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2013年 03月 17日

注目新刊と既刊:「imago」誌三たびの復刊はフランクル特集

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現代思想 2013年4月臨時増刊号 imago 総特集=ヴィクトール・E・フランクル――それでも人生にイエスと言うために
青土社 2013年3月 本体1,429円 A5判並製262頁 ISBN978-4-7917-1259-5

★明日18日発売。目次詳細は書名のリンク先でご覧いただけます。2011年9月臨時増刊号「東日本大震災と 〈こころ〉 のゆくえ」や、2012年12月臨時増刊号「いじめ」などで幾度となく緊急復刊されてきた「imago」誌ですが、今回は「緊急復刊」の文字はありません。東日本大震災のあとにフランクルがいっそう読まれるようになったと聞きますが、それを受けて、大震災2周年のために企画されたものかと推察します。フランクルの新訳は「実存分析と時代の問題」(1946年12月の講演)、「山の体験と意味の経験」(1987年の講演)、「意味喪失の時代における教育の使命」(1969年、國學院大学での講演)の三本です。討議は三本収録されています。池田香代子×姜尚中「フランクルから現代を問い直す」、諸富祥彦×森川すいめい「絶望した魂に届く言葉とは」、入江杏×若松英輔「悲しみの彼方にあるもの――フランクルの言葉と思想」。

★「現代思想」4月号は特集「就活のリアル」で今月27日発売予定。5月増刊号は総特集「東松照明(仮)」で4月12日発売予定とのことです。


現代デザイン事典 2013年版 
勝井三雄+田中一光+向井周太郎=監修 伊東順二+柏木博=編集委員
平凡社 2013年3月 本体3,400円 B5変型判並製312頁 ISBN978-4-582-12932-8

帯文より:エキスパートによる〈思考〉と〈実践〉。特集「エネルギーシフト」。思考を変え、行動を変え、生活を変えるデザイン。

帯文(裏)より:デザイン25分野800項目を収録。第一線で活躍中のクリエイター70余名による体験的・実践的な記述。【巻頭特集】エネルギーシフト/【クローズアップ】デザインの歴史から現代的課題まで11本/【資料】デザイン賞受賞作品の紹介、デザイン人名録、ブックガイド、学校案内など最新の基本情報を網羅/【図版】カラー650点。

★発売済。文理をまたぐ基幹的な知として、また、その知を産業と制度と都市の構造設計と分かつことなく把握する包括的な技術=工学として、長い年月をかけて自らを革新してきた一大分野「デザイン」。デザインを抜きにして私たちの生活も社会も考えることはできません。よって、あらゆる書棚にはその分野の根本となる原論=設計図=アーキテクチャとしての「デザイン」書が存在しなければならないし、系統樹のようにその「デザイン」の幹から様々な学問や技術の枝葉末節が派生していくのであれば、デザインのデザイン、つまり、原デザインとでも言うべき次元がなければなりません。この原デザインの形態学〔モルフォロジー〕を動かすのが理知〔ヌース〕であれ、自然であれ、神であれ、この源流から全方位へと放射状に書棚は展開するのであって、帰納的に遡及した先に「動かすもの」もしくはデミウルゴスが中心において擬制的に発見されるのではありません。なぜならデミウルゴスは球体全体に充満しているからです。汎神論もしくはプレーローマ。書店は系統樹の姿を模してもいいはずで、あるいは放射状のパッサージュを内部に抱える球体であってもよく、DNAのように二重螺旋の円環、大蛇ウロボロスでもあってもいいわけです。

★私たちは無意識のうちにデザインの周囲をくるくる回ったり横切ったりします。『現代デザイン事典』は現代人の身体と知覚と生を下支えする情報インフラにおける転位と運動を測量するもので、ある意味でこれ以上に拡張効果を持つ「必読書」は存在しないのです。


キャプテン・クック――世紀の大航海者
フランク・マクリン著 日暮雅通訳
東洋書林 2013年3月 本体4,500円 A5判上製592頁 ISBN978-4-88721-809-3

帯文より:貴族社会を横目に最新科学を呑み込み、大洋を経巡り、陸を測り、憑かれたように「領」を規定しつづけた海の男。ヨーロソ! 地球3周に船出した、烈々たる彷徨者の伝記!!

