSN0386-2755

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◆『原子の光(影の光学)』の造本について
今回の造本においては「藍色」をメインに使っています。白いのは本文用紙とカバーのみ。カバーは暗い図版が引き立つように白い紙を選んでいます。図版はブラックと青白い銀で刷っています。第2章原注36で言及されている放射能の口、カメラ・デンタータです。表紙、見返し、中扉等にはそれぞれ銘柄の異なる藍色の紙を使っています。表紙にはレインボーの箔を施しました。一冊ずつ微妙にレインボーの模様が異なってくるのがこの箔の面白いところです。本文ですが、少し青みがかった白い紙に藍色のインクで刷りました。日本映画のスチルやキャプチャは巻頭にまとめ、モノクロのものはリッチブラック、カラーは4色で刷っております。今回の装幀は新進気鋭のデザイナー宇平剛史さんのお力をお借りしました。なお、過剰包装にならないよう、オビは付しておりません。

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by urag | 2013-06-03 14:27 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
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