カバーソデ紹介文より:厳然とした階級社会のなか、腕と才能のみを頼りに名高い探検家へと駆け上がったキャプテン・ジェイムズ・クックの決定的評伝。極貧の生い立ちと徒弟時代、海軍測量士として頭角を現した後の二度にわたる世界周航でつかんだ栄光、博物学の偉人たちとの邂逅と反目、そして三度目の航海で迎える酷薄な最期までの五十年を、一個の十八世紀人の細密な肖像として圧倒的ボリュームでつづる。

原書:Captain Cook: Master of the Seas, Yale University Press, 2011.

目次:
第1章 ヨークシャーの徒弟
第2章 七年戦争
第3章 ニューファンドランド島の地図製作
第4章 太平洋での挑戦
第5章 タヒチとの初めての接触
第6章 快楽(キュテラ)の島
第7章 オーストラレイシアでの苦難
第8章 故国へ向かって
第9章 南極大陸
第10章 トンガ人とマオリ人
第11章 太平洋の制覇
第12章 失われた地平線――南方大陸
第13章 最後の航海
第14章 最後のタヒチ
第15章 幻想を追って――北西航路
第16章 ハワイの悪夢
第17章 ケアラケクア浜の悲劇
終わりに
附記
訳者あとがき
原注
索引

★発売済。イギリス海軍の士官で地図作製者のジェームズ・クック(James Cook, 1728年10月27日~1779年2月14日)の名前を知らない人はおそらくいないだろうと思います。彼の航海日誌は『クック 太平洋探検』(全6巻、岩波文庫、2004~2005年)で読むことができますし、クックの名を冠した本は様々あるのですが、本格的な伝記となると類書はさほど多くはないようです。航海日誌の編纂者であるJ・C・ビーグルホールによる大著『キャプテン ジェイムス・クックの生涯』(佐藤皓三訳、成文堂書店、1998年)がこれまでクック伝の定番として知られてきました。今回のマクリン本の訳者によれば、長い年月を経て様々な研究書が出たことを踏まえて「さらに生き生きとした筆致で、資料や証拠、クックのキャラクターをさらに深く読みこんでいる」と評判なのが本書『キャプテン・クック』なのだそうです。ナポレオンやユングなどの伝記を手掛けてきたマクリンの描写力は確かで、映像的に彷彿とさせる見事なものです。なお、似た名前の著者アリステア・マクリーンに『キャプテン・クックの航海』(越智道雄訳、早川書房、1982年)という本があって、こちらは小説です。


新約聖書・ヘレニズム 原典資料集
大貫隆+筒井賢治=編訳
東京大学出版会 2013年2月 本体3,600円 A5判並製368頁 ISBN978-4-13-012450-8

版元紹介文より:新約聖書の記述を、その背景をなすヘレニズム世界の一次資料に照らし合わせることで、社会史・宗教史・文化史の観点からより深く理解できる資料集。新約とその他の文献・一次資料の関係性、あるいは新約の独自性を理解するために選ばれた176の事例を紹介。近年めざましく進んだヘレニズム文化圏に関する原典資料邦訳の成果を取り入れるとともに、『エピダウロス碑文集』『ギリシア語魔術パピルス』『コプト語魔術パピルス』など未邦訳の碑文・文書からも、多くの記述を本邦初の原典訳で収録。詳細な出典一覧、著者・著作解説を巻末に収録し、文献レファレンス用途にも対応した、聖書や西洋古代世界を具体的に知るための絶好の一冊。

★発売済。「新約の記述を、関連するヘレニズムの原典と照らし合わせる」という地道な作業の成果が本書です。これまで同出版会では『西洋古代史料集』(古山正人ほか編訳、1987年;第2版2002年)や、『哲学 原典資料集』(山本巍ほか著、1993年)といった資料集を刊行されており、いずれもロングセラーとなっています。先行する類書である『原典新約時代史――ギリシヤ、ローマ、エジプト、ユダヤの史料による』(蛭沼寿雄ほか著、山本書店、1976年)はすでに絶版のため、こうした「まとめ本」が出たのはありがたいことです。既訳書からの引用だけでなく新訳もあるようで、重訳ながらマンダ教の聖典『ギンザー』(大貫隆さんの『グノーシスの神話』でもおなじみ)や、ユダヤ教の『バビロニア・タルムード』の断片も読めます。ところでライブや三貴より出版されてきたタルムードの原典訳がいつか市販版も出て欲しいと思っているのは私の妄想に過ぎないでしょうか。

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by urag | 2013-03-17 18:24 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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